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しょうかきのぎじゅつじょうのきかくをさだめるしょうれい

消火器の技術上の規格を定める省令

昭和39年自治省令第27号
消防法(昭和23年法律第186号)第21条の2第2項の規定に基づき、消火器の技術上の規格を定める省令を次のように定める。

第1章 総則

(趣旨)
第1条 この省令は、消火器の技術上の規格を定めるものとする。
(用語の意義)
第1条の2 この省令において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 消火器 水その他消火剤(以下「消火剤」という。)を圧力により放射して消火を行う器具で人が操作するもの(収納容器(ノズル、ホース、安全栓等を有する容器であって、消火剤が充塡された本体容器及びこれに附属するキャップ、バルブ、指示圧力計等を収納するものをいう。以下同じ。)に結合させることにより人が操作するものを含み、固定した状態で使用するもの及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)第41条第5号に規定するエアゾール式簡易消火具を除く。)をいう。
 住宅用消火器 消火器のうち、住宅における使用に限り適した構造及び性能を有するものをいう。
 交換式消火器 本体容器及びこれに附属するキャップ、バルブ、指示圧力計等を一体として交換できる消火器であって、収納容器に結合させることにより人が操作して消火を行うものをいう。
 水消火器 水(消火器用消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第28号。以下「消火薬剤規格省令」という。)第8条に規定する浸潤剤等(以下「浸潤剤等」という。)を混和し、又は添加したものを含む。)を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 酸アルカリ消火器 消火薬剤規格省令第2条に規定する酸アルカリ消火薬剤(浸潤剤等を混和し、又は添加したものを含む。)を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 強化液消火器 消火薬剤規格省令第3条に規定する強化液消火薬剤(浸潤剤等を混和し、又は添加したものを含む。)を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 泡消火器 消火薬剤規格省令第4条に規定する泡消火薬剤(浸潤剤等を混和し、又は添加したものを含む。)を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 ハロゲン化物消火器 消火薬剤規格省令第5条及び第6条に規定するハロゲン化物消火薬剤を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 二酸化炭素消火器 液化二酸化炭素を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
 粉末消火器 消火薬剤規格省令第7条に規定する粉末消火薬剤(浸潤剤等を混和し、又は添加したものを含む。)を圧力により放射して消火を行う消火器をいう。
十一 加圧式の消火器 加圧用ガス容器の作動、化学反応又は手動ポンプの操作により生ずる圧力により消火剤を放射するものをいう。
十二 蓄圧式の消火器 消火器の本体容器内の圧縮された空気、窒素ガス等(以下「圧縮ガス」という。)の圧力又は消火器に充塡された消火剤の圧力により消火剤を放射するものをいう。
十三 A火災 次号に掲げるB火災以外の火災をいう。
十四 B火災 消防法(昭和23年法律第186号)別表第1に掲げる第4類の危険物並びに危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第4に掲げる可燃性固体類及び可燃性液体類に係るものの火災をいう。

