はつでんようげんしりょくせつびにかんするぎじゅつきじゅんをさだめるしょうれい
発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令
昭和40年通商産業省令第62号
電気事業法(昭和39年法律第170号)第48条第1項(第74条第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令を次のように制定する。
(適用範囲)
第1条 この命令は、原子力発電工作物について適用する。
(定義)
第2条 この命令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 「放射線」とは、原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第5号に規定する放射線又は1メガ電子ボルト未満のエネルギーを有する電子線若しくはエックス線であって、自然に存在するもの以外のものをいう。
二 「原子炉施設」とは、原子炉及びその附属設備をいう。
三 「1次冷却材」とは、炉心において発生した熱を原子炉から直接に取り出すことを主たる目的とする流体をいう。
四 「2次冷却材」とは、1次冷却材の熱を熱交換器により取り出すための流体であって、タービンを駆動させることを主たる目的とするものをいう。
五 「1次冷却系統」とは、1次冷却材が循環する回路をいう。
六 「運転時の異常な過渡変化」とは、原子炉施設の運転時に予想される機械器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作及びこれらと類似の頻度で発生すると予想される外乱によって生ずる異常な状態をいう。
七 「工学的安全施設」とは、原子炉施設の故障、損壊等による原子炉内の燃料の破損等により、多量の放射性物質の放出のおそれがある場合に、これを抑制又は防止するための機能を有する施設をいう。
八 「安全設備」とは、次に掲げる設備であってその故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを直接又は間接に生じさせるものをいう。
イ 1次冷却系統に係る設備及びその附属設備
ロ 反応度制御系統(通常運転時に反応度を調整する系統をいう。以下同じ。)及び原子炉停止系統(未臨界に移行し、未臨界を維持するために原子炉を停止する系統をいう。以下同じ。)に係る設備及びそれらの附属設備
ハ 安全保護装置(運転時の異常な過渡変化が生じる場合、地震の発生等により原子炉の運転に支障が生じる場合、及び1次冷却材喪失等の事故時に原子炉停止系統を自動的に作動させ、かつ、原子炉内の燃料の破損等による多量の放射性物質の放出のおそれがある場合に、工学的安全施設を自動的に作動させる装置をいう。以下同じ。)、非常用炉心冷却設備(原子炉圧力容器内において発生した熱を通常運転時において除去する施設がその機能を失った場合に原子炉圧力容器内において発生した熱を除去する設備をいう。以下同じ。)その他非常時に原子炉の安全を確保するために必要な設備及びそれらの附属設備
ニ 原子炉格納容器及びその隔離弁
ホ 非常用電源設備及びその附属設備
九 「管理区域」とは、原子力発電所内の場所であって、その場所における外部放射線に係る線量が別に告示する線量を超え、空気中の放射性物質(空気又は水のうちに自然に含まれているものを除く。以下同じ。)の濃度が別に告示する濃度を超え、又は放射性物質によって汚染された物の表面の放射性物質の密度が別に告示する密度を超えるおそれがあるものをいう。
十 「周辺監視区域」とは、管理区域の周辺の区域であって、当該区域の外側のいかなる場所においてもその場所における線量が別に告示する線量限度を超えるおそれがないものをいう。
十一 「原子炉冷却材圧力バウンダリ」とは、1次冷却系統に係る施設の損壊等に伴い自動的に弁が閉鎖されることにより圧力障壁となる部分をいう。
十二 「燃料許容損傷限界」とは、燃料被覆材の損傷の程度であって、安全設計上許容される範囲内でかつ原子炉を安全に運転することができる限界をいう。
十三 「反応度価値」とは、制御棒の挿入若しくはその引抜き、又は液体制御材の注入等による原子炉の反応度の変化量をいう。
十四 「制御棒の最大反応度価値」とは、原子炉が臨界(臨界近傍を含む。)にある場合において、制御棒を1本引き抜くことにより炉心に生ずる反応度価値の最大値をいう。
十五 「反応度添加率」とは、制御棒の引抜き等により炉心に添加される単位時間当たりの反応度の量をいう。
十六 「クラス1容器」、「クラス1管」、「クラス1ポンプ」又は「クラス1弁」(以下「クラス1機器」という。)とは、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器をいう。
十七 「クラス2容器」、「クラス2管」、「クラス2ポンプ」又は「クラス2弁」(以下「クラス2機器」という。)とは、次に掲げる機器をいう。
イ 原子炉を安全に停止するため又は非常時に安全を確保するために必要な設備であって、その故障、損壊等により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを間接に生じさせるものに属する機器(放射線管理設備に属するダクトにあっては、原子炉格納容器の貫通部から外側隔離弁までの部分に限る。)。
ロ タービンを駆動させることを主たる目的とする流体(蒸気及び給水をいう。)が循環する回路に係る設備に属する機器であって、クラス1機器の下流側に位置する蒸気系統のうちクラス1機器からこれに最も近い止め弁までのもの、及びクラス1機器の上流側に位置する給水系統のうちクラス1機器からこれに最も近い止め弁までのもの。
ハ イ及びロに掲げる機器以外の機器であって、原子炉格納容器の貫通部から内側隔離弁又は外側隔離弁までのもの。
十八 「クラス3容器」又は「クラス3管」(以下「クラス3機器」という。)とは、クラス1機器、クラス2機器、原子炉格納容器及び放射線管理設備に属するダクト以外の容器又は管(内包する流体の放射性物質の濃度が37ミリベクレル毎立方センチメートル(流体が液体の場合にあっては、37キロベクレル毎立方センチメートル)以上の管又は最高使用圧力が零メガパスカルを超える管に限る。)をいう。
十九 「クラス4管」とは、放射線管理設備に属するダクトであって、内包する流体の放射性物質の濃度が37ミリベクレル毎立方センチメートル以上のもの(クラス2管に属する部分を除く。)をいう。
二十 「原子炉格納容器」とは、容器内の機械器具から放出される放射性物質等の有害な物質の漏えいを防止するために設けられる容器をいう。
二十一 「コンクリート製原子炉格納容器」とは、原子炉格納容器であって、鋼板で内張りされたコンクリート部を有するものをいう。
二十二 「コンクリート部」とは、コンクリート製原子炉格納容器のうち鉄筋コンクリート構造又はプレストレストコンクリート構造の部分をいう。
二十三 「鋼製内張り部等」とは、コンクリート製原子炉格納容器内の機械器具から放出される放射性物質等の有害な物質の漏えいを防止するためにコンクリート部に内張りされている鋼板(以下「ライナプレート」という。)、胴と底部のライナプレートを接続する鋼板(以下「ナックル」という。)、貫通部スリーブ及びコンクリート部への定着金具をいう。
二十四 「クラス1支持構造物」、「クラス2支持構造物」又は「原子炉格納容器支持構造物」とは、それぞれクラス1機器、クラス2機器又は原子炉格納容器を支持する構造物をいう。
二十五 「運転状態I」とは、原子炉施設の通常運転時の状態をいう。
二十六 「運転状態II」とは、運転状態I、運転状態III、運転状態IV及び試験状態以外の状態をいう。
二十七 「運転状態III」とは、原子炉施設の故障、誤作動等により原子炉の運転の停止が緊急に必要とされる状態をいう。
二十八 「運転状態IV」とは、原子炉施設の安全設計上想定される異常な事態が生じている状態をいう。
二十九 「試験状態」とは、耐圧試験により原子炉施設に最高使用圧力を超える圧力が加えられている状態をいう。
三十 「荷重状態I」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態I(積雪時及び暴風時を除く。)において想定される荷重を受ける状態をいう。
三十一 「荷重状態II」とは、コンクリート製原子炉格納容器が次に掲げるいずれかの状態において想定される荷重を受ける状態をいう。
イ 逃がし安全弁作動時の状態(積雪時及び暴風時を除く。)
ロ 原子炉格納容器耐圧試験時の状態(積雪時及び暴風時を除く。)
ハ 運転状態Iにおける積雪時の状態(暴風時を除く。)
三十二 「荷重状態III」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態Iにおける暴風時の状態又は運転状態IVにおける荷重状態IV以外の状態をいう。
三十三 「荷重状態IV」とは、コンクリート製原子炉格納容器が運転状態IV(積雪時又は暴風時を含む。)において原子炉格納容器の安全上想定される異常な事態が生じている状態をいう。
三十四 「最高使用圧力」とは、対象とする機器又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態において受ける最高の圧力以上の圧力であって、設計上定めるものをいう。
