かぶしきかいしゃひがしにっぽんだいしんさいじぎょうしゃさいせいしえんきこうほう
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法
平成23年法律第113号
第1章 総則
(機構の目的)
第1条 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構は、東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより、被災地域における経済活動の維持を図り、もって被災地域の復興に資するようにするため、金融機関、地方公共団体等と連携しつつ、東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている事業者であって、被災地域においてその事業の再生を図ろうとするものに対し、当該事業者に対して金融機関等が有する債権の買取りその他の業務を通じて債務の負担を軽減しつつその再生を支援することを目的とする株式会社とする。
(定義)
第2条 この法律において「東日本大震災」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。
2 この法律において「金融機関等」とは、次に掲げる者をいう。
一 預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第1項に規定する金融機関
二 農水産業協同組合貯金保険法(昭和48年法律第53号)第2条第1項に規定する農水産業協同組合
三 保険業法(平成7年法律第105号)第2条第2項に規定する保険会社
四 貸金業法(昭和58年法律第32号)第2条第2項に規定する貸金業者
五 リース契約(対価を得て資産を使用させる契約であって、資産を使用させる期間の開始の日以後又は同日から一定期間を経過した後当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないことその他主務省令で定める要件を満たすものをいう。)により資産を使用させることを業とする者
六 政策金融機関、預金保険機構、農水産業協同組合貯金保険機構、信用保証協会その他これらに準ずる主務省令で定める特殊法人等(法律により直接に設立された法人若しくは特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人のうち総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第1項第9号の規定の適用を受けるもの、特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人又は独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項に規定する独立行政法人をいう。)
七 前各号に掲げる者のほか、金銭の貸付けその他金融に関する業務を行う事業者で主務省令で定めるもの
(数)
第3条 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(以下「機構」という。)は、一を限り、設立されるものとする。
(株式)
第4条 預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構は、常時、機構が発行している株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く。以下この項において同じ。)の総数の2分の1以上に当たる数の株式を保有していなければならない。
2 機構は、募集株式(会社法(平成17年法律第86号)第199条第1項に規定する募集株式をいう。第71条第1号において同じ。)を引き受ける者の募集をしようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
(商号)
第5条 機構は、その商号中に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に東日本大震災事業者再生支援機構という文字を用いてはならない。
第2章 設立
(機構の設立の方法)
第6条 機構は、会社法第25条第1項第1号に掲げる方法により設立しなければならない。
(定款の記載又は記録事項)
第7条 機構の定款には、会社法第27条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 会社法第107条第1項第1号に掲げる事項
二 取締役会及び監査役を置く旨
三 第16条第1項各号に掲げる業務の完了により解散する旨
2 機構の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録してはならない。
一 監査等委員会又は会社法第2条第12号に規定する指名委員会等を置く旨
二 会社法第139条第1項ただし書に規定する別段の定め
(設立の認可等)
第8条 機構の発起人は、定款を作成し、かつ、機構の設立に際して発行する株式の全部を引き受けた後、速やかに、定款及び事業計画書を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
第9条 主務大臣は、前条の規定による認可の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 設立の手続及び定款の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 定款に虚偽の記載若しくは記録又は虚偽の署名若しくは記名押印(会社法第26条第2項の規定による署名又は記名押印に代わる措置を含む。)がないこと。
三 業務の運営が健全に行われ、東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより、被災地域における経済活動の維持に寄与し、もって被災地域の復興に資することが確実であると認められること。
2 主務大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。
(設立時取締役及び設立時監査役の選任及び解任)
第10条 会社法第38条第1項に規定する設立時取締役及び同条第2項第2号に規定する設立時監査役の選任及び解任は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(会社法の規定の読替え)
第11条 会社法第30条第2項、第33条第1項、第34条第1項及び第963条第1項の規定の適用については、同法第30条第2項中「前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)第9条第2項の認可の後株式会社東日本大震災事業者再生支援機構の成立前は、定款」と、同法第33条第1項中「第30条第1項の公証人の認証」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第9条第2項の認可」と、同法第34条第1項中「設立時発行株式の引受け」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第9条第2項の認可の」と、同法第963条第1項中「第34条第1項」とあるのは「第34条第1項(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第11条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。
(会社法の規定の適用除外)
第12条 会社法第30条第1項の規定は、機構の設立については、適用しない。
2 会社法第33条の規定は、同法第28条第4号に掲げる事項を機構の定款に記載し、又は記録した場合における当該事項については、適用しない。
第3章 管理
第1節 取締役等