第2章 住宅用消火器以外の消火器

(能力単位)
第2条 消火器(住宅用消火器以外の消火器(交換式消火器を除く。)をいう。以下この章において同じ。)は、次条又は第4条の規定により測定した能力単位の数値が1以上でなければならない。ただし、大型消火器で、A火災に適応するものにあっては10以上、B火災に適応するものにあっては20以上でなければならない。
(能力単位の測定)
第3条 消火器のA火災に対する能力単位の数値は、第1消火試験により測定するものとする。
2 前項の第1消火試験は第1号から第6号までに定めるところにより、その判定は第7号の規定により、行わなければならない。
 次の第1模型又は第2模型を用いること。ただし、第2模型は、2個以上用いてはならない。
 模型の配列方法は、次の図のとおりとすること。
 S(任意の数値をいう。以下この条において同じ。)個の第1模型を用いる場合
 S個の第1模型及び1個の第2模型を用いる場合
 燃焼なべに、第1模型にあっては3・0リットル、第2模型にあっては1・5リットルのJIS(産業標準化法(昭和24年法律第185号)第20条第1項の日本産業規格をいう。以下同じ。) K 2202に適合する自動車ガソリンを入れ、順次点火すること。ただし、前号ロの場合にあっては、第1模型より点火すること。
 消火は、最初の模型に点火した後3分で開始し、点火の順に行なうこと。この場合において、消火を行なった模型に残炎が認められる間は、次の模型に対して消火を開始しないこと。
 消火器の操作者は、防火衣服を着用しないこと。
 無風の状態(風速0・5メートル毎秒以下の状態をいう。以下同じ。)において行なうこと。
 消火剤の放射終了時において残炎が認められず、かつ、放射終了後2分以内に再燃しない場合においては、それらの模型は完全に消火されたものと判定すること。
3 前項の規定により第1消火試験を行った消火器のA火災に対する能力単位の数値は、S個の第1模型を完全に消火したものにあっては2にSを乗じた数値とし、S個の第1模型及び1個の第2模型を完全に消火したものにあっては2にSを乗じた数値に一を加えた数値とする。
第4条 消火器のB火災に対する能力単位の数値は、第2消火試験及び第3消火試験により測定するものとする。
2 前項の第2消火試験は第1号から第4号までに定めるところにより、その判定は第5号の規定により、行わなければならない。
 模型は、イに掲げる形状を有するものでロに掲げる種類のうち模型の番号の数値が1以上のものを1個用いること。
 模型の形状
 模型の種類
模型の番号の数値 燃焼表面積(平方メートル) L(センチメートル)
0.5 0.1 31.6
1 0.2 44.7
2 0.4 63.3
3 0.6 77.5
4 0.8 89.4
5 1.0 100.0
6 1.2 109.5
7 1.4 118.3
8 1.6 126.5
9 1.8 134.1
10 2.0 141.3
12 2.4 155.0
14 2.8 167.4
16 3.2 178.9
18 3.6 189.7
20 4.0 200.0
 消火は、点火した後1分で開始すること。
 消火器の操作者は、防火衣服を着用しないこと。
 無風の状態において行なうこと。
 消火剤の放射終了後1分以内に再燃しない場合においては、それらの模型は完全に消火されたものと判定すること。
3 第1項の第3消火試験は第1号から第6号までに定めるところにより、その判定は第7号の規定により、行なわなければならない。
 前項第1号イ及びロに掲げる模型で、その番号の数値が第2消火試験において当該消火器が完全に消火した模型の番号の数値の2分の1以下であるものを2個以上5個以下用いること。
 模型の配列方法は、その番号の数値が大きい模型から小さい模型の順に平面に1直線上にならべるものとすること。この場合において、模型と模型との間隔は、それぞれ隣り合う模型のうちその番号の数値が大きい模型の1辺の長さ以上とすること。
 番号の数値が大きい模型から順次間をおかずに点火すること。
 消火は、最初の模型に点火した後1分で開始し、点火の順に行なうこと。
 消火器の操作者は、防火衣服を着用しないこと。
 無風の状態において行なうこと。
 消火剤の放射終了後1分以内に再燃しない場合においては、それらの模型は完全に消火されたものと判定すること。
4 前2項の規定により第2消火試験及び第3消火試験を行なった消火器のB火災に対する能力単位の数値は、第2消火試験において完全に消火した模型の番号の数値と、第3消火試験において完全に消火した模型の番号の数値の合計数との算術平均値とする。この場合において、当該算術平均値に1未満の端数がつくときは、その端数を切り捨てるものとする。
(操作の機構)
第5条 消火器は、その保持装置から取りはずす動作、背負う動作、安全栓をはずす動作及びホースをはずす動作を除き、1動作(化学泡消火器(泡消火器のうち消火薬剤の化学反応により生成される泡を放射して消火を行うものをいう。以下同じ。)、据置式の消火器(床面上に据え置いた状態でノズル部分を持ちホースを延長して使用できる消火器(車輪を有するものを除く。)をいう。以下同じ。)及び背負式の消火器(背負ひも等により、背負って使用する消火器をいう。以下同じ。)にあっては2動作以内、車載式の消火器(運搬のための車輪を有する消火器をいう。以下同じ。)にあっては3動作以内)で容易に、かつ、確実に放射を開始することができるものでなければならない。
2 消火器は、次の表の上欄に掲げる消火器の区分に応じ、それぞれ当該下欄で○印を附した操作方法のいずれか一の方法により作動して放射を開始することができるものでなければならない。ただし、据置式の消火器、背負式の消火器及び車載式の消火器にあっては、この限りでない。
消火器の区分 操作方法
レバーを握る 押し金具をたたく ひつくりかえす ふたをあけてひつくりかえす ハンドルを上下する
水消火器 手動ポンプにより作動するもの
その他のもの
酸アルカリ消火器
強化液消火器 A火災又はB火災に対する能力単位の数値が1をこえるもの
その他のもの
泡消火器
ハロゲン化物消火器(四塩化炭素消火器を除く。以下同じ。)
二酸化炭素消火器
B火災に対する能力単位の数値が1をこえるもの
B火災に対する能力単位の数値が一のもの
粉末消火器 消火剤の質量が1キログラムをこえるもの
その他のもの
3 消火器の安全栓、ハンドル、レバー、押ボタン等の操作部分には、操作方法を見やすい箇所に簡明に、かつ、消えないように表示しなければならない。
(耐食及び防錆)
第6条 消火器は、その各部分を良質の材料で造るとともに、充塡した消火剤に接触する部分をその消火剤に侵されない材料(以下「耐食性材料」という。)で造り、又は当該部分に耐食加工を施し、かつ、外気に接触する部分を容易にさびない材料で造り、又は当該部分に防錆加工を施さなければならない。
2 消火器は、充塡した消火剤に接触する部分について3パーセントの塩化ナトリウム水溶液中に14日間浸す腐食試験及び次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる腐食試験を行なった場合において、さびその他の異常を生じないものでなければならない。ただし、当該部分を耐食性材料で造った消火器にあっては、腐食試験を行なわないことができる。
区分 腐食試験
充塡した消火剤がアルカリ性である消火器 3パーセントの水酸化ナトリウム水溶液中に14日間浸す。
充塡した消火剤が酸性である消火器 3パーセントの硫酸中に14日間浸す。
3 充塡した消火剤に接触する部分に耐食塗装を施した消火器は、当該部分と同じ試験片について次の表の上欄に掲げる試験を行なった場合において、それぞれ当該下欄に掲げる性能を有するものでなければならない。
区分 性能
屈曲性試験 塗面を外にした平らな試験片を直径10ミリメートルの棒の回りに1秒間に180度折り曲げた場合において、屈曲部の両端から10ミリメートルの部分を除いた残りの部分の塗膜にわれ又ははがれを生じないこと。