三十五 「最高使用温度」とは、対象とする機器、支持構造物又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態において生じる最高の温度以上の温度であって、設計上定めるものをいう。
三十六 「最低使用温度」とは、対象とする機器、支持構造物又は炉心支持構造物がその主たる機能を果たすべき運転状態又は試験状態において生ずる最低の温度以下の温度であって、設計上定めるものをいう。
三十七 「機械的荷重」とは、自重、管又は支持構造物からの反力その他付加荷重のうち地震荷重を除くものであって、設計上定めるものをいう。
(特殊な設計による施設)
第3条 特別の理由により原子力規制委員会及び経済産業大臣の認可を受けた場合は、この命令の規定によらないで原子炉及び蒸気タービン並びにこれらの附属設備を施設することができる。
2 前項の認可を受けようとする者は、その理由及び施設方法を記載した申請書に関係図面を添付して申請しなければならない。
(防護措置等)
第4条 原子炉施設並びに1次冷却材又は2次冷却材により駆動される蒸気タービン及びその附属設備が想定される自然現象(地すべり、断層、なだれ、洪水、高潮、基礎地盤の不同沈下等をいう。ただし、地震及び津波を除く。)により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。
2 周辺監視区域に隣接する地域に事業所、鉄道、道路等がある場合において、事業所における火災又は爆発事故、危険物を搭載した車両等の事故等により原子炉の安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。
3 航空機の墜落により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合は、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。
(火災による損傷の防止)
第4条の2 原子炉施設又は蒸気タービン若しくはその附属設備には、火災により原子炉の安全性が損なわれないよう、次の各号に掲げる措置を適切に組み合わせた措置を講じなければならない。
一 火災の発生を防止するため、次の措置を講ずること。
イ 発火性又は引火性の物質を内包する系統の漏えい防止その他の措置を講ずること。
ロ ケーブル、原子炉制御室その他原子炉の附属設備にあっては、可燃性物質の量等に応じて、不燃材料又は難燃材料を使用すること。
ハ 落雷その他の自然現象による火災発生を防止するための避雷設備等を施設すること。
ニ 水素の供給設備等にあっては、水素の燃焼が起きた場合においても原子炉の安全性を損なわないよう施設すること。
ホ 放射線分解により発生し、蓄積した水素の急速な燃焼によって、原子炉の安全性を損なうおそれがある場合には、水素の蓄積を防止する措置を講ずること。
二 火災の検出及び消火のため、次の措置を講ずること。
イ 早期に消火を行える検出設備及び消火設備を施設すること。
ロ イに定める検出設備及び消火設備は、火災と同時に発生すると想定される自然現象により、その能力が損なわれることがないこと。
三 火災の影響を軽減するため、防火壁の設置その他の措置を講ずること。
2 前項第2号イに規定する検出設備及び消火設備は、故障、損壊、誤作動等により安全設備の機能を損なわないものでなければならない。
(耐震性)
第5条 原子炉施設並びに1次冷却材又は2次冷却材により駆動される蒸気タービン及びその附属設備は、これらに作用する地震力による損壊により公衆に放射線障害を及ぼさないように施設しなければならない。
2 前項の地震力は、原子炉施設ならびに1次冷却材により駆動される蒸気タービンおよびその附属設備の構造ならびにこれらが損壊した場合における災害の程度に応じて、基礎地盤の状況、その地方における過去の地震記録に基づく震害の程度、地震活動の状況等を基礎として求めなければならない。
(津波による損傷の防止)
第5条の2 原子炉施設並びに1次冷却材又は2次冷却材により駆動される蒸気タービン及びその附属設備が、想定される津波により原子炉の安全性を損なわないよう、防護措置その他の適切な措置を講じなければならない。
2 津波によって交流電源を供給する全ての設備、海水を使用して原子炉施設を冷却する全ての設備及び使用済燃料貯蔵槽を冷却する全ての設備の機能が喪失した場合においても直ちにその機能を復旧できるよう、その機能を代替する設備の確保その他の適切な措置を講じなければならない。
(流体振動等による損傷の防止)
第6条 燃料体及び反射材並びにこれらを支持する構造物、熱遮蔽材並びに1次冷却系統に係る施設に属する容器、管、ポンプ及び弁は、1次冷却材若しくは2次冷却材の循環、沸騰等により生ずる流体振動又は温度差のある流体の混合等により生ずる温度変動により損傷を受けないように施設しなければならない。
(柵等の施設)
第7条 原子力発電所には、人がみだりに管理区域内に立ち入らないように壁、柵、へい等を設け、かつ、管理区域である旨を表示しなければならない。
2 原子力発電所には、保全区域(原子炉施設の保全のために特に管理を必要とする場所であって、管理区域以外のものをいう。以下同じ。)と管理区域以外の場所との境界には他の場所と区別するため柵、へい等を設けるか、又は保全区域である旨を表示しなければならない。
3 原子力発電所には、業務上立ち入る者以外の者がみだりに周辺監視区域内に立ち入ることを制限するため柵、へい等を設けるか、又は周辺監視区域である旨を表示しなければならない。ただし、当該区域に人が立ち入るおそれがないことが明らかな場合は、この限りでない。
(不法侵入の防止)
第7条の2 原子力発電所には、安全設備が設置されている施設に人が不法に侵入することを防止するため、適切な侵入防止措置を講じなければならない。
(急傾斜地の崩壊の防止)
第7条の3 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域内に施設する電気工作物は、当該区域内の急傾斜地(同法第2条第1項に規定するものをいう。)の崩壊を助長し、または誘発するおそれがないように施設しなければならない。
(原子炉施設)
第8条 原子炉施設は、通常運転時において原子炉の反応度を安全かつ安定に制御でき、かつ、運転時の異常な過渡変化時においても原子炉固有の出力抑制特性を有するとともに原子炉の反応度を制御することにより核分裂の連鎖反応を制御できる能力を有するものでなければならない。
2 原子炉施設(補助ボイラーを除く。)は、その健全性及び能力を確認するために、原子炉の運転中又は停止中に必要な箇所の保守点検(試験及び検査を含む。)ができるように施設しなければならない。
3 原子炉施設は、通常運転時において容器、配管、ポンプ、弁その他の機械器具から放射性物質を含む流体が著しく漏えいする場合は、流体状の放射性廃棄物を処理する設備によりこれを安全に処理するように施設しなければならない。
4 原子炉施設に属する設備であって、蒸気タービン、ポンプ等の損壊に伴う飛散物により損傷を受け、原子炉施設の安全性を損なうことが想定されるものには、防護施設の設置その他の損傷防止措置を講じなければならない。
5 原子炉施設に属する設備を他の原子炉施設と併用する場合は、原子炉の安全性を損なわないように施設しなければならない。
(安全設備)
第8条の2 第2条第8号ハ及びホに掲げる安全設備は、当該安全設備を構成する機械器具の単一故障(単一の原因によって1つの機械器具が所定の安全機能を失うことをいう。以下同じ。)が生じた場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるように、構成する機械器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性又は多様性、及び独立性を有するように施設しなければならない。
2 安全設備は、想定されている全ての環境条件においてその機能が発揮できるように施設しなければならない。
(材料及び構造)
第9条 原子炉施設(圧縮機及び補助ボイラーを除く。)に属する容器、管、ポンプ若しくは弁(以下「機器」という。)若しくはこれらの支持構造物又は炉心支持構造物の材料及び構造は、次の各号によらなければならない。この場合において、第1号から第7号まで及び第15号の規定については、使用前に適用されるものとする。
一 クラス1機器及びクラス1支持構造物に使用する材料は、次によること。
イ クラス1機器又はクラス1支持構造物が、その使用される圧力、温度、水質、放射線、荷重等の条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分(使用中の応力等に対する適切な耐食性を含む。)を有すること。
ロ クラス1容器に使用する材料にあっては、当該容器が使用される圧力、温度、放射線、荷重等の条件に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験等により確認したものであること。
ハ クラス1機器(クラス1容器を除く。)又はクラス1支持構造物(クラス1管及びクラス1弁を支持するものを除く。)に使用する材料にあっては、当該機器又は当該支持構造物の最低使用温度に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験等により確認したものであること。