(取締役及び監査役の選任等の決議)
第13条 機構の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(取締役等の秘密保持義務)
第14条 機構の取締役、会計参与、監査役若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第2節 定款の変更
第15条 機構の定款の変更の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第4章 業務
第1節 業務の範囲等
(業務の範囲)
第16条 機構は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
一 対象事業者(第20条第1項に規定する対象事業者をいう。以下この項及び第3項並びに第19条第4項において同じ。)に対して金融機関等が有する債権の買取り又は対象事業者に対して金融機関等が有する貸付債権の信託の引受け(以下「債権買取り等」という。)
二 対象事業者に対する次に掲げる業務
イ 資金の貸付け(社債の引受けを含む。第19条第2項第2号及び第62条第3項において同じ。)。ただし、対象事業者の事業の継続に欠くことができないものに限る。
ロ 金融機関等からの資金の借入れに係る債務の保証
ハ 出資(対象事業者の株式の取得を含む。第4号、第19条第2項第2号、第25条第1項及び第62条第3項において同じ。)
ニ 事業の再生に関する専門家の派遣
ホ 事業活動に関する必要な助言
三 債権買取り等に係る債権の管理及び譲渡その他の処分(債権者としての権利の行使に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を含む。)
四 出資に係る株式又は持分の譲渡その他の処分
五 前各号に掲げる業務に関連して必要な交渉及び調査として行う法律事務
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務
七 前各号に掲げるもののほか、機構の目的を達成するために必要な業務
2 機構は、前項第7号に掲げる業務を営もうとするときは、あらかじめ、主務大臣の認可を受けなければならない。
3 機構は、第1項各号に掲げる業務のほか、当該業務の完了までの間、事業者(対象事業者を除く。)の依頼に応じて、その事業の再生等に関し必要な助言を行うことができる。
(銀行法等の規定の適用)
第17条 機構が前条第1項各号に掲げる業務を行う場合には、機構を銀行法(昭和56年法律第59号)第2条第1項に規定する銀行とみなして、同法第13条の2及び第23条の規定を適用する。この場合において、同法第13条の2中「内閣府令」とあるのは「内閣府令・総務省令・財務省令・農林水産省令・経済産業省令」と、「内閣総理大臣」とあるのは「内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣」とする。
2 機構が前条第1項第1号に掲げる貸付債権の信託の引受けの業務を行う場合には、機構を金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関とみなして、同法第2条第1項において準用する信託業法(平成16年法律第154号)第24条第1項、第28条並びに第29条第1項及び第2項の規定並びに金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第15条の2(第1号に係る部分に限る。)、第17条(第1号及び第3号に係る部分に限る。)及び第22条(第3号に係る部分に限る。)の規定を適用する。
3 機構が貸金業法第2条第2項に規定する貸金業者から債権買取り等を行う場合には、同法第24条の規定は、適用しない。
第2節 支援基準
第18条 主務大臣は、機構が、第16条第1項各号に掲げる業務の実施による再生の支援(以下「再生支援」という。)をするかどうかを決定するに当たって従うべき基準及び債権買取り等をするかどうかを決定するに当たって従うべき基準(以下「支援基準」と総称する。)を定めるものとする。
2 主務大臣は、前項の規定により支援基準を定めようとするときは、あらかじめ、被災地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 主務大臣が第1項の規定により支援基準を定めるに当たっては、被災地域において多数の事業者が自己の責めに帰することができない事由によりその事業の用に供する資産に甚大な被害を受けたことを踏まえ、できる限り多くの事業者に再生の機会を与えることとなるよう適切に配慮しなければならない。
4 主務大臣が第1項の規定により支援基準を定め、及び被災地域を管轄する都道府県知事が第2項の規定により意見を述べるに当たっては、東日本大震災復興基本法(平成23年法律第76号)第3条の東日本大震災復興基本方針及び被災地域の地方公共団体が東日本大震災からの復興に係る計画を定めている場合における当該計画との整合性に配慮しなければならない。
5 主務大臣は、第1項の規定により支援基準を定めたときは、これを公表するものとする。
第3節 業務の実施
(支援決定)
第19条 東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている事業者であって、東日本大震災の被災地域として政令で定める地域において債権者その他の者と協力してその事業の再生を図ろうとするもの(次に掲げる事業者を除く。)は、機構に対し、再生支援の申込みをすることができる。
一 資本金の額若しくは出資の総額又は常時使用する従業員の数を勘案して大規模な事業者として政令で定める事業者
二 地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社
三 前号に掲げるもののほか、国又は地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの4分の1以上を出資している法人(国又は地方公共団体がその経営を実質的に支配することができないものとして政令で定める法人を除く。)
四 前2号に掲げるもののほか、その役員に占める公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(平成12年法律第50号)第3条第2項に規定する派遣職員又は同法第10条第2項に規定する退職派遣者の割合が政令で定める割合を超えている法人その他国又は地方公共団体がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして政令で定める法人
2 前項の申込みは、次に掲げる書面を添付して行わなければならない。
一 当該申込みをする事業者の事業の再生の計画(当該事業者の事業の再生のおおよその見通しを記載した書面を含むものとする。以下「事業再生計画」という。)
二 第4項後段に規定する支援決定が行われた場合において、当該申込みをする事業者に対し、債権者その他の者が資金の貸付け又は出資を行う旨を約していることを証する書面
3 第1項の申込みをする事業者が独立行政法人中小企業基盤整備機構又は認定支援機関(産業競争力強化法(平成25年法律第98号)第134条第2項に規定する認定支援機関をいう。以下同じ。)から第59条第2項の規定による書面の交付を受けた中小企業者であるときは、当該書面を添付して申込みをすることができる。
4 機構は、第1項の申込みがあったときは、遅滞なく、支援基準に従って、再生支援をするかどうかを決定するとともに、その結果を当該申込みをした事業者(前項に規定する中小企業者が申込みをした場合にあっては、当該申込みをした中小企業者及び当該書面を交付した独立行政法人中小企業基盤整備機構又は認定支援機関)に通知しなければならない。この場合において、機構は、再生支援をする旨の決定(以下「支援決定」という。)を行ったときは、併せて、次条第1項に規定する関係金融機関等の選定、対象事業者の事業の再生のために当該関係金融機関等が同項各号に掲げる申込み又は同意をすることが必要と認められる債権の額(以下「必要債権額」という。)及び同項に規定する買取申込み等期間の決定並びに第21条第1項に規定する回収等停止要請をすべきかどうかの決定を行わなければならない。
