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こくゆうりんやのかんりけいえいにかんするほうりつ

国有林野の管理経営に関する法律

昭和26年法律第246号

第1章 総則

(この法律の趣旨)
第1条 この法律は、国有林野について、管理経営に関する計画を明らかにするとともに、貸付け、売払い等に関する事項を定めることにより、その適切かつ効率的な管理経営の実施を確保することを目的とする。
2 国有林野の取得、維持、保存及び運用並びに処分についての国有財産法(昭和23年法律第73号)の特例は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
(定義)
第2条 この法律において「国有林野」とは、次に掲げるものをいう。
 国の所有に属する森林原野であって、国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの
 国の所有に属する森林原野であって、国民の福祉のための考慮に基づき森林経営の用に供されなくなり、国有財産法第3条第3項の普通財産となっているもの(同法第4条第2項の所管換又は同条第3項の所属替をされたものを除く。)
2 この法律において「国有林野事業」とは、国有林野の管理経営(国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全であって、国が行うものを含む。以下同じ。)の事業をいう。
(国有林野の管理経営の目標)
第3条 国有林野の管理経営の目標は、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することにあるものとする。

第1章の2 管理経営に関する計画

(管理経営基本計画)
第4条 農林水産大臣は、政令で定めるところにより、5年ごとに、10年を1期とする国有林野の管理経営に関する基本計画(以下「管理経営基本計画」という。)を定めなければならない。
2 管理経営基本計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 国有林野の管理経営に関する基本方針
 国有林野の維持及び保存に関する基本的な事項
 国有林野の林産物の供給に関する基本的な事項
 国有林野の活用に関する基本的な事項
 国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全に関する基本的な事項
 国有林野事業の実施体制その他その運営に関する事項
 その他国有林野の管理経営に関し必要な事項
3 管理経営基本計画は、森林における生物の多様性の保全、国民の需要に即した林産物の供給、効率的かつ安定的な林業経営を担うべき人材の育成及び確保その他国有林野事業及び民有林野に係る施策の一体的な推進に配慮して定めるものとする。
4 管理経営基本計画は、森林法(昭和26年法律第249号)第4条第1項の規定によりたてられた全国森林計画その他法律の規定による森林の整備に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
(管理経営基本計画の案の縦覧等)
第5条 農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該管理経営基本計画の案を、当該公告の日から30日間公衆の縦覧に供しなければならない。
2 前項の規定による公告があったときは、当該縦覧に供された管理経営基本計画の案に意見がある者は、同項の縦覧期間満了の日までに、農林水産大臣に対し、理由を付した文書をもって、意見を申し立てることができる。
3 農林水産大臣は、第1項の縦覧期間満了後、当該管理経営基本計画の案について、前項の規定により申立てがあった意見の要旨を付して、林政審議会の意見を聴かなければならない。
4 農林水産大臣は、管理経営基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。この場合においては、第2項の規定により申立てがあった意見の要旨及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。
(地域管理経営計画)
第6条 森林管理局長は、管理経営基本計画に即して、森林法第7条の2第1項の森林計画区別に、その管理経営する国有林野で当該森林計画区に係るものにつき、5年ごとに、当該森林計画区に係る森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期とし、5年を1期とする国有林野の管理経営に関する計画(以下「地域管理経営計画」という。)を定めなければならない。
2 地域管理経営計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 その対象とする国有林野の管理経営に関する基本的な事項
 巡視、森林病害虫の駆除又はそのまん延の防止その他国有林野の維持及び保存に関する事項
 木材の安定的な取引関係の確立その他林産物の供給に関する事項
 地域における産業の振興又は住民の福祉の向上その他国有林野の活用に関する事項
 公衆の保健の用に供する区域並びに当該区域内における森林及び公衆の保健の用に供する施設の整備に関する基本的な方針
 森林法第10条の15第1項に規定する公益的機能維持増進協定に基づく林道の開設その他国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全に関する事項
 その他国有林野の管理経営に関し必要な事項
3 第4条第3項の規定は、地域管理経営計画について準用する。
4 地域管理経営計画は、森林法第7条の2第1項の規定によりたてられた森林計画との調和が保たれたものでなければならない。
5 前条の規定は、地域管理経営計画の策定及び変更について準用する。この場合において、同条中「農林水産大臣」とあるのは「森林管理局長」と、同条第3項中「林政審議会」とあるのは「関係都道府県知事、関係市町村長及び次条第2項各号に掲げる事項に関し学識経験を有する者」と読み替えるものとする。
6 森林管理局長は、国有林野事業及び民有林野に係る施策の一体的な推進のため必要があると認めるときは、関係都道府県知事及び関係市町村長に必要な協力を要請することができる。
(公衆の保健の用に供するための計画)
第6条の2 森林管理局長は、前条第2項第5号に掲げる基本的な方針に即して森林及び公衆の保健の用に供する施設を整備しようとするときは、政令で定めるところにより、その整備しようとする区域に係る国有林野につき、公衆の保健の用に供するための計画を定めなければならない。
2 前項の計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 その対象とする国有林野の地区
 前号の地区内において整備しようとする公衆の保健の用に供する施設の位置、種類その他当該施設の設置に関する事項
 第1号の地区内における造林、保育、伐採その他の施業の方法に関する事項
 国有林野の有する公衆の保健以外の公益的機能との調和その他第2号の施設の整備に際し配慮すべき事項
3 森林管理局長は、第1項の計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 第1項及び前項の規定は、第1項の計画の変更について準用する。
(管理経営基本計画の実施状況の公表)
第6条の3 農林水産大臣は、毎年9月30日までに、前年度における管理経営基本計画の実施状況を公表しなければならない。
2 農林水産大臣は、前項の公表をしようとするときは、林政審議会の意見を聴き、その意見の概要を同項の実施状況とともに公表しなければならない。
(林政審議会の権限)
第6条の4 林政審議会は、第5条第3項及び前条第2項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議する。
2 林政審議会は、前項に規定する事項に関し農林水産大臣に意見を述べることができる。