衝撃性試験 塗面を上向きにした平らな試験片を鋼製の台の上に固定し、300グラムのおもりの先端に直径25ミリメートルの鋼球を取り付け、塗面から50センチメートルの高さから鋼球を下向きにして塗面上に落下させた場合において、塗膜にわれ又ははがれを生じないこと。この場合において、鋼球の材質は、JIS B 1501に適合すること。
腐食試験 前項に規定する試験に準ずる腐食試験を行なった場合において、試験片の周辺の幅10ミリメートルの部分を除いた残りの部分の塗膜にわれ、はがれ、ふくれ、さび、溶出、色の変化又は著しいつやの変化を生じないこと。
(消火剤)
第7条 消火器(水消火器及び二酸化炭素消火器を除く。)に充塡された消火薬剤は、消火薬剤規格省令第1条の2から第8条までの規定に適合するものでなければならない。
2 水消火器に充塡された水は、腐食性又は毒性を有せず、かつ、腐食性又は毒性のあるガスを発生しない純良なものでなければならない。
3 二酸化炭素消火器に充塡された消火薬剤は、JIS K 1106の2種又は3種に適合する液化二酸化炭素でなければならない。
(自動車用消火器)
第8条 自動車に設置する消火器(以下「自動車用消火器」という。)は、強化液消火器(霧状の強化液を放射するものに限る。)、機械泡消火器(化学泡消火器以外の泡消火器をいう。以下同じ。)、ハロゲン化物消火器、二酸化炭素消火器又は粉末消火器でなければならない。
(大型消火器の消火剤)
第9条 大型消火器に充塡された消火剤の量は、水消火器又は化学泡消火器にあっては80リットル以上、機械泡消火器にあっては20リットル以上、強化液消火器にあっては60リットル以上、ハロゲン化物消火器にあっては30キログラム以上、二酸化炭素消火器にあっては50キログラム以上、粉末消火器にあっては20キログラム以上でなければならない。
(放射性能)
第10条 消火器は、正常な操作方法で放射した場合において、次の各号に適合するものでなければならない。
 放射の操作が完了した後すみやかに消火剤を有効に放射するものであること。
 放射時間は、温度20度において10秒以上であること。
 消火に有効な放射距離を有するものであること。
 充塡された消火剤の容量又は質量の90パーセント(化学泡消火薬剤にあっては、85パーセント)以上の量を放射できるものであること。
(使用温度範囲)
第10条の2 消火器は、その種類に応じ、次の各号に掲げる温度範囲(10度単位で拡大した場合においてもなお正常に操作することができ、かつ、消火及び放射の機能を有効に発揮する性能を有する消火器にあっては、当該拡大した温度範囲。以下「使用温度範囲」という。)で使用した場合において、正常に操作することができ、かつ、消火及び放射の機能を有効に発揮することができるものでなければならない。
 化学泡消火器 5度以上40度以下
 化学泡消火器以外の消火器 零度以上40度以下
(本体容器の板厚)
第11条 次の表の上欄に掲げる消火器の本体容器は、それぞれ当該下欄に掲げる数値以上の板厚を有する堅ろうなものでなければならない。
区分 板厚
加圧式の消火器(手動ポンプにより作動する水消火器を除く。)又は蓄圧式の消火器の本体容器
JIS G 3131に適合する材質又はこれと同等以上の耐食性を有する材質を用いたもの
内径120ミリメートル以上のもの ミリメートル
1・2
内径120ミリメートル未満のもの 1・0
JIS H 3100若しくはJIS G 4304に適合する材質又はこれらと同等以上の耐食性を有する材質を用いたもの
内径100ミリメートル以上のもの 1・0
内径100ミリメートル未満のもの 0・8
手動ポンプにより作動する水消火器の本体容器 0・6
(本体容器の耐圧)
第12条 消火器の本体容器(手動ポンプにより作動する水消火器にあってはポンプ本体。以下この条において同じ。)の耐圧は、次の各号に適合するものでなければならない。
 次の表の上欄に掲げる本体容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる圧力を水圧力で5分間加える試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、強度上支障のある永久ひずみ(円筒部分にあっては、円周長の0・5パーセント以上の永久ひずみ)を生じないこと。
区分 圧力
加圧式の消火器の本体容器 開閉式のノズルを有するもの(消火剤がノズルに到達する前の構造が開閉式であるものを含む。以下同じ。) 非耐食性材料(耐食性材料以外の材料をいう。以下同じ。)を用いたもの 安全弁のないもの P×2.0
安全弁のあるもの P×1.6
耐食性材料を用いたもの 安全弁のないもの P×1.6
安全弁のあるもの P×1.3
開閉式のノズル以外のノズルを有するもの 非耐食性材料を用いたもの 安全弁のないもの P×1.5
安全弁のあるもの P×1.2
耐食性材料を用いたもの 安全弁のないもの P×1.2
安全弁のあるもの P×1.0
蓄圧式の消火器の本体容器 非耐食性材料を用いたもの 安全弁のないもの Q×2.0
安全弁のあるもの Q×1.6
耐食性材料を用いたもの 安全弁のないもの Q×1.6
安全弁のあるもの Q×1.3
 安全弁のない消火器の本体容器にあっては、前号に規定するもののほか、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる圧力を水圧力で5分間加える試験を行った場合において、き裂又は破断を生じないこと。
区分 圧力
加圧式の消火器の本体容器 開閉式のノズルを有するもの 非耐食性材料を用いたもの P×2.7
耐食性材料を用いたもの P×2.1
開閉式のノズル以外のノズルを有するもの 非耐食性材料を用いたもの P×2.0
耐食性材料を用いたもの P×1.6
蓄圧式の消火器の本体容器 非耐食性材料を用いたもの Q×3.0
耐食性材料を用いたもの Q×2.4
2 前項各号の表において、P及びQは、それぞれ次の圧力値(単位メガパスカル)を表すものとする。
 P
 加圧用ガス容器及び圧力調整器を有する消火器の本体容器にあっては、調整圧力の最大値
 イに掲げる本体容器以外の本体容器にあっては、その内部の温度を40度(消火器の使用温度範囲が40度を超えるものにあっては、その最高温度)とした場合における閉そく圧力の最大値。この場合において、手動ポンプにより作動する水消火器については700ニュートンの力を加えて閉そく圧力の数値を測定するものとする。
 Q 蓄圧式の消火器の本体容器について、その内部の温度を40度(消火器の使用温度範囲が40度を超えるものにあっては、その最高温度)とした場合において第28条に規定する指示圧力計の緑色で明示された使用圧力の上限値
(蓄圧式の消火器の気密性)
第12条の2 蓄圧式の消火器は、消火剤を充塡した状態で、使用温度範囲の上限の温度に24時間放置してから使用温度範囲の下限の温度に24時間放置することを3回繰り返した後に温度20度の空気中に24時間放置した場合において、圧縮ガス及び消火剤が漏れを生じないものでなければならない。
(キャップ、プラグ、口金及びパッキン)
第13条 消火器のキャップ、プラグ、口金及びパッキンは、次の各号に適合するものでなければならない。
 キャップ又はプラグ及び口金には、その間に容易にはずれないようにパッキンをはめ込むこと。
 キャップ又はプラグは、第12条第1項第1号に規定する試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 キャップ又はプラグのかん合部分は、パッキンをはめ込んだ場合において、かん合が確実で、かつ、第12条第1項第1号の表の上欄に掲げる消火器の本体容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる圧力に十分に耐えるように口金にかみ合うこと。
 キャップ若しくはプラグ又は口金には、充塡その他の目的でキャップ又はプラグをはずす途中において本体容器内の圧力を完全に減圧することができるように有効な減圧孔又は減圧溝を設けること。この場合において、キャップ又はプラグは、減圧が完了するまでの間は、本体容器内の圧力に耐えることができること。
 パッキンは、充塡された消火剤に侵されないものであって、かつ、消火器を使用温度範囲で使用した場合において、当該消火器の機能に悪影響を与えないものであること。
