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法廷等の秩序維持に関する規則

昭和27年9月1日最高裁判所規則第20号
法廷等の秩序維持に関する規則を次のように定める。
(この規則の趣旨)
第1条 法廷等の秩序維持に関する法律(昭和27年法律第286号。以下法という。)による制裁の手続に関しては、法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(拘束の手続・法第3条第2項)
第2条 法第3条第2項の規定による行為者の拘束は、急速を要する場合には、裁判長がさせることができる。
2 裁判所職員又は警察官は、法第3条第2項の規定により行為者の拘束を命ぜられた場合には、その者を裁判所若しくは裁判長又は裁判官の指示する場所に留め置かなければならない。
3 裁判所又は裁判官は、拘束を解く場合においては、被拘束者の釈放を命じなければならない。
4 拘束の時から24時間以内に監置に処する裁判がされたときは、その裁判を受けた者を監置場に留置する時まで、24時間をこえてこれを拘束することができる。
(迅速な裁判)
第3条 制裁を科する裁判は、できる限りその日のうちにするものとする。
(本人を特定するための処置)
第4条 裁判所又は裁判官は、本人を特定するため必要があると認めるときは、被拘束者の写真を撮影し、又は指紋を採取することができる。
(制裁を科する裁判所・法第3条第1項)
第5条 法第2条第1項の規定にあたる行為を直接に知り得た裁判所又は裁判官は、自ら裁判をする場合を除いて、当該裁判所を構成する裁判官所属の裁判所又は当該裁判官所属の裁判所に、制裁を科すべき旨の請求をすることができる。
2 前項の請求は、次に掲げる事項を記載した書面を差し出してしなければならない。
 本人の氏名、住居その他本人を特定するに足りる事項
 法第2条第1項の規定にあたる事実
 請求をする裁判所又は裁判官の意見
 法第3条第2項の規定により本人が拘束されているときは、拘束の年月日時及び場所
3 第1項の請求をする場合において、前項第2号の事実を認めるべき資料があるときは、これを提供しなければならない。
4 第1項の請求があったときは、請求をした裁判所を構成する裁判官又は請求をした裁判官以外の裁判官の構成する裁判所が、裁判をする。
(弁護士の補佐)
第6条 裁判所又は裁判官は、裁判が遅延する虞がないと認める場合には、本人に事件につき弁護士の補佐を受けさせることができる。
2 前条第4項の規定により裁判をする場合には、本人は、事件につき弁護士の補佐を受けることができる。
3 前2項の場合において、補佐する者の数は、1人とする。
(本人の在席)
第7条 制裁を科する裁判の手続は、本人が在席しなければすることができない。但し、 本人が正当な理由がなく出席しないとき、又は本人が許可を受けないで退席し若しくは秩序維持のため退席を命ぜられたときは、この限りでない。
(事実の調査)
第8条 裁判所又は裁判官は、必要があると認めるときは、職権で本人の審問その他事実の調査をすることができる。
(調書)
第9条 制裁を科する裁判の手続については、裁判所書記官が調書を作らなければならない。
2 前項の調書には、次に掲げる事項その他手続に関する重要な事項を記載し、裁判所書記官が年月日を記載して署名押印し、裁判長又は裁判官が認印しなければならない。ただし、裁判所書記官は、署名押印に代えて記名押印することができる。
 本人を拘束させたこと又はその拘束を解いたこと及びその年月日時
 事実の調査又は証拠調の結果
 裁判の宣告をしたこと及びその年月日時
3 裁判長又は裁判官は、相当と認めるときは、法第2条第1項の規定にあたる行為が行われた際にされている審判その他の手続について作られる調書に前項の事項を記載させて、第1項の調書に代えさせることができる。
(制裁を科する裁判・法第4条第1項)
第10条 裁判所又は裁判官が法第2条第1項の規定にあたる事実を認めた場合において、制裁を科するのを相当とするときは、その旨の裁判をしなければならない。
2 前項の裁判には、事実の要旨及び適用した法条を示さなければならない。
(制裁を科する裁判の告知・法第4条第1項)
第11条 制裁を科する裁判は、宣告によってその効力を生ずる。
2 本人の在席しないままで制裁を科する裁判の宣告をしたときは、すみやかに、裁判書又は裁判の内容を記載した調書の謄本を本人に送達しなければならない。
3 前項の場合においては、抗告の提起期間は、送達のあった日の翌日から起算する。
(裁判書・法第4条第1項)
第12条 制裁を科する裁判については、裁判をした裁判官が裁判書を作り、これに記名押印しなければならない。但し、裁判の内容を第9条第1項の調書又は同条第3項の規定によりこれに代えられる調書に記載させて、裁判書に代えることができる。
(抗告の代理人・法第5条第1項)
第13条 抗告については、弁護士を代理人に選任することができる。
2 代理人の選任は、書面で届け出なければならない。