ニ クラス1機器又はクラス1支持構造物(棒及びボルトに限る。)に使用する材料にあっては、有害な欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。
二 クラス2機器及びクラス2支持構造物に使用する材料は、次によること。
イ クラス2機器又はクラス2支持構造物が、その使用される圧力、温度、荷重等の条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分を有すること。
ロ クラス2機器に使用する材料にあっては、当該機器の最低使用温度に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験等により確認したものであること。
ハ クラス2機器に属する鋳造品にあっては、有害な欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。
三 クラス3機器に使用する材料は、次によること。
イ クラス3機器が、その使用される圧力、温度、荷重等の条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分を有すること。
ロ 工学的安全施設に属するクラス3機器に使用する材料にあっては、当該機器の最低使用温度に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験等により確認したものであること。
四 クラス4管に使用する材料は、当該管が使用される圧力、温度、荷重等の条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分を有すること。
五 原子炉格納容器(コンクリート製原子炉格納容器を除く。以下この号において同じ。)及び原子炉格納容器支持構造物に使用する材料は、次によること。
イ 原子炉格納容器又は原子炉格納容器支持構造物が、その使用される圧力、温度、湿度、荷重等の条件に対して適切な機械的強度及び化学的成分を有すること。
ロ 原子炉格納容器又は原子炉格納容器支持構造物の最低使用温度に対して適切な破壊じん性を有することを機械試験等により確認したものであること。
六 コンクリート製原子炉格納容器のコンクリート部及び鋼製内張り部等に使用する材料は、次によること。
イ コンクリートにあっては、当該原子炉格納容器が使用される圧力、温度、荷重等の条件に対して適切な圧縮強度を有すること。
ロ コンクリートにあっては、有害な膨張及び鉄筋腐食を起こさないよう、長期の耐久性を有すること。
ハ コンクリート部に強度部材として使用する鉄筋並びに緊張材及び定着具(以下「鉄筋等」という。)にあっては、当該原子炉格納容器が使用される圧力、温度、荷重等の条件に対して適切な機械的強度、化学的成分及び形状寸法を有すること。
ニ 鋼製内張り部等に使用する材料にあっては、前号イ及びロの規定に準ずること。
七 炉心支持構造物に使用する材料は、第1号イ、ハ及びニの規定に準ずること。
八 クラス1機器及びクラス1支持構造物の構造及び強度は、次によること。
イ クラス1機器にあっては、最高使用温度、最高使用圧力及び機械的荷重が負荷されている状態(以下「設計上定める条件」という。)において、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ロ クラス1支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ハ クラス1容器(オメガシール等を除く。)、クラス1管、クラス1弁及びクラス1支持構造物にあっては、運転状態IIIにおいて、全体的な塑性変形が生じないこと。ただし、構造上の不連続部における局部的な塑性変形はこの限りではない。
ニ クラス1容器(オメガシール等を除く。)、クラス1管及びクラス1支持構造物にあっては、運転状態IVにおいて、延性破断に至る塑性変形が生じないこと。
ホ クラス1容器(ボルト、オメガシール等を除く。)にあっては、試験状態において、全体的な塑性変形が生じないこと。ただし、構造上の不連続部における局部的な塑性変形はこの限りでない。
ヘ クラス1容器(ボルト等を除く。)、クラス1管、クラス1弁(弁箱に限る。)及びクラス1支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、進行性変形が生じないこと。
ト クラス1容器、クラス1管、クラス1弁(弁箱に限る。)及びクラス1支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、疲労破壊が生じないこと。
チ クラス1容器(胴、鏡板等に限る。)にあっては、運転状態I、運転状態II、運転状態III及び運転状態IV並びに試験状態において、座屈が生じないこと。
リ クラス1管にあっては、設計上定める条件において、座屈が生じないこと。
ヌ クラス1支持構造物にあっては、運転状態I、運転状態II、運転状態III及び運転状態IVにおいて、座屈が生じないこと。
ル ロ、ハ、ニ、ヘ、ト及びヌにかかわらず、クラス1支持構造物であって、クラス1容器に溶接により取り付けられ、その損壊により、クラス1容器の損壊を生じさせるおそれのあるものにあっては、クラス1容器の規定に準ずること。
九 クラス2機器及びクラス2支持構造物の構造及び強度は、次によること。
イ クラス2機器にあっては、設計上定める条件において、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ロ クラス2機器に属する伸縮継手にあっては、設計上定める条件で応力が繰り返し加わる場合において、疲労破壊が生じないこと。
ハ クラス2管(伸縮継手を除く。)にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、疲労破壊が生じないこと。
ニ クラス2容器及びクラス2管にあっては、設計上定める条件において、座屈が生じないこと。
ホ クラス2支持構造物であって、クラス2機器に溶接により取り付けられ、その損壊によりクラス2機器に損壊を生じさせるおそれのあるものにあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、延性破断及び座屈が生じないこと。
十 クラス3機器の構造及び強度は、次によること。
イ 設計上定める条件において、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ロ クラス3機器に属する伸縮継手にあっては、設計上定める条件で応力が繰り返し加わる場合において、疲労破壊が生じないこと。
ハ 設計上定める条件において、座屈が生じないこと。
十一 クラス4管の構造及び強度は、設計上定める条件において、延性破断に至る塑性変形を生じないこと。
十二 原子炉格納容器(コンクリート製原子炉格納容器を除く。)及び原子炉格納容器支持構造物の構造及び強度は、次によること。
イ 原子炉格納容器(ロに掲げる部分を除く。)にあっては、設計上定める条件において、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ロ 原子炉格納容器のうち著しい応力が生じる部分及び特殊な形状の部分にあっては、第8号イ、ハ、ニ及びホのクラス1容器の規定を準用する。
ハ 原子炉格納容器支持構造物にあっては、第8号ロ、ハ及びニのクラス1支持構造物の規定を準用する。
ニ 原子炉格納容器のうち著しい応力が生じる部分及び特殊な形状の部分並びに原子炉格納容器支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、進行性変形による破壊が生じないこと。
ホ 原子炉格納容器の伸縮継手にあっては、設計上定める条件で応力が繰り返し加わる場合において、疲労破壊が生じないこと。
ヘ 原子炉格納容器のうち著しい応力が生じる部分及び特殊な形状の部分並びに原子炉格納容器支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、疲労破壊が生じないこと。
ト 原子炉格納容器にあっては、設計上定める条件並びに運転状態III及び運転状態IVにおいて、座屈が生じないこと。
チ 原子炉格納容器支持構造物にあっては、運転状態I、運転状態II、運転状態III及び運転状態IVにおいて、座屈が生じないこと。
十三 コンクリート製原子炉格納容器の構造及び強度は、次によること。
イ コンクリートにあっては、荷重状態I、荷重状態II及び荷重状態IIIにおいて圧縮破壊が生じず、かつ、荷重状態IVにおいてコンクリート製原子炉格納容器が大きな塑性変形に至る圧縮破壊が生じないこと。
ロ 鉄筋等にあっては、荷重状態I、荷重状態II及び荷重状態IIIにおいて降伏せず、かつ、荷重状態IVにおいて破断に至るひずみが生じないこと。
ハ コンクリート部にあっては、荷重状態I、荷重状態II及び荷重状態IIIにおいてせん断破壊が生じず、かつ、荷重状態IVにおいてコンクリート製原子炉格納容器が大きな塑性変形に至るせん断破壊が生じないこと。
ニ ライナプレート(貫通部スリーブが取り付く部分を除く。)にあっては、荷重状態I及び荷重状態IIにおいて著しい残留ひずみが生じず、かつ、荷重状態III及び荷重状態IVにおいて破断に至らないこと。