5 機構は、再生支援をするかどうかを決定するに当たっては、第1項の申込みをした事業者における事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮しなければならない。
6 機構は、再生支援をすることを決定したときは、速やかに、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
7 支援決定は、機構の成立の日から平成33年3月31日までの期間内に行わなければならない。ただし、被災地域の復興の状況を勘案して必要があると認められる場合には、主務大臣の認可を受けて、1年を限り、その期間を延長することができる。
(買取申込み等の求め)
第20条 機構は、支援決定を行ったときは、直ちに、その対象となった事業者(以下「対象事業者」という。)の債権者である金融機関等のうち事業再生計画に基づく対象事業者の事業の再生のために協力を求める必要があると認められるもの(以下「関係金融機関等」という。)に対し、支援決定の日から起算して3月以内で機構が定める期間(以下「買取申込み等期間」という。)内に、当該関係金融機関等が対象事業者に対して有する全ての債権につき、次に掲げる申込み又は同意をする旨の回答(以下「買取申込み等」という。)をするように求めなければならない。この場合において、関係金融機関等に対する求めは、支援決定を行った旨の通知及び事業再生計画を添付して行わなければならない。
一 債権の買取りの申込み
二 事業再生計画に従って債権の管理又は処分をすることの同意(対象事業者に対する貸付債権を信託財産とし、当該同意に係る事業再生計画に従ってその管理又は処分を機構に行わせるための信託の申込みを含む。)
2 前項第1号の債権の買取りの申込みは、価格を示して行うものとする。
(回収等停止要請)
第21条 機構は、関係金融機関等が対象事業者に対し債権の回収その他主務省令で定める債権者としての権利の行使(以下「回収等」という。)をすることにより、買取申込み等期間が満了する前に対象事業者の事業の再生が困難となるおそれがあると認められるときは、全ての関係金融機関等に対し、前条第1項前段の規定による求めに併せて、買取申込み等期間が満了するまでの間、回収等をしないことの要請(以下「回収等停止要請」という。)をしなければならない。
2 機構は、前項の場合において、買取申込み等期間が満了する前に、次条第1項に規定する買取決定を行い、又は第26条第1項第3号の規定により支援決定を撤回したときは、直ちに、回収等停止要請を撤回し、その旨を全ての関係金融機関等に通知しなければならない。
(買取決定)
第22条 機構は、買取申込み等期間が満了し、又は買取申込み等期間が満了する前に全ての関係金融機関等から買取申込み等があったときは、速やかに、それぞれの買取申込み等(第20条第1項第1号に掲げる債権の買取りの申込み又は同項第2号に規定する信託の申込みをする旨のものに限る。第3項において同じ。)に対し、支援基準に従って、債権買取り等をするかどうかを決定しなければならない。この場合において、債権買取り等をする旨の決定(以下「買取決定」という。)をするときは、一括して行わなければならない。
2 前項の場合において、機構は、買取申込み等に係る債権のうち、買取りをすることができると見込まれるものの額及び第20条第1項第2号に掲げる同意に係るものの額の合計額が必要債権額に満たないときは、買取決定を行ってはならない。
3 第1項の場合において、関係金融機関等が回収等停止要請に反して回収等をしたときは、機構は、当該関係金融機関等からの買取申込み等に対し、買取決定を行ってはならない。
4 機構は、買取決定を行ったときは、速やかに、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
(買取価格等)
第23条 機構が債権の買取りを行う場合の価格は、支援決定に係る事業再生計画、被災地域の復興の見通し、再生支援を開始した後における対象事業者の経営状況の見通し、当該債権の担保の目的となっている財産の価格の見通し等を勘案した適正な時価を上回ってはならない。
2 機構は、関係金融機関等と損害担保契約(対象事業者に係る債権のうち機構が買取りを行ったものについて、当該買取り後、当該債権の適正な時価が当該買取りの価格を下回ることとなった場合において、当該関係金融機関等がその差額の一部を補填することを内容とする契約(これに準ずる契約を含む。)をいう。)を締結することができる。
(買取申込み等期間の延長)
第24条 機構は、買取申込み等に係る債権のうち、買取りをすることができると見込まれるものの額及び第20条第1項第2号に掲げる同意に係るものの額の合計額が、買取申込み等期間が満了しても必要債権額に満たないことになると見込まれるときは、当該買取申込み等期間の延長を決定することができる。この場合において、当該延長をする買取申込み等期間の末日は、支援決定の日から起算して3月以内でなければならない。
2 機構は、前項の規定により買取申込み等期間の延長を決定したときは、直ちに、その旨を全ての関係金融機関等に通知するとともに、まだ買取申込み等をしていない関係金融機関等に対し、当該延長をした買取申込み等期間内に買取申込み等をするように求めなければならない。
3 第20条第2項、第21条から前条まで及び第1項の規定は、同項の規定により買取申込み等期間の延長を決定した場合について準用する。この場合において、これらの規定中「買取申込み等期間」とあるのは「延長をした買取申込み等期間」と、第21条第1項中「前条第1項前段」とあるのは「第24条第2項」と読み替えるものとする。
(出資決定)
第25条 機構は、買取決定又は第20条第1項第2号に掲げる同意をする旨の買取申込み等に係る債権額のみで必要債権額を満たした場合における債権買取り等をしない旨の決定(以下「買取決定等」という。)を行った後でなければ、対象事業者に出資をする決定(次項において「出資決定」という。)をしてはならない。
2 機構は、出資決定を行ったときは、速やかに、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
(支援決定の撤回)
第26条 機構は、次に掲げる場合には、速やかに、支援決定を撤回しなければならない。
一 買取申込み等期間(第24条第1項の規定により延長をした買取申込み等期間を含む。第3号及び第4号において同じ。)が満了しても、買取申込み等がなかったとき。
二 買取決定等を行わなかったとき。
三 買取申込み等期間内に、関係金融機関等が回収等停止要請に反して回収等を行ったことにより、他の関係金融機関等による買取申込み等に係る債権額では必要債権額に満たないことが明らかになったとき。
四 買取申込み等期間内に、対象事業者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、特別清算開始の命令又は外国倒産処理手続の承認の決定を受けたとき。
2 機構は、前項の規定により支援決定を撤回したときは、直ちに、対象事業者(当該対象事業者が第19条第3項に規定する中小企業者である場合にあっては、当該対象事業者及び当該対象事業者に第59条第2項の規定による書面を交付した独立行政法人中小企業基盤整備機構又は認定支援機関。以下この項において同じ。)及び関係金融機関等(前項第1号に掲げる場合にあっては対象事業者、同項第2号に掲げる場合にあっては対象事業者及び買取申込み等をした関係金融機関等)に対し、その旨を通知しなければならない。
(債権の管理及び処分等)