(バルブ)
第14条 消火器のバルブは、次の各号に適合するものでなければならない。
 次項に規定するバルブを除き、第12条第1項第1号に規定する試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 ハンドル車式のバルブにあっては、1回転4分の1以下の回転で全開すること。
 バルブを開放した場合において、当該バルブが分解し、又は離脱しないこと。
2 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)の適用を受ける蓄圧式の消火器及び消火器の加圧用ガス容器(作動封板を設けたものを除く。)には、同法の適用を受けるバルブ(以下「容器弁」という。)を設け、かつ、当該容器弁は、次の各号に適合するものでなければならない。
 弁箱は、JIS H 3250に適合する材質又はこれと同等以上の強度及び耐食性を有する材質を用いたものであること。
 弁箱は、二酸化炭素消火器又は二酸化炭素を充塡する加圧用ガス容器に設けるものにあっては24・5メガパスカルの圧力を、その他のものに設けるものにあっては当該容器弁を設ける容器の耐圧試験圧力(容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号)第2条第15号に定めるものをいう。以下同じ。)に等しい圧力を水圧力で5分間加える試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 当該容器弁を設ける容器の内部ガスの温度を40度とした場合の内部圧力に等しい圧力を気体圧力で5分間加える試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 安全弁を有すること。
(ホース)
第15条 消火器には、ホースを取り付けなければならない。ただし、ハロゲン化物消火器でその消火剤の質量が4キログラム未満のもの又は粉末消火器でその消火剤の質量が1キログラム以下のものについては、この限りでない。
2 消火器のホースは、次の各号に適合するものでなければならない。
 第12条第1項第1号に規定する試験を行なった場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 長さは、消火剤を有効に放射するに足るもの(据置式の消火器にあっては、有効長(ホースを有効に使用することができる状態で、もっとも長く延長したときの長さをいう。以下同じ。)が10メートル以上であるもの)であること。
 使用温度範囲で耐久性を有するものであって、かつ、円滑に操作できるものであること。
 ホースを延長して使用するものにあっては、延長の操作により変形、き裂その他の異常を生じないものであること。
(ノズル)
第16条 消火器(車載式の消火器を除く。)のノズルには、開閉式及び切替式の装置を設けてはならない。ただし、据置式の消火器及び背負式の消火器のノズルにあっては、開閉式の装置を設けることができる。
2 消火器のノズルは、次の各号に適合するものでなければならない。
 第12条第1項第1号に規定する試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないこと。
 内面は、平滑に仕上げられたものであること。
 開閉式又は切替式のノズルにあっては、開閉又は切替えの操作が円滑に行われ、かつ、放射の際消火剤の漏れその他の障害を生じないこと。
 開閉式のノズルにあっては、0・3メガパスカルの圧力を5分間加える試験を行った場合において、漏れを生じないこと。
 開放式のノズルで栓を施しているものにあっては、使用温度範囲で漏れを生じないものであって、かつ、作動させた場合において、確実に消火剤を放射することができるものであること。
(ろ過網)
第17条 手動ポンプにより作動する水消火器、ガラスびんを使用する酸アルカリ消火器若しくは強化液消火器又は化学泡消火器には、ノズル又はホースに通ずる薬剤導出管(薬剤導出管のない消火器にあっては、ノズル)の本体容器内における開口部に、次の各号に定めるところにより、ろ過網を設けなければならない。
 ろ過網の目の最大径は、ノズルの最小径の4分の3以下であること。
 ろ過網の目の部分の合計面積は、ノズルの開口部の最小断面積の30倍以上であること。
(液面表示)
第18条 手動ポンプにより作動する水消火器、酸アルカリ消火器及び化学泡消火器の本体容器の内面には、充塡された消火剤の液面を示す簡明な表示をしなければならない。
(衝撃強度等)
第19条 消火器は、運搬及び作動操作に伴う不時の落下、衝撃等に十分耐えることができるものであって、かつ、耐久性を有する良質の材料を用いた堅ろうなものでなければならない。
(消火剤の漏出防止)
第20条 消火器には、温度上昇、振動等によって充塡された消火剤の漏れを生じないように、漏出防止の装置を設けなければならない。ただし、漏れを生ずるおそれのない構造の消火器については、この限りでない。
(安全栓)
第21条 消火器には、不時の作動を防止するため安全栓を設けなければならない。ただし、手動ポンプにより作動する水消火器又は転倒の1動作で作動する消火器については、この限りでない。
2 安全栓は、1動作で容易に引き抜くことができ、かつ、その引き抜きに支障のない封が施されていなければならない。
3 手さげ式の消火器(手にさげた状態で使用する消火器をいう。以下同じ。)のうち押し金具をたたく1動作及びふたをあけて転倒させる動作で作動するもの以外の消火器並びに据置式の消火器の安全栓については、前項の規定によるほか、次に定めるところによらなければならない。
 内径が2センチメートル以上のリング部、軸部及び軸受部より構成されていること。
 装着時において、リング部は軸部が貫通する上レバーの穴から引き抜く方向に引いた線上にあること。
 リング部の塗色は、黄色仕上げとすること。
 材質は、JISG4309のSUS304に適合し、又はこれと同等以上の耐食性及び耐候性を有すること。
 上方向(消火器を水平面上に置いた場合、垂直軸から30度以内の範囲をいう。)に引き抜くよう装着されていること。
 安全栓に衝撃を加えた場合及びレバーを強く握った場合においても引き抜きに支障を生じないこと。
 引き抜く動作以外の動作によっては容易に抜けないこと。
(使用済の表示)
第21条の2 手さげ式の消火器(指示圧力計のある蓄圧式の消火器、バルブを有しない消火器及び手動ポンプにより作動する水消火器を除く。)には、使用した場合、自動的に作動し、使用済であることが判別できる装置を設けなければならない。
(保持装置)
第22条 手さげ式の消火器(自動車用消火器を除く。)には、当該消火器を安定した状態に保たせるため保持装置を設けなければならない。ただし、鉛直に置くことができるものについては、この限りでない。
2 保持装置は、消火器を容易に取りはずすことができる構造のものでなければならない。
(据置式の消火器の安定性)
第22条の2 据置式の消火器は、ホースの延長その他の操作時において安定した状態を保つ構造のものでなければならない。
(携帯又は運搬の装置)
第23条 消火器は、保持装置及び背負ひも又は車輪の質量を除く部分の質量が28キログラム以下のものにあっては手さげ式、据置式又は背負式に、28キログラムを超え35キログラム以下のものにあっては据置式、車載式又は背負式に、35キログラムを超えるものにあっては車載式にしなければならない。
2 消火器の携帯又は運搬に用いる取手等、背負ひも又は車輪は、堅ろうで、かつ、消火器の携帯又は運搬及び作動に適した寸法及び形状のものでなければならない。
(安全弁)
第24条 消火器の安全弁は、次の各号に適合するものでなければならない。
 本体容器内の圧力を有効に減圧することができること。
 みだりに分解し、又は調整することができないこと。
 次項に規定する安全弁の取付ねじは、JIS B 0202に適合し、かつ、パッキンをはめ込んだ場合において、確実に取付部にかみ合うこと。
 封板式のものにあっては、噴き出し口に封を施すこと。
 「安全弁」と表示すること。