ホ ライナプレート(貫通部スリーブが取り付く部分を除く。)にあっては、ニの規定によるほか、第12号ヘの原子炉格納容器の規定を準用する。
ヘ ライナプレート(貫通部スリーブが取り付く部分に限る。)、貫通部スリーブ及び定着金具(ライナプレートに取り付ける定着金具であって、全ての荷重状態において全体的な変形を弾性域に抑えることができるものを除く。)にあっては、第12号ハ、ニ、ヘ及びチの原子炉格納容器支持構造物の規定を準用する。この場合において、第12号中「運転状態I及び運転状態II」とあるのは「荷重状態I及び荷重状態II」と、「運転状態I、運転状態II、運転状態III及び運転状態IV」とあるのは「荷重状態I、荷重状態II、荷重状態III及び荷重状態IV」と読み替えるものとする。
ト ナックルにあっては、第12号ロ、ニ及びヘの原子炉格納容器のうち著しい応力が生じる部分及び特殊な形状の部分の規定を準用する。
十四 炉心支持構造物の構造及び強度は、次によること。
イ 設計上定める条件において、全体的な変形を弾性域に抑えること。
ロ 運転状態IIIにおいて、全体的な塑性変形が生じないこと。ただし、構造上の不連続部における局部的な塑性変形はこの限りではない。
ハ 運転状態IVにおいて、延性破断に至る塑性変形が生じないこと。
ニ 炉心支持構造物にあっては、運転状態I及び運転状態IIにおいて、進行性変形による破壊が生じないこと。
ホ 運転状態I及び運転状態IIにおいて、疲労破壊が生じないこと。
ヘ 運転状態I、運転状態II、運転状態III及び運転状態IVにおいて、座屈が生じないこと。
十五 クラス1容器、クラス1管、クラス2容器、クラス2管、クラス3容器、クラス3管、クラス4管及び原子炉格納容器のうち主要な耐圧部の溶接部(溶接金属部及び熱影響部をいう。)は、次によること。
イ 不連続で特異な形状でないものであること。
ロ 溶接による割れが生ずるおそれがなく、かつ、健全な溶接部の確保に有害な溶込み不良その他の欠陥がないことを非破壊試験により確認したものであること。
ハ 適切な強度を有するものであること。
ニ 機械試験等により適切な溶接施工法等であることをあらかじめ確認したものにより溶接したものであること。
(使用中の亀裂等による破壊の防止)
第9条の2 使用中のクラス1機器、クラス1支持構造物、クラス2機器、クラス2支持構造物、クラス3機器、クラス4管、原子炉格納容器、原子炉格納容器支持構造物及び炉心支持構造物には、その破壊を引き起こす亀裂その他の欠陥があってはならない。
2 使用中のクラス1機器の耐圧部分には、その耐圧部分を貫通する亀裂その他の欠陥があってはならない。
(安全弁等)
第10条 原子炉施設には、次の各号により安全弁又は逃がし弁(「安全弁等」という。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
一 安全弁等は、確実に作動する機構を有すること。
二 安全弁等の弁軸は、弁座面からの漏えいを適切に防止できる構造であること。
三 安全弁等の材料は、次によること。
イ クラス1容器及びクラス1管に取り付けられる安全弁等の材料にあっては、第9条第1号の規定に準ずること。
ロ クラス2容器及びクラス2管に取り付けられる安全弁等の材料にあっては、第9条第2号の規定に準ずること。
四 補助作動装置付きのものにあっては、当該補助作動装置が故障しても所要の吹き出し容量が得られる構造であること。
五 原子炉圧力容器(加圧器がある場合は、加圧器。以下この号において同じ。)にあっては、次によること。
イ 背圧の影響によりその作動に支障を生ずることを防止するためベローズが設けられた安全弁(第7号において「ベローズ付き安全弁」という。)を適当な箇所に2個以上設けること。
ロ 安全弁の容量の合計は、当該安全弁の吹き出し圧力と設置個数とを適切に組み合わせることにより、当該原子炉圧力容器の過圧防止に必要な容量以上であること。ただし、安全弁以外の過圧防止効果を有する装置を有するものにあっては、当該装置の過圧防止能力に相当する値を減ずることができる。
六 蒸気発生器にあっては、次によること。
イ 安全弁を適当な箇所に2個以上設けること。
ロ 安全弁の容量の合計は、当該安全弁の吹き出し圧力と設置個数とを適切に組み合わせることにより、当該蒸気発生器の過圧防止に必要な容量以上であること。
ハ 安全弁は、吹き出し圧力を下回った後に、速やかに吹き止まること。
七 減圧弁を有する管であって、低圧側の部分又はこれに接続する機器が高圧側の圧力に耐えるように設計されていないものにあっては、次によること。
イ クラス1管にあっては、ベローズ付き安全弁を減圧弁の低圧側にこれに接近して2個以上設けること。
ロ イに掲げる管以外の管にあっては、安全弁等を減圧弁の低圧側にこれに接近して1個以上設けること。
ハ 安全弁等の容量の合計は、当該安全弁等の吹き出し圧力と設置個数とを適切に組み合わせることにより、減圧弁が全開したとき管の低圧側の部分及びこれに接続する機器の過圧防止に必要な容量以上であること。
ニ 安全弁は、吹き出し圧力を下回った後に、速やかに吹き止まること。
八 原子炉施設に属する容器(第5号、第6号及び第3項に掲げるもの、補助ボイラー並びに原子炉格納容器を除く。)又は管(前号に掲げるものを除く。)であって、内部に過圧が生ずるおそれのあるものにあっては、第6号ロ並びに前号イ、ロ及びニの規定に準じて安全弁等を適当な箇所に設けること。
2 前項の場合において、安全弁等の入口側又は出口側に破壊板を設ける場合は、次の各号によらなければならない。
一 安全弁等の入口側に設ける場合は、次によること。
イ 破壊板の吹き出し圧力は、当該容器の最高使用圧力以下の圧力であること。
ロ 破壊板の破壊により安全弁等の機能に支障を及ぼさないようにすること。
二 安全弁等の出口側に設ける場合は、次によること。
イ 破壊板は、安全弁等の作動を妨げないように低圧で破壊するものであること。
ロ 破壊板の吹き出し圧力に安全弁等の吹き出し圧力を加えた圧力が、過圧防止に必要な吹き出し圧力より小さくなること。
ハ 破壊板の支持機構は、流体が排出する場合の通過面積が安全弁等の出口の面積以上となるものであること。
ニ 破壊板の破壊により吹き出し管の機能に支障を及ぼさないようにすること。
3 原子炉施設に属する容器であって、内部に液体炭酸ガス等安全弁等の作動を不能にするおそれがある物質を含むものには、次の各号により破壊板を設けなければならない。
一 吹き出し圧力と設置個数とを適切に組み合わせることにより、当該容器の過圧防止に必要な容量以上となるように、適当な箇所に1個以上設けること。
二 容器と破壊板との連絡管の断面積は、破壊板の断面積以上であること。
4 第1項又は前項の場合において、安全弁等又は破壊板の入口側又は出口側に止め弁を設ける場合は、原子炉を起動させるとき及び運転中に、止め弁が全開していることを確認できる装置を設けなければならない。
5 原子炉施設に属する容器又は管であって、内部が大気圧未満となることにより外面に設計上定める圧力を超える圧力を受けるおそれのあるものには、次の各号により過圧防止に必要な容量以上となるように真空破壊弁を設けなければならない。
一 真空破壊弁の材料は、次によること。
イ クラス1容器及びクラス1管に取り付けられる真空破壊弁の材料にあっては、第9条第1号の規定に準ずること。
ロ 原子炉格納容器、クラス2容器及びクラス2管に取り付けられる真空破壊弁の材料にあっては、第9条第2号の規定に準ずること。
二 原子炉格納容器にあっては、真空破壊弁を適当な箇所に2個以上設けること。
三 前号に掲げる容器以外の容器又は管にあっては、真空破壊弁を適当な箇所に1個以上設けること。
6 原子炉施設は、安全弁、逃がし弁、破壊板又は真空破壊弁から放出される流体が放射性物質を含む場合は、これを安全に処理することができるように施設しなければならない。
(耐圧試験等)
第11条 クラス1機器、クラス2機器、クラス3機器、クラス4管及び原子炉格納容器は、次の各号による圧力で耐圧試験を行ったとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないものでなければならない。ただし、気圧により試験を行う場合であって、当該圧力に耐えることが確認された場合は、当該圧力を最高使用圧力(原子炉格納容器にあっては、最高使用圧力の0・9倍)までに減じて著しい漏えいがないことを確認することができる。
一 内圧を受ける機器に係る耐圧試験の圧力は、機器の最高使用圧力を超え、かつ、機器に生じる全体的な変形が弾性域の範囲内となる圧力とすること。ただし、クラス1機器、クラス2管又はクラス3管であって原子炉圧力容器と一体で耐圧試験を行う場合の圧力は、燃料装荷までの間に試験を行った後においては、通常運転時の圧力を超える圧力とすることができる。
二 内部が大気圧未満になることにより、大気圧による外圧を受ける機器の耐圧試験の圧力は、大気圧と内圧との最大の差を上回る圧力とすること。この場合において、耐圧試験の圧力は機器の内面から加えることができる。
2 クラス1機器、クラス2機器、クラス3機器及びクラス4管は、通常運転時における圧力で漏えい試験を行ったとき、著しい漏えいがないものでなければならない。
