せんいんでんりほうしゃせんしょうがいぼうしきそく
船員電離放射線障害防止規則
昭和48年運輸省令第21号
船員法(昭和22年法律第100号)第81条第1項及び第4項の規定に基づき、船員電離放射線障害防止規則を次のように定める。
第1章 総則
(趣旨)
第1条 船員の電離放射線による障害の防止に関し、船舶所有者のとるべき措置及びその基準並びに船員の遵守すべき事項は、他の法令に定めるもののほか、この省令の定めるところによる。
(放射線障害防止の基本原則)
第2条 船舶所有者は、この省令による基準を遵守するだけでなく、さらに、船員が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。
(定義)
第3条 この省令において、「電離放射線」(以下「放射線」という。)とは、次に掲げる粒子線又は電磁波であって自然放射線以外のものをいう。
一 アルファ線、重陽子線及び陽子線
二 ベータ線及び電子線
三 中性子線
四 ガンマ線及びエックス線
2 この省令において、「放射性物質」とは、放射線を放出する同位元素(以下「放射性同位元素」という。)、その化合物及びこれらの含有物であって、次の各号のいずれかに該当するもの(固体のものでその濃度が74ベクレル毎グラム以下のもの及び密封されたものでその数量が3・7メガベクレル以下のものを除く。)をいう。
一 放射性同位元素が一種類のものにあっては、次の表の上欄に掲げる種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる数量を超えるもの
種類 | 数量 |
ストロンチウム90又はアルファ線を放出する同位元素(トリウム及びウランを除く。) | 3・7キロベクレル |
物理的半減期が30日を超える放射性同位元素(トリチウム、ベリリウム7、炭素14、硫黄35、鉄55、鉄59、ストロンチウム90及びアルファ線を放出するものを除く。) | 37キロベクレル |
物理的半減期が30日以下の放射性同位元素(弗素18、クロム51、ゲルマニウム71、タリウム201及びアルファ線を放出するものを除く。)、硫黄35、鉄55又は鉄59 | 370キロベクレル |
トリチウム、ベリリウム7、炭素14、弗素18、クロム51、ゲルマニウム71、タリウム201、トリウム又はウラン | 3・7メガベクレル |
二 放射性同位元素が2種類以上のものにあっては、前号の表の上欄に掲げる放射性同位元素のそれぞれの数量の同表の下欄に掲げる数量に対する割合の和が1を超えるもの
3 この省令において、「放射線業務」とは、次に掲げる業務をいう。
一 原子炉の運転の業務及びこれに附随する放射性物質の取扱いの業務
二 エックス線を発生させる装置(以下「エックス線装置」という。)の使用の業務
三 放射性物質を装備している機器(以下「放射性物質装備機器」という。)の取扱いの業務
第2章 管理区域
(管理区域の明示)
第4条 放射線業務が行われる船舶(以下「放射線業務船」という。)の船舶所有者(第48条第1項及び第49条を除き、以下単に「船舶所有者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する船内の区域(以下「管理区域」という。)を標識により明示しなければならない。
一 外部放射線による実効線量(臓器以外の組織及び臓器の放射線に対する感度に応じて補正した等価線量(放射線の種類等による影響に応じて補正した組織が吸収する線量をいう。以下同じ。)の総和をいう。以下同じ。)と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1・3ミリシーベルトを超えるおそれのある船内の区域
二 放射性物質によって汚染される物の表面の放射性物質の密度が、国土交通大臣が告示で定める限度(以下「表面汚染限度」という。)の10分の1を超えるおそれのある船内の区域
2 前項に規定する外部放射線による実効線量の測定は、1センチメートル線量当量について行うものとする。
3 第1項に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、国土交通大臣が告示で定める方法により行うものとする。
4 船舶所有者は、必要のない者を管理区域に立ち入らせてはならない。
5 船舶所有者は、管理区域内の見やすい場所に、第12条第3項に規定する放射線測定器の装着に関する注意事項、放射性物質の取扱い上の注意事項、事故が発生した場合の応急措置等船員の放射線による障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。
(線量当量率等の測定)