(被拘禁者の抗告・法第5条第1項第2号)
第14条 制裁を科する裁判を受けた者が監置場、刑事施設その他の施設に拘禁されている場合において、抗告の提起期間内に抗告の申立書をその施設の長又はその代理者に提出したときは、抗告の提起期間内に抗告をしたものとみなす。
(抗告権回復の請求・法第5条第1項)
第15条 制裁を科する裁判を受けた者は、自己の責に帰することができない事由によって抗告の提起期間内に抗告をすることができなかったときは、原裁判所に抗告権回復の請求をすることができる。
2 抗告権回復の請求は、事由が止んだ日から5日以内に抗告の申立と同時にしなければならない。
3 前条の規定は、監置場、刑事施設その他の施設に拘禁されている者が抗告権回復の請求をする場合に準用する。
(抗告申立書の方式・法第5条第2項)
第16条 抗告の申立書には、抗告の理由を記載しなければならない。
(抗告事件の送付・法第5条第2項)
第17条 抗告の申立があった場合において、原裁判所は、法第5条第2項後段の規定により原裁判を更正するのを相当と認めるときは、決定でその旨の裁判をしなければならない。
2 前項の場合を除いて、原裁判所は、すみやかに、意見を付して事件を抗告裁判所に送付しなければならない。
(抗告審の裁判・法第5項第1号)
第18条 抗告裁判所は、抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定で抗告を棄却しなければならない。
2 抗告が理由のあるときは、決定で原裁判を取り消し、必要がある場合には、更に裁判をしなければならない。
(異議の申立及び特別抗告についての準用規定・法第5条第4項、第6条第1項)
第19条 異議の申立及び特別抗告については、その性質に反しない限り、抗告に関する規定を準用する。
(制裁を科する裁判等の執行命令・法第7条第1項第6項)
第20条 制裁を科する裁判の執行の命令は、裁判書又は裁判の内容を記載した調書の謄本又は抄本に執行を命ずる旨及び年月日を記載し、裁判官が押印してしなければならない。
2 前項の謄本又は抄本は、急速を要する場合には、制裁を受けた者の氏名、住居その他その者を特定するに足りる事項、裁判の主文、宣告の年月日及び裁判所又は裁判官の氏名を記載した書面をもって、これに代えることができる。
3 前2項の規定は、法第4条第4項の規定による裁判の執行の命令について準用する。
(収容状の記載事項・法第7条第2項)
第21条 収容状には、制裁を受けた者の氏名、住居、年令、監置の期間その他収容に必要な事項を記載し、裁判官が記名押印しなければならない。
(収容状の執行についての準用規定・法第7条第2項)
第22条 収容状の執行については、刑事訴訟規則(昭和23年最高裁判所規則第32号)中勾引状の執行に関する規定を準用する。
(勾留の執行停止)
第23条 勾留されている者に対し監置の裁判を執行するときは、その間、勾留の執行は停止されるものとする。但し、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第81条の規定によってされた裁判は、その効力を失わない。
(監置の期間の計算)
第24条 監置の期間は、監置に処する裁判の宣告の日から起算する。但し、裁判の宣告後においても、法及びこの規則の規定により拘禁されていない日数は、監置の期間に算入しない。
2 監置の期間については、初日は、その時間にかかわらず、1日として計算する。
3 釈放は、監置の期間満了の翌日午前中に行う。
(裁判の執行停止・法第5条第3項第4項、第6条第3項、第7条第8項)
第25条 法第5条第3項但書(法第5条第4項及び法第6条第3項において準用する場合を含む。)及び法第7条第8項の規定による裁判の執行の停止は、決定でする。
2 監置の裁判の執行を停止するときは、住居の制限その他適当と認める条件を付することができる。
(補償についての準用規定・法第8条第1項)
第26条 法第8条第1項の規定による補償については、刑事補償規則(昭和25年最高裁判所規則第1号)を準用する。
(決定の告知)
第27条 決定は、この規則に特別の定がある場合を除いて、送達その他相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
(送達)
第28条 送達については、民事訴訟に関する法令の規定を準用する。

附則

この規則は、法施行の日から施行する。
(施行の日=昭和27年9月25日)
附則(昭和46年6月23日最高裁判所規則第9号)
この規則は、昭和46年7月1日から施行する。
附則(平成18年5月12日最高裁判所規則第6号)
この規則は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律(平成17年法律第50号)の施行の日(平成18年5月24日)から施行する。

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