とちのしゅうようとうときょうせいしっこうとうとのちょうせいにかんするきそく
土地の収用等と強制執行等との調整に関する規則
昭和42年12月11日最高裁判所規則第14号
土地の収用等と強制執行等との調整に関する規則を次のように定める。
(この規則の趣旨)
第1条 強制執行、仮差押えの執行又は担保権の実行としての競売(その例による競売を含むものとし、以下単に「競売」という。)に関し、土地収用法(昭和26年法律第219号。以下「法」という。)及び公共用地の取得に関する特別措置法(昭和36年法律第150号。以下「特別措置法」という。)による収用又は使用との調整については、法及び特別措置法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(裁決手続が強制競売等の手続に先行する場合における収用委員会への通知等)
第2条 土地又は土地に関する権利(以下「土地等」という。)について強制競売又は競売(以下「強制競売等」という。)の開始決定に基づく登記がされた場合において、当該土地等について法第45条の2の裁決手続開始の登記(以下単に「裁決手続開始の登記」という。)がされているときは、裁判所書記官は、速やかに、強制競売等の開始決定がされた旨を裁決手続の開始を決定した収用委員会に通知しなければならない。ただし、民事執行法(昭和54年法律第4号)第47条第1項(同項を準用し、又はその例による場合を含む。)の規定による開始決定に基づいて登記がされたときは、この限りでない。
2 前項の強制競売等の開始決定をした裁判所は、裁決手続が終了するまで、強制競売等の手続を留保することができる。
3 裁判所書記官は、第1項の通知をした場合において、強制競売等の手続が終了したときは、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
(強制競売等の手続が裁決手続に先行する場合における差押債権者等への通知等)
第3条 強制競売等の開始決定に基づく登記がされた土地等について裁決手続開始の登記がされた旨の収用委員会の通知があったときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を差押債権者、債務者及び所有者(不動産とみなされるものにあっては、その権利者。以下同じ。)に通知しなければならない。
2 裁判所は、前項の収用委員会の通知を受けたときは、裁決手続が終了するまで、強制競売等の手続を留保することができる。
3 裁判所書記官は、第1項の規定による通知をした場合又は仮差押えの執行後に裁決手続開始の登記がされた土地等について強制競売等の開始決定がされた場合において、裁決手続が収用又は使用の裁決(法第50条の規定による和解を含む。)に至らないで終了した旨の収用委員会の通知があったときは、速やかに、その旨を差押債権者、債務者及び所有者に通知しなければならない。
4 前3項の規定は、強制競売等の開始決定に基づく登記がされた土地又は物件について、法第76条第1項、第78条、第79条又は第81条第1項の規定による請求がされた旨の収用委員会の通知があった場合について準用する。
(収用委員会に対する代金納付等の通知)
第4条 土地等について強制競売等の開始決定に基づく登記がされた後に裁決手続開始の登記がされた場合(裁決手続開始の登記の前にその執行がされた仮差押えにより保全される債権に基づいて強制競売等の開始決定がされた場合を含む。)において、強制競売等による代金が裁判所に納付されたときは、裁判所書記官は、速やかに、買受人の氏名及び住所を明らかにして、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
2 前項の土地等について、法第96条第1項の規定により裁判所に補償金等が払い渡される前に、強制競売等の手続が売却を許可することなく終了したときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
3 第1項の土地等について、裁決手続開始の登記がされた後に、民事執行法第47条第1項(同項を準用し、又はその例による場合を含む。)の規定により更に強制競売等の開始決定(裁決手続開始の登記の前にその執行がされた仮差押えによって保全される債権に基づく申立てに係るものを除く。)がされた場合において、先の開始決定に係る強制競売等の申立てが取り下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売等の手続が取り消されたときは、裁判所書記官は、速やかに、その旨を収用委員会に通知しなければならない。