3 原子炉格納容器は、最高使用圧力の0・9倍に等しい気圧で気密試験を行ったとき、著しい漏えいがないものでなければならない。
(監視試験片)
第12条 原子炉施設に属する容器であって、1メガ電子ボルト以上の中性子の照射を受けその材料が著しく劣化するおそれのあるものの内部には、当該容器が想定される運転状態において脆性破壊を引き起こさないようにするために、照射の影響を確認できるよう次の各号に定める監視試験片を備えなければならない。
一 監視試験片を採取する材料は、中性子の照射領域にある容器の材料と同等の製造履歴を有するものであること。
二 監視試験片は、容器の使用開始後に取り出して試験を実施することにより、容器の材料の機械的強度及び破壊じん性の変化を確認できる個数とすること。
三 監視試験片は、中性子の照射領域にある容器の材料が受ける中性子スペクトル、中性子照射量及び温度履歴の条件と同等の条件になるように配置すること。
(炉心等)
第13条 燃料体、減速材および反射材ならびにこれらを支持する構造物の材料は、通常運転時における圧力、温度および放射線によって起る最もきびしい条件において、必要な物理的および化学的性質を保持するものでなければならない。
2 燃料体、減速材および反射材ならびにこれらを支持する構造物は、最高使用圧力、自重、附加荷重等に耐えるものでなければならない。
(熱遮蔽材)
第14条 放射線により材料が著しく劣化するおそれがある原子炉圧力容器には、これを防止するため熱遮蔽材を施設しなければならない。
2 前項の熱遮蔽材は、熱応力による変形により原子炉の運転に支障を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
(1次冷却材)
第15条 1次冷却材は、通常運転時における圧力、温度および放射線によって起る最もきびしい条件において、必要な物理的および化学的性質を保持するものでなければならない。
(循環設備等)
第16条 原子力発電所には、次の各号に掲げる設備を施設しなければならない。
一 原子炉圧力容器内において発生した熱を除去するために、熱を輸送することができる容量の1次冷却材を循環させる設備
二 負荷の変動等による原子炉圧力容器内の圧力の変動を自動的に調整する設備
三 通常運転時又は1次冷却材の小規模漏えい時等に生じた1次冷却材の減少分を自動的に補給する設備
四 1次冷却材中の不純物及び放射性物質の濃度を原子力発電所の運転に支障を及ぼさない値以下に保つ設備
五 原子炉停止時(短時間の全交流動力電源喪失時を含む。)に原子炉圧力容器内において発生した残留熱を除去することができる設備
六 前号の設備により除去された熱を最終的な熱の逃がし場へ輸送することができる設備
(原子炉冷却材圧力バウンダリ)
第16条の2 原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器は、1次冷却系統に係る施設の損壊等に伴う衝撃、炉心の反応度の変化による荷重の増加等に耐えるように施設しなければならない。
(原子炉冷却材圧力バウンダリの漏えい等)
第16条の3 原子炉冷却材圧力バウンダリには、原子炉冷却材の流出を制限するために隔離装置を施設しなければならない。
2 原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリからの原子炉冷却材の漏えいを検出する装置を施設しなければならない。
(非常用炉心冷却設備)
第17条 原子力発電所には、非常用炉心冷却設備を施設しなければならない。
2 非常用炉心冷却設備は、次の機能を有するものでなければならない。
一 燃料被覆管の温度が燃料材の溶融又は燃料体の著しい破損を生ずる温度を超えて上昇することを防止できるものであること。
二 燃料被覆管と冷却材との反応により著しく多量の水素を生ずるものでないこと。
3 非常用炉心冷却設備は、原子炉圧力容器内又は原子炉格納容器内の圧力及び温度並びに冷却材中の異物の影響につき想定される最も厳しい条件下においても、正常に機能する能力を有するものでなければならない。
4 非常用炉心冷却設備は、その能力の維持状況を確認するため、原子炉の運転中に試験ができるように施設しなければならない。
(1次冷却材の排出)
第18条 放射性物質を含む1次冷却材(第16条第4号の装置から排出される放射性物質を含む流体を含む。)を通常運転時において1次冷却系統外に排出する場合は、これを安全に処理する装置を施設しなければならない。
(逆止め弁の設置)
第19条 放射性物質を含む1次冷却材を内包する容器若しくは管又は放射性廃棄物を処理する設備(排気筒並びに第28条及び第31条に規定するものを除く。第21条において同じ。)へ放射性物質を含まない流体を導く管には、逆止め弁を設けなければならない。ただし、放射性物質を含む流体が放射性物質を含まない流体を導く管に逆流するおそれがない場合は、この限りでない。
(計測装置)
第20条 原子力発電所には、次の各号に掲げる事項を計測する装置を施設しなければならない。この場合において、直接計測することが困難な場合は、当該事項を間接的に測定する装置をもって替えることができる。
一 炉心における中性子束密度
二 炉周期
三 制御棒の位置及び液体制御材を使用する場合にあっては、その濃度
四 1次冷却材に関する次の事項
イ 放射性物質及び不純物の濃度
ロ 原子炉圧力容器の入口及び出口における圧力、温度及び流量
五 原子炉圧力容器(加圧器がある場合は、加圧器)内及び蒸気発生器内の水位
六 原子炉格納容器内の圧力、温度、可燃性ガスの濃度、放射性物質の濃度及び線量当量率
七 主蒸気管中及び空気抽出器排ガス中等の放射性物質の濃度
八 蒸気発生器の出口における2次冷却材の圧力、温度及び流量並びに2次冷却材中の放射性物質の濃度
九 排気筒の出口又はこれに近接する箇所における排気中の放射性物質の濃度
十 排水口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度
十一 放射性物質により汚染するおそれがある管理区域(管理区域のうち、その場所における外部放射線に係る線量のみが第2条第9号の規定に基づき告示する線量を超えるおそれがある場所を除いた場所をいう。以下同じ。)内に開口部がある排水路の出口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度
十二 管理区域内において人が常時立ち入る場所その他放射線管理を特に必要とする場所(燃料取扱場所等をいう。)の線量当量率
十三 周辺監視区域に隣接する地域における空間線量率及び放射性物質濃度
十四 原子力発電所における風向及び風速
2 前項第6号に掲げる装置であって線量当量率を計測する装置にあっては、多重性及び独立性を有しなければならない。
3 第1項第1号及び第3号から第14号までに掲げる事項を計測する装置にあっては、計測結果を表示し、かつ、記録することができるものでなければならない。
(警報装置等)
第21条 原子力発電所には、その機械器具の機能の喪失、誤操作等により原子炉の運転に著しい支障を及ぼすおそれが生じた場合、前条第9号の放射性物質の濃度若しくは同条第12号及び第13号の線量当量率が著しく上昇した場合又は流体状の放射性廃棄物(気体状のものを除く。以下同じ。)を処理し、若しくは貯蔵する設備から流体状の放射性廃棄物が著しく漏えいするおそれが生じた場合にこれらを確実に検出して自動的に警報する装置を施設しなければならない。
2 原子力発電所には、原子炉並びに1次冷却系統及び放射性廃棄物を処理し、又は貯蔵する設備に係る主要な機械器具の動作状態を表示する装置を施設しなければならない。
3 原子力発電所には、1次冷却系統に係る施設の故障、損壊等の際に当該原子力発電所内の人に対し必要な指示ができるように適切な通信連絡設備を施設しなければならない。
(安全保護装置)
第22条 原子力発電所には、安全保護装置を次の各号により施設しなければならない。
一 運転時の異常な過渡変化が生じる場合又は地震の発生等により原子炉の運転に支障が生じる場合において、原子炉停止系統及び工学的安全施設と併せて機能することにより燃料許容損傷限界を超えないようにできるものであること。
二 系統を構成する機械器具又はチャンネルは、単一故障が起きた場合又は使用状態からの単一の取り外しを行った場合において、安全保護機能を失わないように、多重性を有すること。
三 系統を構成するチャンネルは、相互を分離し、それぞれのチャンネル間において安全保護機能を失わないように独立性を有すること。
四 駆動源の喪失、系統の遮断その他の不利な状況が生じた場合においても、原子炉施設をより安全な状態に移行するか、又は当該状態を維持することにより、原子炉施設の安全上支障がない状態を維持できること。
五 計測制御系の一部を安全保護装置と共用する場合には、その安全保護機能を失わないように、計測制御系から機能的に分離されたものであること。
六 原子炉の運転中に、その能力を確認するための必要な試験ができるものであること。
七 安全保護装置は、運転条件に応じて作動設定値を変更できるものであること。
(反応度制御系統及び原子炉停止系統)
第23条 原子力発電所には、反応度制御系統及び原子炉停止系統を施設しなければならない。この場合において、反応度制御系統と原子炉停止系統とを独立させて設置しなくてもよい。