第1章の3 調査業務の委託

(指定調査機関の指定)
第6条の5 農林水産大臣は、その指定する者(以下「指定調査機関」という。)に、国有林野の管理に関する業務のうち、次に掲げる業務(以下「調査業務」という。)を行わせることができる。
 樹種、材積、材質その他の樹木の伐採又は売払いに必要な事項を調査すること。
 前号の調査により農林水産大臣が定める伐採又は売払いの基準に適合すると認められる樹木に、農林水産省令で定める記号を表示すること。
2 前項の規定による指定は、調査業務を行おうとする者の申請により行う。
(指定の基準)
第6条の6 農林水産大臣は、前条第2項の申請が次に掲げる要件に適合していると認めるときでなければ、指定調査機関の指定をしてはならない。
 調査業務を適正かつ確実に実施するに足りる技術的能力及び経理的基礎を有するものであること。
 調査業務以外の業務を行っているときは、その業務を行うことによって調査業務が不公正になるおそれがないこと。
 その指定をすることによって調査業務の適正かつ確実な実施を阻害することとならないこと。
2 農林水産大臣は、前条第2項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、指定調査機関の指定をしてはならない。
 一般社団法人又は一般財団法人以外の者であること。
 第6条の15第1項又は第2項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者であること。
 その役員のうちに、この法律に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者があること。
(調査業務の実施義務)
第6条の7 指定調査機関は、農林水産大臣から調査業務を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その調査業務を行わなければならない。
(役員及び職員の公務員たる地位)
第6条の8 調査業務に従事する指定調査機関の役員又は職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務規程)
第6条の9 指定調査機関は、調査業務の実施に関する事項について業務規程を定め、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 業務規程で定めるべき事項は、農林水産省令で定める。
3 農林水産大臣は、第1項の認可をした業務規程が調査業務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定調査機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(事業計画等)
第6条の10 指定調査機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(第6条の5第1項の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定調査機関は、毎事業年度、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後3月以内に、農林水産大臣に提出しなければならない。
(帳簿の備付け等)
第6条の11 指定調査機関は、帳簿を備え、調査業務に関し農林水産省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
2 前項に規定するもののほか、帳簿の備付け及び保存に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
(監督命令)
第6条の12 農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定調査機関に対し、調査業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び立入検査)
第6条の13 農林水産大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定調査機関に対し、調査業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、指定調査機関の事務所に立ち入り、調査業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第1項に規定する立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(業務の休廃止)
第6条の14 指定調査機関は、農林水産大臣の許可を受けなければ、調査業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第6条の15 農林水産大臣は、指定調査機関が第6条の6第2項第1号又は第3号に該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 農林水産大臣は、指定調査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて調査業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 この章の規定に違反したとき。
 第6条の6第1項第1号又は第2号に適合しなくなったと認められるとき。
 第6条の9第1項の規定により認可を受けた業務規程によらないで調査業務を行ったとき。
 第6条の9第3項又は第6条の12の規定による命令に違反したとき。
 不正な手段により指定を受けたとき。
(農林水産省令への委任)
第6条の16 この章に規定するもののほか、指定調査機関及び調査業務に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