2 消火器の本体容器(高圧ガス保安法の適用を受けないものに限る。)又は容器弁以外のバルブに設ける安全弁は、次の表の上欄に掲げる当該安全弁を設ける消火器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる作動圧力の範囲内で作動するものでなければならない。
安全弁を設ける消火器の区分 安全弁の作動圧力(メガパスカル)の範囲
作動圧力の上限値 作動圧力の下限値
封板式 バネ式
加圧式の消火器 開閉式のノズルを有するもの P×1.3 P×1.1 P×1.0
開閉式のノズル以外のノズルを有するもの P×0.9 P×1.1 P×1.0
蓄圧式の消火器 Q×1.3 Q×1.1 Q×1.0
3 前項の表において、P及びQは、第12条第2項に規定する圧力値を表わし、Rは、本体容器内部の温度を40度(消火器の使用温度範囲が40度を超えるものにあっては、その最高温度)とした場合における放射中の本体容器の内部圧力の最大値を表すものとする。
4 容器弁に設ける安全弁は、次の各号に適合するものでなければならない。
 二酸化炭素消火器及び二酸化炭素を充塡する加圧用ガス容器の容器弁に設けるものにあっては封板式、その他の容器弁に設けるものにあっては封板式、溶栓式又は封板溶栓式であること。
 封板式のものにあっては、次の表の上欄に掲げる当該容器弁を設ける容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる作動圧力の範囲内で作動すること。
容器弁を設ける容器の区分 安全弁の作動圧力(メガパスカル)の範囲
作動圧力の上限値 作動圧力の下限値
二酸化炭素消火器及び二酸化炭素を充塡する加圧用ガス容器 24・5 17・5
二酸化炭素消火器以外の消火器及び窒素ガスを充塡する加圧用ガス容器 A P1 P1×0.7(P2を下回る場合は、P2)
A以外のもの P1×0.8 P1×0.68(P2を下回る場合は、P2)
 溶栓式のものにあっては、次の表の上欄に掲げる当該容器弁を設ける容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる作動温度の範囲内で作動すること。
容器弁を設ける容器の区分 安全弁の作動温度の範囲
作動温度の上限値 作動温度の下限値
二酸化炭素消火器以外の消火器及び窒素ガスを充塡する加圧用ガス容器 A T1 T2(65度を下回る場合は、65度)
A以外のもの T3 T4(65度を下回る場合は、65度)
 封板溶栓式のものにあっては、前2号の表の上欄に掲げる当該容器弁を設ける容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる作動圧力及び作動温度の範囲内で作動すること。
5 前項の表において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 A 容器を最高充塡圧力(圧縮ガスを充塡するものにあっては温度35度、液化ガス又は混合ガス(液化ガスに圧縮ガスを加えたものをいう。)を充塡するものにあっては温度48度において容器に充塡することができるガスの圧力のうち最大のものをいう。以下同じ。)の12分の25倍以上の圧力に耐えるように設計したものをいう。
 P1容器の耐圧試験圧力値をいう。
 P2温度65度における容器の内部圧力値をいう。
 T1容器の耐圧試験圧力に対応する内部ガスの温度をいう。
 T2容器の耐圧試験圧力に0・7を乗じた圧力に対応する内部ガスの温度をいう。
 T3容器の耐圧試験圧力に0・8を乗じた圧力に対応する内部ガスの温度をいう。
 T4容器の耐圧試験圧力に0・68を乗じた圧力に対応する内部ガスの温度をいう。
(加圧用ガス容器)
第25条 内容積が100立方センチメートルを超える加圧用ガス容器は、次の各号に適合するものでなければならない。
 ガスを充塡して40度の温水中に2時間浸す試験を行った場合において、漏れを生じないこと。
 本体容器の内部に取り付けられる加圧用ガス容器の外面は、本体容器に充塡された消火剤に侵されないものであり、かつ、表示、塗料等がはがれないこと。
 本体容器の外部に取り付けられる加圧用ガス容器は、外部からの衝撃から保護されていること。
 二酸化炭素を用いる加圧用ガス容器の内容積は、充塡する液化炭酸の1グラムにつき1・5立方センチメートル以上であること。
 作動封板は、17・5メガパスカル以上設計容器破壊圧力の4分の3以下の圧力を水圧力で加える試験を行った場合において、破壊されること。
2 内容積が100立方センチメートル以下の加圧用ガス容器は、前項第1号から第4号まで及び次の各号に適合するものでなければならない。
 二酸化炭素を充塡するものにあっては24・5メガパスカルの圧力を、窒素ガスを充塡するものにあっては最高充塡圧力の3分の5倍の圧力を水圧力で2分間加える試験を行った場合において、漏れ又は異常膨脹がないこと。
 作動封板は、前号に規定する圧力を水圧力で加える試験を行った場合において、破壊されないこと。
 加圧用ガス容器は、破壊されるとき周囲に危険を及ぼすおそれが少ないこと。
(圧力調整器)
第26条 消火器の圧力調整器は、次の各号に適合するものでなければならない。
 JIS B 6803(放出能力に関する部分を除く。)に適合すること。
 みだりに分解し、又は調整することができないこと。
 圧力調整器の圧力計は、調整圧力の範囲を示す部分を緑色で明示すること。
(ガス導入管)
第27条 消火器のガス導入管は、第12条第1項第1号及び第2号の表の上欄に掲げる加圧式の消火器の本体容器の区分に応じ、それぞれ当該下欄に掲げる圧力(加圧用ガス容器と本体容器との間に圧力調整器を有する消火器の加圧用ガス容器と圧力調整器との間のガス導入管又は加圧用ガス容器と本体容器との間に圧力調整器を有しないで開閉バルブを有する消火器の加圧用ガス容器と開閉バルブとの間のガス導入管については、20メガパスカルの圧力)を水圧力で5分間加える試験を行った場合において、漏れを生ぜず、かつ、著しい変形を生じないものでなければならない。
(指示圧力計)
第28条 蓄圧式の消火器(二酸化炭素消火器及びブロモトリフルオロメタン(以下「ハロン1301」という。)消火器を除く。)には、次の各号に定めるところにより、指示圧力計を設けなければならない。
 指示圧力計の指示圧力の許容誤差は、次に掲げる試験を行った場合において、使用圧力の範囲の圧力値の上下10パーセント以内であること。
 使用圧力の上限値の2倍の圧力を30分以上持続する静圧試験
 零メガパスカルから使用圧力の上限値まで加圧した後再び零メガパスカルまで減圧し、これを毎分15回の割合で1000回反復する試験
 指示圧力計を収納した質量1キログラムの木箱を50センチメートルの高さから堅木の床面に自然落下させる試験
 温度を零下30度から60度までの温度範囲に変化させる試験
 第30条に規定する試験に準ずる試験
 指標は、見やすいものであること。
 指針及び目盛り板は、耐食性を有する金属であること。
 圧力検出部及びその接合部は、耐久性を有すること。
 ケースは、温度60度の温水中に20分間浸す試験を行った場合において、漏れがなく、かつ、圧力がケース内に閉そくされた場合に有効に減圧することができる構造であること。
 圧力検出部の材質、使用圧力範囲(単位メガパスカル)及び0消の記号を表示すること。
 使用圧力の範囲を示す部分を緑色で明示すること。
 指示圧力計の取付ねじは、JIS B 0202に適合し、かつ、指示圧力計を取り付けた場合において、確実に取付部にかみ合うものであること。
 外部からの衝撃に対し保護されていること。
(放射圧力の圧力源たるガス等)
第29条 消火器の放射圧力の圧力源として消火器に充塡されるガス又は化学薬品は、消火剤の性能又は性状に悪影響を与えないものでなければならない。
(自動車用消火器の振動試験)
第30条 自動車用消火器は、次の図に示す取付け方法で全振幅2ミリメートル、毎分2000回の上下振動を、図1及び図2にあっては2時間、図3にあっては4時間加える試験を行なった場合において、漏れ、き裂、破断又は著しい変形を生じないものでなければならない。この場合において、保持装置を設ける消火器にあっては、取付け装置に代え保持装置を取り付けて試験を行ない、保持装置に著しい損傷その他の障害を生じないものでなければならない。
