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船舶復原性規則

昭和31年運輸省令第76号
船舶復原性規則を次のように定める。

第1章 総則

第1条 削除
(定義)
第2条 この省令において「貨物船」とは、旅客船及び漁船以外の船舶をいう。
2 この省令において「漁船」とは、船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)第1条第2項第1号の船舶をいう。
3 この省令において「特定の水域のみを航行する船舶」とは、沿海区域を航行区域とする船舶であって満載喫水線規則(昭和43年運輸省令第33号)第79条に規定するものをいう。
4 この省令において「ロールオン・ロールオフ旅客船」とは、船舶設備規程(昭和9年逓信省令第6号)第2条第4項のロールオン・ロールオフ旅客船をいう。
5 この省令において「乾舷甲板」とは、満載喫水線規則第2条第1項の乾舷甲板をいう。ただし、同条第2項に規定する船舶にあっては、同項に規定する乾舷甲板とする。
6 この省令において「船の長さ」とは、満載喫水線規則第4条の船の長さをいう。
7 この省令において「海水流入角」とは、船舶の直立状態から、強度及び水密性について管海官庁が有効と認める閉鎖装置を備えない開口の下縁が水面に達するまでの横傾斜角をいう。
8 この省令において「復原力曲線」とは、直角座標において、横軸に船舶の横傾斜角を、縦軸に船舶の復原てこをとり、船舶が排水量を変化することなく横傾斜したときの復原てこを標示した曲線をいう。
(適用の特例)
第2条の2 極海域航行船(船舶設備規程第2条第6項に規定する極海域航行船をいう。以下この条及び第10条の2において同じ。)であって公用に供するものについては、管海官庁が差し支えないと認める場合に限り、この省令の規定のうち極海域航行船に関する規定は、適用しない。

第2章 復原性試験

(試験の内容)
第3条 復原性試験においては、傾斜試験及び動揺試験を行う。ただし、管海官庁が差し支えないと認める船舶にあっては、傾斜試験又は動揺試験を省略することがある。
(傾斜試験)
第4条 傾斜試験は、移動重量物を横方向に移動させることにより、船舶を横傾斜させて行うものとする。
2 傾斜試験においては、すべての使用状態における船舶の重心の位置を算定するために必要な事項を測定するものとする。
(動揺試験)
第5条 動揺試験は、人の移動その他適当な方法により、船舶を横揺れさせて行うものとする。
2 動揺試験においては、すべての使用状態における船舶の横揺れ周期を算定するために必要な事項を測定するものとする。
(準備)
第6条 復原性試験を受ける場合に必要な準備は、次の通りとする。
 風、波、潮流等による影響ができる限り少ない場所を選定し、かつ、船舶が復原性試験の実施中に予想される外力による影響をできる限り避けることができるようにけい留その他の措置をすること。
 船舶の完成の際にとう載すべき設備その他の物は、船内の定位置にとう載すること。
 船舶の完成の際にとう載しない設備その他の物で復原性試験に必要でないものは、船内から除去すること。
 やむを得ない事情により前2号により難い場合は、定位置にとう載しなかったもの又は除去しなかったものについて、その重量及びとう載位置についての詳細な資料を作成すること。
 船内のすべてのタンクをからにし、又は満たし、かつ、タンク以外の船内の水、油等を除去すること。
 やむを得ない事情によりタンクをからにし、又は満たすことが困難な場合は、タンク内の液体の自由表面による影響を正確に算定するための資料を作成すること。
 船内の移動しやすいとう載物は、復原性試験の実施中に移動しないように固定すること。
 船舶の計画トリム以外のトリムをなるべく少なくすること。
2 傾斜試験を受ける場合に必要な準備は、前項に規定するもののほか、次の通りとする。
 船舶を横傾斜させるのに適当な重量のコンクリート、砂、鉄等の移動重量物でその重量を正確に測定したものを船舶にとう載すること。
 船舶の横傾斜角の測定に下げ振りを使用する場合は、なるべく長い下げ振り及びその動揺を少なくするための水そうを船舶にとう載すること。
3 動揺試験を受ける場合に必要な準備は、第1項に規定するもののほか、船舶の横揺れ角をなるべく大きくすることができる人員又は適当な用具の準備とする。

