みんじちょうていきそく
民事調停規則
昭和26年9月15日最高裁判所規則第8号
民事調停規則を次のように定める。
第1章 総則
第1節 通則
(規則の趣旨)
第1条 民事調停法(昭和26年法律第222号。以下「法」という。)による調停に関しては、法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(移送等における取扱い)
第2条 裁判所は、法第4条第1項ただし書、第2項ただし書又は第3項の規定による裁判をするときは、当事者の意見を聴くことができる。
(調停の申立て)
第3条 法第4条の2第1項の申立書には、申立ての趣旨及び紛争の要点並びに第24条において準用する非訟事件手続規則(平成24年最高裁判所規則第7号)第1条第1項各号に掲げる事項を記載するほか、紛争の要点に関する証拠書類があるときは、その写しを添付しなければならない。
(民事調停委員の除斥及び回避)
第4条 民事調停委員の除斥及び回避については、非訟事件手続規則第8条から第10条までの規定(忌避に関する部分を除く。)を準用する。この場合において、簡易裁判所の民事調停委員の回避の許可は、その民事調停委員の所属する裁判所の裁判所法(昭和22年法律第59号)第37条に規定する裁判官がする。
(民事執行の手続の停止)
第5条 調停事件の係属する裁判所は、紛争の実情により事件を調停によって解決することが相当である場合において、調停の成立を不能にし又は著しく困難にするおそれがあるときは、申立てにより、担保を立てさせて、調停が終了するまで調停の目的となった権利に関する民事執行の手続を停止することを命ずることができる。ただし、裁判及び調書その他裁判所において作成する書面の記載に基づく民事執行の手続については、この限りでない。
2 調停の係属する裁判所は、民事執行の手続を停止することを命じた場合において、必要があるときは、申立てにより、担保を立てさせ又は立てさせないで、これを続行することを命ずることができる。
3 前2項の申立てをするには、その理由を疎明しなければならない。
4 民事訴訟法(平成8年法律第109号)第76条、第77条、第79条及び第80条の規定は、第1項及び第2項の担保について準用する。
5 第1項及び第2項の規定による決定に対しては、当事者は、即時抗告をすることができる。
(調停前の措置をする場合の制裁の告知)
第6条 調停委員会は、法第12条第1項の措置をする場合には、同時にその違反に対する法律上の制裁を告知しなければならない。
(期日の呼出状)
第7条 調停手続の期日の呼出状には、不出頭に対する法律上の制裁を記載しなければならない。
(本人の出頭義務)
第8条 調停委員会の呼出しを受けた当事者は、自ら出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
2 次に掲げる者以外の者を前項の代理人とするには、調停委員会の許可を受けなければならない。
一 弁護士
二 司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第2項に規定する司法書士(同条第1項第6号ニに掲げる手続に係る事件に限る。)
3 調停委員会は、いつでも、前項の許可を取り消すことができる。
(期日外の準備)
第9条 調停に関与する者は、調停が適正かつ迅速に行われるように、調停手続の期日外において十分な準備をしなければならない。
(申立書の補正等の促し)
第10条 調停主任は、法第4条の2第1項の申立書の補正又は調停手続に必要な書類の提出を促す場合には、裁判所書記官に命じて行わせることができる。
(期日調書の形式的記載事項)
第11条 法第12条の5の調書(次項及び次条において「期日調書」という。)には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事件の表示
二 調停主任又は民事調停官、民事調停委員及び裁判所書記官の氏名
三 出頭した当事者、参加人、代理人、補佐人、通訳人及びその他の関係人の氏名
四 期日の日時及び場所
2 期日調書には、裁判所書記官が記名押印し、調停主任が認印しなければならない。
3 前項の場合において、調停主任に支障があるときは、裁判所書記官がその旨を記載すれば足りる。
(期日調書の実質的記載事項)
第12条 期日調書には、手続の要領を記載し、特に、次に掲げる事項を明確にしなければならない。
一 申立ての趣旨又は紛争の要点の変更、申立ての取下げ及び法第16条の合意
二 法第13条又は第14条の規定による事件の終了
三 証拠調べの概要
四 調停主任が記載を命じた事項及び当事者の請求により記載を許した事項
五 書面を作成しないでした裁判
(事実の調査)
第13条 調停委員会は、相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員に事実の調査をさせることができる。
2 調停主任は、調停委員会の決議により、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。
(意見の聴取の嘱託)
第14条 調停委員会は、地方裁判所又は簡易裁判所に紛争の解決に関する事件の関係人の意見の聴取を嘱託することができる。
(嘱託に係る事実の調査等の民事調停委員等による実施)
第15条 法第22条において準用する非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第51条第1項又は第2項の規定による嘱託を受けた裁判所は、相当であると認めるときは、民事調停委員又は裁判所書記官に当該嘱託に係る事実の調査をさせることができる。
2 前条の規定による嘱託を受けた裁判所は、相当であると認めるときは、民事調停委員に当該嘱託に係る意見の聴取をさせることができる。
