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ぎょせんけんさきそく

漁船検査規則

昭和25年農林省令第124号
漁船法(昭和25年法律第178号)第22条第3項の規定に基き、漁船検査規則を次のように定める。

第1章 船体

第1条 漁船の船体は、他船若しくは岸壁との激しい接触又は漁具の衝撃に耐えるよう堅ろうで、且つ、強固であり、各部の縦強度及び横強度がそれぞれ著しく不連続でなく、その縦強度と横強度とが著しく不つり合いでないような構造のものであって、動力漁船(長さ70メートル以上のもの及び排水量が長さと幅と深さの相乗積に比して著しく少ないものを除く。)にあっては次条から第6条までに掲げる基準のすべてに適合するもの、その他の漁船にあってはその装備及び性能がその従事する漁業の種類又は用途に応じ適当であるものを合格とする。
第2条 削除
(一般配置)
第3条 船体の一般配置の基準は、左の通りとする。
 魚そう、氷そう、活魚そう、燃料油そう、清水そう、乗組員の居室、まかない室その他の区画及び推進機関、機器、漁ろう設備その他の設備の大きさ及び位置が従事する漁業の種類又は用途に対し適当な重心位置、きっ水及びトリムを有するように定められていること。
 乗組員の居室及びまかない室等が安全且つ衛生的な場所に配置されてあり、これらの室には通風及び採光の十分な天窓又は明り取り、通風管並びに乗組員の衛生に必要な設備が設けられていること。
 長さ13メートル以上の漁船にあっては上甲板が、その他の漁船にあっては機関室の部分に水密構造の甲板が備えられていること。
 甲板を備える漁船にあっては、甲板上の諸構造物が風圧を受ける面積を少くするように造られていること。
 上甲板を備える漁船にあっては、上甲板に達する支水隔壁が鋼製漁船及びりゅう骨、外板その他の船体の主要部分にFRP(ガラス繊維を熱硬化性樹脂を用いて積層することにより成型したものをいう。以下同じ。)を使用する漁船(以下「FRP製漁船」という。)においては機関室の前部及び後部に、木製漁船においては機関室の前部に設けられていること。
(鋼製漁船及び木製漁船の船体の構造)
第4条 鋼製漁船及び木製漁船の船体の構造の基準は、次のとおりとする。
 敷を用いる木製漁船にあっては、敷の各はぎ材がろく骨の中間でたたきくぎで相互に固着されてあり、且つ、ろく根材と敷とが敷の両側端及び30センチメートル以内の心距でたたきくぎで固着されていること。
 木製漁船にあっては、その機関台がすべて機関室の長さと同一又はそれ以上の長さを有する1材の堅材又は鋼材で造られてあり、且つ、木製の場合にあっては、ろく骨1本につき交互に1箇と2箇(推進機関の計画出力と計画総トン数との比が2・95を超えるものにあっては、ろく骨ごとに2箇)のボルトでろく骨に固着されていること。
 木製漁船であって推進機関の計画出力が計画総トン数に比し過大なもの又は推進機関の種類若しくは型式により大きな振動が生ずるおそれのあるもの若しくは機関台の高さが相当高いものにあっては、その外側にひじ材を設け、これが機関台とろく骨とにボルトで固着されているか又はその他の有効な振動防止方法が講ぜられていること。
 木製漁船にあっては、機関室底部のろく根材が推進機関の荷重に耐えるように、単材式のものにあっては、これと同一寸法以上の添材で補強されてあり、2材合式のものにあっては、その1材の寸法が適当に増加されていること。但し、推進機関の計画出力が110キロワット以下であり、且つ、計画総トン数の2・95倍以下のものにあっては、この限りでない。
 上甲板を備える木製漁船にあっては、操だ室その他の甲板室の周壁がその四隅及び1・2メートル以内の心距でその室の頂部から上甲板りょうの下面まで貫通する適当な太さのボルトで固着されていること。
 船尾の船底が扁平な木製漁船にあっては、各げんにおいて船尾材、船尾てん材又はだ柱材にひじ材が取り付けられてあり、これらと内部縦通材及び船尾ろく骨がたたきくぎで固着され、だ頭管の後部から船尾端に至る間にげん側に達する長さの船尾特別横翼材が設けられ、これと船尾縦翼材、内部わん曲部縦通材及び船尾ろく骨がたたきくぎで固着されてあり、且つ、ひじ材及び船尾特別横翼材の間隔が船尾縦翼材に沿って1・5メートル以内であること。
 まき網漁船、底びき網漁船その他げん側を摩耗するおそれのある漁船にあっては、げん側を保護するための防げん材が取り付けられてあり、外板の継目が累接の鋼製漁船にあっては、網、綱及び外板の継目を保護するに適当な半丸鋼材が外板に取り付けられていること。
 ばく露甲板、張出甲板又はつり台が排水の容易なように造られていること。
 推進器と鋼製漁船及び木製漁船の船体との間げきが、推進性能をよくするために、十分広くされていること。
 木製漁船であって、その有する一の魚そうの長さが船の長さの5分の2を超えるものにあっては、その強度を保持するために当該魚そうの中にピラーが設けられていること。
(FRP製漁船の船体の材料及び構造)
第4条の2 FRP製漁船の船体の材料及び構造の基準は、次のとおりとする。
 FRPの積層に使用されるガラス繊維は、十分に乾燥されたものであること。
 FRPの積層に使用される熱硬化性樹脂は、直射日光、熱等により変質しておらず、かつ、その熱硬化特性が積層工事を施行する際の温度、湿度等の環境条件に適合するものであること。
 FRPは、土、じんあい、気泡等その強度を損なうものが混入しておらず、かつ、はく離、含浸不良、樹脂欠乏、樹脂過多、ヘヤクラック、白化、硬化不良等の欠陥のないものであること。
 FRPは、船体の各部分に応じて必要な強度を保持するために、それぞれに応じて適当な厚さを有し、かつ、適当なガラス繊維含有率(FRPに含まれるガラス繊維織物及びガラスマットの重量比をいう。)を有するものが使用されており、船体各部分の相互間においてその厚さ及び強度に連続性が保持されていること。
 りゅう骨、外板その他の船体の主要部分に使用されるFRPは、ガラス繊維に占めるガラス繊維織物の重量がガラス繊維の総重量の3分の1以上のものであること。ただし、船体の主要部分において増厚のため使用されるFRPにあっては、この限りでない。
 りゅう骨、外板その他の船体の主要部分に使用されるFRPは、ガラス繊維の継手の端部と隣接する継手の端部とが100ミリメートル以上避距し、ガラス繊維織物にあっては50ミリメートル以上、ガラスマットにあっては40ミリメートル以上重ね合わせられていること。ただし、船体の主要部分の端部において使用されるFRPにあっては、この限りでない。
 FRPと接着し、又はFRPで被覆される木材及び合板は、節、腐れ等の欠陥がなく、かつ、十分に乾燥されており、FRPの積層に使用される熱硬化性樹脂の硬化性及び接着性を妨げないものであること。
 りゅう骨、外板その他の船体の主要部分においてFRPと接着し、又はFRPで被覆される合板は、普通合板の日本農林規格により1類に格付されたもの又はこれと同等以上の品質を有するものであること。
 FRPの切断面及びFRPを貫通するボルト孔等には、合成樹脂で被覆する等適当な防水処理が施されていること。
 FRP面上の甲板機器及び漁ろう機械等の取付部分は、鋼材、木材その他の適当な材料で十分に補強されていること。