第3章 復原性の計算

(復原性の計算)
第7条 船舶のすべての使用状態における重心の位置、復原てこ、横揺れ周期その他の復原性に関する事項は、復原性試験における測定値(第3条ただし書の規定により傾斜試験又は動揺試験を省略した場合にあっては、管海官庁が適当と認める方法により得られた値)に基づいて算定するものとする。
(浮力の算入範囲)
第8条 復原てこを計算する場合においては、船舶の乾舷甲板下の部分及び閉囲船楼(満載喫水線規則第12条の閉囲船楼をいう。)その他これに準ずる乾舷甲板上の構造物(以下「構造物」という。)以外のものの浮力は算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、管海官庁は、船舶の構造又はその水密性を考慮して前項の規定による浮力の算入範囲を適当に増減することができる。
第9条 前条の規定による浮力の算入範囲内にある構造物の一部が、海水流入角又は管海官庁が指定する横傾斜角のうちいずれか小さい横傾斜角をこえる範囲にある場合は、その構造物の浮力は算入しない。
(液体の自由表面の影響)
第10条 復原性に関する事項の計算においては、船内における液体の自由表面による影響を考慮しなければならない。
(着氷の影響)
第10条の2 極海域航行船の復原性に関する事項の計算においては、着氷による影響を考慮しなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。