4 第1項及び第2項の規定は、強制競売等の開始決定がされた土地又は物件について法第76条第1項、第78条、第79条又は第81条第1項の規定による請求がされた場合について準用する。
(補償金等が払い渡された場合の処置)
第5条 法第96条第1項の規定により裁判所に補償金等が払い渡されたときは、裁判所書記官は、交付を受けた金額及び交付を受けた年月日を記録上明らかにしなければならない。
2 前項に規定する場合においては、裁判所書記官は、速やかに、補償金等が払い渡された旨を差押債権者、債務者、所有者及び買受人に通知しなければならない。
(留置権者等に対する配当等)
第6条 法第96条第1項の規定により裁判所に補償金等が払い渡された場合において、裁決書により、その補償金等のうちに留置権者その他強制競売等により消滅し、又はその取得が効力を失う権利以外の権利を有する者に対する補償が含まれていることが認められるときは、これらの者に対しても配当等(民事執行法第84条第3項に規定する配当等をいう。以下同じ。)を実施しなければならない。ただし、裁決が使用に係る場合における留置権者については、この限りでない。
2 前項の規定により留置権者に対して配当等を実施する場合においては、留置権によって担保される債権は、他の債権に優先するものとする。
(留置権者が計算書を提出しない場合の効果等)
第7条 民事執行規則(昭和54年最高裁判所規則第5号)第60条の計算書を提出しない留置権者に対する配当等の実施については、留置権によって担保される債権がないものとみなす。
2 留置権者が前項の計算書を民事執行規則第60条に規定する期間内に提出したときは、裁判所書記官は、速やかに、その内容を債務者及び所有者に通知しなければならない。
(起業者が不服を有する場合における補償金等の取扱い)
第8条 法第96条第4項の規定による通知がされたときは、裁判所に払い渡された補償金等のうち起業者の見積り金額を超える額については、法第133条第1項に規定する期間の満了後7日を経過するまでの間、配当等を実施しないものとする。7日を経過するまでの間に、起業者が同項の規定による訴えを提起したことを証明する書面が提出されたときは、当該訴訟が完結し、その訴訟の結果を証明する書面が提出されるまでの間も、同様とする。
2 前項後段の場合において、配当等を実施すべきこととなったときは、裁判所は、訴訟の結果により配当等を実施すべきこととなった金額を差し引いた残余を起業者に返還しなければならない。
(仮差押えに係る権利に対する補償金等の取扱い)
第9条 強制競売等の開始決定後に、法第96条第5項の規定に基づいて裁判所に補償金等が払い渡された場合においては、同条第1項の規定により払い渡された補償金等の例による。
2 前項の場合を除くほか、法第96条第5項の規定に基づいて裁判所に払い渡された補償金等については、仮差押えの執行に係る権利を他の債権のための強制執行により換価した場合における換価代金とみなして、第5条から前条までの規定を準用する。
(判決に基づいて払い渡された補償金等の取扱い)
第10条 第5条、第6条及び前条(第2項中第7条及び第8条の規定を準用する部分を除く。)の規定は、法第96条第6項の規定に基づいて裁判所に払い渡された補償金等について準用する。
(特別措置法による仮補償金等の取扱い)
第11条 第5条から第9条までの規定は、特別措置法第27条の規定に基づいて裁判所に払い渡された仮補償金について準用し、第5条、第6条、第8条及び第9条(第2項中第7条の規定を準用する部分を除く。)の規定は、特別措置法第33条第3項に基づいて裁判所に払い渡された清算金及び利息について準用する。
2 仮補償金が裁判所に払い渡された後、その配当等を実施する前に、仮補償金の額より低い補償金額を定めた補償裁決の裁決書の正本が提出されたときは、裁判所は、その差額を起業者に返還しなければならない。
(土地以外の不動産の収用又は使用の場合についての準用)
第12条 第2条から前条までの規定は、土地以外の不動産の収用又は使用と強制執行、仮差押えの執行又は競売との調整について準用する。
附則
この規則は、昭和43年1月1日から施行する。
附則(昭和55年5月6日最高裁判所規則第3号)抄
(施行期日)
1 この規則は、民事執行法(昭和54年法律第4号)の施行の日(昭和55年10月1日)から施行する。
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