第5条 船舶所有者は、管理区域の外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度を、1月以内(第3条第3項第1号の放射線業務に係る管理区域については1週間以内、使用の方法及び遮へい物の位置が一定しており、かつ、固定して使用する放射線装置(エックス線装置及び放射性物質装備機器をいう。以下同じ。)又は装備している放射性物質の数量が3・7ギガベクレル以下である放射性物質装備機器に係る管理区域については6月以内)ごとに1回、放射線測定器を用いて測定し、その都度次の事項を記録し、これを5年間保存しなければならない。
一 測定日時
二 測定方法
三 放射線測定器の種類、型式及び性能
四 測定個所
五 測定条件
六 測定結果
七 測定を実施した者の氏名
八 測定結果に基づいて実施した措置の概要
2 前項に規定する線量当量率は、放射線測定器を用いて測定することが著しく困難なときは、同項の規定にかかわらず、計算により算出することができる。
3 第1項に規定する測定又は前項に規定する計算は、1センチメートル線量当量率について行うものとする。ただし、70マイクロメートル線量当量率が1センチメートル線量当量率の10倍を超えるおそれのある場所においては、70マイクロメートル線量当量率について行うものとする。
4 船舶所有者は、第1項に規定する測定又は第2項に規定する計算による結果を、見やすい場所に掲示する等の方法により管理区域に立ち入る船員に周知させなければならない。
第3章 線量の限度
(放射線業務従事者の線量の限度)
第6条 船舶所有者は、管理区域内において放射線業務に従事する船員(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量(男子並びに妊娠不能と診断された女子及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た女子にあっては、第38条第1項第3号に掲げる線量に係る実効線量を除く。)が5年間につき100ミリシーベルトを超えないようにし、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
2 船舶所有者は、女子の放射線業務従事者(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)の受ける実効線量については、3月間につき5ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
3 船舶所有者は、前項の規定にかかわらず、女子の放射線業務従事者の申出等により妊娠の事実を知ることとなった時から出産までの間(以下「妊娠中」という。)にあっては、当該放射線業務従事者の受ける実効線量については、汚染された空気を吸入することにより被ばくすること(以下「内部被ばく」という。)について、1ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
第7条 船舶所有者は、放射線業務従事者の受ける等価線量(第38条第1項第3号に掲げる線量に係る等価線量を除く。)が1年間につき、次に掲げる値を超えないようにしなければならない。
一 眼の水晶体 150ミリシーベルト
二 皮膚 500ミリシーベルト
2 船舶所有者は、妊娠中の女子の放射線業務従事者について、外部放射線による被ばく(以下「外部被ばく」という。)により腹部表面に受ける等価線量が2ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
第8条 削除
(一般船員の線量の限度)
第9条 船舶所有者は、放射線業務船に乗り組む船員であって放射線業務従事者以外の者(以下「一般船員」という。)の受ける線量(第38条第1項第3号に掲げる線量を除く。)が1年間につき次に掲げる値を超えないようにしなければならない。
一 実効線量 1ミリシーベルト(国土交通大臣が適当と認めた場合には、5ミリシーベルト)
二 眼の水晶体に受ける等価線量 15ミリシーベルト
三 皮膚に受ける等価線量 50ミリシーベルト
(緊急作業時における線量の限度)
第10条 船舶所有者は、第36条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場合における放射線による障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行わせるときは、当該緊急作業に従事する放射線業務従事者(女子にあっては妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者に限る。)については、第6条第1項及び第7条第1項の規定にかかわらず、これらの規定に規定する限度を超えて放射線を受けさせることができる。ただし、当該緊急作業に従事する間に受ける線量は、次の各号に掲げる値を超えないようにしなければならない。
一 実効線量 100ミリシーベルト
二 眼の水晶体に受ける等価線量 300ミリシーベルト
三 皮膚に受ける等価線量 1シーベルト
2 前項の規定は、男子及び女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者に限る。)の一般船員で、緊急作業に従事する者について準用する。