図1
備考 取付け面は、振動板に対して水平又は垂直とする。
図2 図3
(手動ポンプ)
第31条 手動ポンプにより作動する水消火器は、消火剤の放射が著しく脈動しない構造としなければならない。
2 手動ポンプにより作動する水消火器で、ポンプのピストンに皮革製のわん皮を使用するものは、わん皮を潤滑油で浸潤する構造としなければならない。
(酸アルカリ消火器等の支持具等)
第32条 酸アルカリ消火器及び強化液消火器は、堅ろうな構造の支持具等を用いることによりその運搬、携帯その他の取扱いの際、消火剤を収納するびんに損傷を与えない構造でなければならない。
(作動軸等)
第33条 放射圧力の圧力源たるガスを消火器の本体容器内に導入するための作動軸及びガス導入管は、次の各号に適合するものでなければならない。
 作動軸は、加圧用ガス容器のふたを容易かつ確実にあけるのに適した構造及び強度を有するものであること。
 ガス導入管は、放射圧力の圧力源たるガスを消火器の本体容器内に有効に導入するのに適した構造及び強度を有するものであること。
(化学泡消火器の内筒)
第34条 化学泡消火器の内筒は、次の各号に適合するものでなければならない。
 内筒は、機能上支障のない構造及び強度を有すること。
 内筒には、充塡された消火剤の液面を示す簡明な表示をすること。
2 化学泡消火器の内筒のうち密封されていないものは、前項に定めるもののほか、次の各号に適合するものでなければならない。
 消火器を30度傾けた場合において、化学薬品が漏れないものであること。
 転倒式の消火器の内筒で自動的にふたが落下する構造のものにあっては、次に掲げるところによること。
 前項第2号に規定する表示からふた座までの距離は、内筒の内径の0・6倍以上であること。
 ふたは、確実に落下するものであって、かつ、0・8メートルの高さから堅木の床面上に自然落下させた場合において、著しい変形その他の障害を生じないものであること。
 前号に規定する内筒以外の内筒のふたは、消火器の運搬、携帯その他の取り扱いの際損傷を受けないものであって、かつ、作動の際容易に開放することができるものであること。
(二酸化炭素消火器等の充塡比等)
第35条 二酸化炭素消火器、ブロモクロロジフルオロメタン(以下「ハロン1211」という。)消火器及びハロン1301消火器の本体容器の内容積は、充塡する液化炭酸、ハロン1211及びハロン1301の質量1キログラムにつき、それぞれ1500立方センチメートル、700立方センチメートル及び900立方センチメートル以上の容積としなければならない。
2 二酸化炭素消火器、ハロン1211消火器及びハロン1301消火器のホースは、第15条第2項第1号の規定にかかわらず、次に掲げる試験を行った場合において、漏れ、き裂、著しい変形その他の障害を生じないものでなければならない。
 ホースを伸長した状態で、二酸化炭素消火器にあっては16メガパスカルの圧力を、ハロン1211消火器及びハロン1301消火器にあっては温度48度における内部圧力の1・2倍に等しい圧力を水圧力で5分間加える試験
 ホースの外径の5倍に等しい内径を有するようにホースを環状に曲げた状態で、二酸化炭素消火器にあっては12メガパスカルの圧力を、ハロン1211消火器及びハロン1301消火器にあっては温度48度における内部圧力に等しい圧力を水圧力で5分間加える試験
3 二酸化炭素消火器の放射管は、その周囲を熱の不良導体で被覆しなければならない。
4 二酸化炭素消火器、ハロン1211消火器及びハロン1301消火器の放射ホーンは、非吸湿性であり、かつ、電気絶縁性のある強じんな材料を用いて造られたものでなければならない。
5 二酸化炭素消火器、ハロン1211消火器及びハロン1301消火器の放射管及び結合金具は、第2項第1号に規定する圧力を水圧力で5分間加える試験を行った場合において、漏れ、離脱その他の障害を生じないものでなければならない。
(高圧ガス保安法の適用を受ける容器の特例)
第36条 高圧ガス保安法の適用を受ける本体容器、口金及び加圧用ガス容器については、第12条及び第13条の規定にかかわらず、同法及び容器保安規則の定めるところによる。ただし、容器保安規則第2条第26号の表液化炭酸ガスの項中「19・6」とあるのは、「24・5」とする。
(塗色)
第37条 消火器の外面は、その25パーセント以上を赤色仕上げとしなければならない。
(表示)
第38条 消火器には、その見やすい位置に次の各号に掲げる事項を記載した簡明な表示をしなければならない。
 水消火器、酸アルカリ消火器、強化液消火器、泡消火器、ハロゲン化物消火器、二酸化炭素消火器又は粉末消火器の区別
 住宅用消火器でない旨
 加圧式の消火器又は蓄圧式の消火器の区別
 使用方法(手さげ式の消火器及び据置式の消火器にあっては、併せて図示すること。)
 使用温度範囲
 B火災(変圧器、配電盤その他これらに類する電気設備の火災(以下「電気火災」という。)を除く。)又は電気火災に使用してはならない消火器にあっては、その旨
 A火災又はB火災に対する能力単位の数値
 放射時間
 放射距離
 製造番号
十一 製造年
十二 製造者名
十三 型式番号(自動車用消火器を除く。)
十四 第12条第1項第1号に規定する試験に用いた圧力値
十五 安全弁の作動圧力値
十六 充塡された消火剤の容量又は質量
十七 総質量(充塡された消火剤を容量で表わすものを除く。)
十八 ホースの有効長(据置式の消火器に限る。)
十九 取扱い上の注意事項として次に掲げる事項
 加圧用ガス容器に関する事項(加圧式の消火器に限る。)
 指示圧力計に関する事項(蓄圧式の消火器に限る。)
 標準的な使用条件の下で使用した場合に安全上支障がなく使用することができる標準的な期間又は期限として設計上設定される期間又は期限
 使用時の安全な取扱いに関する事項
 維持管理上の適切な設置場所に関する事項
 点検に関する事項
 廃棄時の連絡先及び安全な取扱いに関する事項
 その他取扱い上注意すべき事項
2 ハロゲン化物消火器(ハロン1301消火器を除く。)にあっては、前項の表示のほか、次の表示をしなければならない。この場合において、「注意」の文字は赤色とし、表示の大きさは、充塡された消火剤の質量が4キログラム以下のものにあってはよこ5センチメートル以上たて3センチメートル以上、4キログラムをこえるものにあってはよこ6センチメートル以上たて5センチメートル以上でなければならない。
3 自動車用消火器にあっては、第1項の表示のほか、次の表示をしなければならない。この場合において、「自動車用」の文字は赤色とし、表示の大きさはよこ5センチメートル以上たて2センチメートル以上でなければならない。
4 消火器には、その見やすい位置に次の各号に定めるところにより、表示をしなければならない。
 A火災(電気火災を除く。以下この号において同じ。)に適応する消火器にあっては「普通火災用」と、B火災(電気火災を除く。以下同じ。)に適応する消火器にあっては「油火災用」と、電気火災に適応する消火器にあっては「電気火災用」とそれぞれ明瞭に表示し、併せて、次の表の上欄に掲げる適応する火災の区分に応じ、それぞれ中欄に掲げる絵表示を、下欄に掲げる絵表示の色で表示すること。
火災の区分 絵表示 絵表示の色
A火災 炎は赤色、可燃物は黒色とし、地色は白色とする。
B火災 炎は赤色、可燃物は黒色とし、地色は黄色とする。
電気火災 電気の閃光は黄色とし、地色は青色とする。
 前号の絵表示の大きさは、充塡する消火剤の容量又は質量が、2リットル又は3キログラム以下のものにあっては半径1センチメートル以上、2リットル又は3キログラムを超えるものにあっては半径1・5センチメートル以上の大きさとする。
 ノズルの切替えにより適応する火災の区分が異なることとなる消火器にあっては、B火災に適応するノズルの場合は「○○ノズルの場合は、油火災用」と、電気火災に適応するノズルの場合は「○○ノズルの場合は、電気火災用」と、それぞれ明瞭に表示すること。