十一 まき網漁船、底びき網漁船その他げん側を磨耗するおそれのある漁船にあっては、げん側を保護するための防げん材が取り付けられていること。
十二 ばく露甲板、張出甲板又はつり台が排水の容易なように造られていること。
十三 推進器と船体との間げきが推進性能をよくするために十分広くされていること。
(装備)
第5条 船体の装備の基準は、次のとおりとする。
 暴露甲板上に設ける諸開口には、完全な防水蓋が設けられていること。
 直接に波を受ける場所に設けられる出入口には、防水戸及び波を防ぐに足る高さの下部縁材が設けられていること。
 長さ20メートル以上の漁船にあっては、暴露甲板上の機関室囲壁に出入口が設けられていないこと。
三の2 長さ25メートル以上の漁船にあっては、機関室から、2以上の径路により開放された場所まで脱出できるように出入口、通路等が設けられていること。
 漁獲物を水氷漬とし、又はばら積みとすることがある魚倉(縦2メートル未満で、かつ、幅1・5メートル未満のものを除く。)には、動揺による魚類の移動を防ぐに適当な挿板が設けられていること。
 自然換水の活魚倉には、十分に換水できる換水孔があり、これに堅固な枠及び迅速確実に開閉できる栓が設けられていること。
 魚倉及び氷倉の内部には、区画ごとに排水装置が設けられ、その装置が手動式のものにあっては、上甲板上で操作されること。
 長さ30メートル以上の漁船にあっては、機動式揚びよう機が備えられていること。
七の2 機動式操舵装置を備える漁船にあっては、当該操舵装置に故障が生じた場合にこれを自動的に表示し、警報する装置及び応急操舵装置が設けられていること。
 網又は綱を使用する漁船にあっては、それらを容易に操作するに適当な滑車、綱巻車、特殊ボラード又はガロース等が設けられていること。
 捕鯨船の捕鯨砲及び発条緩衝器又は米国式かつお、まぐろまき網漁船の廻転網台等が操業に対しそれぞれ適当なものであり、それらのために荷重が大である箇所が強固に補強されていること。
 漁ろう機械の動力伝導装置の伝導軸がなるべく屈曲を避けるように配置され、水防壁を貫通している箇所には、水防てん座が設けられてあり、暴露甲板に設けられている部分には覆いが付けられてあり、当該部分の軸受が球入又は転子入の場合にあっては、当該軸受に防水装置が設けられていること。
十一 散水管、清水管、甲板洗浄管、排水管、汚水管等の諸管が急激な屈曲を避けるように配置され、かつ、船体に強固に取り付けられていること。
十二 前号の諸管であって船底部及び魚倉又は氷倉の防熱設備の内部に設けられているものにあっては、亜鉛めっき又は防食処置が施されていること。
十三 かまど、ストーブ、煙突等に接近しているため燃焼のおそれがある木製及びFRP製の天井、側壁、床等の部分には金属板を張る等適当な燃焼予防処置が施されていること。
(性能)
第6条 船体の性能は、速力試験、後進及び前進試験、操舵試験、旋回力試験、連続航走試験、最低速試験、クラッチかん脱試験及び重心査定試験並びに振動状況、船首揺動及び副漁具(漁具を操作する機械装置をいう。)の作動状況により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。ただし、各試験は、当該漁船の状態を試験状態(試験に必要な人員、器具、消耗物資及びトリム調整用の重量物を積載する以外は空荷の状態)として行うものとする。
 速力試験は、試験状態における平均喫水の7倍以上の水深がある静穏な水面で第50条第1号に掲げる負荷試験におけるものと同様の各負荷で推進機関を運転し、速力標柱間をそれぞれ1往復して行うものとし、全負荷運転の場合における速力の船の長さの平方根に対する比の標準が次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄の算式により算出した数値以上であること。ただし、やむを得ない事由があるため平均喫水の7倍以上の水深がある場所又は速力標柱を使用できないときは、その他の場所で行い又は手用測定具を使用してもよい。
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 後進及び前進試験は、規定回転数で前進中に規定回転数の100分の85の回転数で後進させ、更にその後進中に規定回転数で前進させて行うものとし、その切り換えに要する時間が次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以内であること。
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 操舵試験は、規定回転数で前進中に行うものとし、片舷の舵角35度から反対舷の舵角35度までの操舵に要する時間が次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以内であること。ただし、大きな舵力が発生する舵を装備している場合は、規定回転数によらず、設計上の回転数及び舵角で操舵試験を行っても差し支えなく、また、応急操舵装置に係る操舵試験にあっては、規定回転数の2分の1の回転数で前進中に行うものとし、片舷の舵角15度から反対舷の舵角15度まで操舵して異状がなければよい。
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 旋回力試験は、規定回転数で前進中に行うものとし、舵角を35度にとって回頭する場合における旋回に要する時間及び旋回圏の直径が次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以内であること。ただし、大きな舵力が発生する舵を装備している場合は、規定回転数によらず、設計上の回転数及び舵角で旋回力試験を行っても差し支えない。
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四の2 連続航走試験は、規定回転数で連続1時間以上航走させて行うものとし、この場合において異状がないこと。
四の3 最低速試験は、さば釣漁船、流刺網漁船及びまぐろはえなわ漁船について行うものとし、推進機関の1シリンダ当たりの計画出力が15キロワット以下のものにあっては規定回転数の2分の1以下の回転数で、1シリンダ当たりの計画出力が15キロワットを超えるものにあっては規定回転数の3分の1の回転数で十分以上運転した場合において異状がないこと。ただし、危険なねじり振動が発生する推進機関を搭載する場合は、当該振動の領域を避けた最も低い回転数で最低速試験を行っても差し支えない。
四の4 クラッチかん脱試験は、さば釣漁船、流刺網漁船及びまぐろはえなわ漁船であってクラッチを有するものについて行うものとし、規定回転数の10分の8の回転数で前進中、20分以内に10回以上クラッチを後進方向及び前進方向に交互にかん脱した場合において、クラッチを容易にかん脱することができ、かつ、異状がないこと。
 重心査定試験は、平穏な水面で、船体の自由傾斜を妨げないけい留状態の下で行い、その結果から算出された出漁状態における重心位置、喫水及びトリムが、従事する漁業の種類又は用途に応じ適当なものであること。
 振動状況及び船首揺動は、第1号に掲げる試験において船体に有害な振動がなく、操船に支障を及ぼす船首揺動がないこと。
 副漁具の作動状況は、適当な負荷でその作動を試験するものとし、その作動が円滑であること。