第11条 削除
第4章 線量の測定
(線量の測定)
第12条 船舶所有者は、放射線業務従事者、管理区域に立ち入る一般船員及び緊急作業に従事する船員の外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。
2 前項に規定する外部被ばくによる線量の測定は、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量について行うものとする。ただし、次項の規定により、同項第2号に規定する部位に放射線測定器を装着させることにより行う測定は、70マイクロメートル線量当量について行うものとする。
3 第1項に規定する外部被ばくによる線量の測定は、胸部(女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)にあっては腹部)及び次の各号に掲げる場合にあっては当該部位に、フィルムバッジ、ポケット線量計等の放射線測定器を装着させることにより行うものとする。ただし、放射線測定器を用いて当該線量を測定することが著しく困難な場合には、線量当量率を測定できる放射線測定器によりその値を算出し、これが著しく困難な場合には、計算によりその値を算出することができる。
一 頭部及びけい部、胸部及び上腕部並びに腹部及び大たい部(次号において「体幹部」という。)のうち、被ばくする線量が最大となるおそれのある部位が胸部及び上腕部以外(女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)にあっては腹部及び大たい部以外)の部位であるときは、当該部位
二 人体のうち被ばくする線量が最大となるおそれのある部位が体幹部以外の部位であるときは、当該部位
4 第1項に規定する内部被ばくによる線量の測定は、国土交通大臣が告示で定める方法により、放射線業務従事者については3月(1月に受ける実効線量が1・7ミリシーベルトを超えるおそれのある女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)及び妊娠中の女子については、1月)に1回、管理区域に立ち入る一般船員については3月(女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)にあっては、1月)に1回、緊急作業に従事する船員については当該作業に従事した後速やかに行うものとする。
(線量の測定結果の確認及び記録)
第13条 船舶所有者は、1日における外部放射線による実効線量が1ミリシーベルトを超えるおそれがある船員については、前条第1項の規定による外部被ばくによる線量の測定結果を毎日確認しなければならない。
2 船舶所有者は、前条の規定による測定又は計算の結果に基づき、遅滞なく、次に掲げる放射線業務従事者の受けた線量を国土交通大臣が告示で定める方法により算出し、その都度記録するとともに、算出の結果を当該船員に知らせなければならない。
一 男子又は妊娠不能と診断された女子若しくは妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た女子の実効線量の3月ごとの合計及び1年ごとの合計(1年間の実効線量が20ミリシーベルトを超えた者にあっては、当該1年間を含む5年ごとの合計)
二 女子(妊娠不能と診断された者及び妊娠の意思のない旨を船舶所有者に書面で申し出た者を除く。)の実効線量の1月ごとの合計、3月ごとの合計及び1年ごとの合計(1月に受ける実効線量が1・7ミリシーベルトを超えたことのない者にあっては、3月ごとの合計及び1年ごとの合計)
三 等価線量の3月ごとの合計及び1年ごとの合計
四 妊娠中の女子の内部被ばくによる実効線量並びに腹部表面に受ける等価線量の1月ごとの合計及び妊娠中の合計
3 船舶所有者は、前項の規定による記録を10年間保存しなければならない。
第5章 外部放射線による被ばくの防止
(標識の掲示)
第14条 船舶所有者は、次の表の上欄に掲げる放射線装置について、その区分に応じそれぞれ同表の下欄に掲げる事項を明記した標識を当該放射線装置又はその附近の見やすい場所に掲げなければならない。
放射線装置 | 掲示事項 |
エックス線装置 | 定格出力 |
放射性物質装備機器 | 機器の種類並びに装備している放射性物質に含まれている放射性同位元素の種類及び数量 |
(放射線装置室)
第15条 船舶所有者は、放射線装置を使用する作業を行う場合には、専用に設けられた室(以下「放射線装置室」という。)において行わなければならない。ただし、放射線装置の外側における外部放射線による線量当量率が0・02ミリシーベルト毎時を超えないように遮へいされている場合には、この限りでない。
2 船舶所有者は、放射線装置室の入口に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