第3章 住宅用消火器

(構造)
第39条 住宅用消火器(交換式消火器以外の住宅用消火器をいう。以下この章において同じ。)は、蓄圧式の消火器であって、かつ、消火剤を再充塡できない構造でなければならない。
(消火性能)
第40条 住宅用消火器は、次の各号に掲げる消火性能を有するものであり、かつ、電気火災に適応するものでなければならない。
 普通火災(電気火災を除くA火災をいう。)に対する消火性能
次の模型を用い、イ及びロに定めるところにより消火試験を行った場合において、消火剤の放射終了時において残炎が認められず、かつ、放射終了後2分以内に再燃しないものであること。
 燃焼なべに、0・6リットルのノルマルヘプタン(沸点は96度以上102度以下であり、かつ、純分が95パーセント以上のものに限る。以下同じ。)を入れ、点火すること。
 消火は、点火した後3分で開始すること。
 天ぷら油火災(住宅で使用する天ぷら鍋内の油が発火することによって生ずる火災をいう。)に対する消火性能
次の模型を用い、イからハまでに定めるところにより消火試験を行った場合において、消火剤の放射中において著しい火炎の拡大、油の飛散等が生じないものであって、かつ、消火剤の放射終了後1分以内に再燃しないものであること。
 天ぷら鍋に1リットルの大豆油(発火点が360度以上370度以下のものに限る。)を入れ、ガスコンロで加熱することによって発火させること。
 消火は、油温が400度になった時点で開始すること。
 模型内の炎が消えた時点において、ガスコンロの火を消すこと。
 ストーブ火災(住宅で使用する石油ストーブの灯油に引火することによって生ずる火災をいう。)に対する消火性能
次の模型を用い、イ及びロに定めるところにより消火試験を行った場合において、消火剤の放射終了時において残炎が認められず、かつ、消火剤の放射終了後1分以内に再燃しないものであること。
 畳の上にJIS S 2019に適合する自然通気型開放式石油ストーブのうち放射形のものを置き、十分間燃焼させた後、1リットルのJIS K 2203の1号に適合する灯油をストーブの底部と畳にかけ、着火用として50ミリリットルのノルマルヘプタンをかけて、点火すること。
 消火は、点火した後1分で開始すること。
2 前項各号の消火試験は、次の各号に定めるところにより行わなければならない。
 住宅用消火器の操作者は、防火衣服を着用しないこと。
 無風の状態において行うこと。
(操作の機構)
第41条 住宅用消火器は、その保持装置から取りはずす動作、安全栓をはずす動作及びホースをはずす動作を除き、1動作(据置式の住宅用消火器にあっては2動作以内)で容易に、かつ、確実に放射を開始することができるものでなければならない。
2 住宅用消火器の安全栓、レバー等の操作部分には、操作方法を見やすい箇所に簡明に、かつ、消えないように表示しなければならない。
(消火剤)
第42条 住宅用消火器に充塡された消火剤は、ハロゲン化物消火薬剤又は液化二酸化炭素であってはならない。
2 第7条第1項及び第2項の規定は、住宅用消火器について準用する。
(キャップ、プラグ、口金及びパッキン)
第43条 住宅用消火器のキャップ、プラグ、口金及びパッキンは、第13条第1号から第3号まで及び第5号の規定に適合し、かつ、溶接等により完全に口金に固定され、取りはずすことができない構造のものでなければならない。
(表示)
第44条 住宅用消火器には、その見やすい位置に次の各号に掲げる事項を記載した簡明な表示をしなければならない。
 水消火器、強化液消火器、泡消火器又は粉末消火器の区別
 住宅用消火器である旨
 使用方法(併せて図示すること。)
 使用温度範囲
 適応火災の絵表示(次のように図示すること。)
 放射時間
 放射距離
 製造番号
 製造年
 製造者名
十一 型式番号
十二 充塡された消火剤の容量又は質量
十三 ホースの有効長(据置式の消火器に限る。)
十四 取扱い上の注意事項として次に掲げる事項
 指示圧力計に関する事項
 使用期間又は使用期限に関する事項
 消火剤の再充塡ができない旨
 使用時の安全な取扱いに関する事項
 維持管理上の適切な設置場所に関する事項
 点検に関する事項
 天ぷら油火災に関する事項
 廃棄時の連絡先及び安全な取扱いに関する事項
 その他取扱い上注意すべき事項
(準用)
第45条 第6条、第10条から第12条の2まで、第14条、第15条第2項、第16条、第19条、第21条、第22条から第24条まで、第28条、第29条及び第36条の規定は、住宅用消火器について準用する。この場合において必要な読み替えは、次の表のとおりとする。
読み替える規定 読み替えられる字句 読み替える字句
第6条、第10条から第12条の2まで、第14条、第15条第2項、第16条、第19条、第21条、第22条から第24条まで、第28条及び第29条 消火器 住宅用消火器
第10条第4号 90パーセント(化学泡消火薬剤にあっては、85パーセント) 85パーセント
第15条第2項第2号 10メートル 5メートル