第2章 貸付け、使用及び売払い

(国有林野の貸付け、売払い等)
第7条 第2条第1項第1号の国有林野は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、契約により、貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用(収益を含む。以下同じ。)させることができる。
 公用、公共用又は公益事業の用に供するとき。
 土地収用法(昭和26年法律第219号)その他の法令により他人の土地を使用することができる事業の用に供するとき。
 第6条の2第1項の計画に従って整備される公衆の保健の用に供する施設の用に供するとき。
 放牧又は採草の用に供するとき。
 その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は使用させる面積が5ヘクタールを超えないとき。
2 前項の規定により国有林野を貸し付け、又は貸付け以外の方法により使用させる場合には、国有財産法第21条から第25条まで(鉄道、道路その他政令で定める施設の用に供される土地に地上権を設定する場合にあっては、第21条及び第23条を除く。)の規定を準用する。
第8条 第2条第1項第2号の国有林野を売り払い、貸し付け、又は使用させようとする場合において、次に掲げる者からその買受け、借受け又は使用の申請があったときは、これを他に優先させなければならない。
 当該林野を公用、公共用又は公益事業の用に供する者
 当該林野を基本財産に充てる地方公共団体
 当該林野に特別の縁故がある者で農林水産省令で定めるもの
 当該林野をその所在する地方の農山漁村の産業の用に供する者
(無償貸付け等)
第8条の2 農林水産大臣は、国有林野を次に掲げる施設の用に供するため、地方公共団体、水害予防組合、水害予防組合連合、土地改良区、土地改良区連合、森林組合、生産森林組合、森林組合連合会、農業協同組合、農業協同組合連合会及び水産業協同組合に対し貸し付け、又は使用させるときは、政令の定めるところにより、その貸付け又は使用の対価を、無償とし、又は時価よりも低く定めることができる。
 林道又は農道
 水道施設又は用排水路
 水害又は火災の予防施設
 船揚場、水産物干場又は漁具干場
 その他公用、公共用又は公益事業の用に供する施設で政令で定めるもの
2 前項の規定により国有林野を無償で貸し付け、又は使用させる場合には、国有財産法第22条第2項及び第3項の規定を準用する。
第8条の3 農林水産大臣は、国有林野を当該国有林野の所在する地方の市町村の住民又は当該市町村内の一定の区域に住所を有する者の共同の利用に供するため左に掲げる土地として貸し付け、又は使用させる場合において、これらの者の生業の維持又は農林漁業経営の安定のため特に必要があると認めるときは、その貸付又は使用の対価を時価よりも低く定めることができる。
 放牧地又は採草地
 ため池又は用排水路の敷地
 林道又は農道の敷地
 その他農林漁業の用に供する共同利用施設で政令で定めるものの敷地
(貸付等の対価の減免)
第8条の4 農林水産大臣は、国有林野を当該国有林野の所在する地方の農林漁業の用に供するため貸し付け、又は使用させている場合において、風水害、冷害等の災害で異常、且つ、広範囲なものにより、その借受人又は使用者が、当該国有林野の貸付又は使用の対価を納付することが著しく困難であると認められるときは、これらの者に対しその困難の程度に応じて当該貸付若しくは使用の対価を減じ、又はその支払を免除することができる。