2 反応度制御系統は、計画的な出力変化に伴う反応度変化を燃料許容損傷限界を超えることなく制御できる能力を有するものでなければならない。
3 原子炉停止系統は、制御棒、液体制御材等による2つ以上の独立した系統を有するものであり、かつ、次の能力を有するものでなければならない。
一 通常運転時の高温状態において、2つ以上の独立した系統がそれぞれ原子炉を未臨界に移行し未臨界を維持できるものであり、かつ、運転時の異常な過渡変化時の高温状態においても原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、燃料許容損傷限界を超えることなく原子炉を未臨界に移行し未臨界を維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備等の作動に伴って注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
二 通常運転時及び運転時の異常な過渡変化時における低温状態において、少なくとも1つは、原子炉を未臨界に移行し未臨界を維持できること。
三 1次冷却材喪失等の事故時において、少なくとも1つは、原子炉を未臨界へ移行することができ、少なくとも1つは、原子炉を未臨界に維持できること。この場合において、非常用炉心冷却設備等の作動に伴って注入される液体制御材による反応度価値を加えることができる。
四 制御棒を用いる場合にあっては、反応度価値の最も大きな制御棒1本が固着した場合においても第1号から第3号までの規定に適合すること。
4 制御棒の最大反応度価値及び反応度添加率は、想定される反応度投入事象(原子炉に反応度が異常に投入される事象をいう。)に対して原子炉冷却材圧力バウンダリを破損せず、かつ、炉心冷却を損なうような炉心等の損壊を起こさないものでなければならない。
5 制御棒、液体制御材等は、通常運転時における圧力、温度及び放射線によって起こる最も厳しい条件において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
(制御材駆動装置)
第24条 制御材を駆動する装置は、次の各号により施設しなければならない。
一 原子炉の特性に適合した速度で制御材を駆動できるものであること。
二 原子炉の通常運転時において、制御棒の異常な引抜きが生じた場合でも燃料許容損傷限界を超える速度で駆動できないものであること。
三 制御棒を駆動するための動力源がなくなった場合に、原子炉の反応度を増加させる方向に制御棒を動作させないものであること。
四 制御棒を駆動する装置にあっては、制御棒の挿入その他の衝撃により制御棒、燃料体、反射材等を損壊しないものであること。
(原子炉制御室等)
第24条の2 原子力発電所には、原子炉制御室を施設しなければならない。
2 原子炉制御室には、反応度制御系統及び原子炉停止系統に係る設備を操作する装置、非常用炉心冷却設備等非常時に原子炉の安全を確保するための設備を操作する装置、原子炉及び1次冷却系統に係る主要な機械器具の動作状態を表示する装置、主要計測装置の計測結果を表示する装置その他の原子炉を安全に運転するための主要な装置(第21条第1項に規定する装置を含む。)を集中し、かつ、誤操作することなく適切に運転操作することができるように施設しなければならない。
3 原子炉制御室及びこれに連絡する通路等には、1次冷却系統に係る施設の故障、損壊等が生じた場合に原子炉の運転の停止等の措置をとるため、従事者等が支障なく原子炉制御室に入り、かつ、一定期間とどまることができるように、遮蔽その他の適切な放射線防護措置及び制御室外の火災等により発生した有毒ガスに対する換気設備の隔離その他の適切な防護措置を講じなければならない。
4 原子力発電所には、火災等により原子炉制御室が使用できない場合に、原子炉制御室以外の場所から原子炉の運転を停止し、かつ、安全な状態に維持することができる装置を施設しなければならない。
(発電所緊急時対策所)
第24条の3 原子力発電所には、1次冷却系統に係る施設の損壊等が生じた場合に適切な措置をとるための発電所緊急時対策所を原子炉制御室以外の場所に施設しなければならない。
(燃料貯蔵設備)
第25条 通常運転時に必要とする燃料体又は使用済燃料(以下「燃料」という。)を貯蔵する設備は、次の各号により施設しなければならない。
一 燃料が臨界に達するおそれがない構造であること。
二 崩壊熱により燃料が溶融しないものであること。
三 燃料を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものであること。
四 使用済燃料その他高放射性の燃料を貯蔵する水槽は、次によること。
イ 水があふれ、又は漏れるおそれがない構造であること。
ロ 燃料の放射線を遮蔽するために必要な量の水があること。
ハ 燃料の被覆が著しく腐しょくするおそれがある場合は、これを防止すること。
ニ 水の漏えい及び水槽の水温の異常を検知できること。
ホ 燃料取扱い中に想定される燃料の落下時においてもその機能が損なわれないこと。
五 燃料落下により燃料が破損して放射性物質が放出されることに伴い公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合、放射性物質による原子力発電所外への影響を低減するため、燃料貯蔵設備を格納する施設及び放射性物質の放出を低減する施設を施設すること。
六 使用済燃料を原子力発電所内に貯蔵する乾式キャスク(以下「キャスク」という。)は、次によること。
イ 使用済燃料が内包する放射性物質を閉じ込めることができ、かつ、その機能を適切に監視できること。
ロ 使用済燃料からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有すること。
ハ 使用済燃料の被覆の著しい腐食又は変形を防止できること。
ニ キャスク本体等は、使用される温度、放射線、荷重その他の条件に対し、適切な材料及び構造であること。
七 取扱者以外の者がみだりに立ち入らないようにすること。
(燃料取扱設備)
第26条 燃料を取り扱う設備は、次の各号により施設しなければならない。
一 通常運転時において使用する燃料を取り扱う能力を有するものであること。
二 燃料が臨界に達するおそれがない構造であること。
三 崩壊熱により燃料が溶融しないものであること。
四 取扱い中に燃料が破損するおそれがないこと。
五 燃料を封入する容器は、取扱い中における衝撃、熱等に耐え、かつ、容易に破損しないものであること。
六 前号の容器は、内部に燃料を入れた場合に、放射線障害を防止するため、その表面の線量当量率及びその表面から1メートルの距離における線量当量率がそれぞれ別に告示する線量当量率を超えないように遮蔽できるものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
七 燃料取扱い中に燃料を取り扱うための動力源がなくなった場合に、燃料を保持する機構を設ける等により燃料の落下を防止できること。
(生体遮蔽等)
第27条 原子力発電所内の場所であって、外部放射線による放射線障害を防止する必要があるものには、次の各号により生体遮蔽を施設しなければならない。
一 放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有するものであること。
二 開口部又は配管等の貫通部があるものにあっては、必要に応じて放射線漏えい防止措置が講じられていること。
三 自重、附加荷重および熱応力に耐えるものであること。
2 原子炉施設並びに1次冷却材により駆動される蒸気タービン及びその附属設備は、通常運転時において当該施設又は設備からの直接ガンマ線及びスカイシャインガンマ線による敷地周辺の空間線量率が別に告示する線量限度を十分下回るよう施設しなければならない。
(換気設備)
第28条 原子力発電所内の場所であって、放射性物質により汚染された空気による放射線障害を防止する必要があるものには、次の各号により換気設備を施設しなければならない。
一 放射線障害を防止するために必要な換気能力を有するものであること。
二 放射性物質により汚染された空気が漏えいし難い構造で、かつ、逆流するおそれがないこと。
三 排出する空気を浄化する装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の放射性物質による汚染の除去またはろ過装置の取替えが容易な構造であること。
四 吸気口は、放射性物質により汚染された空気を吸入し難いように施設すること。
(放射性物質による汚染の防止)
第29条 原子力発電所内の人がひん繁に出入りする建物等の内部の壁、床その他の放射性物質により汚染されるおそれがある部分であって、人が触れるおそれがある部分の表面は、放射性物質による汚染を除去しやすいものでなければならない。
2 原子力発電所には、人が触れるおそれがある物の放射性物質による汚染を除去する設備を施設しなければならない。
第29条の2 放射性物質により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がある排水路であって、原子力発電所外に排水を排出するものには、排水監視設備及び放射性物質を含む排水を安全に処理する設備を施設しなければならない。
(廃棄物処理設備等)