3 第4条第4項の規定は、放射線装置室について準用する。
(警報装置等)
第16条 船舶所有者は、次に掲げる場合には、その旨を船員に周知させる措置を講じなければならない。この場合において、その周知の方法は、放射線装置を放射線装置室以外の場所において使用するとき、又は波高値による定格管電圧150キロボルト以下のエックス線装置若しくは装備している放射性物質の数量が370ギガベクレル以下である放射性物質装備機器を使用するときを除き、自動警報装置によらなければならない。
一 エックス線装置に電力が供給されている場合
二 放射性物質装備機器で照射している場合
(エックス線装置の使用)
第17条 船舶所有者は、エックス線装置(波高値による定格管電圧10キロボルト以上のものに限る。以下同じ。)を使用する場合には、照射筒及び濾過板を用いなければならない。
第17条の2 船舶所有者は、エックス線装置を用いる場合には、国土交通大臣が告示で定める方法により遮へいするものとする。
(撮影時の措置)
第18条 船舶所有者は、胸部集検用間接撮影エックス線装置又は胸部集検用間接撮影エックス線装置以外のエックス線装置を用いて撮影を行う場合には、前条に規定する措置を講ずるほか、国土交通大臣が告示で定める措置を講ずるものとする。
(透視時の措置)
第19条 船舶所有者は、エックス線装置を用いて透視を行う場合には、第17条の2に規定する措置を講ずるほか、国土交通大臣が告示で定める措置を講ずるものとする。
第20条 削除
(放射性物質装備機器の取扱い)
第21条 船舶所有者は、放射性物質装備機器の照射口の開閉又は放射線源の位置の調整を行なわせる場合には、鉗子等により離れた位置から操作させなければならない。
第6章 放射性物質による汚染の防止
(放射性物質取扱作業室)
第22条 船舶所有者は、放射性物質を取り扱う作業を行なう場合には、専用に設けられた作業室において行なわなければならない。ただし、密封された放射性物質を、作業を行なう場所の周辺に必要のない者を立ち入らせないようにすることその他船員の放射線による障害を防止するための措置を講じて取り扱う場合には、この限りでない。
2 第4条第4項及び第15条第2項の規定は、前項の作業室(同項の作業に従事している者の専用の廊下その他の区域を含む。以下「放射性物質取扱作業室」という。)について準用する。
(施設等における線量の限度)
第23条 船舶所有者は、次に掲げる措置を講ずることにより、船員が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量の合計を1週間につき1ミリシーベルト以下にしなければならない。
一 放射線装置室及び放射性物質取扱作業室については、遮へい壁、防護つい立てその他の遮へい物を備え付けること。
二 放射性物質のガス、蒸気又は粉じんが発生するおそれがある作業を行う場合には、局所排気装置又は発散源を密閉する設備を設けること。
2 第4条第2項の規定は、前項の外部放射線による実効線量の測定について準用する。
3 第1項に規定する空気中の放射性物質による実効線量の算定は、国土交通大臣が告示で定める方法により行うものとする。
(空気中の放射性物質の濃度の測定)
第24条 船舶所有者は、放射性物質取扱作業室(管理区域に該当するものを除く。以下同じ。)の空気中の放射性物質の濃度を1月以内ごとに1回、放射線測定器を用いて測定し、その結果を記録し、これを5年間保存しなければならない。
(飛来防止用具等)
第25条 船舶所有者は、放射性物質を取り扱うことにより放射性物質の飛沫又は粉末が飛来するおそれがある場合には、船員とその放射性物質との間に、板、幕その他これに類する物を使用することによりその飛沫又は粉末が船員の身体又は衣服、はきもの、作業衣、保護具その他の身体に装着している物(以下「装具」という。)に附着しないようにしなければならない。ただし、板、幕その他これに類するものを使用することが作業の性質上著しく困難な場合において、当該作業に従事する船員に第33条に規定する保護具を使用させるときは、この限りでない。
(放射性物質取扱用具)
第26条 船舶所有者は、放射性物質の取扱いに用いる鉗子、ピンセット等の用具にその旨を表示し、これを当該用途のみに用いなければならない。
2 船舶所有者は、前項の用具を使用しないときは、汚染を容易に除去することができる構造及び材料の用具掛け、置台又は容器を用いて、これを保管しなければならない。
(放射性物質がこぼれたとき等の措置)
第27条 船舶所有者は、粉状又は液状の放射性物質がこぼれる等により汚染が生じた場合には、直ちに、その汚染の拡大を防止する措置を講じ、かつ、汚染のおそれがある区域を標識により明示し、当該区域に必要のない者を立ち入らせないようにしなければならない。