第27条 機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該買取りを行った日から一定期間を経過した後の当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、当該対象事業者の債務の一部を免除することができる。
2 機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものについては、当該対象事業者の東日本大震災による被害の状況、経営状況等を考慮し、当該買取りを行った後の一定期間、その弁済を猶予することができる。
3 機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、できる限り、当該債権に係る保証人(その保証を受けた法人たる対象事業者の代表者その他これに準ずる者及び保証を業とする者を除く。)に対する保証債務の免除、当該債権に係る物上保証人(対象事業者の債務を担保するため自己の財産を担保に供した当該対象事業者以外の者をいい、法人たる当該対象事業者の代表者その他これに準ずる者及び保証を業とする者を除く。)に対する担保の解除その他の当該対象事業者の債務の保証に係る負担その他これに類する負担の軽減に資する措置をとるように努めなければならない。
4 機構は、対象事業者に係る債権又は株式若しくは持分の譲渡その他の処分の決定を行ったときは、速やかに、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
5 機構は、経済情勢、対象事業者の事業の状況等を考慮しつつ、支援決定の日から15年以内に、当該支援決定に係る全ての再生支援を完了するように努めなければならない。
6 機構が貸付債権の信託の引受けを行う場合における信託契約の終了の日は、支援決定の日から15年以内でなければならない。
7 機構が債務の保証を行う場合におけるその対象となる貸付金の償還期限は、支援決定の日から15年以内でなければならない。
(公表)
第28条 機構は、主務省令で定める期間ごとに、支援決定その他機構が行ったことの概要を示すために必要なものとして主務省令で定める事項を公表しなければならない。
(資金の貸付けに関する機構の確認)
第29条 対象事業者に係る支援決定の時から買取決定等の時までの間に当該対象事業者に資金の貸付けを行おうとする金融機関等は、機構に対し、当該貸付けが次の各号のいずれにも適合することの確認を求めることができる。
一 当該貸付けが、対象事業者の事業の継続に欠くことができないものとして主務大臣が定める基準に該当するものであること。
二 対象事業者の事業再生計画に、当該貸付けに係る債権の弁済を機構及び第20条第1項第2号に掲げる同意をした関係金融機関等(以下「機構等」という。)が有する他の債権の弁済よりも優先的に取り扱う旨が記載されていること(当該事業再生計画に、機構等が対象事業者の債務を免除する旨が記載されている場合に限る。)。
2 機構は、前項の確認を行ったときは、直ちに、その旨を、当該金融機関等に通知するとともに、公告するものとする。
3 前項の規定による公告は、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法又はインターネットを利用する主務省令で定める方法でしなければならない。
4 機構は、第1項の確認を行った場合において、当該対象事業者に係る買取決定等を行ったときは、直ちに、その旨を当該確認を受けた金融機関等に通知するものとし、当該金融機関等がその通知を受けた時までに当該確認に係る貸付けを行っていないときは、当該確認は、その効力を失う。
(再生手続の特例)
第30条 裁判所(再生事件を取り扱う1人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。次項において同じ。)は、機構が対象事業者に係る買取決定等の時から当該対象事業者に係る全ての債権並びに株式及び持分についての譲渡その他の処分の決定の時までの間に当該対象事業者について再生手続開始の申立てが行われた場合(当該申立ての時までに、機構等が事業再生計画に従って当該対象事業者の債務を免除している場合に限る。)において、前条第1項の規定により機構が確認を行った貸付けに係る再生債権と他の再生債権との間に権利の変更の内容に差を設ける再生計画案が提出され、又は可決されたときは、次に掲げる事項を考慮した上で、当該再生計画案が民事再生法(平成11年法律第225号)第155条第1項ただし書に規定する差を設けても衡平を害しない場合に該当するかどうかを判断しなければならない。
一 当該貸付けが、対象事業者の事業の継続に欠くことができないものであることが確認されていること。
二 機構等が事業再生計画に従って対象事業者の債務を免除していること及びその額
2 裁判所は、前項に規定する差が設けられた再生計画案が提出され、又は可決された場合には、機構に対し、意見の陳述を求めることができる。
(更生手続についての準用)
第31条 前条の規定は、機構が対象事業者に係る買取決定等の時から当該対象事業者に係る全ての債権並びに株式及び持分についての譲渡その他の処分の決定の時までの間に当該対象事業者について更生手続開始の申立てが行われた場合(当該申立ての時までに、機構等が事業再生計画に従って当該対象事業者の債務を免除している場合に限る。)について準用する。この場合において、同条第1項中「再生事件」とあるのは「更生事件(会社更生法(平成14年法律第154号)第2条第3項に規定する更生事件をいう。)」と、「再生債権と他の再生債権」とあるのは「更生債権(同法第2条第8項に規定する更生債権をいう。以下同じ。)とこれと同一の種類の他の更生債権」と、同条中「再生計画案」とあるのは「更生計画案」と、同条第1項中「民事再生法(平成11年法律第225号)第155条第1項ただし書」とあるのは「同法第168条第1項ただし書」と読み替えるものとする。
(資料の交付又は閲覧)
第32条 機構は、その業務を行うために必要があるときは、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める者の業務又は財産の状況に関する資料の提出を求めることができる。
一 再生支援の申込みをした事業者又は当該事業者に対して債権を有する金融機関等 当該事業者
二 対象事業者又は関係金融機関等 対象事業者
2 前項の規定により資料の提出を求められた者は、遅滞なく、これを機構に提出しなければならない。
3 国、地方公共団体又は日本銀行は、機構がその業務を行うために特に必要があると認めて要請をしたときは、機構に対し、必要な資料を交付し、又はこれを閲覧させることができる。
第5章 財務及び会計
(予算の認可)
第33条 機構は、毎事業年度の開始前に、当該事業年度の予算を主務大臣に提出して、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(剰余金の配当の特例)
第34条 機構は、各事業年度において、企業一般の配当の動向その他の経済事情及び機構の行う業務の公共性を考慮して政令で定める割合を超えて、機構が発行している株式に対し、剰余金の配当を行わないものとする。
(剰余金の配当等の決議)
第35条 機構の剰余金の配当その他の剰余金の処分の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(財務諸表)
第36条 機構は、毎事業年度終了後3月以内に、その事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を主務大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
(区分経理等)
第37条 機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
一 次号に掲げる業務以外の業務