(調査の嘱託)
第16条 調停委員会は、必要な調査を官庁、公署その他適当であると認める者に嘱託することができる。
(調停委員会の嘱託の手続)
第17条 調停委員会がする嘱託の手続は、裁判所書記官がする。
(専門的な知識経験に基づく意見の聴取)
第18条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当該調停委員会を組織していない民事調停委員の専門的な知識経験に基づく意見を聴取することができる。
2 調停委員会が前項の規定により意見を聴取することとしたときは、裁判所は、意見を述べるべき民事調停委員を指定する。
3 前項の規定による指定を受けた民事調停委員は、調停委員会に出席して意見を述べるものとする。
(調停委員会の決議)
第19条 調停委員会の決議は、過半数の意見による。可否同数のときは、調停主任の決するところによる。
(評議の秘密)
第20条 調停委員会の評議は、秘密とする。
(裁判官の調停)
第21条 第6条、第8条及び第10条から第18条まで(第13条第1項を除く。)の規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。この場合において、第10条から第12条までの規定中「調停主任」とあるのは、「裁判官」と読み替えるものとする。
(当事者に対する通知)
第22条 法第13条若しくは第14条(これらの規定を法第15条において準用する場合を含む。)の規定により事件が終了したとき、又は法第18条第4項の規定により決定が効力を失ったときは、裁判所書記官は、当事者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
2 調停の申立ての取下げがあったときは、裁判所書記官は、その旨を相手方に通知しなければならない。
3 法第17条の決定がされた後に調停の申立ての取下げがあった場合において、相手方が申立ての取下げに同意したときは、裁判所書記官は、その旨を申立人に通知しなければならない。
(受訴裁判所等に対する通知)
第23条 法第20条第2項の規定により訴えの取下げがあったものとみなされるときは、調停事件の係属した裁判所の裁判所書記官は、受訴裁判所に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
2 前項の規定は、法第20条第4項において準用する同条第2項の規定により非訟事件の申立ての取下げがあったものとみなされる場合について準用する。
(非訟事件手続規則の準用)
第24条 特別の定めがある場合を除いて、調停に関しては、その性質に反しない限り、非訟事件手続規則の規定を準用する。ただし、同規則第44条及び第49条第2項の規定は、この限りでない。
第2節 民事調停官
(民事調停官の権限)
第25条 民事調停官は、その取り扱う調停事件の処理について、この規則の規定(前条において準用する非訟事件手続規則の規定を含む。)及び特定調停手続規則(平成12年最高裁判所規則第2号)の規定において裁判官が行うものとして規定されている民事調停及び特定調停に関する権限(調停主任に係るものを含む。)のほか、次に掲げる権限を行うことができる。
一 第5条第1項及び第2項並びに第18条第2項の規定において裁判所が行うものとして規定されている民事調停に関する権限
二 第5条第4項において準用する民事訴訟法第76条、第79条第1項から第3項まで及び第80条の規定並びに民事訴訟規則(平成8年最高裁判所規則第5号)第29条第2項において準用する同条第1項の規定において裁判所が行うものとして規定されている権限であって民事調停に関するもの
三 前条において準用する非訟事件手続規則の規定において裁判所が行うものとして規定されている権限であって民事調停に関するもの
四 特定調停手続規則の規定において裁判所が行うものとして規定されている特定調停に関する権限
(民事調停官の除斥等)
第26条 民事調停官の除斥、忌避及び回避については、非訟事件手続規則第8条から第10条までの規定を準用する。
第2章 特則
第1節 宅地建物調停
(当事者の審尋)
第27条 調停委員会は、法第24条の3第1項の規定により調停条項を定めようとするときは、当事者を審尋しなければならない。
第1節の2 農事調停
(小作官等に対する事件受理等の通知)
第28条 裁判所が調停の申立てを受けたときは、裁判所書記官は、小作官又は小作主事に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。ただし、法第4条第1項本文又は第2項の規定により事件を移送する場合は、この限りでない。
2 前項本文の規定は、裁判所が事件の移送を受け若しくは法第20条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定により事件を受理したとき、又は受訴裁判所が同条第1項の規定により若しくは非訟事件が係属している裁判所が同条第4項において準用する同条第1項の規定により事件を調停に付した上自ら処理することとしたときに準用する。
(和解の仲介)
第29条 調停委員会は、紛争の実情により適当であると認めるときは、いつでも、農業委員会に和解の仲介をさせることができる。
2 前条第1項本文の規定は、前項の規定により和解の仲介をさせるときに準用する。
(農業委員会の紛争経過陳述)
第30条 農業委員会は、調停委員会に対し、紛争の経過について陳述することができる。
(農業委員会等の意見聴取)
第31条 調停委員会は、必要があると認めるときは、農業委員会その他適当であると認める者に対し、意見を求めることができる。
(裁判官の調停への準用)
