しょうかきようしょうかやくざいのぎじゅつじょうのきかくをさだめるしょうれい
消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令
昭和39年自治省令第28号
消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2第2項の規定に基づき、消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令を次のように定める。
(趣旨)
第1条 この省令は、消火器用消火薬剤(二酸化炭素及び四塩化炭素を除き、以下「消火薬剤」という。)の技術上の規格を定めるものとする。
(消火薬剤の共通的性状)
第1条の2 消火薬剤は、著しい毒性又は腐食性を有しないものであって、かつ、著しい毒性又は腐食性のあるガスを発生しないものでなければならない。
2 水溶液の消火薬剤及び液状の消火薬剤は、結晶の析出、溶液の分離、浮遊物又は沈殿物の発生その他の異常を生じないものでなければならない。
3 粉末状の消火薬剤は、塊状化、変質その他の異常を生じないものでなければならない。
第1条の3 消火薬剤は、1度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄されたもの又はその全部若しくは一部を原料とするもの(以下この条において「使用済等消火薬剤」という。)であってはならない。ただし、再利用消火薬剤(使用済等消火薬剤であって前条及び次条から第8条までの規定に適合する処理を施したものをいう。第7条第3項において同じ。)にあっては、この限りでない。
(酸アルカリ消火薬剤)
第2条 酸アルカリ消火薬剤は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 酸は、良質の無機酸又はその塩類であること。
二 アルカリは、水に溶けやすい良質のアルカリ塩類であること。
(強化液消火薬剤)
第3条 強化液消火薬剤(内部において化学反応により発生するガスを放射圧力の圧力源とする消火器に充てんするものを除く。)は、次の各号に適合するアルカリ金属塩類等の水溶液でなければならない。
一 アルカリ金属塩類の水溶液にあってはアルカリ性反応を呈すること。
二 凝固点が零下20度以下であること。
2 内部において化学反応により発生するガスを放射圧力の圧力源とする消火器に充てんする強化液消火薬剤は、前項各号に適合するアルカリ金属塩類等の水溶液及び凝固点が零下20度以下である良質の酸又はその塩類でなければならない。
3 強化液消火器用の粉末状のアルカリ金属塩類等は、水に溶けやすく、かつ、水溶液とした場合、第1項各号又は前項の規定に適合するものでなければならない。
4 消火器を正常な状態で作動した場合において放射される強化液は、防炎性を有し、かつ、凝固点が零下20度以下のものでなければならない。
(泡消火薬剤)
第4条 泡消火薬剤は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 消火薬剤は、防腐処理を施したものであること。ただし、腐敗、変質等のおそれのないものは、この限りでない。
二 消火器から放射される泡は、耐火性を持続することができるものであること。
2 化学泡消火薬剤(化学反応により消火効果を有する泡を生成する消火薬剤をいう。以下同じ。)は、前項に定めるもののほか、次の各号に適合するものでなければならない。
一 粉末状の消火薬剤は、水に溶けやすい乾燥状態のものであること。
二 不溶解分は、1質量パーセント以下であること。
三 温度20度の消火薬剤を充てんした消火器を作動した場合において放射される泡の容量は、手さげ式の消火器及び背負式の消火器にあっては消火薬剤の容量の7倍以上、車載式の消火器にあっては消火薬剤の容量の5・5倍以上であって、かつ、放射終了時から15分経過したときにおける泡の容量の減少は、25パーセントをこえないこと。
3 機械泡消火薬剤(化学泡消火薬剤以外の泡消火薬剤をいう。)は、第1項に定めるもののほか、次の各号に適合するものでなければならない。
一 消火薬剤は、水溶液又は液状若しくは粉末状のものであること。この場合において、液状又は粉末状の消火薬剤にあっては、水に溶けやすいものであり、当該消火薬剤の容器(容器に表示することが不適当な場合にあっては、包装)には、第10条第5号の規定により、「飲料水を使用すること」と表示すること。
二 温度20度の消火薬剤を充てんした消火器を作動させた場合において放射される泡の容量は、消火薬剤の容量の5倍以上であって、かつ、発泡前の水溶液の容量の25パーセントの水溶液が泡から還元するために要する時間は、1分以上であること。
(ハロゲン化物消火薬剤)
第5条 ブロモクロロメタン消火薬剤(以下「ハロン1011」という。)及びジブロモテトラフルオロエタン消火薬剤(以下「ハロン2402」という。)は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 無色透明で浮遊物がないこと。
二 温度15度における比重は、ハロン1011にあっては1・93以上1・96以下、ハロン2402にあっては2・18以上2・21以下であること。
三 蒸留試験において、ハロン1011にあっては温度66度以上69度以下の留出量、ハロン2402にあっては温度46度以上49度以下の留出量が95容量パーセント以上であること。
四 含有水分は、ハロン1011にあっては0・02質量パーセント以下、ハロン2402にあっては0・008質量パーセント以下であること。
五 ヨードカリでん粉液を加える試験において、青色を呈しないこと。
六 硝酸銀溶液を加える試験において、白色又は黄色を呈しないこと。
七 濃硫酸を加える試験において、有機物による変色を呈しないこと。
八 蒸発残分は、0・004質量パーセント以下であること。
九 温度20度の消火薬剤によくみがいた鉄板及び銅板を半分浸し、1時間放置したのち、鉄板及び銅板の表面に変色その他の異常を呈しないこと。
第6条 ブロモクロロジフルオロメタン消火薬剤(以下「ハロン1211」という。)及びブロモトリフルオロメタン消火薬剤(以下「ハロン1301」という。)は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 無色透明で浮遊物がないこと。