第2章 機関

第7条 漁船の推進機関、補機関及び空気圧縮機は、検査の結果その構造については次条、その性能については推進機関にあっては第9条、補機関にあっては第10条、空気圧縮機にあっては第11条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(構造)
第8条 推進機関、補機関及び空気圧縮機の構造の基準は、操業のために必要な操作が円滑に行われ、且つ、長時間の運転に耐えるような堅固なものとする。
(推進機関の性能)
第9条 推進機関(以下この条において「機関」という。)の性能は、起動試験、無負荷試験、最低速試験、負荷試験、温度上昇試験、調速機試験、充気試験、特性試験及び逆転試験(電気点火機関にあっては最低速試験、調速機試験、充気試験及び特性試験、ディーゼル機関にあっては無負荷試験を除く。)並びに解放検査により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。
 起動試験は、当該機関を冷態に置き(重油を用いて試験する場合にあっては燃料系統を加熱してもよい。)、人力起動の機関の場合にあっては1人で容易に起動できるものであり、空気起動の機関の場合にあっては当該機関の空気タンクに2・45メガパスカルの圧縮空気を充たし外部から圧縮空気を補給しないで行うものとし、起動回数は6回以上及び最低起動圧力は1・18メガパスカル以下であること。
 無負荷試験は、規定回転数の2分の1以下の回転数で20分以上行うものとし、その運転が円滑に行われること。
 最低速試験は、1シリンダ当たりの計画出力が15キロワットを超える機関にあっては規定回転数の3分の1の回転数で計画出力の27分の1に相当する荷重、1シリンダ当たりの計画出力が15キロワット以下の機関にあっては規定回転数の2分の1以下の回転数で計画出力の8分の1に相当する荷重をかけて十分以上行うものとし、その運転が円滑に行われること。ただし、危険なねじり振動が発生する機関にあっては、当該振動の領域を避けた最も低い回転数で最低速試験を行っても差し支えない。
 負荷試験は、分力試験、全負荷試験及び過負荷試験とし、分力試験は、全負荷の4分の1、2分の1及び4分の3に相当する荷重、全負荷試験は、全負荷に相当する荷重、過負荷試験は、全負荷の1割増に相当する荷重をかけ、第1表の上欄に掲げる試験の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる回転数で第2表の上欄に掲げる機関の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる時間(当該機関が漁船法(以下「法」という。)第25条第1項の規定による検査に合格したことがある機関と同一の型式、計画出力、シリンダの数及び直径、行程、回転数並びに製作所のものであるときは、第3表の上欄に掲げる機関の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる時間)以上行うものとし、その運転が円滑に行われるとともに、第4表の上欄に掲げる機関の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる算式により算出して得た燃料油消費率が第5表の上欄に掲げる機関の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以下であること。
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 温度上昇試験は、過負荷試験の直後に行うものとし、主軸軸受、クランクピン軸受及びピストンピン軸受におけるそれぞれの上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であること。ただし、主軸軸受、クランクピン軸受及びピストンピン軸受におけるそれぞれの温度計測が困難な構造の機関にあっては、潤滑油、冷却水及び排気の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であること。
 調速機試験は、全負荷運転から急に無負荷運転に変えることによって行うものとし、その瞬時回転数が規定回転数の120パーセントを超えず、かつ、整定回転数が規定回転数の110パーセント(シリンダ直径170ミリメートル以下の機関にあっては、120パーセント)を超えないこと。
 充気試験は、充気装置のある機関について行うものとし、無荷重で4分の3負荷における回転数で大気圧から2・45メガパスカルまで、当該機関附属の空気タンクに30分以内に充気できること。
 特性試験は、次の表の上欄に掲げる漁船の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる荷重及び回転数で十分以上行うものとし、クラッチのかん脱が確実であり、運転が円滑に行われるものであるとともに無負荷となったときにおける各シリンダ内の燃焼状態が正常であること。ただし、危険なねじり振動が発生する機関にあっては、当該振動の領域を避けた最も低い回転数で特性試験を行っても差し支えない。
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 逆転試験は、逆転クラッチを有する機関について、第4号の規定による全負荷の4分の3の分力試験(1シリンダ当たりの計画出力が15キロワット以下の機関にあっては全負荷の2分の1の分力試験)で十分以上行うものとし、運転が円滑に行われるとともに運転終了時における逆転歯車のピニオン部の温度が摂氏100度以下であること。ただし、逆転歯車のピニオン部における温度計測が困難な構造の機関にあっては、潤滑油及び冷却水の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であること。
 解放検査は、前各号の全ての試験(その一部の試験を行わないものにあっては、最終の試験)の直後に行うものとし、各部の材料、構造、工作及び寸法に異状がないものであるとともに、次の表の上欄に掲げる事項がそれぞれ同表下欄に掲げるものを標準とすること。ただし、解放検査の対象である機関が法第25条第1項の規定による検査に合格したことがある機関と同一の型式、計画出力、シリンダの数及び直径、行程、回転数並びに製作所のものであり、かつ、前各号のいずれの試験においても異常が認められない場合は、当該検査を省略しても差し支えない。
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(補機関の性能)
第10条 補機関の性能は、起動試験、負荷試験、温度上昇試験及び調速機試験(電気点火機関にあっては調速機試験を除く。)並びに解放検査により判定するものとし、その基準については前条第1号(最低起動圧力に関する部分を除く。)、第4号から第6号まで及び第10号の規定を準用する。ただし、この場合において各負荷試験における回転数は、規定回転数とし、発電機駆動用ディーゼル機関に係る負荷試験の燃料油消費率については、第1表の算式により算出して得た燃料油消費率が、第2表の上欄に掲げる補機関の出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以下であることとする。また、発電機駆動用ディーゼル機関に係る調速機試験にあっては、その瞬時回転数が規定回転数の110パーセント、整定回転数が規定回転数の105パーセントを超えず、かつ、整定までに要する時間が10秒以内であるものとする。
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(空気圧縮機の性能)
第11条 空気圧縮機の性能は、充気試験、負荷試験及び解放検査により判定するものとし、各試験の基準は左の通りとし、解放検査の基準については第9条第10号の規定を準用する。
 充気試験は、規定回転数で空気そうに大気圧から規定圧力まで充気して行うものとし、左の算式により算出される容積効率が所要出力が3・7キロワット以下のものにあっては55パーセント以上、所要出力が3・7キロワットを超えるものにあっては65パーセント以上であること。
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 負荷試験は、規定回転数で空気そうの圧力を制限圧力に保って行うものとし、運転が1時間以上円滑に行われること。