第4章 交換式消火器

(住宅用消火器以外の消火器に係る交換式消火器の能力単位)
第46条 住宅用消火器以外の消火器に係る交換式消火器は、収納容器(当該交換式消火器に適合するものに限る。以下同じ。)に結合して使用する場合において、第3条及び第4条に規定する消火試験により測定した能力単位の数値が1以上でなければならない。ただし、大型消火器に係る交換式消火器で、A火災に適応するものにあっては10以上、B火災に適応するものにあっては20以上でなければならない。
(住宅用消火器に係る交換式消火器の消火性能)
第47条 住宅用消火器に係る交換式消火器の消火性能は、交換式消火器を収納容器に結合して使用する場合において、第40条の規定に適合するものでなければならない。
(放射性能)
第48条 交換式消火器は、収納容器に結合し正常な操作方法で放射した場合において、第10条各号の規定に適合するもの(住宅用消火器に係る交換式消火器にあっては、同条第1号から第3号までの規定に適合し、かつ、充塡された消火薬剤の容量又は質量の85パーセント以上の量を放射できるもの)でなければならない。
(使用温度範囲)
第49条 交換式消火器は、収納容器に結合して使用する場合において、その消火器の種類に応じ、第10条の2各号に規定する使用温度範囲で使用したとき、正常に操作することができ、かつ、消火及び放射の機能を有効に発揮することができるものでなければならない。
(自動車用消火器に係る交換式消火器の振動試験)
第50条 自動車用消火器に係る交換式消火器は、収納容器に結合する場合において、第30条の規定に適合するものでなければならない。
(表示)
第51条 交換式消火器の本体容器には、次の各号に掲げる事項を記載した簡明な表示をしなければならない。
 製造番号
 製造年
 製造者名
 型式番号
 当該交換式消火器に適合する消火器の型式番号
 取扱い上の注意事項として次に掲げる事項
 交換式消火器の結合方法
 廃棄時の連絡先及び安全な取扱いに関する事項
 その他取扱い上注意すべき事項
(準用)
第52条 第6条から第9条まで、第11条から第14条まで、第17条から第19条まで、第24条、第28条、第29条及び第34条から第36条までの規定は、住宅用消火器以外の消火器に係る交換式消火器について準用する。この場合において、「消火器」とあるのは「交換式消火器」と読み替えるものとする。
2 第6条、第11条から第12条の2まで、第14条、第19条、第24条、第28条、第29条、第36条、第39条、第42条及び第43条の規定は、住宅用消火器に係る交換式消火器について準用する。この場合において、「消火器」とあるのは「交換式消火器」と読み替えるものとする。

第5章 雑則

(基準の特例)
第53条 新たな技術開発に係る消火器について、その形状、構造、材質及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。

附則

1 この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和44年10月23日自治省令第29号) 抄
1 この省令は、昭和45年1月1日から施行する。
附則 (昭和48年10月17日自治省令第28号) 抄
1 この省令は、昭和49年1月1日から施行する。
附則 (昭和56年10月30日自治省令第27号)
1 この省令は、昭和56年12月1日から施行する。
2 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会の行う消防用機械器具等についての試験を申請している消火器に係る試験については、なお従前の例による。
附則 (昭和57年11月15日自治省令第24号)
1 この省令は、昭和57年12月1日から施行する。ただし、第1条の2の改正規定は、昭和58年1月1日から施行する。
2 昭和57年12月1日において、現に日本消防検定協会の行う消防用機械器具等についての試験を申請している消火器に係る試験については、なお従前の例による。
附則 (昭和62年3月18日自治省令第7号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成元年2月20日自治省令第3号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、平成2年5月23日から施行する。
附則 (平成5年2月24日自治省令第7号)
1 この省令は、平成5年3月1日から施行する。
2 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会又は自治大臣の指定する者の行う消防用機械器具等についての試験を申請している消火器に係る試験については、なお従前の例による。
3 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火器に係る型式承認は、改正後の消火器の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則 (平成9年9月29日自治省令第36号)
この省令は、平成9年10月1日から施行する。
附則 (平成10年9月28日自治省令第37号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成11年10月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会の行う検定対象機械器具等についての試験を申請をしている消火器、消火薬剤、閉鎖型スプリンクラーヘッド、消防用ホース、一斉開放弁、泡消火薬剤、感知器及び発信機、流水検知装置、差込式結合金具並びにねじ式結合金具に係る試験については、なお従前の例による。
2 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火器に係る型式承認及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火器に係る型式承認は、第1条の規定による改正後の消火器の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則 (平成12年9月14日自治省令第44号)
この省令は、内閣法の一部を改正する法律(平成11年法律第88号)の施行の日(平成13年1月6日)から施行する。
附則 (平成22年12月22日総務省令第111号)
(施行期日)
第1条 この省令は、平成23年1月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会又は消防法(昭和23年法律第186号)第21条の3第1項に規定する法人であって総務大臣の登録を受けた者が行う消防用機械器具等についての試験を申請している消火器に係る試験については、なお従前の例による。
2 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火器に係る型式承認及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火器に係る型式承認は、平成23年12月31日までの間に限り、なおその効力を有する。
附則 (平成25年3月27日総務省令第26号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成26年4月1日から施行する。
(経過措置)
第3条 この省令の施行の際、現に日本消防検定協会又は消防法第21条の3第1項に規定する法人であって総務大臣の登録を受けた者が行う検定対象機械器具等についての試験を申請している消火器に係る試験については、なお従前の例による。
2 この省令の施行の際、現に型式承認を受けている消火器及び前項の規定により従前の例によることとされた試験の結果に基づいて型式承認を受けた消火器に係る型式承認は、附則第2条の規定による改正後の消火器の技術上の規格を定める省令の規格による型式承認とみなす。
附則 (令和元年6月28日総務省令第19号)
この省令は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月1日)から施行する。

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