第30条 原子力発電所には、次の各号により放射性廃棄物を処理する設備(排気筒を含み、第28条及び次条に規定するものを除く。)を施設しなければならない。
一 周辺監視区域の外の空気中及び周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度が、それぞれ別に告示する値以下になるように原子力発電所において発生する放射性廃棄物を処理する能力を有するものであること。
二 放射性廃棄物以外の廃棄物を処理する施設と区別して施設すること。ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を処理する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがない場合は、この限りでない。
三 放射性廃棄物が漏えいし難い構造であり、かつ、化学薬品等により著しく腐しょくするおそれがないものであること。
四 気体状の放射性廃棄物を処理する設備は、第28条第3号の規定に準ずるほか、排気筒の出口以外の箇所において気体状の放射性廃棄物を排出しないこと。
五 流体状の放射性廃棄物及び原子炉冷却材圧力バウンダリ内に施設されたものから発生する高放射性の固体状の放射性廃棄物を原子力発電所内において運搬するための容器は、取扱い中における衝撃、熱等に耐え、かつ、容易に破損しないものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
六 前号の容器は、内部に放射性廃棄物を入れた場合に、放射線障害を防止するため、その表面の線量当量率及びその表面から1メートルの距離における線量当量率がそれぞれ別に告示する線量当量率を超えないように遮蔽できるものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
2 流体状の放射性廃棄物を処理する設備が設置される施設(流体状の放射性廃棄物の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。以下この項において同じ。)は、次の各号により施設しなければならない。
一 施設内部の床面及び壁面は、流体状の放射性廃棄物が漏えいし難い構造であること。
二 施設内部の床面は、床面の傾斜又は床面に設けられたみぞの傾斜により流体状の放射性廃棄物が排液受け口に導かれる構造であり、かつ、流体状の放射性廃棄物を処理する設備の周辺部には、流体状の放射性廃棄物の漏えいの拡大を防止するための堰が施設されていること。
三 施設外に通じる出入口又はその周辺部には、流体状の放射性廃棄物が施設外へ漏えいすることを防止するための堰が施設されていること。ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表面より低い場合であって施設外へ漏えいするおそれがない場合は、この限りでない。
四 原子力発電所外に排水を排出する排水路(ゆう水に係るものであって放射性物質により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないもの並びに排水監視設備及び放射性物質を含む排水を安全に処理する設備を施設するものを除く。)上に施設内部の床面がないように施設すること。
3 第1項第5号の流体状の放射性廃棄物を運搬するための容器は、第2項第3号に準じて流体状の放射性廃棄物の漏えいの拡大を防止するように施設しなければならない。ただし、管理区域内においてのみ使用されるもの及び漏えいするおそれがない構造のものは、この限りでない。
(廃棄物貯蔵設備等)
第31条 放射性廃棄物を貯蔵する設備は、次の各号により施設しなければならない。
一 通常運転時に発生する放射性廃棄物を貯蔵する容量があること。
二 放射性廃棄物が漏えいし難い構造であること。
三 崩壊熱及び放射線の照射により発生する熱に耐え、かつ、化学薬品等により著しく腐しょくするおそれがないこと。
2 固体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備が設置される施設は、放射性廃棄物による汚染が広がらないように施設しなければならない。
3 前条第2項の規定は、流体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備が設置される施設に準用する。この場合において、「流体状の放射性廃棄物を処理する設備」とあるのは「流体状の放射性廃棄物を貯蔵する設備」と読み替えるものとする。
(原子炉格納施設)
第32条 原子力発電所には、1次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際の漏えい率が公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないよう、次の各号により原子炉格納施設を施設しなければならない。
一 原子炉格納容器にあっては、次によること。
イ 1次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際に想定される最大の圧力及び最高の温度に耐えること。
ロ 原子炉格納容器に開口部を設ける場合には気密性を確保すること。
ハ 原子炉格納容器を貫通する箇所及び出入口は、想定される漏えい量等に応じて漏えい試験ができること。
二 原子炉格納容器を貫通して取り付ける管には、次により隔離弁(閉鎖隔離弁(ロック装置が付されているものに限る。)又は自動隔離弁(隔離機能がない逆止め弁を除く。)をいう。以下同じ。)を設けること。
イ 原子炉格納容器に取り付ける管であって原子炉格納容器を貫通するものには当該貫通箇所の内側及び外側であって近接した箇所に1個の隔離弁を施設すること。
ロ 前イにかかわらず、次によることができる。
(1) 1次冷却系統に係る施設内及び原子炉格納容器内に開口部がなく、かつ、1次冷却系統に係る施設の損壊の際に損壊するおそれがない管又は1次冷却系統に係る施設の損壊等の際に構造上内部に滞留する液体により原子炉格納容器内の放射性物質が外部へ漏えいするおそれがない管にあっては貫通箇所の内側又は外側の近接した箇所に1個の隔離弁を施設すること。
(2) 貫通箇所の内側又は外側に隔離弁を設けた場合、一方の側の設置箇所における管であって、湿気等によりその隔離弁の機能が著しく低下するおそれがあると認められるものにあっては、貫通箇所の他方の側であって近接した箇所に2個の隔離弁を施設すること。
ハ 前イ及びロの規定にかかわらず、次の場合には隔離弁を設けることを要しない。
(1) 事故の収束に必要な系統の配管に隔離弁を設けることにより安全性に支障が生じるおそれがあり、かつ、当該系統の配管により原子炉格納容器の隔離機能が失われない場合。
(2) 計測又は制御棒駆動装置に関連する配管であって、当該配管を通じての漏えい量が十分許容される程度に抑制されているものの場合。
ニ 隔離弁は、閉止後において駆動動力源が喪失した場合でも隔離機能が失われないこと。
ホ 隔離弁は、想定される漏えい量等に応じて漏えい試験ができること。
三 1次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際に生ずる水素及び酸素により原子炉格納容器の安全性に支障を生ずるおそれがある場合は、水素又は酸素の濃度を抑制する設備を施設すること。
四 1次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際に原子炉格納容器から気体状の放射性物質が漏えいすることにより公衆に放射線障害を及ぼすおそれがある場合は、当該放射性物質の濃度を低減する設備(当該放射性物質を格納する施設を含む。)を施設すること。
五 1次冷却系統に係る施設の故障又は損壊の際に生ずる原子炉格納容器内の圧力及び温度の上昇により原子炉格納容器の安全性に支障が生ずることを防止するため、原子炉格納容器内において発生した熱を除去する設備(以下「格納容器熱除去設備」という。)を次により施設すること。
イ 格納容器熱除去設備は、原子炉格納容器内の圧力及び温度並びに冷却材中の異物の影響の想定される最も厳しい条件下においても、正常に機能すること。
ロ 格納容器熱除去設備は、その能力を確認するために、原子炉の運転中に試験ができること。
(保安電源設備)
第33条 原子力発電所に接続する電線路のうち少なくとも2回線は、当該原子力発電所において受電可能なものであって、使用電圧が6万ボルトを超える特別高圧のものであり、かつ、それにより当該原子力発電所を電力系統に連系するように施設しなければならない。
2 原子力発電所には、前項の電線路及び当該原子力発電所において常時使用されている発電機からの電気の供給が停止した場合において保安を確保するために必要な装置の機能を維持するため、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する非常用予備動力装置を施設しなければならない。
3 原子力発電所の保安を確保するため特に必要な設備には、無停電電源装置又はこれと同等以上の機能を有する装置を施設しなければならない。
4 非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性、及び独立性を有し、その系統を構成する機械器具の単一故障が発生した場合であっても、運転時の異常な過渡変化時又は1次冷却材喪失等の事故時において工学的安全施設等の設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない。