第4章 旅客船の復原性の基準

(基準)
第11条 平水区域を航行区域とする旅客船(係留船を除く。)の復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 限界傾斜角における復原てこが風及び旅客の移動により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 10度の横傾斜角における復原てこが旋回により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 横メタセンタ高さが、0・15メートル以上であること。
2 前項に規定する船舶以外の旅客船の復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 限界傾斜角における復原てこが風により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 10度の横傾斜角における復原てこが次に掲げる要件を満足するものであること。
 旋回により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 旅客の移動により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 横メタセンタ高さが、0・15メートル以上であること。
 復原力曲線が次に掲げる要件を満足するものであること。
 横軸と復原力曲線に囲まれた部分の面積が、次表の上欄に掲げる横傾斜角の範囲内において、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上であること。
横傾斜角 面積(メートル・ラジアン)
0度から30度まで 0・055
30度から40度まで 0・030
0度から40度まで 0・090
 30度以上の横傾斜角において、0・2メートル以上の復原てこを有すること。
 復原てこの最大値の生じる横傾斜角は、25度以上であること。
 次の復原力曲線図における面積ABCが面積BDE以上であること。
この場合において、
面積ABCは、復原てこが風により生ずる傾斜偶力てこの1・5倍に等しい復原力曲線上の点B及びCを通る直線と復原力曲線に囲まれた部分の面積
面積BDEは、復原てこが風により生ずる傾斜偶力てこに等しい復原力曲線上の点Fから左方に横揺れ角に等しい距離にある縦軸に平行な直線、点B及びCを通る直線並びに復原力曲線に囲まれた部分の面積
3 第1項に規定する船舶以外の旅客船であってロールオン・ロールオフ旅客船であるものの復原性は、前項に定めるところによるほか、管海官庁が指定する使用状態において、横揺れ角が、20度を超えるものであってはならない。この場合において、横揺れ角は第15条第1項の規定により算定した横揺れ角とする。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。
(限界傾斜角)
第12条 前条の限界傾斜角は、船舶の直立状態から、げん端が水面に達するまでの横傾斜角の5分の4の値又は16度の横傾斜角のうちいずれか小さいものとする。
第13条 削除
(傾斜偶力てこ)
第14条 第11条第1項第1号の風及び旅客の移動により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
Aは、直立状態における船舶の喫水線上の部分及び暴露部に積載する貨物の船体縦断面に対する投影面積(平方メートル)
Hは、船舶の船体縦断面に対する投影において、直立状態における船舶の喫水線上の部分及び暴露部に積載する貨物の面積の中心から喫水線下の部分の中心までの垂直距離(メートル)
nは、旅客搭載場所ごとの旅客の数
aは、旅客搭載場所ごとの床面積(平方メートル)
bは、旅客搭載場所ごとの旅客の移動可能の平均幅(メートル)
Wは、排水量(トン)
2 第11条第1項第2号及び第2項第2号イの旋回により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
V0は、最強速力(メートル毎秒)
Lは、喫水線の全長(メートル)
KGは、基線から船舶の重心までの垂直距離(メートル)
dは、キールの下面から測った船舶の平均喫水(メートル)
3 第11条第2項第1号及び第5号の風により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
A、H及びWは、それぞれ第1項のA、H及びWに同じ。
kは、次表に掲げる係数
船舶の分類 k
特定の水域のみを航行する船舶 0・0171
沿海区域を航行区域とする船舶(特定の水域のみを航行する船舶を除く。) 0・0274
その他の船舶 0・0514
4 第11条第2項第2号ロの旅客の移動により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
nは、旅客搭載場所ごとの旅客の数。ただし、2aを超えるときは2aとする。
a、b及びWは、それぞれ第1項のa、b及びWに同じ。
(横揺れ角)
第15条 第11条第2項第5号の横揺れ角は、次の算式で定めるものとする。
(度)
この場合において、
rは、次項に規定する係数
kは、次表に掲げる値。ただし、ビルジキール又は方形キールを有しない船舶であって、当該船舶のビルジ部が丸型のものでは1・0、角型のものでは0・7とする。
100Ak/LB k
1・00
1・0
0・98
1・5 0・95
2・0 0・88
2・5 0・79
3・0 0・74
3・5 0・72
4・0以上 0・70
備考
一 Akは、ビルジキールの最大投影面積及び方形キールの船体縦断面に対する投影面積の合計値(平方メートル)