二 関係金融機関等(農水産業協同組合貯金保険法第2条第1項に規定する農水産業協同組合に限る。)が対象事業者に対して有する債権に係る第16条第1項第1号に掲げる業務その他主務省令で定める業務
2 機構は、第47条第1項第1号の規定による預金保険機構の出資があったときは、その出資に係る資本金若しくは準備金又はその出資により増加する資本金若しくは準備金を、前項第1号に掲げる業務に係る勘定に整理しなければならない。
3 機構は、第54条第1項第1号の規定による農水産業協同組合貯金保険機構の出資があったときは、その出資に係る資本金若しくは準備金又はその出資により増加する資本金若しくは準備金を、第1項第2号に掲げる業務に係る勘定に整理しなければならない。
(区分経理に係る会社法の準用等)
第38条 会社法第295条、第337条、第374条、第396条、第431条、第432条、第434条から第443条まで、第446条から第449条まで並びに第828条第1項(第5号に係る部分に限る。)及び第2項(第5号に係る部分に限る。)の規定は、前条の規定により機構が区分して行う経理について準用する。この場合において、同法第295条第2項中「この法律」とあるのは「この法律又は株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法」と、同法第446条中「株式会社の剰余金の額」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第37条第1項の規定により設けられた勘定に属する剰余金の額」と、「の合計額から第5号から第7号までに掲げる額の合計額」とあるのは「であって当該剰余金の属する勘定に計上されるものの合計額から第5号から第7号までに掲げる額であって当該剰余金の属する勘定に計上されるものの合計額」と、同法第447条第1項及び第2項中「資本金」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第37条第1項の規定により設けられた勘定に属する資本金」と、同条第1項第2号中「を準備金」とあるのは「を同項の規定により設けられた勘定に属する準備金」と、「及び準備金」とあるのは「及び当該準備金」と、同条第3項中「に資本金」とあるのは「に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第37条第1項の規定により設けられた勘定に属する資本金」と、「の資本金」とあるのは「の同項の規定により設けられた勘定に属する資本金」と、同法第448条第1項及び第2項中「準備金」とあるのは「株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第37条第1項の規定により設けられた勘定に属する準備金」と、同条第1項第2号中「を資本金」とあるのは「を同項の規定により設けられた勘定に属する資本金」と、「及び資本金」とあるのは「及び当該資本金」と、同条第3項中「に準備金」とあるのは「に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第37条第1項の規定により設けられた勘定に属する準備金」と、「の準備金」とあるのは「の同項の規定により設けられた勘定に属する準備金」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 機構が前条第1項の規定により設けられた勘定に属する資本金の額を増加し、又は減少したときの機構の資本金の額は当該増加し、又は減少した後の機構の同項各号に掲げる業務に係る各勘定に属する資本金の額の合計額とし、機構が同項の規定により設けられた勘定に属する準備金の額を増加し、又は減少したときの機構の準備金の額は当該増加し、又は減少した後の機構の同項各号に掲げる業務に係る各勘定に属する準備金の額の合計額とする。この場合において、会社法第447条から第449条まで並びに第828条第1項(第5号に係る部分に限る。)及び第2項(第5号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(借入金及び社債)
第39条 機構は、日本銀行、金融機関その他の者から資金の借入れをし、又は社債の発行をしようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。この場合において、日本銀行からの資金の借入れは、日本銀行以外の者からの資金の借入れ又は機構の社債の発行を行う場合における一時的な資金繰りのために必要があると認めるときに限り、行うものとする。
2 機構の借入金の現在額及び社債の元本に係る債務の現在額の合計額は、政令で定める金額を超えることとなってはならない。
3 日本銀行は、日本銀行法(平成9年法律第89号)第43条第1項本文の規定にかかわらず、機構に対し、第1項の資金の貸付けをすることができる。
4 農林中央金庫は、農林中央金庫法(平成13年法律第93号)第54条第3項の規定にかかわらず、機構に対し、同項の規定による農林水産大臣及び内閣総理大臣の認可を受けないで、第1項の資金の貸付けをすることができる。
5 機構が第1項の規定により資金の借入れ又は社債の発行をして調達した資金は、第37条第1項に定める経理の区分に従い、同項各号に掲げる業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
(政府保証)
第40条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和21年法律第24号)第3条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第1項の借入れ又は社債に係る債務について、保証契約をすることができる。
第6章 監督
(監督)
第41条 機構は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第42条 主務大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、機構からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第7章 解散等
(機構の解散)
第43条 機構は、第16条第1項各号に掲げる業務の完了により解散する。
(合併、分割又は解散の決議)
第44条 機構の合併、分割又は解散の決議は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(残余財産の分配の特例)
第45条 機構が解散した場合において、株主に分配することができる残余財産の額は、株式の払込金額の総額に機構の行う業務の公共性を考慮して政令で定める割合を乗じて得た金額を限度とする。
2 残余財産の額が前項の規定により株主に分配することができる金額を超えるときは、その超える部分の額に相当する残余財産は、会社法第504条の規定にかかわらず、国庫に帰属する。
(政府の補助)
第46条 政府は、機構が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、当該債務を完済するために要する費用の全部又は一部に相当する金額を補助することができる。
第8章 預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構の業務の特例等
(預金保険機構の業務の特例)
第47条 預金保険機構は、預金保険法第34条各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務を行う。
一 機構の設立の発起人となり、及び機構に対し出資を行うこと。
二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 預金保険機構は、前項第1号の規定による出資を行おうとするときは、運営委員会(預金保険法第14条に規定する運営委員会をいう。第51条及び第52条第2項において同じ。)の議決を経て出資する金額を定め、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