2 船舶所有者は、前項の場合においては、直ちに、その汚染が放射性物質取扱作業室及び第3条第3項第1号の放射線業務に係る管理区域(以下「作業室等」という。)で生じた場合にあっては、表面汚染限度以下になるまで、その汚染が作業室等以外の場所で生じた場合にあっては、表面汚染限度の10分の1以下になるまで、その汚染を除去しなければならない。ただし、汚染を除去する作業に従事する者が当該作業により著しく放射線を受けるおそれがある場合その他汚染を除去することが著しく困難な場合には、この限りでない。
(作業室等の汚染検査等)
第28条 船舶所有者は、作業室等の床、壁その他の構造物及び設備の表面を、放射性物質取扱作業室内にあっては1月以内、第3条第3項第1号の放射線業務に係る管理区域内にあっては1週間以内ごとに検査し、当該表面が表面汚染限度を超えて汚染されていると認められる場合には、直ちに、その限度以下になるまで汚染を除去しなければならない。ただし、前条第2項ただし書に規定する場合であって当該汚染されていると認められる場所に必要のない者を立ち入らせない措置を講じたときは、この限りでない。
2 船舶所有者は、前項の構造物又は設備の清掃を行なう場合には、ほこりの飛散しない方法で行なわなければならない。
(汚染除去用具等の汚染検査)
第29条 船舶所有者は、第27条第2項若しくは前条第1項の規定による汚染の除去又は同条第2項の清掃を行った場合には、その都度汚染の除去又は清掃に用いた用具を検査し、その用具が表面汚染限度を超えて汚染されていると認められる場合には、その限度以下になるまでは、船員に使用させてはならない。
2 船舶所有者は、前項の用具を保管する場所に、その旨を明記した標識を掲げなければならない。
3 第26条第2項の規定は、第1項の用具について準用する。
(退去者の汚染検査)
第30条 船舶所有者は、作業室等において作業に従事した船員が当該作業室等から退去する場合には、その作業室等の出口に汚染検査場所を設け、当該船員の身体及び装具の汚染の状態を検査しなければならない。
2 船舶所有者は、前項の規定による検査により船員の身体又は装具が表面汚染限度の10分の1を超えて汚染されていると認められる場合には、前項の汚染検査場所において次に掲げる措置を講じなければ、その船員を当該作業室等から退去させてはならない。
一 身体が汚染されている場合には、洗身等を行わせることによりその汚染が表面汚染限度の10分の1以下になるようにすること。
二 装具が汚染されている場合には、その装具を脱がせ、又は取り外させること。
(持出し物品の汚染検査)
第31条 船舶所有者は、作業室等から物品を持ち出す場合には、前条第1項の汚染検査場所においてその汚染の状態を検査しなければならない。
2 船舶所有者及び船員は、前項の規定による検査により当該物品が表面汚染限度の10分の1を超えて汚染されていると認められる場合には、その物品を持ち出してはならない。ただし、危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和32年運輸省令第30号)第80条に規定する放射性輸送物とし、又は当該放射性輸送物とすることが著しく困難なものについて外部放射線を遮へいするため若しくは汚染の拡大を防止するための有効な措置を講じて、汚染を除去するための施設、放射性物質若しくは汚染された物を貯蔵するための施設又は他の放射性物質取扱作業室まで運搬する場合には、この限りでない。
(保護具)
第32条 船舶所有者は、第27条第1項の規定により明示した区域内の作業又は緊急作業であって、空気中濃度限度を超えて汚染された空気を吸入するおそれがあるものに船員を従事させる場合には、その汚染の程度に応じて防じんマスク、防毒マスク、ホースマスク、酸素呼吸器等の有効な呼吸用保護具をその作業に従事する船員に使用させなければならない。
第33条 船舶所有者は、身体が表面汚染限度の10分の1を超えて汚染されるおそれがある作業に船員を従事させる場合には、汚染を防止するために有効な保護衣類、手袋、はきものその他の保護具をその作業に従事する船員に使用させなければならない。
(作業衣)
第34条 船舶所有者は、作業室等において船員を作業に従事させる場合には、専用の作業衣をその作業に従事する船員に使用させなければならない。
(保護具等の汚染除去)
第35条 船舶所有者は、前3条の規定により船員に使用させる保護具又は作業衣が表面汚染限度(保護具又は作業衣の船員に接触する部分にあっては、その限度の10分の1。以下この条において同じ。)を超えて汚染されていると認められる場合には、あらかじめ洗浄等により表面汚染限度以下になるまで汚染を除去しなければ、船員に使用させてはならない。
(飲食等の禁止)
第35条の2 船舶所有者は、放射性物質取扱作業室その他の放射性物質により汚染されるおそれのある場所において、船員が飲食、喫煙その他の放射性物質を飲み込み、又は吸い込むおそれのある行為をすることを禁止し、かつ、その旨を当該場所の見やすい箇所に掲示しなければならない。
第7章 事故発生時の措置
(退避)