二 Lは、喫水線の全長(メートル)
三 Bは、船体最広部におけるフレームの外面から外面までの船の幅(メートル)
四 100Ak/LBがこの表に掲げるものの中間にあるときは、補間法によりkを算定する。
X1は、次表に掲げる値
B/dM X1
2・4以下 1・00
2・5 0・98
2・6 0・96
2・7 0・95
2・8 0・93
2・9 0・91
3・0 0・90
3・1 0・88
3・2 0・86
3・3 0・84
3・4 0・82
3・5以上 0・80
備考
一 Bは、前表の備考3のBに同じ。
二 dMは、キールの上面から測った船舶の平均喫水(メートル)
三 B/dMがこの表に掲げるものの中間にあるときは、補間法によりX1を算定する。
X2は、次表に掲げる値
Cb X2
0・45以下 0・75
0・50 0・82
0・55 0・89
0・60 0・95
0・65 0・97
0・70以上 1・00
備考
一 Cbは、方形係数
二 Cbがこの表に掲げるものの中間にあるときは、補間法によりX2を算定する。
sは、船舶の分類に応じ次表に掲げる値
特定の水域のみを航行する船舶 沿海区域を航行区域とする船舶(特定の水域のみを航行する船舶を除く。) その他の船舶
T s T s T s
3・5以下 0・1000 4・5以下 0・1000 6以下 0・100
4 0・0990 5・5 0・0988 7 0・098
4・5 0・0962 6 0・0925 8 0・093
5 0・0900 7 0・0830 12 0・065
7 0・0640 9 0・0630 14 0・053
9 0・0420 11 0・0460 16 0・044
9・5 0・0380 12 0・0410 18 0・038
10 0・0367 13 0・0368 20以上 0・035
10・5 0・0350 14以上 0・0350
備考
一 Tは、船舶の横揺れ周期(秒)
二 Tがこの表に掲げるものの中間にあるときは、補間法によりsを算定する。
2 係数rは、次の算式で定めるものとする。
この場合において、
OGは、直立状態における船舶の重心から水線面までの垂直距離(メートル)ただし、船舶の重心が水線面下にあるときは、負とする。
dMは、前項のX1に係る表の備考2のdMに同じ。
(ロールオン・ロールオフ旅客船の傾斜偶力てこ及び横揺れ角)
第15条の2 平水区域を航行区域とするロールオン・ロールオフ旅客船の風及び旅客の移動により生ずる傾斜偶力てこは、第14条第1項の規定にかかわらず、次の算式で定めるものとする。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合には、この限りでない。
(メートル)
この場合において、
A、H、n、a、b及びWは、第14条第1項のA、H、n、a、b及びWに同じ。
2 前項に規定する船舶以外のロールオン・ロールオフ旅客船の風により生ずる傾斜偶力てこは、第14条第3項の規定にかかわらず、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
A、H及びWは、それぞれ第14条第1項のA、H及びWに同じ。
kは、次表に掲げる係数
船舶の分類 k
特定の水域のみを航行する船舶 0・0274
その他の船舶 0・0514
3 前項のロールオン・ロールオフ旅客船の横揺れ角は、第15条第1項の規定にかかわらず、次の算式で定めるものとする。
(度)
この場合において、
k、X1、X2及びrは、第15条第1項のk、X1、X2及びrに同じ。
sは、船舶の分類に応じ次表に掲げる値
特定の水域のみを航行する船舶 その他の船舶
T s T s
4・5以下 0・1000 6以下 0・100
5・5 0・0988 7 0・098
6 0・0925 8 0・093
7 0・0830 12 0・065
9 0・0630 14 0・053
11 0・0460 16 0・044
12 0・0410 18 0・038
13 0・0368 20以上 0・035
14以上 0・0350
備考
一 Tは、船舶の横揺れ周期(秒)
二 Tがこの表に掲げるものの中間にあるときは、補間法によりsを算定する。
(係留船の傾斜偶力てこ及び横揺れ角)
第16条 前3条の規定にかかわらず、係留船の傾斜偶力てこ及び横揺れ角は、当該係留船の係留場所の風、波、潮流等を考慮して管海官庁が適当と認める算式で定めるものとする。
(船の長さが24メートル未満の旅客船に対する特例)
第16条の2 船の長さが24メートル未満の旅客船(係留船を除く。)については、第11条第1項及び第2項の規定にかかわらず、次項又は第3項の規定によることができる。
2 前項に規定する旅客船であって平水区域を航行区域とするものの復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 横メタセンタ高さが正であること。
 第11条第1項第1号に掲げる要件
3 第1項に規定する旅客船であって遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行区域とするものの復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 復原てこの最大値が船の幅の0・0215倍又は0・275メートルのいずれか小さい値以上であること。この場合において、船の幅は、船体の最広部において、フレームの外面から外面までの水平距離とする。
 第11条第1項第1号及び第2項第5号並びに前項第1号に掲げる要件
(特殊の旅客船)
第17条 特殊の構造又は形状を有する旅客船で管海官庁がこの章の規定を適用することが妥当でないと認めるものの復原性の基準は、管海官庁の適当と認めるところによる。