第3章 漁ろう設備

第1節 魚群探知機

第12条 漁船の魚群探知機は、検査の結果、その構造については次条、装備については第14条、性能については第15条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(構造)
第13条 魚群探知機の構造の基準は、次のとおりとする。
 主要部分は、イ又はイ及びロに掲げる機器で構成され、堅固であって容易に機械的損傷を受けるおそれがなく、かつ、耐震性、耐熱性、耐寒性、耐湿性、耐水性及び防しょく性を有すること。
 送信器、送波器、受波器、受信器及び指示器
 送波器及び受波器(以下「送受波器」という。)の制御装置
 魚群探知機は、次の算式で算出される送波音圧レベルの音波を出し得る出力低減装置が備えられていること。
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 送信器、受信器及び指示器は、内部の保守点検及び修理が前面から容易に行えるものであること。
 高周波電力及び高電圧を使用する部分には、外きょうのほか、人体その他に危害を及ぼさないための適当な保安装置が設けられていること。
 受信器には、調整可能範囲が30デシベル以上であって作動が安定した利得調整器が設けられていること。
(装備)
第14条 魚群探知機の装備の基準は、次のとおりとする。
 送受波器が船底又は外げんの音波の送受波に良好な場所に固着され、かつ、波その他の外力によって損傷するおそれが少いように装備されていること。
 送信器、受信器、指示器及び送受波器の制御装置が湿気、振動、温度等周囲の条件が性能に有害な影響を及ぼすおそれがない場所に装備されていること。
(性能)
第15条 魚群探知機の性能は、送信周波数試験、振動試験、衝撃試験、耐熱耐寒試験、耐湿試験、指示確度試験、受信系帯域幅試験、受信系帯域幅外減衰試験、発振線整度試験、利得変化試験、指向性試験、送信パルス幅試験及び探知能力試験により判定するものとし、その試験方法及び性能の基準は、次のとおりとする。
 送信周波数試験は、第2号、第4号及び第5号の試験の際、当該魚群探知機を規定の作動状態において音波の発振周波数を測定して行うものとし、それぞれの場合における発振周波数が次の表の上欄に掲げる公称発振周波数に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる範囲内にあること。
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 振動試験は、規定の作動状態において当該魚群探知機に振動試験機により振幅が正負1・5ミリメートルで、振動数が250回毎分から600回毎分までの間を1分間に60回毎分の割合で連続して増加し、又は減少する振動を加えて行うものとし、この振動を上下、左右及び前後の方向にそれぞれ30分間連続して加えても、その性能及び構造に異状を生じないこと。
 衝撃試験は、当該魚群探知機の送受波器を除いた部分を5センチメートルの高さから3回試験床に落下させた後、当該魚群探知機を規定の作動状態において行うものとし、その性能及び構造に異状を生じないこと。
 耐熱耐寒試験は、当該魚群探知機を規定の作動状態において摂氏零度及び摂氏50度の場所に、それぞれ1時間放置して行うものとし、その性能及び構造に異状を生じないこと。
 耐湿試験は、当該魚群探知機を規定の作動状態において摂氏35度、相対湿度90パーセント以上の恒湿そうに4時間以上放置して行うものとし、その性能及び構造に異状を生じないこと。
 指示確度試験は、当該魚群探知機を交流にあっては定格電圧の110パーセント及び90パーセント、直流にあっては定格電圧が100ボルト未満の場合定格電圧の125パーセント及び90パーセント、100ボルト以上の場合定格電圧の110パーセント及び80パーセントの電源電圧並びにこれらの間の電源電圧における作動状態において行うものとし、作動が安定であって指示確度に影響を受けることがなく、かつ、水中音速毎秒1500メートルとして、その指示誤差が正負2パーセントをこえて増減しないこと。
 受信系帯域幅試験は、当該魚群探知機につき、受信系周波数特性曲線において最大利得より6デシベル低い利得を示す周波数の最大値と最小値を測定して行うものとし、受信系帯域幅は、次の表の上欄に掲げる公称発振周波数の区分に応じ、それぞれ当該魚群探知機の発振周波数を基準として同表の下欄に掲げる範囲内にあること。
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 受信系帯域幅外減衰試験は、当該魚群探知機につき、受信系周波数特性曲線において最大利得から36デシベル低い利得を示す周波数の最大値と最小値を測定して行うものとし、最大値及び最小値は、次の表の上欄に掲げる公称発振周波数の区分に応じ、それぞれ当該魚群探知機の発振周波数を基準として同表の下欄に掲げる範囲内にあること。
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 発振線整度試験は、記録紙を用いる魚群探知機につき、当該魚群探知機を定格電圧(漁船に装備する前に行う試験にあっては、交流にあっては定格電圧の110パーセント及び90パーセント、直流にあっては定格電圧が100ボルト未満の場合定格電圧の125パーセント及び90パーセント、100ボルト以上の場合定格電圧の110パーセント及び80パーセントの電源電圧並びにこれらの間の電源電圧)における作動状態において行うものとし、当該魚群探知機の最浅レンジにおける発振線に0・5ミリメートル以上のおうとつがないこと。
 利得変化試験は、当該魚群探知機を交流にあっては定格電圧の110パーセント及び90パーセント、直流にあっては定格電圧が100ボルト未満の場合定格電圧の125パーセント及び90パーセント、100ボルト以上の場合定格電圧の110パーセント及び80パーセントの電源電圧並びにこれらの間の電源電圧における作動状態において行うものとし、反響余裕値が定格電圧における値から5デシベルをこえて増減しないこと。
十一 指向性試験は、水中に当該魚群探知機の送受波器を設置し、その公称発振周波数により発振させ、当該送受波器の近距離音場外であって、当該送受波器から一定の距離の点における音圧を測定して行うものとし、送受波器の指向性主軸に対して80度以上100度以下の範囲における音圧が当該送受波器の指向性主軸上の音圧に対しデシベル換算値で25デシベル以上低い値であること。
十二 送信パルス幅試験は、当該魚群探知機を規定の作動状態において送信電圧パルス波形を測定して行うものとし、電圧が尖頭値からその2分の1になるまでの時間は10ミリセカンド以下であること。
十三 探知能力試験は、水中に当該魚群探知機の送波器を設置し、当該送波器の指向性主軸上であって近距離音場外の点において規定の作動状態における送波音圧を測定して行うものとし、測定した送波音圧を送波音圧レベルに換算し、その値が次の算式による計算値(PS1)より20デシベル以上高いものであること。
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2 前項に規定する試験のうち、送信周波数試験、振動試験、衝撃試験、耐熱耐寒試験、耐湿試験、指示確度試験、受信系帯域幅試験、受信系帯域幅外減衰試験、利得変化試験、指向性試験、送信パルス幅試験及び探知能力試験は、その試験に係る魚群探知機を漁船に装備する前に、発振線整度試験は、当該魚群探知機を漁船に装備する前及び装備した後にそれぞれ行うものとする。