二 純分は、ハロン1211にあっては98・5パーセント以上、ハロン1301にあっては99・6パーセント以上であること。
三 酸分及び遊離ハロゲンの合計は、0・0002質量パーセント以下であること。
四 蒸発残分は、0・01質量パーセント以下であること。
五 含有水分は、0・005質量パーセント以下であること。
(粉末消火薬剤)
第7条 粉末消火薬剤は、防湿加工を施したナトリウム若しくはカリウムの重炭酸塩その他の塩類又はりん酸塩類、硫酸塩類その他防炎性を有する塩類(以下「りん酸塩類等」という。)で、次の各号に適合するものでなければならない。
一 JIS(産業標準化法(昭和24年法律第185号)第20条第1項の日本産業規格をいう。) Z 8801の呼び寸法180マイクロメートル以下の消火上有効な微細な粉末であること。
二 温度30度及び相対湿度60パーセントの恒温恒湿槽中に48時間以上恒量になるまで静置した後に、温度30度及び相対湿度80パーセントの恒温恒湿槽中に48時間静置する試験において、質量増加率が2パーセント以下であること。
三 水面に均一に散布した場合において、1時間以内に沈降しないこと。
2 りん酸塩類等には淡紅色系の着色を施さなければならない。
3 再利用消火薬剤のうち粉末消火薬剤は、前2項に定めるもののほか、次の各号に適合するものでなければならない。
一 含水率が2パーセント以下であること。
二 均質であって、かつ、固化を生じないような措置が講じられていること。
(浸潤剤等)
第8条 消火薬剤(水を含むものとし、第5条及び第6条に掲げるものを除く。以下この条において同じ。)には、浸潤剤、不凍剤その他消火薬剤の性能を高め、又は性状を改良するための薬剤(以下「浸潤剤等」という。)を混和し、又は添加することができる。
2 浸潤剤等は、消火薬剤の性状又は性能に悪影響を与えないものでなければならない。
(容器)
第9条 消火薬剤は、希釈、濃縮、固化、吸湿、変質その他の異常を生じないように、容器に封入しなければならない。
(表示)
第10条 消火薬剤の容器(容器に表示することが不適当な場合にあっては、包装)には、次の各号に掲げる事項を記載した簡明な表示をしなければならない。
一 品 名
二 充てんされるべき消火器の区別
三 消火薬剤の容量又は質量
四 充てん方法
五 取扱い上の注意事項
六 製造年月
七 製造者名又は商標
八 型式番号
(基準の特例)
第11条 新たな技術開発に係る消火薬剤について、その成分及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。
附則
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和44年10月23日自治省令第30号)
1 この省令は、昭和44年11月1日から施行する。
2 この省令の施行の際現に日本消防検定協会の行なう消防用機械器具等についての試験を申請している消火薬剤に係る試験については、なお従前の例による。
附則 (昭和48年10月17日自治省令第29号)
この省令は、昭和49年1月1日から施行する。
附則 (昭和62年3月18日自治省令第7号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成8年12月24日自治省令第39号)
1 この省令は、平成9年1月1日から施行する。
2 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請している消火薬剤に係る試験については、なお従前の例による。
3 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火薬剤に係る型式承認及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火薬剤に係る型式承認は、改正後の消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則 (平成10年9月28日自治省令第37号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成11年10月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請をしている消火器、消火薬剤、閉鎖型スプリンクラーヘッド、消防用ホース、一斉開放弁、泡消火薬剤、感知器及び発信機、流水検知装置、差込式結合金具並びにねじ式結合金具に係る試験については、なお従前の例による。
3 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火薬剤に係る型式承認及び第1項の規格により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火薬剤に係る型式承認は、第2条の規定による改正後の消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の規定による型式承認とみなす。
附則 (平成12年9月14日自治省令第44号)
この省令は、内閣法の一部を改正する法律(平成11年法律第88号)の施行の日(平成13年1月6日)から施行する。
附則 (平成18年10月30日総務省令第124号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行の際現に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請している消火器用消火薬剤に係る試験については、なお従前の例による。
3 この省令の施行の際現に型式承認を受けている消火器用消火薬剤及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火器用消火薬剤に係る型式承認は、改正後の消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則 (令和元年6月28日総務省令第19号)
この省令は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月1日)から施行する。
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