第3章 分収造林

(分収造林契約の締結)
第9条 農林水産大臣は、国有林野について、契約により、国以外の者に造林させ、その収益を国及び造林者が分収するものとすることができる。
(分収造林契約の内容)
第10条 前条の契約(以下「分収造林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 分収造林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在及び面積
 当該契約の存続期間
 植栽(人工下種を含む。以下同じ。)すべき樹種及び本数
 植栽の期間及び方法
 保育の方法
 伐採の時期及び方法
 収益分収の割合
 その他必要な事項
(分収木の持分等)
第11条 分収林につき、分収造林契約に基づき植栽した樹木(以下この章において「分収木」という。)は、国と造林者との共有とし、その持分は、当該契約に定められた収益分収の割合によるものとする。
2 根株は、国の所有とする。但し、契約をもって特別の定をすることができる。
3 分収造林契約があった後において天然に生じた樹木であって、分収木とともに生育させるものとして森林管理署長が指定したものは、分収木とみなす。
4 民法(明治29年法律第89号)第256条の規定は、分収木には、適用しない。
(分収造林契約の存続期間)
第12条 分収造林契約の存続期間は、80年を超えることができない。ただし、農林水産大臣は、造林者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があった場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
2 前項ただし書の規定により延長する期間は、1回ごとに80年を超えることができない。
3 分収造林契約は、更新することができる。
(保護義務)
第13条 造林者は、分収林について、次に掲げる事項を行わなければならない。
 火災の予防及び消防
 盗伐、誤伐その他の加害行為の予防及び防止
 有害動物及び有害植物の駆除及びそのまん延の防止
 境界標その他の標識の保存
(林産物の採取)
第14条 造林者は、次に掲げる分収林の林産物を採取することができる。
 下草、落葉及び落枝
 木の実及びきのこ類
 分収造林契約のあった後において天然に生じた樹木(第11条第3項の規定により森林管理署長が指定したものを除く。)
 植栽後20年以内において保育のため伐採する分収木
(権利の処分等の制限)
第15条 造林者は、その権利を担保に供し、又は処分することができない。ただし、森林管理局長の許可を受けた場合は、この限りでない。
第16条 造林者は、分収造林契約の目的以外の目的に分収林を使用してはならない。ただし、分収造林契約の目的を妨げないと認めて森林管理局長が許可した場合は、この限りでない。
(分収造林契約の解除)
第17条 農林水産大臣は、次の各号の一に該当する場合には、分収造林契約を解除することができる。ただし、造林者の責めに帰することができない場合は、この限りでない。
 当該契約に定められた植栽期間の始期から1年を経過しても造林者が植栽に着手しないとき。
 当該契約に定められた植栽期間が満了しても造林者が植栽を完了していないとき。
 植栽を終わった後5年を経過しても成林の見込みがないとき。
 造林者が当該契約に定められた植栽、保育又は伐採の方法に従わなかったとき。
 造林者が第13条に掲げる事項の実施を怠ったとき。
 造林者が前条の規定に違反したとき。
 造林者がその分収林につき罪を犯したとき。
2 前項の規定により分収造林契約を解除した場合には、植栽を終わった樹木は、国の所有に帰する。
3 農林水産大臣は、国又は公共団体において分収林を公用、公共用又は公益事業の用に供する必要を生じたときは、分収造林契約を解除することができる。
4 農林水産大臣は、第1項又は前項の規定により分収造林契約を解除しようとするときは、造林者に対し、あらかじめ、理由を付して、その旨を通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。この場合において、意見の聴取に際しては、造林者又はその代理人は、当該事案について意見を述べ、かつ、証拠を提出することができる。
5 第3項の規定により分収造林契約を解除した場合には、国有財産法第24条第2項及び第25条の規定を準用する。この場合において、同法第24条第2項中「借受人」とあるのは、「造林者」と読み替えるものとする。