第5章 貨物船の復原性の基準

(基準)
第18条 第11条第1項(第2号に係る部分を除く。)の規定は、平水区域を航行区域とする貨物船の復原性について準用する。この場合において、同項第1号中「風及び旅客の移動」とあるのは、「風」と読み替えるものとする。
2 第11条第2項(第2号に係る部分を除く。)の規定は、前項に規定する船舶以外の貨物船の復原性について準用する。
3 第12条の規定は、貨物船の限界傾斜角について準用する。この場合において、同条中「前条」とあるのは、「前2項において準用する第11条第1項第1号及び同条第2項第1号」と読み替えるものとする。
(傾斜偶力てこ)
第19条 前条第1項において準用する第11条第1項第1号の風により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
(メートル)
この場合において、
A、H及びWは、それぞれ第14条第1項のA、H及びWに同じ。
(船の長さが24メートル未満の貨物船に対する特例)
第20条 船の長さが24メートル未満の貨物船については、第18条及び第19条の規定にかかわらず、次項から第5項までの規定によることができる。
2 前項に規定する貨物船であって平水区域を航行区域とするものの復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 限界傾斜角における復原てこが風により生ずる傾斜偶力てこ以上であること。
 第16条の2第2項第1号に掲げる要件
3 第1項に規定する貨物船であって遠洋区域、近海区域又は沿海区域を航行区域とするものの復原性は、すべての使用状態において、第11条第2項第5号並びに第16条の2第2項第1号及び第3項第1号並びに前項第1号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
4 第12条の規定は、船の長さが24メートル未満の貨物船の限界傾斜角について準用する。この場合において、同条中「前条」とあるのは、「第2項第1号」と読み替えるものとする。
5 第19条の規定は、船の長さが24メートル未満の貨物船の傾斜偶力てこについて準用する。この場合において、同条中「前条第1項において準用する第11条第1項第1号」とあるのは、「第2項第1号」と読み替えるものとする。
(甲板積み木材を運送する場合の特例)
第21条 貨物船が乾舷甲板又は船楼甲板の暴露部に木材を積載して運送する場合の第18条第2項の規定の適用については、同項の規定にかかわらず、次に掲げる基準によることができる。
 横軸と復原力曲線に囲まれた部分の面積が、0度から40度までの横傾斜角の範囲内において、0・08メートル・ラジアン以上であること。
 復原てこの最大値が、0・25メートル以上であること。
 横メタセンタ高さが、0・1メートル以上であること。
 16度の横傾斜角における復原てこが、第14条第3項の規定により算定した傾斜偶力てこ以上であること。
 第11条第2項第5号に掲げる要件
第22条 削除
(特殊の貨物船)
第23条 特殊の構造又は形状を有する貨物船で管海官庁がこの章の規定を適用することが妥当でないと認めるものの復原性の基準は、管海官庁の適当と認めるところによる。

第6章 漁船の復原性の基準

(基準)
第24条 漁船の復原性は、すべての使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 横メタセンタ高さが、0・35メートル以上であること。
 第11条第2項第5号に掲げる要件
2 前項に定めるところによるほか、漁船の復原性は、管海官庁が指定する使用状態において、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 次の復原力曲線図における面積ABCと面積BDEとが等しくなる横傾斜角が17度以下であること。
この場合において、
面積ABCは、復原てこが風及び漁具等の操作により生ずる傾斜偶力てこに等しい復原力曲線上の点Bを通る横軸に平行な直線、面積ABCと面積BDEとが等しくなる横傾斜角に等しい距離にある縦軸に平行な直線並びに復原力曲線に囲まれた部分の面積
面積BDEは、復原てこが風及び漁具等の操作により生ずる傾斜偶力てこに等しい復原力曲線上の点Bから左方に横揺れ角に等しい距離にある縦軸に平行な直線、点B及びCを通る直線並びに復原力曲線に囲まれた部分の面積
 前号の復原力曲線図における面積ABCと面積BDEとが等しくなる横傾斜角は、次の算式を満足するものでなければならない。
この場合において、
θは、前号の復原力曲線図における面積ABCと面積BDEとが等しくなる横傾斜角(度)
F0は、船の長さの中央における喫水線から最上層の全通甲板の船側における上面までの垂直距離(メートル)
Bは、第15条第1項のkに係る表の備考3のBに同じ。
3 管海官庁が特殊な方法と認める方法により漁ろうに従事する漁船にあっては、限界傾斜角における復原てこは、漁具等の操作により生ずる傾斜偶力てこ以上でなければならない。この場合において、限界傾斜角は当該漁船の直立状態からげん端が水面に達するまでの横傾斜角(その横傾斜角が12度より大なるときは、12度)とする。
(傾斜偶力てこ)
第24条の2 前条第2項第1号の風及び漁具等の操作により生ずる傾斜偶力てこは、次の算式で定めるものとする。
この場合において、
A、H及びWは、それぞれ第14条第1項のA、H及びWに同じ。
MGは、漁具等の操作により生じる傾斜偶力(トン・メートル)
(横揺れ角)
第24条の3 第24条第2項第1号の横揺れ角は、次の算式で定めるものとする。
(度)
この場合において、
k、X1、X2及びrは、それぞれ第15条第1項のk、X1、X2及びrに同じ。
sは、第15条第1項に規定する特定の水域のみを航行する船舶に対するsに同じ。
(特殊の漁船)
第25条 特殊の構造又は形状を有する漁船で管海官庁が前条第1項の規定を適用することが妥当でないと認めるものの復原性の基準は、管海官庁の適当と認めるところによる。