(区分経理)
第48条 預金保険機構は、前条第1項各号に掲げる業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(第52条において「東日本大震災事業者再生支援勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
(政府の出資)
第49条 政府は、預金保険法第5条の規定により預金保険機構に出資しているもののほか、預金保険機構が第47条第1項各号に掲げる業務を行うために必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、預金保険機構に出資することができる。
2 預金保険機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
(拠出金)
第50条 預金保険機構は、第47条第1項各号に掲げる業務を行うために必要な資金の財源に充てるため、金融機関その他の者から拠出金の拠出を受けることができる。
(配当に相当する額の分配)
第51条 預金保険機構は、機構から剰余金の配当を受けたときは、運営委員会の議決を経て、当該配当に相当する額を、政府及び前条の規定により拠出金を拠出した者に対し、第49条第1項の規定による出資額及び拠出金の額に応じて分配するものとする。
(東日本大震災事業者再生支援勘定の廃止)
第52条 預金保険機構は、機構の解散の日以後の政令で定める日において、東日本大震災事業者再生支援勘定を廃止するものとする。
2 預金保険機構は、前項の規定により東日本大震災事業者再生支援勘定を廃止した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、運営委員会の議決を経て、当該残余財産の額を、政府及び第50条の規定により拠出金を拠出した者に対し、第49条第1項の規定による出資額及び拠出金の額に応じて分配するものとする。
3 預金保険機構は、第1項の規定により東日本大震災事業者再生支援勘定を廃止したときは、預金保険機構の資本金のうち政府の出資に係るものにつき、第49条第1項の規定による出資額により資本金を減少するものとする。
(預金保険法の特例)
第53条 第47条第1項の規定により預金保険機構が同項各号に掲げる業務を行う場合における預金保険法の適用については、同法第15条第5号中「事項」とあるのは「事項(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号。以下「機構法」という。)の規定による機構の業務に係るものを除く。)」と、同法第44条、第45条第2項、第46条第1項及び第151条第1項第1号中「この法律」とあるのは「この法律又は機構法」と、同法第51条第2項中「業務(第40条の2第2号に掲げる業務を除く。)」とあるのは「業務(第40条の2第2号に掲げる業務及び機構法第47条第1項各号に掲げる業務を除く。)」と、同法第147条第1号中「第46条第1項」とあるのは「第46条第1項(機構法第53条の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この号において同じ。)」と、同法第152条第3号中「第34条に規定する業務」とあるのは「第34条に規定する業務及び機構法第47条第1項各号に掲げる業務」と、同条第7号中「第45条第2項」とあるのは「第45条第2項(機構法第53条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。
(農水産業協同組合貯金保険機構の業務の特例等)
第54条 農水産業協同組合貯金保険機構は、農水産業協同組合貯金保険法第34条各号に掲げる業務のほか、次に掲げる業務を行う。
一 機構の設立の発起人となり、機構に対し出資を行うこと。
二 前号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
2 第47条第2項及び第48条から第52条までの規定は、前項の規定により農水産業協同組合貯金保険機構が同項各号に掲げる業務を行う場合について準用する。この場合において、第47条第2項中「前項第1号」とあるのは「第54条第1項第1号」と、「預金保険法第14条」とあるのは「農水産業協同組合貯金保険法第14条」と、「内閣総理大臣及び財務大臣」とあるのは「農林水産大臣、財務大臣及び内閣総理大臣」と、第48条中「前条第1項各号」とあるのは「第54条第1項各号」と、第49条第1項中「預金保険法第5条」とあるのは「農水産業協同組合貯金保険法第5条」と、「第47条第1項各号」とあるのは「第54条第1項各号」と、第50条中「第47条第1項各号」とあるのは「第54条第1項各号」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(農水産業協同組合貯金保険法の特例)
第55条 前条第1項の規定により農水産業協同組合貯金保険機構が同項各号に掲げる業務を行う場合における農水産業協同組合貯金保険法の適用については、同法第15条第5号中「事項」とあるのは「事項(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号。以下「機構法」という。)の規定による機構の業務に係るものを除く。)」と、同法第37条第1項中「業務」とあるのは「業務(機構法第54条第1項各号に掲げる業務を除く。)」と、同法第44条、第45条第2項、第46条第1項及び第132条第1項第1号中「この法律」とあるのは「この法律又は機構法」と、同法第51条第2項中「業務(第40条の2第2号に掲げる業務を除く。)」とあるのは「業務(第40条の2第2号に掲げる業務及び機構法第54条第1項各号に掲げる業務を除く。)」と、同法第129条第1項第1号中「第46条第1項」とあるのは「第46条第1項(機構法第55条の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この号において同じ。)」と、同法第133条第3号中「第34条に規定する業務」とあるのは「第34条に規定する業務及び機構法第54条第1項各号に掲げる業務」と、同条第7号中「第45条第2項」とあるのは「第45条第2項(機構法第55条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。
第9章 雑則
(主務大臣)
第56条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣とする。ただし、第18条、第19条第6項及び第7項、第22条第4項、第25条第2項、第27条第4項、第41条並びに第42条第1項に規定する主務大臣は、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣とする。
2 第42条第1項に規定する主務大臣の権限は、前項ただし書の規定にかかわらず、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣又は経済産業大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。
3 この法律における主務省令は、内閣府令・総務省令・財務省令・農林水産省令・経済産業省令とする。
(権限の委任)
第57条 内閣総理大臣は、前章の規定による権限を金融庁長官に委任する。
(課税の特例)
第58条 機構が債権買取り等の申込みを受け、当該申込みに基づく債権の買取りにより不動産に関する権利の取得をした場合及び機構が第16条第1項第3号に掲げる業務として不動産に関する権利の取得をした場合には、これらの不動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後1年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