第4章 分収育林

(分収育林契約の締結)
第17条の2 農林水産大臣は、国有林野について、契約により、一定の土地に生育している樹木を国以外の者との共有とし、その者の持分の対価並びに当該樹木について国が行う保育及び管理(以下「育林」という。)に要する費用の一部をその者に支払わせ、育林による収益を国及びその者(以下「費用負担者」という。)が分収するものとすることができる。
(分収育林契約の内容)
第17条の3 前条の契約(以下「分収育林契約」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
 分収育林契約の目的たる国有林野(以下この章において「分収林」という。)の所在及び面積並びに当該契約の目的たる樹木(以下この章において「分収木」という。)の樹種別及び樹齢別の本数
 当該契約の存続期間
 分収木に係る費用負担者の持分の割合
 費用負担者が支払うべき額
 育林の方法
 伐採の時期及び方法
 その他必要な事項
(収益の分収)
第17条の4 分収林につき、費用負担者は、分収育林契約に定められた分収木に係る持分の割合により、分収木に係る収益を国と分収するものとする。
(分収育林契約の存続期間)
第17条の5 分収育林契約の存続期間は、60年を超えることができない。ただし、農林水産大臣は、費用負担者から長伐期施業を行うため当該存続期間を延長したい旨の申出があった場合において、分収林の有する公益的機能の維持増進を図るため適当であると認めるときは、これを延長することができる。
2 前項ただし書の規定により延長する期間は、1回ごとに60年を超えることができない。
3 分収育林契約は、更新することができる。
(準用規定)
第17条の6 分収育林契約については、第11条第2項から第4項まで及び第17条第3項から第5項までの規定を準用する。この場合において、同条第4項及び第5項中「造林者」とあるのは、「費用負担者」と読み替えるものとする。