第32条 前3条の規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。
(小作官等に対する事件終了等の通知)
第33条 事件が終了したとき、又は法第18条第4項の規定により決定が効力を失ったときは、裁判所書記官は、小作官又は小作主事に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
第2節 商事調停
(宅地建物調停に関する規定の準用)
第34条 第27条の規定は、商事調停事件に準用する。
第3節 鉱害調停
(農事調停等に関する規定の準用)
第35条 第1節及び第1節の2の規定は、鉱害調停事件に準用する。この場合において、「小作官又は小作主事」とあり、及び「農業委員会」とあるのは、「経済産業局長」と読み替えるものとする。
(小作官等の意見陳述)
第36条 小作官又は小作主事は、調停の目的となった紛争が農地その他の農業用資産の利用関係に関連する場合においては、調停委員会に対し、意見を述べることができる。
2 前項の規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。
第4節 公害等調停
(代表当事者の選任等)
第37条 共同の利益を有する多数の当事者は、その中から、1人又は数人の代表当事者を選任することができる。
2 代表当事者は、これを選任した当事者のために、調停条項案の受諾、調停の申立ての取下げ、法第17条の決定に係る行為及び代理人の選任を除き、各自調停手続に関する一切の行為をすることができる。
3 代表当事者の選任は、書面で証明しなければならない。
4 代表当事者が選任されたときは、調停手続の期日の呼出しは、代表当事者に対してすれば足りる。
5 調停委員会は、必要があると認めるときは、当事者に対し、代表当事者の選任を勧告することができる。
(合意による暫定的措置の勧告)
第38条 調停委員会は、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停の成立を著しく困難にし、又はその円滑な進行を妨げる行為を合意により一時停止すべきことを勧告することができる。
(裁判官の調停への準用)
第39条 第37条第5項及び前条の規定は、裁判官だけで調停を行う場合に準用する。
附則
この規則は、昭和26年10月1日から施行する。
附則(昭和33年7月1日最高裁判所規則第6号)
1 この規則は、昭和33年8月1日から施行する。
2 この規則施行前にした改正前の第6条第4項の規定による即時抗告の効力については、なお、従前の例による。
附則(昭和46年6月14日最高裁判所規則第6号)
(施行期日等)
1 この規則は、昭和46年7月1日から施行し、第6条の規定による改正後の参与員規則第7条第2項の規定、第8条の規定による改正後の司法委員規則第6条第2項の規定、第9条の規定による改正後の調停委員規則第10条第2項の規定及び第10条の規定による改正後の鑑定委員規則第7条第2項の規定は、昭和47年1月1日から適用する。
(経過措置)
2 この規則の施行前に要した参与員、人身保護法による国選代理人、司法委員、調停委員等及び鑑定委員の費用並びにこの規則の施行後昭和46年12月31日までの間に支給原因の生じた参与員、司法委員、調停委員等及び鑑定委員の日当の額については、なお従前の例による。
附則(昭和49年9月14日最高裁判所規則第6号)
この規則は、昭和49年10月1日から施行する。
附則(昭和55年5月6日最高裁判所規則第3号)抄
(施行期日)
1 この規則は、民事執行法(昭和54年法律第4号)の施行の日(昭和55年10月1日)から施行する。
附則(平成4年2月21日最高裁判所規則第4号)
この規則は、民事調停法の一部を改正する法律(平成3年法律第91号)の施行の日(平成4年8月1日)から施行する。
附則(平成8年12月17日最高裁判所規則第6号)抄
(施行期日)
第1条 この規則は、民事訴訟法(平成8年法律第109号。以下「新法」という。)の施行の日から施行する。(施行の日=平成10年1月1日)
第2条 第6条の規定の施行前に供託された金銭又は有価証券についての相手方の権利については、同条の規定による改正後の民事調停規則第6条第4項において準用する新法第77条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則(平成12年12月15日最高裁判所規則第15号)
この規則は、平成13年1月6日から施行する。
附則(平成15年10月1日最高裁判所規則第14号)
この規則は、平成16年1月1日から施行する。ただし、第1条中民事調停規則第8条の改正規定は、公布の日から施行する。
附則(平成24年7月17日最高裁判所規則第9号)抄
(施行期日)
第1条 この規則は、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成25年1月1日)
インターネット六法に掲載している法令データは、原則、官報その他政府提供データを基にしています。
※原則とは、現在有効ではない法令の場合は図書館等にて収集しております
データ内容の正確性については万全を期しておりますが、官報に掲載された内容と異なる場合はそちらが優先します。
インターネット六法.comの利用に伴って発生した不利益や問題について、当サイトの運営者は何らの責任を負いません。
掲載している法令等に誤植(ふりがな等)がありましたら、「お問い合わせ」よりお知らせください。ご協力お願いいたします。
インターネット六法が少しでもあなたの役に立てれば光栄です。これからもインターネット六法を宜しくお願いします。
※スマホやタブレットで左の画像を読み込むと現在の法令ページを読み込めます。