2 機構が債権買取り等の申込みを受け、当該申込みに基づく債権の買取りにより不動産を取得した場合及び機構が第16条第1項第3号に掲げる業務として不動産を取得した場合におけるこれらの不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
(産業競争力強化法との関係)
第59条 機構は、再生支援をするに当たっては、必要に応じ、対象事業者に対し産業競争力強化法第23条第1項の事業再編計画の認定又は同法第25条第1項の特別事業再編計画の認定の申請を促すこと、被災地域において設置された認定支援機関であって経済産業省令で定める要件を満たすもの(以下「産業復興相談センター」という。)及び被災地域において設立された同法第140条第1号に規定する特定投資事業有限責任組合であって経済産業省令で定める要件を満たすもの(以下「産業復興機構」という。)との連携を図ること等により、同法により講じられる施策と相まって、効果的にこれを行うように努めなければならない。
2 独立行政法人中小企業基盤整備機構は産業競争力強化法第140条第2号(同法第134条第2項第1号に係る部分に限る。)の規定により、認定支援機関は同項第1号の規定により、中小企業者に対し指導又は助言を行うに際し、機構による再生支援を受けることが当該中小企業者の事業の再生を行うために有効であると認めるときは、その旨を明らかにした書面を当該中小企業者に交付して、機構に対して再生支援の申込みをすることを促すことができる。
(金融庁又は日本銀行に対する協力要請)
第60条 機構は、債権の買取りに際しての適正な時価の算定のためその他必要があると認めるときは、金融庁又は日本銀行に対し、技術的助言その他の協力を求めることができる。
(預金保険機構等との協力等)
第61条 機構は、その業務の実施に当たっては、預金保険機構、農水産業協同組合貯金保険機構、特定協定銀行(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)第53条第1項第2号に規定する特定協定銀行をいう。)、特定認証紛争解決事業者(産業競争力強化法第2条第15項に規定する特定認証紛争解決事業者をいう。)、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び認定支援機関との協力体制の充実を図りつつ、適正かつ効率的に行うように努めなければならない。
(政策金融機関等の協力等)
第62条 第2条第2項第6号に掲げる法人(次項において「政策金融機関等」という。)は、機構が第20条第1項の規定により買取申込み等をするように求めた場合において、当該買取申込み等に伴う負担が合理的かつ妥当なものであるときは、これに応じるように努め、当該買取申込み等が同項第2号に掲げる同意をする旨のものであった場合には、当該同意に係る事業再生計画に従って対象事業者の債務の免除その他の必要な協力をしなければならない。
2 政策金融機関等を所管する大臣及び財務大臣は、当該政策金融機関等が対象事業者に係る債権を機構に譲渡し、又は事業再生計画に従って対象事業者の債務を免除した場合における決算に関する書類の承認をするかどうかの判断その他政策金融機関等に対する法令に基づく権限の行使(財務大臣にあっては、政策金融機関等を所管する大臣との協議における判断を含む。)に当たっては、対象事業者の再生を通じて東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより、被災地域における経済活動の維持を図り、もって被災地域の復興に資するようにするとのこの法律の趣旨を尊重しなければならない。
3 政策金融機関は、対象事業者に対して債権者その他の者が資金の貸付け又は出資を行うだけでは対象事業者の事業の再生に必要な資金が確保できない場合は、機構の要請を受けて、資金の貸付けに係る審査を行い、対象事業者の事業の再生に必要な資金の貸付けを行うように努めなければならない。
(融資等業務実施法人の協力等)
第63条 一般社団法人又は一般財団法人のうち、法令に基づく融資等業務(資金の貸付け、債務の保証若しくは土地の取得、管理及び譲渡を行う業務又はこれに準ずる業務をいう。以下この条において同じ。)を行うもの又は国の補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第2条第1項に規定する補助金等をいう。)の交付を受けて融資等業務を行うものとして主務省令で定める者(次項において「融資等業務実施法人」という。)は、機構が事業再生計画に従って対象事業者の債務の免除その他の必要な協力を求めた場合において、当該協力に伴う負担が合理的かつ妥当なものであるときは、これに応じるように努めなければならない。
2 前項の融資等業務を行う根拠となる法律又はこれに基づく命令を所管する大臣及び同項の補助金等を所掌する各省各庁の長(財政法(昭和22年法律第34号)第20条第2項に規定する各省各庁の長をいう。)(以下この項において「法令所管大臣等」という。)並びに財務大臣は、融資等業務実施法人が対象事業者の債務を免除する場合における当該融資等業務実施法人に対する法令に基づく権限の行使(財務大臣にあっては、法令所管大臣等との協議における判断を含む。)に当たっては、対象事業者の再生を通じて東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより、被災地域における経済活動の維持を図り、もって被災地域の復興に資するようにするとのこの法律の趣旨を尊重しなければならない。
(国、地方公共団体、機構等の連携及び協力)
第64条 国、地方公共団体、機構、産業復興相談センター、産業復興機構その他の関係者は、東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている事業者の事業の再生を円滑に推進するために協力が必要であると認めるときは、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならない。
2 国、地方公共団体、機構その他の関係者は、地域再生法(平成17年法律第24号)第7条第1項に規定する認定地域再生計画、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)第46条第1項に規定する都市再生整備計画又は中心市街地の活性化に関する法律(平成10年法律第92号)第9条第14項に規定する認定基本計画その他の地域の活性化に関する施策の重点的、効果的かつ効率的な推進に当たっては、対象事業者の再生を通じて東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより、被災地域における経済活動の維持を図り、もって被災地域の復興に資する観点から、相互に連携を図るように努めなければならない。
(政令への委任)
第65条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第10章 罰則
第66条 機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、3年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、5年以下の懲役に処する。
2 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第67条 前条第1項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第68条 第66条第1項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