第36条 船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当する事故が発生した場合には、著しく放射線を受け、又は放射性物質により著しく汚染されるおそれが生じた区域から、直ちに、船員を退避させなければならない。
一 外部放射線をしゃへいするための設備が放射性物質の取扱い中に破損した場合又は当該設備が放射線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な場合
二 第23条の局所排気装置又は発散源を密閉する設備が、故障、破損等によりその機能を失った場合
三 放射性物質が、多量に、もれ、こぼれ、又は逸散した場合
四 その他著しく放射線を受け、又は放射性物質により著しく汚染されるおそれがある不測の事態が生じた場合
2 船舶所有者は、前項の区域を標識により明示しなければならない。
3 船舶所有者は、緊急作業に従事させる船員以外の船員を第1項の区域に立ち入らせてはならない。
第37条 削除
(事故に関する測定及び記録)
第38条 船舶所有者は、第36条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場合には、次に掲げる事項を記録し、その記録を10年間保存しなければならない。
一 事故が発生した日時及び場所
二 事故の原因及び状況
三 事故が発生した場所の周辺にいたことにより、又は緊急作業に従事したことにより放射線を受けた船員の氏名及び受けた線量
四 放射線による障害の発生状況
五 応急措置の概要
2 船舶所有者は、前項の場合において、同項第3号に掲げる線量が明らかでない船員については、事故が発生した場所の周辺の必要な場所ごとの外部放射線による線量当量率又は空気中の放射性物質の濃度を放射線測定器を用いて測定し、その結果に基づいて、計算により当該線量を算出しなければならない。
3 第5条第2項の規定は、前項の線量当量率の測定について準用する。
第8章 健康管理
(健康診断)
第39条 船舶所有者は、放射線業務従事者に対し、放射線業務船への雇入契約が成立した時、及び当該雇入契約が成立した後6月以内ごとに1回、次に掲げる項目(当該雇入契約が成立した後6月以内ごとに1回行う健康診断にあっては、第2号から第5号までに掲げる項目については医師が必要と認めた項目に限る。)について医師による健康診断を行わなければならない。
一 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線による障害の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価
二 白血球数及び白血球100分率の検査
三 赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
四 白内障に関する眼の検査
五 皮膚の検査
2 前項の健康診断のうち、放射線業務船への雇入契約が成立した際に行わなければならないものについては、使用する線源の種類に応じて前項第4号に掲げる項目を省略することができる。
3 船舶所有者は、第1項の健康診断の際に、当該船員が前回の健康診断後に受けた線量(これを計算によっても算出することができない場合にはこれを推定するために必要な資料、その資料がない場合には放射線を受けた状況を知るために必要な資料)を医師に示さなければならない。
4 船舶所有者は、第1項の健康診断を受けさせるべき時期に当該船員が乗り組んでいる船舶が航海中である場合には、当該航海の終了後遅滞なくこれを受けさせなければならない。
5 船舶所有者は、放射線業務船に、当該放射線業務船又は当該船舶所有者に属する他の放射線業務船に放射線業務従事者として乗り組んでいた船員を、放射線業務従事者として、第1項の健康診断(同項第4号及び第5号に掲げる項目のみについて行うものを除く。)を最後に受けた時から6月以内に乗り組ませるときは、第1項の規定にかかわらず、雇入契約が成立した時に行う健康診断を省略することができる。この場合において、当該健康診断を省略したときは、当該期間内に、同項の健康診断を行わなければならない。
(健康診断の結果の記録等)
第40条 船舶所有者は、前条第1項の健康診断を行なったときは、その結果に基づき、遅滞なく、第1号様式による船員電離放射線健康診断個人票を作成し、その写しを当該船員に交付しなければならない。
2 船舶所有者は、前項の船員電離放射線健康診断個人票を10年間保存しなければならない。
第41条 削除
(診察又は処置)
第42条 船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当する船員に、速やかに、医師による診察又は処置を受けさせなければならない。
一 第36条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場所の周辺にいたことにより、又は緊急作業に従事したことにより放射線を受けたおそれがある者
二 第6条第1項若しくは第2項又は第7条第1項に規定する限度を超えて実効線量又は等価線量を受けた者