第2節 うず巻ポンプ

第16条 漁船のうず巻ポンプ(以下「ポンプ」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第18条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第17条 ポンプの構造の基準は、左の通りとする。
 胴殻、羽根車及び案内羽根の材質が特殊青銅又は青銅であること。但し、胴殻の材質は、鋳鉄であってもよい。
 車軸の材質がネーバルブラス又は特殊鋼であること。
 片吸込ポンプにあっては、自動平衡盤又は推力軸受その他により推力の防止方法が講じられていること。
(性能)
第18条 ポンプの性能は、運転試験及び温度上昇試験並びに解放検査により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 運転試験は、最高揚水量の5分の1、5分の2、5分の3、5分の4及び最高揚水量で連続1時間以上行うものとし、左の第1表の算式により算出される効率が左の第2表の上欄に掲げる吐出口径に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる揚水量及び揚程のときに40パーセント以上となり、各揚水量について測定した回転数、揚程、所要出力及び効率についての特性曲線が極端な変動を示さないこと。
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 温度上昇試験は、前号の試験の直後に行うものとし、軸受及びパッキング押えの温度が周囲の気温に比し、摂氏40度以上上昇しないこと。
 解放検査は、前号の試験の直後に行うものとし、各部の材料、構造、工作及び寸法に異状がないこと。

第4章 漁獲物の保蔵設備

第1節 魚そうの防熱設備

第19条 魚そうの防熱設備は、検査の結果、材料については次条、構造については第19条の3に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料)
第19条の2 魚そうの防熱設備の材料の基準は、次のとおりとする。
 断熱材は、次に掲げるものであること。
 温度零度における熱伝導率が0・064ワット毎メートル毎度以下であり、比重が0・25以下であること。
 次の表の上欄に掲げる断熱材の使用箇所に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる温度の範囲(以下「断熱材の耐用温度範囲」という。)内で、断熱性能に悪影響を及ぼすような変質又は変形を起さず、かつ、不燃性又は難燃性であること。
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 吸水性がないか又はその表面に防水処理が施されていること。ただし、天井および周壁の上部に使用されるものにあっては、保水性のないものであればよい。
 毒性又は有害な臭気がなく、当該断熱材に近接する部分の材質を侵さず、かつ、防腐剤、塗料等により侵されないこと。
 木材は、十分に乾燥されたもので、有害な腐れ又は傷がなく、内張板として使用するものにあっては、著しい死節又は割れその他の欠点がなく、かつ、耐しょく性を有するものであり、下板及び根太にあっては、全面に防腐処理が施されていること。
 防水紙は日本産業規格(以下「JIS」という。)A6005号に規定するアスファルトルーフィング又はこれと同等以上の防湿性及び耐通気性を有するものであること。
 金属製のくぎ、ボルト、開閉具等は、腐しょくのおそれがないか又は亜鉛めっき若しくはその他の適当な防しょく処理が施されていること。
 内張板、根太及び下板が木材以外のものであるか又はくぎ、ボルト、開閉具等が金属以外のものである場合には、それらの材料は、次に掲げるものであること。
 当該箇所に使用される木材又は金属と同等以上の強さを有すること。
 その使用箇所に応じ断熱材の耐用温度範囲内で著しい変質又は変形を起さず、不燃性又は難燃性であり、耐しょく性を有し、かつ、老化し難いものであること。
 毒性又は有害な臭気がなく、それらに近接する部分の材質を侵さず、かつ、防腐剤、塗料等により侵されないこと。
 工作が容易で、かつ、工作に伴う危険性がなく、仕上がり後において吸水性がなく、内張板に使用されるものにあっては通水性又は通気性がなく、仕上がり後の表面がなるべく平滑であること。
 内張板の表面に塗料又は金属板で耐水被覆を施す場合における当該材料は、毒性又は有害な臭気がなく、その使用箇所に応じ、断熱材の耐用温度範囲内で有害な変質又は変形を起さず、不燃性又は難燃性のものであり、かつ、表面がなるべく平滑で、清掃が容易なものであること。
(構造)
第19条の3 魚そうの防熱設備の構造の基準は、次のとおりとする。ただし、保冷温度(漁獲物を保蔵し、又は冷蔵するのに必要な魚そうの標準温度をいう。以下同じ。)が零下10度より低い魚そうを除き、総トン数50トン未満の鋼製漁船(1回の操業日数が30日以上の漁船を除く。)、総トン数50トン以上の鋼製漁船で1回の操業日数が3日以内のもの、総トン数50トン未満の木製漁船、総トン数50トン以上の木製漁船で1回の操業日数が5日以内のもの、FRP製漁船及び海水温度が15度以下の海面で操業する漁船の魚そうの防熱設備は、その漁船が従事する漁業の種類及び用途並びに1回の操業日数に応じ、十分な防熱効果を有し、かつ、船体その他の設備に害を与えないものであればよい。
 魚そうの防熱設備の配置は、次に掲げるものであること。
 鋼製漁船の魚そう及び木製漁船の保冷温度が零下10度より低い魚そうにあっては、天井、船側、隔壁及び床に防熱設備が施されていること。(魚そう内に鋼製の甲板下ガーダー、ピラー、ブラケット、船側縦通材その他の部分が突出するときは、これらが断熱材又は木材でおおわれていること。)
 木製漁船の魚そう(保冷温度が零下10度より低い魚そうを除く。)にあっては、天井、船側及び機関室に接する端隔壁に防熱設備が施されていること。
 防熱設備の構成は、次の表の上欄に掲げる位置の区分に応じ、それぞれ同表下欄のとおりであること。ただし、その性能が著しくすぐれ、かつ、十分な強度を有する断熱材が配置されている箇所における空所、下板、防水紙及び内張板の全部又は一部、鋼船の船側、鋼製端隔壁及び木甲板が張られていないばく露甲板に接する空所並びにその他の甲板、外板、内底板及び隔壁板(以下「甲板等」という。)に接する空所及び当該空所が設けられない場合における当該甲板等に接する下板は、省略してもよい。
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 断熱材の厚さは、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、防熱設備を設備する箇所によりそれぞれ同表下欄に掲げる厚さ以上であること。ただし、凍結そう又はかつお釣漁船の氷そうであって保冷温度が等しい魚そうの間の木製仕切隔壁の断熱材、木船のフレームの内側又はビームの下側に配置される断熱材並びにその冷凍設備が第23条第1号及び第3号の標準を超える魚そうにおける断熱材の厚さは、同欄に掲げる厚さから適当に減じてもよい。
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 次に掲げる断熱材の厚さは、第3号の規定にかかわらず、同号の表の厚さに25ミリメートルを加えたものであること。
 鋼船の甲板等と下板の間の空所の厚さが15ミリメートル未満であるか又は50ミリメートルを超える場合における当該箇所の断熱材(当該箇所のフレーム、ビーム、スチフナー、縦通材及びフロアの内側の断熱材の厚さが50ミリメートル以上であるものを除く。)
 厚さ65ミリメートル以上の木甲板が張られていないばく露甲板下の断熱材
 保冷温度が零下17度以下の鋼製漁船の魚そうにあっては、フレーム、ビーム、スチフナー、縦通材及びフロアの内側に50ミリメートル以上の厚さの断熱材が配置されていること。
 断熱材は、船の動揺、振動等により移動しないよう保持されていること。
 根太は、内張板又は下板を強固に保持するように配置され、その太さは、これらを有効に固着できるものであり、床及び周壁部の内張板を保持する根太の心距は、75センチメートル以下であること。
 根太は、フレーム、ビーム、スチフナーその他の船体構造部材(以下「フレーム等」という。)にくぎ又はボルトで強固に固着されてあり、鋼製のフレーム等に根太をボルトで固着する場合にあっては、これらに穴をあけずにボルトが取り付けられていること。
 甲板等と下板との間に設けられる空所の厚さは、おおむね15ミリメートル以上50ミリメートル以下であること。
 防熱設備の油そうに隣接する部分には、前号の規定にかかわらず、厚さ15ミリメートル以上の空所が設けられていること。ただし、油そうの鋼材の防熱設備に隣接する部分に厚さ15ミリメートル以上の油密被覆が施されているものにあっては、この限りでない。
十一 内張板の厚さ(水密構造でない部分の内張板であって、1枚の板の厚さが16ミリメートル以上であるものを2枚以上重ねて用いる場合(縦縁をさねはぎとしたものを表面に用いて2枚以上重ね、その間に防水紙を挿入した構造のものを用いる場合を含む。)は、その合計)は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、その使用する箇所によりそれぞれ同表下欄に掲げる厚さ以上であること。
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十二 内張板は、くぎ又はボルトで根太又はフレーム等に強固に取り付けられ、かつ、密に張りつめられていること。
十三 活魚そう、水漬そう、予冷そう及び冷海水製造そうにあっては、その全面が、その他の魚そうにあっては、その床面並びに床面から魚そうの深さの6分の1に相当する高さ(その深さが1・8メートル未満の魚そうにあっては、床面から30センチメートルの高さ)までの船側及び隔壁の部分が水密構造であり、かつ、鋼船の魚そうにあっては、次の表の上欄に掲げる魚そうの種類に応じ、同表の中欄に掲げる方法による気密試験を行ない、同表の下欄に掲げる基準に適合すること。
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十四 下板の厚さは、次の表の上欄に掲げる魚そうの深さに応じ、その使用する箇所によりそれぞれ同表下欄に掲げる厚さ以上であること。
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十五 下板は、できる限り密に張りつめられ、根太又はフレーム等に固着されていること。
十六 魚そうの甲板口縁材が鋼製のものにあっては、その内面又は外面が厚さ50ミリメートル以上の木材でおおわれていること。ただし、甲板口の防熱内ぶたの断熱材の厚さが第3号に定める厚さより25ミリメートル以上厚い場合にあっては、この限りでない。
十七 魚そうの甲板口には、防熱内ぶたが設けられ、甲板口縁材に接する箇所がゴム、皮その他適当な材料で気密とされていること。
十八 防熱隔壁に設ける出入口には、堅固な戸わくが取り付けられ、これに十分な強度を有し、かつ、戸の両側で操作できる開閉締具が取り付けられている有効な防熱戸が設けられ、戸わくに接する箇所がゴム、皮その他適当な材料で気密とされていること。ただし、開閉締具は、作業員が閉じこめられないように適当な警報装置が設けられている場合にあっては、一方でのみ操作できるものでよい。
十九 魚そうの床又は隔壁に二重底の部分、深水そう又は深油そうの出入口として設けられたマンホールの周縁には縁材が設けられ、かつ、当該箇所の防熱設備が容易に取りはずしうるような構造であること。
二十 魚そうの排水装置は、左に掲げるものであること。
 魚そうの床面は、ビルジの排出を容易にするため、適当に傾斜しており、かつ、これに堅固な敷板又は格子が設けられていること。
 魚そうには、ビルジウェルが設けられ、当該魚そう内のビルジがこれに流入するように設備されていること。ただし、ビルジウェルが設けられている他の魚そうと保冷温度が等しい魚そうであって当該魚そうのビルジがそのビルジウェルに流入するように設備されているもの、ビルジ排出口が設けられている甲板上の魚そう並びにビルジ吸引口が設けられている活魚そう、水漬そう、予冷そう、冷海水製造そう、床面積4・5平方メートル未満の魚そう及び木船の魚そうにあっては、この限りでない。
 ビルジウェルには、防熱ぶたが設けられていること。ただし、防熱設備が施されているビルジウェルにあっては、この限りでない。
 鋼船であって、ビルジウェルが外板又は機関室隔壁に接するものにあっては、ビルジウェルと魚そう内の空気が相互に流通しないような装置が施されていること。ただし、そのビルジウェルに有効な防熱設備が施されている場合にあっては、この限りでない。
 魚そうの船底、船側、隔壁等の防熱設備内のビルジのたまる空所は、ビルジを排出できるように設備されていること。
二十一 ビルジ管、清水管、測深管、空気管その他の管は、魚そうの防熱設備の効果をできる限り減じないように配置され、かつ、有効に防熱されているとともに、腐しょくのおそれのあるものにあっては、亜鉛めっきまたはその他の防しょく処理が施されたものであること。
二十二 冷却コイルが配管されている場合にあっては、冷却コイルに漁獲物が直接触れないように適当な保護装置が設けられていること。
二十三 中たな又は冷却コイルが設けられている場合にあっては、これらを保持するための金具、根太その他が防熱設備の効果を減じないように取り付けられていること。
二十四 防熱設備に近接している鋼材の部分は、十分にさび落しされた後、さび止め塗料が塗布されているか又はその他の適当なさび止め処理が施され、木材の部分は、適当な防腐処理が施されていること。