第5章 共用林野

(共用林野の設定)
第18条 農林水産大臣は、国有林野の経営と当該国有林野の所在する地方の市町村の住民の利用とを調整することが土地利用の高度化を図るため必要であると認めるときは、契約により、当該市町村の住民又は当該市町村内の一定の区域に住所を有する者に対し、これらの者が当該国有林野を次に掲げる用途に共同して使用する権利を取得させることができる。
 自家用薪炭の原料に用いる枝又は落枝の採取
 自家用の肥料若しくは飼料又はこれらの原料に用いる落葉又は草の採取
 自家用薪炭の原木の採取
 エネルギー源として共同の利用に供するための林産物その他農林水産省令で定める林産物の採取
 耕作に付随して飼養する家畜の放牧
2 前項第3号の規定による権利を取得させる場合は、旧来の慣行その他特別の事由があるときに限る。
3 第1項の規定により国有林野を使用する権利を取得させることを内容とする契約(以下「共用林野契約」という。)の相手方は、当該契約に基いて当該国有林野を使用することができる者(以下「共用者」という。)の住所地の属する市町村とする。但し、市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする場合には、共用者の全員を相手方とすることを妨げない。
4 第1項の規定により国有林野を使用させる場合には、国有財産法第23条から第25条までの規定を準用する。
(共用林野契約の内容)
第19条 共用林野契約においては、左に掲げる事項を定めなければならない。
 共用林野契約の目的たる国有林野(以下「共用林野」という。)の所在及び面積
 当該契約の存続期間
 採取することができる林産物の種類、数量及び採取方法又は放牧することができる家畜の種類及び頭数
 使用の対価(使用の対価を徴しないときは、その旨)
 市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする場合には、その区域及び共用者としての要件
 その他必要な事項
(共用林野契約の存続期間)
第20条 共用林野契約の存続期間は、5年をこえることができない。
2 共用林野契約は、更新することができる。
(使用の対価の減免)
第21条 共用林野契約において、使用の対価を徴しない旨の定をし、又は使用の対価を時価よりも低く定めることができるのは、当該契約に共用者が当該林野について第13条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合に限る。
第21条の2 第18条の規定により国有林野を使用させている場合には、第8条の4の規定を準用する。
(共用者の地位の得喪)
第22条 市町村内の一定の区域に住所を有する者を共用者とする共用林野契約においては、共用者が当該区域に住所を有しなくなり、その他当該契約に定める共用者としての要件を欠くに至ったときは、その者は、共用者としての地位を失う。
2 前項の契約においては、共用者以外の者で当該区域内に住所を有し、かつ、当該契約に定める共用者としての要件を備えるものは、農林水産省令の定めるところにより当該契約に加入することを当該共用林野を管轄する森林管理署長及び共用者の代表者に通知することによって、共用者としての地位を取得する。
(共用林野契約の解除等)
第23条 農林水産大臣は、共用者が左の各号の一に該当する場合には、共用林野契約を解除し、又はその者の使用を制限し、若しくは禁止することができる。
 その共用林野を当該契約で定められた用途以外の用途に使用したとき。
 その共用林野につき罪を犯したとき。
 当該契約に共用者が第13条に掲げる事項を行うべき旨の定がある場合において、正当な事由がないのに、その実施を怠ったとき。
2 前項の規定により共用林野契約を解除し、又は使用を制限し、若しくは禁止しようとする場合には、第17条第4項の規定を準用する。この場合において、「造林者に対し」とあるのは「共用林野契約の相手方又は共用者に対し」と、「造林者又はその代理人」とあるのは「共用林野契約の相手方若しくは共用者又はその代理人」と読み替えるものとする。
(共用者等の賠償責任)
第24条 共用者が共用林野に損害を与えたときは、市町村との共用林野契約である場合には当該市町村及び共用者が、その他の場合には共用者が連帯してその損害を賠償しなければならない。

第6章 雑則

(権限の委任)
第25条 この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を森林管理局長に委任することができる。
2 前項の規定により森林管理局長に委任された権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を森林管理署長に委任することができる。

第7章 罰則

第26条 第6条の15第2項の規定による調査業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定調査機関の役員又は職員は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第27条 次の各号の一に該当するときは、その行為をした指定調査機関の役員又は職員は、30万円以下の罰金に処する。
 第6条の11第1項の規定に違反し、又は同項の帳簿に虚偽の記載をしたとき。
 第6条の13第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
 第6条の14の許可を受けないで調査業務の全部を廃止したとき。