2 前条第1項の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第2条の例に従う。
第69条 機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役若しくは職員又はこれらの職にあった者が、第14条の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第70条 第42条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、50万円以下の罰金に処する。
第71条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、100万円以下の過料に処する。
一 第4条第2項の規定に違反して、募集株式を引き受ける者の募集をしたとき。
二 第16条第2項の規定に違反して、業務を行ったとき。
三 第33条の規定に違反して、予算の認可を受けなかったとき。
四 第36条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書又は事業報告書の承認を受けなかったとき。
五 第39条第1項の規定に違反して、資金を借り入れ、又は社債を発行したとき。
六 第41条第2項の規定による命令に違反したとき。
第72条 第5条第2項の規定に違反して、その名称中に東日本大震災事業者再生支援機構という文字を用いた者は、10万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第5条第1項、第2章、第13条、第15条、第18条、第8章、第56条、第57条及び第65条並びに附則第9条の規定は、公布の日から施行する。
(検討)
第2条 政府は、この法律の施行後3年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(買取価格の算定に関する指針の作成等)
第3条 政府及び機構は、第23条第1項に基づく時価の算定について、迅速かつ適正な買取価格の算定が可能となるよう、買取価格の算定方法(簡易な方法による算定を含む。)に関する指針の作成その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(経過措置)
第4条 この法律の施行の際現にその名称中に東日本大震災事業者再生支援機構という文字を使用している者については、第5条第2項の規定は、この法律の施行後6月間は、適用しない。
第5条 機構の成立の日の属する事業年度の機構の予算については、第33条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「その成立後遅滞なく」とする。
附則 (平成23年12月16日法律第125号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して4月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第15条の規定 公布の日
(政令への委任)
第15条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成25年6月19日法律第45号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第1条中金融商品取引法第197条の2の次に1条を加える改正規定、同法第198条第2号の次に2号を加える改正規定並びに同法第198条の3、第198条の6第2号、第205条第14号並びに第207条第1項第2号及び第2項の改正規定、第3条の規定、第4条中農業協同組合法第11条の4第4項の次に1項を加える改正規定、第5条のうち水産業協同組合法第11条の11中第5項を第6項とし、第4項の次に1項を加える改正規定、第8条の規定(投資信託及び投資法人に関する法律第252条の改正規定を除く。)、第14条のうち銀行法第13条中第5項を第6項とし、第4項の次に1項を加える改正規定及び同法第52条の22第4項中「前3項」を「前各項」に改め、同項を同条第5項とし、同条第3項の次に1項を加える改正規定、第15条の規定、第19条のうち農林中央金庫法第58条中第5項を第6項とし、第4項の次に1項を加える改正規定、第21条中信託業法第91条、第93条、第96条及び第98条第1項の改正規定、第22条の規定並びに附則第30条(株式会社地域経済活性化支援機構法(平成21年法律第63号)第23条第2項の改正規定に限る。)、第31条(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)第17条第2項の改正規定に限る。)、第32条、第36条及び第37条の規定 公布の日から起算して20日を経過した日
二 第1条中金融商品取引法第79条の49第1項、第79条の53第4項及び第5項、第79条の55第2項並びに第185条の16の改正規定、第13条の規定、第16条中保険業法第240条の6第1項、第241条第1項、第249条第1項、第249条の2第1項及び第5項、第249条の3並びに第265条の28第1項の改正規定、第17条の規定(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第445条第3項の改正規定を除く。)、第20条の規定並びに附則第17条から第19条まで、第22条から第24条まで、第29条(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号)第31条の改正規定に限る。)、第30条(株式会社地域経済活性化支援機構法第23条第2項の改正規定を除く。)、第31条(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法第17条第2項の改正規定を除く。)、第33条及び第34条の規定 公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日
(罰則の適用に関する経過措置)
第36条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第37条 附則第2条から第15条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則 (平成25年12月11日法律第98号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成26年4月25日法律第30号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成26年6月27日法律第91号) 抄
この法律は、会社法の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
附則 (平成27年9月11日法律第66号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
附則 (平成30年2月7日法律第1号)
この法律は、公布の日から施行する。
附則 (平成30年5月23日法律第26号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 第2条、第5条及び第7条の規定並びに附則第18条、第20条、第24条、第26条、第28条及び第30条の規定 公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日
(見直し)
第2条 政府は、この法律の施行後3年を目途として、経済社会情勢の変化を勘案しつつ、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
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