三 放射性物質を飲み込み、又は吸い込んだ者
四 洗身等により汚染を表面汚染限度の10分の1以下にすることができない者
五 傷創部が汚染された者
(健康診断等に基づく措置)
第43条 船舶所有者は、第39条第1項の健康診断又は前条の規定による診察の結果、放射線による障害が生じており、若しくはその疑いがあり、又は放射線による障害が生ずるおそれがあると認められる者については、その障害、疑い又はおそれがなくなるまで、就業する場所又は業務の転換、作業時間の短縮、作業方法の変更その他健康の保持に必要な措置を講じなければならない。
第9章 船員の遵守事項
(船員の遵守事項)
第44条 船員は、船舶所有者が船員の放射線による障害を防止するため次に掲げる措置を命じた場合には、これに従わなければならない。
一 第12条第1項の規定により線量を測定するため、同条第3項に規定する放射線測定器を装着すること。
二 第30条第2項に規定する場合において、洗身等を行ない、又は装具を脱ぎ、若しくは取りはずすこと。
三 第32条に規定する作業に従事する場合において、同条に規定する呼吸用保護具を使用すること。
四 第33条に規定する作業に従事する場合において、同条に規定する保護具を使用すること。
五 第34条に規定する場合において、同条に規定する作業衣を使用すること。
六 第35条の2の場合において、飲食、喫煙その他の放射性物質を飲み込み又は吸い込むおそれのある行為をしないこと。
第10章 雑則
(放射線測定器等の備付け)
第45条 船舶所有者は、この省令に規定する義務を遂行するために必要な放射線測定器及び放射線による障害を防止するために必要な保護具(他の法令の規定により備えなければならないものを除く。)を、放射線業務船に備えなければならない。
第46条 削除
(診療を受けるための被ばくの除外)
第47条 第3章、第4章及び第42条第2号に規定する線量には、診療を受けるために受けた線量は含めないものとする。
(準用)
第48条 第10条、第12条、第32条、第33条、第35条から第38条まで、第42条(第1号に係る部分に限る。)、第43条及び第44条(第1号、第3号、第4号及び第6号に係る部分に限る。)の規定は、放射線業務船以外の船舶であって、著しく放射線を受け、又は放射性物質により著しく汚染されるおそれが生じたものの船舶所有者及び当該船舶に乗り組む船員について準用する。
2 第4条第4項(第15条第3項及び第22条第2項において準用する場合を含む。)、第5条第4項、第9条、第10条、第12条、第13条、第30条から第33条まで、第35条、第35条の2、第36条第1項及び第3項、第38条、第42条、第43条、第44条(第5号に係る部分を除く。)、第45条並びに前条の規定は、放射線業務船に乗り組む船員を使用する者であって放射線業務船において放射線業務を行わないもの及びその使用する放射線業務船に乗り組む船員について準用する。
(報告)
第49条 船舶所有者(第2号及び第3号に掲げる場合にあっては、放射線業務船の船舶所有者に限る。)は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ各号に掲げる事項について、遅滞なく、主たる船員の労務管理の事務を行う事務所の所在地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)に報告しなければならない。
一 第36条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生したとき 事故の概要
二 第39条第1項の健康診断を行ったとき 健康診断結果
三 放射線業務を開始し、又は廃止したとき 次に掲げる事項
イ 船舶所有者の氏名又は名称、住所及び主たる労務管理を行う事務所の所在地
ロ 開始又は廃止の別及びその期日
ハ 放射線業務の内容
ニ 放射線業務船の名称、総トン数、用途及び航行区域又は従業制限
ホ 放射線業務従事者及び一般船員の構成の概要
ヘ その他必要な事項
2 前項第2号の報告の様式は、第2号様式によるものとする。
附則
(施行期日)
1 この省令は、昭和48年8月1日から施行する。
附則 (昭和52年8月27日運輸省令第27号)
(施行期日)
1 この省令は、昭和52年9月1日から施行する。
(経過措置)
2 この省令の施行の際現に航海中である船舶については、当該航海が終了するまでは、なお従前の例によることができる。
附則 (昭和52年11月17日運輸省令第32号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、昭和53年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (昭和56年3月30日運輸省令第12号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、地方支分部局の整理のための行政管理庁設置法等の一部を改正する法律の施行の日(昭和56年4月1日)から施行する。