附則

1 この法律は、公布の日から施行する。
2 国有林野法(明治32年法律第85号)は、廃止する。
3 この法律の施行の際現に貸し付け、又は使用させている国有林野については、その契約期間中は、なお従前の例による。
4 この法律の施行の際現に存する部分林については、その契約期間中は、なお従前の例による。
附則 (昭和27年5月1日法律第130号) 抄
1 この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和29年5月1日法律第83号)
この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和32年5月17日法律第107号) 抄
1 この法律は、公布の日から施行する。
5 この法律の施行前に前項の規定による改正前の国有林野法第3条から第6条までの規定に基いてした手続その他の行為は、この法律による改正後の国有財産法第31条の3から第31条の5までの相当規定に基いてした手続その他の行為とみなす。
附則 (昭和39年7月1日法律第130号) 抄
1 この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和41年3月31日法律第41号) 抄
1 この法律は、昭和41年4月1日から施行する。
附則 (昭和48年7月27日法律第67号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和53年5月1日法律第36号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (昭和53年7月5日法律第87号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。
附則 (昭和59年5月8日法律第27号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第2条 この法律の施行の際現に存する部分林については、その契約期間中は、なお従前の例による。
附則 (平成5年11月12日法律第89号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、行政手続法(平成5年法律第88号)の施行の日から施行する。
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
第2条 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第13条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
第14条 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。
(政令への委任)
第15条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成10年10月19日法律第135号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第2条及び第5条並びに附則第4条から第6条まで、第9条、第14条及び第18条の規定は、平成11年3月1日から施行する。
(第1条の規定による国有林野法の一部改正に伴う経過措置)
第2条 この法律の施行後第1条の規定による改正後の国有林野の管理経営に関する法律(以下「管理経営法」という。)第4条第1項の規定により最初に定める管理経営基本計画の計画期間は、同項の規定にかかわらず、平成11年1月1日から平成21年3月31日までとする。
2 前項の規定により定められる管理経営基本計画に引き続く次の管理経営基本計画は、管理経営法第4条第1項の規定にかかわらず、平成16年4月1日をその計画期間の始期として定めなければならない。
第3条 この法律の施行後管理経営法第6条第1項の規定により最初に定める地域管理経営計画は、同項の規定にかかわらず、平成11年4月1日をその計画期間の始期とし、同日以降1年から5年までの間において農林水産大臣の定める期間をその計画期間としなければならない。
2 前項の規定により定められる地域管理経営計画に引き続く次の地域管理経営計画は、管理経営法第6条第1項の規定にかかわらず、前項の農林水産大臣の定める期間が満了する日の翌日をその計画期間の始期として定めなければならない。
附則 (平成11年7月16日法律第102号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成11年法律第88号)の施行の日から施行する。
附則 (平成11年12月22日法律第160号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律(第2条及び第3条を除く。)は、平成13年1月6日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第995条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第1305条、第1306条、第1324条第2項、第1326条第2項及び第1344条の規定 公布の日
附則 (平成18年6月2日法律第50号) 抄
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。
附則 (平成23年6月24日法律第74号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
附則 (平成24年6月27日法律第42号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成25年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 次条並びに附則第3条、第5条及び第12条の規定 公布の日
(管理経営基本計画等に関する経過措置)
第2条 農林水産大臣は、平成24年12月31日までに、第1条の規定による改正後の国有林野の管理経営に関する法律(以下「新管理経営法」という。)第4条及び第5条の規定の例により、第1条の規定による改正前の国有林野の管理経営に関する法律(次条において「旧管理経営法」という。)第4条の規定により定められている管理経営基本計画を変更しなければならない。この場合において、当該管理経営基本計画の変更は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)にその効力を生ずるものとする。
2 前項の規定により変更された管理経営基本計画は、新管理経営法第4条及び第5条の規定により変更された管理経営基本計画とみなす。
第3条 森林管理局長は、平成25年3月31日までに、新管理経営法第6条の規定の例により、旧管理経営法第6条の規定により定められている地域管理経営計画(平成20年4月1日をその計画期間の始期とするものを除く。)を変更しなければならない。この場合において、当該地域管理経営計画の変更は、施行日にその効力を生ずるものとする。
2 森林管理局長は、施行日をその計画期間の始期とする地域管理経営計画を定める場合には、旧管理経営法第6条の規定にかかわらず、新管理経営法第6条の規定の例によるものとする。
3 前2項の規定により変更され、又は定められた地域管理経営計画は、新管理経営法第6条の規定により変更され、又は定められた地域管理経営計画とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第11条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令等への委任)
第12条 附則第2条から前条まで並びに附則第25条、第30条、第40条及び第44条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。

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