第2節 冷凍設備

第20条 漁船の冷凍設備(アンモニア、フレオン又はメチルクロライドを冷媒として使用するものをいう。)は、検査の結果、その材料については次条、構造については第22条、装備については第23条、性能については第24条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料)
第21条 冷凍設備の材料の基準は、左の通りとする。
 冷凍設備の主要部分が左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの又はそれと同等以上のものであること。
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 予冷そう又は水漬そうの冷却コイル及び液分離器並びにその他の魚そうの底部の冷却コイルの外面が亜鉛めっきされていること。
 鋼管及び鋼板の冷媒に接する部分が亜鉛めっきされていないこと。
 前2号に掲げる部分を除く各部の材料が冷媒等によって腐しょくしないものであるか又は腐しょくを防ぐため適当な処置がなされていること。但し、冷媒に接する部分であって軸受その他の常時油膜でおおわれる材料については、この限りでない。
(構造)
第22条 冷凍設備の構造の基準は、左の通りとする。
 圧縮機が長時間の運転に耐えるような堅固なものであり、且つ、必要な操作が円滑に行われるものであること。
 内径400ミリメートル以上の油分離器及び液分離器の胴の接手並びに内径500ミリメートル以上の受液器及び凝縮器の胴の接手が突合せ両面溶接されていること。
 油分離器及び液分離器がそれぞれ冷媒中に含む潤滑油又は液を十分分離できる構造であること。
 油分離器及び液分離器の胴及び鏡板の厚さが左の表の上欄に掲げる胴の内径に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以上であること。但し、胴がJISG3452号の配管用炭素鋼鋼管の場合にあっては、この限りでない。
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 凝縮器が冷媒ガスを十分凝縮できる構造であり、且つ、その胴及び管板の厚さが左の表の上欄に掲げる胴の内径に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以上であること。但し、胴がJISG3452号の配管用炭素鋼鋼管の場合にあっては、この限りでない。
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 凝縮器の冷却管の厚さが左の表の上欄に掲げる冷却管の外径に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以上であること。
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 受液器が必要な冷媒を十分収容できる容量を有する構造であり、且つ、その胴及び鏡板の厚さが左の表の上欄に掲げる胴の内径に応じ、それぞれ同表下欄に掲げるもの以上であること。但し、胴がJISG3452号の配管用炭素鋼鋼管の場合にあっては、この限りでない。
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(装備)
第23条 冷凍設備の装備の基準は、左の通りとする。
 冷凍設備は、直接膨張式の場合にあっては左に掲げる冷凍能力、間接冷却式の場合にあっては左に掲げる冷凍能力に20パーセントの冷凍能力を加えたものであることを標準とする。
 凍結そうにあっては、左の表の上欄に掲げる凍結能力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる冷凍能力
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 予冷そう又は冷海水製造そうにあっては、左の表の上欄に掲げる1日の予冷量に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる冷凍能力
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 イ及びロに掲げるもの以外の魚そうにあっては、左の表の上欄に掲げる1魚そう当りの容積に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる冷凍能力
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 冷却コイルが魚そう内を均一に冷却でき、且つ、各魚そうが同一の目的に使用される場合にあっては、それら各魚そうが均一に冷却できるよう配管されていること。
 冷却コイルは、直接膨張式の場合にあっては左に掲げる長さ又は配管比、間接冷却式の場合にあっては左に掲げる長さ又は配管比に20パーセントの長さ又は配管比を加えたものであることを標準とすること。
 凍結そうにあっては、左の表の上欄に掲げる凍結能力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる配管の長さ
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 予冷そう又は冷海水製造そうにあっては、左の表の上欄に掲げる容積に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる配管比
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 イ及びロに掲げるもの以外の魚そうにあっては、左の表の上欄に掲げる1魚そう当りの容積に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる配管比
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 魚そうの容積が400立方メートル以上の漁船又は魚そうの容積が200立方メートル以上の漁船であって凍結装置を有するものにあっては、圧縮機が2台以上装置されていることを標準とすること。
 間接冷却式の冷凍設備の場合にあっては、ブラインポンプが2台以上装備されてあり、且つ、それぞれの容量が最大の使用状態における圧縮機の能力に対し、十分であること。
 各魚そうがそれぞれ単独に所要の冷却温度が得られるように膨張弁が備えられていること。
 アンモニア又はメチルクロライドを使用する冷凍設備にあっては、その高圧部ができるだけ機関室、通路及び作業室から独立した室に装備されてあり、且つ、その高圧部の不凝縮ガスが船外に排出される装置が設けられていること。
 冷凍設備の高圧部が設けられている室には、常に換気を十分に行うことができるように通風機が備えられてあり、且つ、ガス排気通風管の出口及び給気用通風管の入口ができるだけばく露甲板から上部に設けられていること。
 圧縮機、受液器及び凝縮器には、安全装置及び安全弁の噴出ガスが船外又は冷凍設備の低圧部に放出される排気管が取り付けられてあり、且つ、安全装置が次条第2号に掲げる気圧試験圧力をこえない範囲の値に調整されていること。
 圧縮機は、その軸方向が船体中心線に並行に据え付けられていることを標準とする。
十一 圧縮機のクランクケース及びオイルドラムには、油面が外部から容易に見えるように保護装置付油面計が取り付けられていること。
十二 高速圧縮機にあっては、できるだけ冷媒の高圧遮断装置及び油圧保護装置が備えられていること。
十三 液分離器には、液が冷却コイル又は低圧の受液器に連続的に還元される装置が備えられていること。
十四 受液器には、器内の液面が外部から容易に見えるように保護装置付液面計が取り付けられていること。
十五 フレオンを使用する冷凍設備の受液器から膨張弁に至る連絡管には、冷媒中に含まれる水分又はきょう雑物をそれぞれ十分に除去できる装置が設けられていること。
十六 魚そう以外の場所に設けられる冷却コイル、液分離器及び低圧部の連絡管には、適当な防熱装置が設けられていること。
(性能)
第24条 冷凍設備の性能は、漁船に装備する前に行う耐圧試験、漏えい試験、運転試験、真空試験及び解放検査並びに漁船に装備した後に行う漏えい試験、冷却試験及び保冷試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 耐圧試験は、冷却コイルを除き、左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる水圧又は油圧で行うものとし、異状がないこと。
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 漁船に装備する前に行う漏えい試験は、前号の試験の直後に左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる気圧で行うものとし、異状がないこと。
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 圧縮機の運転試験は、吐出圧力0・19メガパスカル以上の荷重をかけて連続3時間以上行うものとし、その運転中に異状な振動及び騒音がなく、且つ、軸封部の温度が周囲の気温に比し摂氏40度以上上昇せず、体積効率が標準圧力で70パーセント以上であり、高低圧遮断装置、油圧保護装置及びアンローダ等の附属装置の作動が確実であること。
 圧縮機の真空試験は、前号の試験の直後に圧縮機の吸入弁を閉じて行うものとし、その真空度が700ミリメートル以上であること。
 解放検査は、前号の試験の直後に行うものとし、各部の材料、構造、工作及び寸法に異状を生じないこと。
 漁船に装備した後に行う漏えい試験は、左に掲げる試験により行うものとし、異状がないこと。
 第2号の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる圧力の90パーセント以上の圧力で行う試験
 630ミリメートル以上の真空度で行う試験
 前号の試験の直後に、冷媒を使用し、第2号の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる圧力の20パーセント以上の圧力で行う試験
 冷却試験は、前号の試験の後に魚そうを空荷状態にして12時間以上行うものとし、異状がなく、且つ、魚そう内の温度又はブラインの温度が左に掲げる冷却温度以下になること。この場合において魚そう内の同一の層の温度が3度以上差のないこと。
 凍結そうにあっては、12時間以内に左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる温度
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 予冷そう又は冷海水製造そうにあっては、6時間以内に摂氏零度
 イ及びロに掲げるもの以外の魚そうにあっては、24時間以内に左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる温度
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 保冷試験は、前号の試験の直後に圧縮機の運転を停止して6時間以上行うものとし、保冷状態が良好であること。

第5章 電気設備

第1節 直流発電機

第25条 漁船の直流発電機(以下この節において「発電機」という。)は、検査の結果、その材料については次条、構造については第27条、性能については第28条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料)
第26条 発電機の材料の基準は、次のとおりとする。
 刷子の材料が炭素、黒鉛又は金属黒鉛であって、材質が均密であること。
 ボルト、ナット、ピン、ねじ、端子、ばねその他発電機の小部分品の材料が耐食性材料であるか又は適当な耐食処理を施されていること。
 絶縁材料がA種絶縁材料(木綿、絹、紙又はこれらに類似する有機質材料で構成され、かつ、ワニス類を含浸し、又は常時油に浸したもの並びにベークライトその他の有機合成樹脂、ポリビニールホルマール及びエナメルをいう。以下同じ。)及びB種絶縁材料(マイカ、ガラス繊維又はこれらに類似の無機質材料を接着材料により接着したものをいう。以下同じ。)、C種絶縁材料(生マイカ、石英、ガラス、磁器又はこれらに類似の高温度に耐える材料をいう。以下同じ。)及びH種絶縁材料(マイカ、ガラス繊維又はこれらに類似する無機質材料を珪素樹脂又はこれと同等以上の絶縁性及び耐熱性を有する材料により接着したものをいう。以下同じ。)であり、巻線の絶縁材料が湿気及び油気によって容易に変質されないこと。
(構造)
第27条 発電機の構造の基準は、左の通りとする。
 振動及び衝撃に耐え、且つ、じんあい、水滴、油滴等による障害及び機械的損傷を受けるおそれがないこと。
 端子が防滴構造の端子箱に納められ、且つ、それぞれ端子記号が明示されていること。
(性能)
第28条 発電機の性能は、温度上昇試験、整流試験、過負荷試験、過速度試験、電圧調整試験、絶縁抵抗試験及び耐電圧試験並びに電圧変動率により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。
 温度上昇試験は、発電機を定格負荷で運転することによって行うものとし、当該発電機の巻線及び軸受の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であり、連続定格の発電機にあっては、各部分の上昇温度一定後引き続き1時間以上運転することによってその各部に異状を生じないこと。
 整流試験は、界磁抵抗を定格出力、定格電圧及び定格回転数に相当する値に調整し、かつ、刷子を適当な位置に固定し負荷電流の強さを加減して行うものとし、定格電流の100パーセントまでの任意の電流に対し良好な整流が得られるものであること。
二の2 過負荷試験は、連続過負荷試験及び短時間過負荷試験とし(短時間定格機又は法第25条第1項の規定による検査に合格したことがある発電機と同一の型式、定格出力、回転数及び製作所のものにあっては、短時間過負荷試験のみとする。)、定格電圧及び定格速度をもって、連続過負荷試験の場合にあっては定格電流の125パーセントの電流を次の表の上欄に掲げる基準出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる時間通じて行い、短時間過負荷試験の場合にあっては定格電流の150パーセントの電流を1分間通じて行うものとし、それぞれその各部に異状を生じないこと。
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 過速度試験は、次の表の上欄に掲げる発電機の駆動方法に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる過速度で1分間行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
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 電圧調整試験は、界磁抵抗器により行うものとし、電圧調整範囲が無負荷から120パーセント負荷までの間において定格電圧の2パーセント以内であること。
 絶縁抵抗試験は、第1号の試験前及び試験の直後において、500ボルト絶縁抵抗計を用いて行うものとし、絶縁抵抗がそれぞれ1メグオーム以上であること。
 耐電圧試験は、前号の試験の直後に鉄心及び継鉄と巻線との間に1分間次の表の上欄に掲げる定格出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧(50ヘルツ又は60ヘルツの正弦波交流電圧とする。以下同じ。)を加えて行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
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 電圧変動率が分巻式発電機にあっては定格電圧の20パーセント、複巻式発電機にあっては定格電圧の8パーセントを超えないこと。

