きょうせいいかんしゅうがくしきんたいよほう
矯正医官修学資金貸与法
昭和36年法律第23号
(この法律の目的)
第1条 この法律は、刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院(以下「矯正施設」という。)における医療の重要性にかんがみ、医師たる矯正施設の職員の充実に資するため、医学を専攻する者で将来矯正施設に勤務しようとするものに対し、修学資金を貸与することを目的とする。
(矯正医官修学資金)
第2条 政府は、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学(以下単に「大学」という。)の医学部において医学を専攻する学生であって、将来矯正施設に勤務しようとするものの申請により、その者に無利息で矯正医官修学資金(以下「修学資金」という。)を貸与する旨の契約を結ぶことができる。
(貸与方法)
第3条 修学資金は、貸与の契約に定められた月から、大学を卒業する日の属する月までの間、毎月、政令で定める額を貸与するものとする。ただし、帰省その他特別の理由があるときは、あらかじめ、2月分又は3月分をあわせて貸与することができる。
(修学資金の総額)
第4条 政府は、第2条の規定により修学資金を貸与する旨の契約を結ぶ場合には、当該年度において結ばれる契約に基づいて貸与すべき修学資金の総額が予算で定める金額をこえることとならないようにしなければならない。
(保証人)
第5条 修学資金の貸与を受けようとする者は、政令の定めるところにより、保証人を立てなければならない。
2 前項の保証人は、修学資金の貸与を受けた者と連帯して債務を負担するものとする。
(貸与契約の解除並びに貸与の休止及び保留)
第6条 政府は、第2条の規定による契約の相手方(以下「修学生」という。)が次の各号の一に該当するに至ったときは、その契約を解除するものとする。
一 退学したとき。
二 心身の故障のため修学の見込がなくなったと認められるとき。
三 学業成績が著しく不良となったと認められるとき。
四 修学資金の貸与を受けることを辞退したとき。
五 死亡したとき。
六 その他修学資金の貸与の目的を達成する見込がなくなったと認められるとき。
2 政府は、修学生が休学し、又は停学の処分を受けたときは、休学し、又は停学の処分を受けた日の属する月の翌月分から復学した日の属する月の分まで修学資金の貸与を行なわないものとする。この場合において、これらの月の分としてすでに貸与された修学資金があるときは、その修学資金は、当該修学生が復学した日の属する月の翌月以後の分として貸与されたものとみなす。
3 政府は、修学生が正当な理由がなくて第12条に規定する学業成績表の提出を行なわず、又は同条に規定する健康診断を受けない場合には、修学資金の貸与を一時保留することができる。
(返還の債務の当然免除)
第7条 修学資金の貸与を受けた者は、次の各号の一に該当するに至ったときは、返還の債務の免除を受けることができる。
一 大学を卒業した後、直ちに矯正施設の職員となり、かつ、引き続き矯正施設又は矯正行政を所管する政令で定めるその他の機関(以下「矯正施設等」という。)に在職した場合において、その引き続く在職期間のうち医師となった後の期間が、修学資金の貸与を受けた期間(前条第2項の規定により貸与されなかった修学資金に係る期間を除く。)の2分の3に相当する期間(この期間が3年に満たないときは、3年とする。)に達したとき。ただし、矯正施設の職員となった日から起算して2年以内に医師となった場合に限る。
二 前号に規定する在職期間中に公務により死亡し、又は公務に起因する心身の故障のため免職されたとき。
2 前項第1号に規定する在職期間を計算する場合においては、月数によるものとし、その計算に必要な事項は、政令で定める。
3 修学資金の貸与を受けた者のうち、大学を卒業した後、直ちに矯正施設の職員となり、かつ、引き続き矯正施設等に在職した者が、矯正施設等の職員でなくなった後、引き続いて医師法(昭和23年法律第201号)第16条の2第1項の規定による臨床研修(以下単に「臨床研修」という。)を行ない、かつ、当該臨床研修を中止し、又は終了した後、引き続いて再び矯正施設等の職員となった場合においては、その者を、先の矯正施設等の職員としての在職期間と後の矯正施設等の職員としての在職期間とを通じ、引き続き矯正施設等に在職した者とみなして前2項の規定を適用する。
(返還)
第8条 修学資金は、次の各号に規定する場合には、政令の定めるところにより、当該各号に規定する事由が生じた日の属する月の翌月から起算して、貸与を受けた期間(第6条第2項の規定により貸与されなかった修学資金に係る期間を除く。)の2分の1に相当する期間(第10条の規定により返還の債務の履行が猶予されたときは、この期間と当該猶予された期間とを合算した期間)内に、返還しなければならない。
一 第6条第1項の規定により、修学資金を貸与する旨の契約が解除されたとき。
二 貸与を受けた者が、大学を卒業した後、直ちに矯正施設の職員とならなかったとき。
三 貸与を受けた者が、大学を卒業した後、死亡したとき(前条第1項第2号に該当するときを除く。)。
四 貸与を受けた者が、矯正施設等の職員でなくなったとき(前条第1項第2号に該当するとき及び矯正施設等の職員でなくなった後、引き続いて臨床研修を行なったときを除く。)。