(経過措置)
第3条 この省令の施行前に改正前の船員法施行規則、船舶に乗り組む医師及び衛生管理者に関する省令、救命艇手規則、小型船等に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令又は船員電離放射線障害防止規則(以下この条において「船員法施行規則等」という。)の規定により新潟海運局長に対してした申請、届出その他の行為は、改正後の船員法施行規則等の規定に基づいて、新潟海運監理部長に対してした申請、届出その他の行為とみなす。
附則 (昭和59年6月22日運輸省令第18号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、昭和59年7月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行前に次の表の上欄に掲げる行政庁が法律若しくはこれに基づく命令の規定によりした許可、認可その他の処分又は契約その他の行為(以下「処分等」という。)は、同表の下欄に掲げるそれぞれの行政庁がした処分等とみなし、この省令の施行前に同表の上欄に掲げる行政庁に対してした申請、届出その他の行為(以下「申請等」という。)は、同表の下欄に掲げるそれぞれの行政庁に対してした申請等とみなす。
北海海運局長 | 北海道運輸局長 |
東北海運局長(山形県又は秋田県の区域に係る処分等又は申請等に係る場合を除く。) | 東北運輸局長 |
東北海運局長(山形県又は秋田県の区域に係る処分等又は申請等に係る場合に限る。)及び新潟海運監理部長 | 新潟運輸局長 |
関東海運局長 | 関東運輸局長 |
東海海運局長 | 中部運輸局長 |
近畿海運局長 | 近畿運輸局長 |
中国海運局長 | 中国運輸局長 |
四国海運局長 | 四国運輸局長 |
九州海運局長 | 九州運輸局長 |
神戸海運局長 | 神戸海運監理部長 |
札幌陸運局長 | 北海道運輸局長 |
仙台陸運局長 | 東北運輸局長 |
新潟陸運局長 | 新潟運輸局長 |
東京陸運局長 | 関東運輸局長 |
名古屋陸運局長 | 中部運輸局長 |
大阪陸運局長 | 近畿運輸局長 |
広島陸運局長 | 中国運輸局長 |
高松陸運局長 | 四国運輸局長 |
福岡陸運局長 | 九州運輸局長 |
附則 (平成元年2月27日運輸省令第5号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成元年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(船員電離放射線障害防止規則の一部改正に伴う経過措置)
第4条 施行日前にした第7条の規定による改正前の船員電離放射線障害防止規則の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成6年3月30日運輸省令第14号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成6年4月1日から施行する。
附則 (平成9年12月15日運輸省令第78号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、平成10年1月1日から施行する。
附則 (平成12年11月29日運輸省令第39号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成13年1月6日から施行する。
附則 (平成13年3月19日国土交通省令第40号)
(施行期日)
1 この省令は、平成13年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この省令の施行の際現に航海中である船舶については、当該航海が終了するまでは、なお従前の例による。
附則 (平成14年6月28日国土交通省令第79号)
(施行期日)
第1条 この省令は、平成14年7月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現にあるこの省令による改正前の様式又は書式による申請書、証明書その他の文書は、この省令による改正後のそれぞれの様式又は書式にかかわらず、当分の間、なおこれを使用することができる。
附則 (平成15年12月22日国土交通省令第118号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成16年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
第1号様式様式(第40条関係)
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第2号様式様式(第49条関係)
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