第2節 直流電動機

第29条 漁船の直流電動機(以下この節において「電動機」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第31条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第30条 電動機の材料及び構造の基準については第26条及び第27条の規定を準用する。
(性能)
第31条 電動機の性能は、温度上昇試験、整流試験、過負荷試験、過速度試験、絶縁抵抗試験及び耐電圧試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 温度上昇試験及び整流試験の基準は、それぞれ第28条第1号及び第2号に掲げる基準の通りであること。
 過負荷試験は、連続過負荷試験及び短時間過負荷試験とし(短時間定格機にあっては、短時間過負荷試験のみとする。)、定格電圧及び定格速度をもって、連続過負荷試験の場合にあっては定格電流の125パーセントの電流を左の表の上欄に掲げる基準出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる時間通じて行い、短時間過負荷試験の場合にあっては定格電流の150パーセントの電流を1分間通じて行うものとし、それぞれその各部に異状を生じないこと。
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 過速度試験は、左の表の上欄に掲げる電動機の種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる過速度で1分間行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
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 絶縁抵抗試験及び耐電圧試験の基準は、それぞれ第28条第5号及び第6号に掲げる基準の通りであること。この場合において、同条第6号の表中「1未満」とあるのは「0・75未満」と、「1以上」とあるのは「0・75以上」と読み替えるものとする。

第3節 交流発電機

第31条の2 漁船の交流発電機(以下この節において「発電機」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第31条の4に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第31条の3 発電機の材料及び構造の基準については、第26条及び第27条の規定を準用する。
(性能)
第31条の4 発電機の性能は、温度上昇試験、過負荷試験、過速度試験、電圧調整試験、絶縁抵抗試験及び耐電圧試験並びに電圧変動率により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。
 温度上昇試験は、発電機を定格負荷で運転することによって行うものとし、発電機の巻線及び軸受の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であり、連続定格の発電機にあっては、各部分の上昇温度一定後引き続き1時間以上運転することによってその各部に異状を生じないこと。
 過負荷試験は、連続過負荷試験及び短時間過負荷試験とし(短時間定格機又は法第25条第1項の規定による検査に合格したことがある発電機と同一の型式、定格出力、回転数及び製作所のものにあっては、短時間過負荷試験のみとする。)、定格電圧及び定格速度をもって、連続過負荷試験の場合にあっては定格電流の125パーセントの電流を次の表の上欄に掲げる基準出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる時間通じて行い、短時間過負荷試験の場合にあっては定格電流の150パーセントの電流を1分間通じて行うものとし、それぞれその各部に異状を生じないこと。
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 過速度試験の基準は、第28条第3号に掲げる基準のとおりであること。
 電圧調整試験は、界磁抵抗器又は自動電圧調整器により行うものとし電圧調整範囲が無負荷から120パーセント負荷までの間において定格電圧の2パーセント以内であること。
 絶縁抵抗試験の基準は、第28条第5号に掲げる基準のとおりであること。
 耐電圧試験は、前号の試験の直後に1分間、鉄心及び外枠と巻線との間に次の表の上欄に掲げる定格出力に応じそれぞれ同表下欄に掲げる試験電圧を、界磁巻線に励磁電圧の10倍の試験電圧(励磁電圧の10倍の電圧が1500ボルトに満たないときは、1500ボルト)をそれぞれ加えて行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
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 電圧変動率が次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる値を超えないこと。
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第4節 交流電動機

第31条の5 漁船の交流電動機(以下この節において「電動機」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第31条の7に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第31条の6 電動機の材料及び構造の基準については、第26条及び第27条の規定を準用する。
(性能)
第31条の7 電動機の性能は、温度上昇試験、整流試験、過負荷試験、過速度試験、絶縁抵抗試験及び耐電圧試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 温度上昇試験、整流試験及び過負荷試験の基準は、それぞれ第31条の4第1号、第28条第2号及び第31条第2号に掲げる基準の通りであること。
 過速度試験は、定格回転数の125パーセントの過速度で1分間行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
 絶縁抵抗試験の基準は、第28条第5号に掲げる基準の通りであること。
 耐電圧試験は、前号の試験の直後に1分間、左に掲げる試験電圧を加えて行うものとし、それぞれその各部に異状を生じないこと。
 同期電動機の界磁巻線には、左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧
区分 試験電圧
界磁短絡方法で起動するもの 励磁電圧の10倍の電圧。但し、最小2、000ボルトとする。
起動時に全界磁巻線が直列に接続され、開路状態で起動するもの 正規の起動状態で界磁端子に生ずる電圧の最大実効値の1・5倍の電圧。但し、最小2、500ボルトとする。
起動時に抵抗子が界磁巻線と直列に附加され、起動するもの 直列抵抗子のIR降下(正規の起動電圧で短絡する場合に界磁巻線を流れる電流と抵抗の積)の実効値の2倍の電圧。但し、最小2、000ボルトとする。
 巻線型誘導電動機の回転子巻線には、左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧
区分 試験電圧
運転中に固定子巻線の接続替えによって逆転するもの 正規誘導電圧の4倍に1、000ボルトを加えたもの。
右以外のもの 正規誘導電圧の2倍に1、000ボルトを加えたもの。
 同期電動機の電機子巻線、誘導電動機の固定子巻線及びかご型誘導電動機の回転子巻線には、左の表の上欄に掲げる定格出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧
定格出力(キロワット) 試験電圧
0・75未満 定格電圧の2倍に500ボルトを加えたもの。但し、最小1、000ボルトとする。
0・75以上 定格電圧の2倍に1、000ボルトを加えたもの。但し、最小1、500ボルトとする。
 同期電動機及び誘導電動機以外の電動機の鉄心及び外枠と巻線との間には、左の表の上欄に掲げる定格出力に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧、界磁巻線には、励磁電圧の10倍の試験電圧(励磁電圧の10倍の電圧が1500ボルトに満たないときは、1500ボルト)
定格出力(キロワット) 試験電圧
0・75未満 定格電圧の2倍に500ボルトを加えたもの。但し、最小1、000ボルトとする。
0・75以上 定格電圧の2倍に1、000ボルトを加えたもの。但し、最小1、500ボルトとする。

第5節 変圧器

第31条の8 漁船の変圧器(高周波変圧器及び計器用変圧器を除く。以下同じ。)は、検査の結果、その材料については次条、構造については第31条の10、性能については第31条の11に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料)
第31条の9 変圧器の材料の基準は、次のとおりとする。
 ボルト、ナット、ねじ、坐金、端子その他変圧器の小部分品の材料が耐食性材料であるか又は適当な耐食処理を施されていること。
 絶縁材料がA種絶縁材料、B種絶縁材料、C種絶縁材料若しくはH種絶縁材料又はこれらの材料以外の材料で絶縁性が良好なものであり、巻線の絶縁材料及びがいし固定絶縁材料が湿気及び油気によって容易に変質されないものであること。
 油入式変圧器に使用する油は、高度の絶縁性を有しており、高温で長時間使用しても容易に変質されないものであること。
(構造)
第31条の10 変圧器の構造の基準は、左の通りとする。
 振動及び衝撃に耐え、且つ、じんあい、水滴、油滴等による障害及び機械的損害を受けるおそれがないこと。
 ケースには、電線引出口附近の適当な位置に極性が明示されていること。
 油入式変圧器は、どの方向に30度傾斜しても油が流出するおそれがなく、且つ、保護装置附油面計及び排油弁(75キロボルトアンペア以上の油入式変圧器にあっては、これらの外温度計)が備えられていること。
(性能)
第31条の11 変圧器の性能は、温度上昇試験、絶縁抵抗試験、耐電圧試験、瞬時短絡試験及び誘導絶縁試験並びに電圧変動率により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。
 温度上昇試験は、定格負荷で運転することによって行うものとし、変圧器の巻線及び充塡物の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であり、上昇温度一定後引き続き1時間以上運転することによってその各部に異状を生じないこと。
 絶縁抵抗試験は、前号の試験の直後において、500ボルト絶縁抵抗計を用いて行うものとし、絶縁抵抗が1メグオーム以上であること。
 耐電圧試験は、前号の試験の直後において巻線と鉄心との間に1分間次の表の上欄に掲げる定格電圧に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる試験電圧を加えて行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
定格電圧(ボルト) 試験電圧(ボルト)
250未満 1、500
250以上 2、000
 瞬時短絡試験は、定格負荷で運転中次の算式で算出される時間(その時間が5秒以内のときは5秒とし、インピーダンス電圧4パーセント未満の変圧器にあっては定格電流の25倍の電流を2秒間)短絡して行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
短絡時間(秒)=インピーダンス電圧(パーセント)−2
 誘導絶縁試験は、100ヘルツから500ヘルツまでの適当な周波数で巻線に正規誘導電圧を次の算式で算出される時間(その時間が15秒未満のときは15秒とし、60秒を超えるときは60秒とする。)誘起させて行うものとし、その各部に異状を生じないこと。
試験時間(秒)=120×(定格周波数/試験周波数)
 電圧変動率が次の表の上欄及び中欄に掲げる相数及び定格出力に応じ、それぞれ同表下欄の値を超えないこと。
相数 定格出力(キロボルトアンペア) 電圧変動率(パーセント)
単相 3未満 4
3以上15未満 3
15以上 2
3相 3未満 5
3以上5未満 4
5以上30未満 3
30以上 2