五 貸与を受けた者が、臨床研修を中止し、又は終了した後、引き続いて再び矯正施設等の職員とならなかったとき。
六 貸与を受けた者が、矯正施設の職員となった日から起算して2年以内に医師とならなかったとき。
(返還の債務の裁量免除)
第9条 政府は、修学資金の貸与を受けた者が、医師となった後、矯正施設等に、通算して修学資金の貸与を受けた期間(第6条第2項の規定により貸与されなかった修学資金に係る期間を除く。)の2分の3に相当する期間(この期間が3年に満たないときは、3年とする。)以上在職したときは、修学資金の返還の債務(履行期が到来していないものに限る。以下同じ。)の全部を免除することができる。
2 政府は、修学資金の貸与を受けた者が、医師となった後、矯正施設等に、通算して3年以上在職したときは、政令の定めるところにより、修学資金の返還の債務の一部を免除することができる。
3 政府は、修学資金の貸与を受けた者が、矯正施設等に在職中に公務により死亡し、又は公務に起因する心身の故障のため免職されたときは、修学資金の返還の債務の全部又は一部を免除することができる。
4 第7条第2項の規定は、第1項及び第2項に規定する在職期間の計算について準用する。
(返還の猶予)
第10条 政府は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定める期間、修学資金の返還の債務の履行を猶予することができる。
一 修学資金の貸与を受けた者が、医師となった後、矯正施設等に在職する場合 その在職する期間
二 修学資金の貸与を受けた者が、矯正施設等の職員でなくなった後、引き続いて臨床研修を行なっている場合 その臨床研修を行なっている期間
三 修学資金の貸与を受けた者が、災害、疾病その他やむを得ない理由により修学資金を返還することが困難であると認められる場合 その理由が継続する期間
2 前項の規定により修学資金の返還の債務を猶予する場合には、国の債権の管理等に関する法律(昭和31年法律第114号)第26条の規定は、適用しない。
(延滞利息)
第11条 修学資金の貸与を受けた者は、正当な理由がなくて修学資金を返還すべき日までにこれを返還しなかったときは、当該返還すべき日の翌日から返還の日までの期間の日数に応じ、返還すべき額につき年14・5パーセントの割合で計算した延滞利息を支払わなければならない。
(学業成績表の提出等)
第12条 修学生は、法務省令の定めるところにより、毎年学業成績表を法務大臣に提出し、及び健康診断を受けなければならない。
(省令への委任)
第13条 この法律で政令に委任するものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、法務省令で定める。
附則
1 この法律は、昭和36年4月1日から施行する。
附則 (昭和43年5月15日法律第47号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(矯正医官修学資金貸与法の一部改正に伴う経過措置)
11 この法律による矯正医官修学資金貸与法の改正は、この法律による改正前の同法(以下「旧法」という。)の規定に基づき既に生じた矯正医官修学資金(以下「修学資金」という。)の返還の債務に影響を及ぼすものではない。
12 旧法の規定に基づき修学資金の貸与を受けた者であって、この法律の施行前に行なわれた医師国家試験に合格し、医師免許を受けたものの当該修学資金の返還については、なお従前の例による。
13 旧法の規定に基づき修学資金の貸与を受けた者であって、この法律による改正前の医師法第11条第1号に規定する実地修練を終了したものに対するこの法律による改正後の矯正医官修学資金貸与法(以下「新法」という。)の規定の適用については、新法第7条第1項第1号中「大学を卒業した後」とあるのは「医師法の一部を改正する法律(昭和43年法律第47号)による改正前の医師法(昭和23年法律第201号)第11条第1号に規定する実地修練(以下単に「実地修練」という。)を終了した後」と、新法第7条第3項並びに第8条第2号及び第3号中「大学を卒業した後」とあるのは「実地修練を終了した後」とする。
附則 (昭和45年4月1日法律第13号)
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
(公衆衛生修学資金貸与法等の一部改正に伴う経過措置)
第7条 次に掲げる法律の規定に規定する延滞利息の全部又は一部で施行日前の期間に対応するものの額の計算については、なお従前の例による。
一 略
二 矯正医官修学資金貸与法第11条
インターネット六法に掲載している法令データは、原則、官報その他政府提供データを基にしています。
※原則とは、現在有効ではない法令の場合は図書館等にて収集しております
データ内容の正確性については万全を期しておりますが、官報に掲載された内容と異なる場合はそちらが優先します。
インターネット六法.comの利用に伴って発生した不利益や問題について、当サイトの運営者は何らの責任を負いません。
掲載している法令等に誤植(ふりがな等)がありましたら、「お問い合わせ」よりお知らせください。ご協力お願いいたします。
インターネット六法が少しでもあなたの役に立てれば光栄です。これからもインターネット六法を宜しくお願いします。
※スマホやタブレットで左の画像を読み込むと現在の法令ページを読み込めます。