第7章 仮想状態におけるタンカーの復原性

(基準)
第26条 載貨重量トン数5000トン以上のタンカー(貨物倉の大部分がばら積みの液体貨物の輸送のための構造を有する船舶(専らばら積みの油(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)第3条第2号に規定する油をいう。)以外の貨物の輸送の用に供されるものを除く。)をいう。以下「タンカー」という。)の復原性は、当該船舶が十分な復原性を保持することが著しく困難であるとして告示で定める仮想状態(次条において「仮想状態」という。)において、次に掲げる要件(湖川港内においてのみ液体貨物の積込み、取卸し及び移送並びにバラスト水の張水、排水及び移送の作業を行う船舶にあっては、第11条第2項第3号に掲げる要件)に適合するものでなければならない。ただし、ばら積みの固体貨物の輸送のための構造を有するタンカーであって管海官庁が当該船舶の復原性を考慮して差し支えないと認めるものは、この限りでない。
 第11条第2項第3号及び第4号イに掲げる要件
 復原てこの最大値は、30度を超える横傾斜角において生じ、かつ、0・2メートル以上であること。ただし、30度以上の横傾斜角において0・2メートル以上の復原てこを有し、かつ、復原てこの最大値の生じる横傾斜角が25度以上である場合にあっては、この限りでない。