5 原子力発電所には、短時間の全交流動力電源喪失時においても原子炉を安全に停止し、かつ、停止後に冷却するための設備が動作することができるよう必要な容量を有する蓄電池等を施設しなければならない。
(準用)
第34条 第8条第3項の規定は、原子力発電所に施設する1次冷却材により駆動する蒸気タービン及びその附属設備について準用する。
2 第9条第15号の規定及び発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第51号)第2章の規定は、原子力発電所に施設する補助ボイラーについて準用する。
3 第9条第15号の規定及び発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第3章の規定は、原子力発電所に施設する蒸気タービン及びその附属設備について準用する。
4 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第19条から第23条までの規定は、原子力発電所に施設するガスタービンについて準用する。
5 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第25条から第29条までの規定は、原子力発電所に施設する内燃機関について準用する。
6 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第4条の規定は、原子力発電所に施設する電気工作物について準用する。
(電磁的記録媒体による手続)
第35条 第3条第2項の申請書の提出については、当該申請書の提出に代えて当該申請書に記載すべきこととされている事項を記録した電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に係る記録媒体をいう。以下同じ。)及び別記様式の電磁的記録媒体提出票を提出することにより行うことができる。
附則
この省令は、電気事業法(昭和39年法律第170号)の施行の日(昭和40年7月1日)から施行する。
附則 (昭和44年8月20日通商産業省令第79号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和45年9月3日通商産業省令第82号)
1 この省令は、公布の日から施行し、昭和45年7月20日から適用する。
2 この省令の適用の日の前日までに施設し、または施設に着手した原子炉施設については、なお従前の例による。
附則 (昭和46年6月24日通商産業省令第65号) 抄
1 この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和49年12月24日通商産業省令第102号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和50年12月23日通商産業省令第122号)
1 この省令は、昭和51年1月1日から施行する。
2 この省令の公布の日の前日までに施設し、又は施設に着手した電気工作物については、改正後の発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令(以下「新省令」という。)第4条の2第1項及び第30条第2項第2号の規定はこの省令の公布の日から1年間、新省令第32条第6項の規定はこの省令の公布の日から2年間は、適用しない。
3 前項に規定する電気工作物については、新省令第30条第2項第1号及び第32条第3項の規定は、適用しない。
附則 (昭和55年10月30日通商産業省令第57号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行の日の前日までに施設し、又は施設に着手した原子炉施設については、なお従前の例による。
附則 (昭和56年8月20日通商産業省令第52号)
1 この省令は、昭和56年8月21日から施行する。
2 この省令の公布の日の前日までに施設し、又は施設に着手した電気工作物については、次の各号に掲げる規定は、この省令の公布の日から起算して当該各号に掲げる期間は、適用しない。
一 第20条第8号の次に1号を加える改正規定、第21条第1項の改正規定及び第24条の2第2項の改正規定(流体状の放射性廃棄物を処理し、又は貯蔵する設備から流体状の放射性廃棄物が著しく漏えいするおそれが生じたときに係る部分に限る。)並びに第29条の次に1条を加える改正規定 1年6月間
二 第30条第2項の改正規定(第2号に係る部分(発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令の一部を改正する省令(昭和50年通商産業省令第122号)附則第3項により適用しないとされた電気工作物以外の電気工作物に係るものに限る。)及び第3号に係る部分を除く。)及び第31条の改正規定(同条第3項において準用する第30条第2項のうち施設外に通じる出入口又はその周辺部に係る部分を除く。) 1年間
附則 (昭和59年9月19日通商産業省令第54号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和63年1月25日通商産業省令第10号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成元年3月27日通商産業省令第8号)
1 この省令は、平成元年4月1日から施行する。
2 この省令による改正後の実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則第24条第1項の規定は、平成元年4月1日以後の期間について作成する報告書について適用し、同日前の期間について作成する報告書については、なお従前の例による。
附則 (平成9年3月27日通商産業省令第54号)
1 この省令は、平成9年6月1日から施行する。
2 この省令の施行の際現に施設し、又は施設に着手した電気工作物については、なお従前の例による。
附則 (平成10年3月30日通商産業省令第34号) 抄
第1条 この省令は、平成10年4月1日から施行する。
附則 (平成12年10月31日通商産業省令第320号)
この省令は、平成13年1月6日から施行する。
附則 (平成13年3月21日経済産業省令第24号)
この省令は、平成13年4月1日から施行する。
附則 (平成13年10月1日経済産業省令第201号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成15年9月22日経済産業省令第102号)
1 この省令は、平成15年10月1日から施行する。
2 電気事業法(以下「法」という。)第55条第1項の特定電気工作物については、改正後の発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令第9条の2及び第11条第2項の規定はこの省令の施行の日以後最初に行うべき法第55条第1項の検査の時期までは、適用しない。
附則 (平成17年7月1日経済産業省令第68号)
(施行期日)
第1条 この省令は平成18年1月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現に施設し、又は施設に着手した電気工作物については、この省令第9条の規定は、なお従前の例による。
附則 (平成17年12月22日経済産業省令第121号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成18年1月1日から施行する。
附則 (平成20年2月27日経済産業省令第12号)
(施行期日)
第1条 この省令は、平成20年3月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現に施設し、又は施設に着手した非常用炉心冷却設備及び格納容器熱除去設備については、この省令による改正後の発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令第17条第3項及び第32条第5号イの規定にかかわらず、平成23年3月31日までは、なお従前の例による。
附則 (平成23年10月7日経済産業省令第53号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成24年9月14日経済産業省令第68号)
この省令は、原子力規制委員会設置法の施行の日(平成24年9月19日)から施行する。
附則 (平成25年6月28日経済産業省令・原子力規制委員会規則第1号)
この規則は、原子力規制委員会設置法附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日(平成25年7月8日)から施行する。
附則 (令和元年7月1日経済産業省・原子力規制委員会規則第1号)
この命令は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月1日)から施行する。
別記様式(第35条関係)
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