附則

この省令は、昭和32年2月1日から施行する。
附則 (昭和38年10月1日運輸省令第54号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和42年6月27日運輸省令第37号) 抄
1 この省令は、昭和42年8月1日から施行する。
2 この省令による改正後の船舶復原性規則第2章、第3章並びに第17条の2第1項(同項第1号に係る部分に限る。)及び第2項の規定は、この省令の施行前にキールをすえ付けた漁船については、適用しない。ただし、この省令の施行後漁船に改造するための工事に着手する船舶については、この限りでない。
附則 (昭和43年8月10日運輸省令第37号)
この省令は、昭和47年8月1日から施行する。ただし、第1条の改正規定は、昭和43年8月15日から施行する。
附則 (昭和49年8月27日運輸省令第36号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、昭和49年9月1日から施行する。
附則 (昭和60年12月24日運輸省令第41号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、昭和61年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この省令による改正後の船舶設備規程第1条、危険物船舶運送及び貯蔵規則第1条の2、船舶安全法施行規則第66条の2、特殊貨物船舶運送規則第33条の2、船舶救命設備規則第1条、船舶消防設備規則第1条、海上における人命の安全のための国際条約等による証書に関する省令第1条及び船舶防火構造規則第1条の2の規定にかかわらず、次の各号に掲げる船舶の総トン数は、それぞれ当該各号に定める総トン数とする。ただし、船舶安全法施行規則第12条の2第1項の規定を適用する場合においては、この限りでない。
 日本船舶であって、船舶のトン数の測度に関する法律(昭和55年法律第40号。以下「トン数法」という。)附則第3条第1項の規定の適用があるもの 同項本文の規定による総トン数
 前号に掲げる日本船舶以外の日本船舶(この省令の施行前に建造され、又は建造に着手されたものに限る。) トン数法第5条第1項の総トン数
 日本船舶以外の船舶であって、我が国が締結した国際協定等によりその受有するトン数の測度に関する証書に記載されたトン数がトン数法第5条第1項の総トン数と同一の効力を有することとされているもの(この省令の施行前に建造され、又は建造に着手されたものに限る。) 同項の総トン数と同一の効力を有することとされた総トン数
附則 (昭和63年2月12日運輸省令第2号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、昭和63年2月15日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (平成4年1月18日運輸省令第3号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成4年2月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(船舶復原性規則の一部改正に伴う経過措置)
第4条 現存船については、第4条の規定による改正後の船舶復原性規則の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 現存船であって施行日以後主要な変更又は改造を行うものについては、当該変更又は改造後は、前項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによる。
附則 (平成9年9月17日運輸省令第62号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、1966年の満載喫水線に関する国際条約の1988年の議定書が日本国について効力を生ずる日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (平成10年6月30日運輸省令第44号)
(施行期日)
第1条 この省令は、平成10年7月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(船舶復原性規則の一部改正に伴う経過措置)
第2条 施行日前に建造され、又は建造に着手された木船(以下「現存木船」という。)の復原性の基準については、第1条の規定による改正後の船舶復原性規則第11条第2項、第16条第2項及び第24条第1項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 現存木船であって施行日以後主要な変更又は改造を行うものの復原性の基準については、当該変更又は改造後は、前項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによる。
附則 (平成11年1月27日運輸省令第2号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、平成11年2月1日から施行する。
(経過措置)
2 平成11年2月1日前に建造契約が結ばれたタンカー(建造契約がないタンカーにあっては、平成11年8月1日前に建造に着手されたもの)であって平成14年2月1日前に船舶所有者に対し引き渡されたもの(次に掲げる要件のいずれにも適合する改造を行うものを除く。)の仮想状態におけるタンカーの復原性、書類の提出及び資料の供与等については、この省令による改正後の船舶復原性規則第7章並びに船舶安全法施行規則第32条第1項及び第51条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
 次に掲げる改造のいずれかに該当すること。
 船舶の主要寸法又は積載容量の変更を伴う改造
 船舶の種類を変更する改造
 船舶の耐用年数を延長させる改造
 その他イ、ロ及びハに定める改造と同等以上と国土交通大臣が認める改造
 改造に関する契約が平成11年2月1日後に結ばれたこと(改造に関する契約がないタンカーにあっては、平成11年8月1日後に改造が開始されたこと。)又は平成14年2月1日後に改造が完了したこと。
附則 (平成12年11月29日運輸省令第39号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成13年1月6日から施行する。
附則 (平成16年10月28日国土交通省令第93号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行の日から施行する。
附則 (平成16年11月24日国土交通省令第95号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成17年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(船舶復原性規則の一部改正に伴う経過措置)
第4条 現存船については、第3条の規定による改正後の船舶復原性規則の規定にかかわらず、なお従前の例によることができる。
2 現存船であって施行日以後主要な変更又は改造を行うものについては、前項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによる。
附則 (平成20年10月29日国土交通省令第88号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成21年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
第2条 施行日前に建造され、又は建造に着手された船舶(以下「現存船」という。)については、この省令による改正後の船舶区画規程、船舶復原性規則、船舶設備規程(第146条の20第2項及び第9号表備考第11号の規定を除く。)、船舶安全法施行規則、小型船舶安全規則(第82条第1項第1号の表備考第8号の規定を除く。)及び船舶防火構造規則の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 現存船であって、施行日以後主要な変更又は改造を行うものについては、当該変更又は改造後は、前項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによる。
附則 (平成21年12月25日国土交通省令第70号)
この省令は、平成22年1月1日から施行する。
附則 (平成28年12月26日国土交通省令第84号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成29年1月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
第2条 
2 現存船については、この省令による改正後の船舶設備規程(第115条の7第2項、第115条の23の3第3項及び第146条の23の規定を除く。)、船舶復原性規則、危険物船舶運送及び貯蔵規則(第246条第5項及び第313条第5項の規定を除く。)、船舶安全法施行規則、船舶救命設備規則、船舶消防設備規則及び船舶機関規則(第69条の2の規定を除く。)の規定にかかわらず、当該船舶について平成30年1月1日以後最初に行われる定期検査、第1種中間検査又は第2種中間検査(船舶安全法施行規則第25条第3項に規定する準備を行うものに限る。)の時期までは、なお従前の例によることができる。
3 現存船であって施行日以後主要な変更又は改造を行うものについては、当該変更又は改造後は、前2項の規定にかかわらず、管海官庁の指示するところによる。

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