第6節 配電盤

第32条 漁船の配電盤は、検査の結果、その構造については次条、性能については第34条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(構造)
第33条 配電盤の構造の基準は、強固であって盤面が不燃性物であり、これに少くとも表示灯、検漏器、電圧計、電流計、電圧測定用切替開閉器、可溶片附開閉器及び界磁調整器が設けられてあり、且つ、計器類が振動に耐え、動揺に対しても指示の変化を生じないものとする。
(性能)
第34条 配電盤の性能は、温度上昇試験、絶縁抵抗試験及び耐電圧試験並びに逆流継電器を備える配電盤にあっては、逆流継電器の作動により判定するものとし、その基準は、次のとおりとする。
 温度上昇試験は、定格電流を連続通じて行うものとし、配電盤内の接続部(逆流継電器を備える配電盤にあっては、逆流継電器の主接触部)及び抵抗器の抵抗線の上昇温度の限度が設計上の最大上昇温度以下であること。
 絶縁抵抗試験は、前号の試験の直後に500ボルト絶縁抵抗計を用いて行うものとし、絶縁抵抗が2メグオーム以上であること。
 耐電圧試験は、第28条第6号に掲げる基準のとおりであること。この場合において、同号中「鉄心及び継鉄と巻線の間」とあるのは、「閉路した導電部と配電盤の間」と、「定格出力」とあるのは、「発電機の定格出力に対応する配電盤の容量」と読み替えるものとする。
 逆流継電器が動揺時においても定格電流の10パーセント以下の逆流電流によって確実に作動すること。

第6章 航海測器設備

第1節 磁気コンパス

第35条 漁船の磁気コンパス(以下「コンパス」という。)は、検査の結果、その材料については次条、構造については第37条、性能については第38条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料)
第36条 コンパスの材料の基準は、左の通りとする。
 磁針及び修正用磁石がKS磁鋼、新KS磁鋼、MK磁鋼又はこれらと同等若しくはそれ以上の性能を有し、磁化後において人工枯(摂氏100度に8時間以上保持した後振幅2ミリメートル、振動数毎分1200回の振動を30分以上与えることをいう。以下同じ。)を行った時及び2箇月後においてそれぞれ磁気能率を測定し、人工枯を行った時に測定した磁気能率に対する2箇月後に測定した磁気能率の変化の割合が2パーセント以下であること。
 象限差修正具及びフリンダースバーがスーパーパーマロイ、炭素含有量0・02パーセント以下の純鉄又はこれらと同等若しくはそれ以上の性能を有し、残留磁気がある場合の感応磁気による有効量と残留磁気がない場合の感応磁気による有効量との差が、残留磁気がない場合の感応磁気による有効量の10パーセント以下であること。
 磁性部以外の各部分が無磁性であって、且つ、海水及び日照による影響を受けることが少いこと。
 軸針がビッカース硬度500以上でコンパス液(アルコール水溶液とする。)によりさびを生じないもの、軸帽がサファイヤであり、軸針及び軸帽が50倍の顕微鏡検査の結果、その形状及びみがきが良好であること。
(構造)
第37条 コンパスの構造の基準は、左の通りとする。
 主要部の寸法が左の表の上欄に掲げるコンパスの型式に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる通りであること。
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 コンパスバウルが15度まで傾斜させた場合においてコンパスカードの回転を妨げず、且つ、指北度が完全であり、スタンドを30度まで傾斜させた場合においても常に水平を保つこと。
 コンパスバウルの上縁目盛が船首方向を零度として左右に各180度であること。
 コンパスバウルが摂氏50度から零下20度までの温度に耐える温度補正装置を備えていること。
 シャドーピン座の孔の内径が2・55ミリメートル(許容誤差は、正0・01ミリメートル以内)であること。
 シャドーピン座の中心とコンパスバウルの上縁目盛及びコンパスカードの目盛の中心との誤差が0・2ミリメートル以内であること。
 基線の数が甲型コンパスにあっては船首及び船尾の方向並びに左右の各1本、乙型Aコンパスにあっては船首の方向及び左右に各1本、乙型Bコンパスにあっては船首の方向に1本あること。
 コンパスカードの目盛が角度及び点を記入してあるものとし、角度目盛が360度式又は象限式であり、その最小目盛が1度、点目盛が南北を基点として東西を8点とし、その最小目盛が4分の1点としてあること。
 コンパスバウルの照明装置が乙型Bコンパスにあっては油灯、その他のものにあっては電灯及び予備油灯を備え、且つ、下部よりの照明装置を有するものにあっては、光力加減装置を有すること。
 乙型Bコンパスを除き、標準磁場において左の表の上欄に掲げるコンパスの型式に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる有効量を有する半円差修正用磁石、象限差修正具、フリンダースバー及び傾船差修正用磁石を備えていること。
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(性能)
第38条 コンパスの性能は、磁気能率試験、精度試験、制動及び随伴角(コンパスバウルを一定の速さで1回転させるときその回転のために生ずるコンパスカードの偏角をいう。以下本条において同じ。)の試験並びに温度試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 磁気能率試験は、コンパス浮動部(磁針、浮及びコンパスカードをいう。以下本条において同じ。)について行うものとし、磁気能率が標準磁場(気温摂氏15度において地磁気水平力が30マイクロテスラ、地磁気鉛直力が34マイクロテスラを示す磁場をいう。以下本条において同じ。)において甲型コンパスにあっては1500C・G・S・(許容誤差正負各200C・G・S・以内)乙型コンパスにあっては400C・G・S・(許容誤差正負各30C・G・S・以内)のものであること。
 精度試験は、方位については4方点及び4隔点において磁気子午線と比較し、軸心摩擦については静止点から左右に各5度偏位させ、浮動部の振揺周期及び重量についてはコンパス液中において行うものとし、標準磁場における目盛誤差、基線誤差、方位誤差、軸針摩擦誤差並びに振揺周期及び重量が左の表の上欄に掲げるコンパスの型式に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる通りであること。
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 制動及び随伴角の試験は、コンパスカードについて行うものとし、その制動が良好であり、その随伴角が標準磁場において5分間に1回転させた場合一度以内であること。
 温度試験は、コンパスバウルについて摂氏50度及び零下20度において各5時間行うものとし、コンパス液のいつ出、気ほうの発生又は混濁がなく、且つ、コンパスバウルの内面の塗装に異状を生じないこと。

第2節 舶用六分儀

第39条 漁船の舶用六分儀(以下「六分儀」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第41条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第40条 六分儀の材料及び構造の基準は、左の通りとする。
 各部の材料が人工枯したもの又は荒加工をした後6箇月以上枯らしたものであって永年使用してもひずみを生ぜず、且つ、無磁性であること。
 枠の直径が152ミリメートルから178ミリメートルまで、その弧の大きさが5分の1円周であり、軽量に造られていること。
 目盛及びその読取部分の構造が左の表の上欄に掲げる六分儀の型式に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる通りであること。
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 光学部分がよく焼鈍した光学ガラスであって、砂目、きず等がほとんどない程度にみがかれてあり、透明度が良好であって、且つ、有害な脈理、あわ、不溶解物等がないこと。
 動鏡及び水平鏡が枠面に垂直に設けられ、反復調整しても効力を失わない調整装置を備え、且つ、その平行度及び平面度が左の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる通りであること。
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 8倍から12倍までの間の倍率を有する長望遠鏡及び3倍以上の倍率を有する短望遠鏡各1箇を備え、その保持器が、望遠鏡の視軸線が六分儀の枠面に併行となるよう調整することができ、且つ、垂直に上下動を行うことができること。
 シェードグラスが太陽観測を行うために適当な濃度のもので、その濃度及び枚数、平行度並びに平面度が左の表の上欄に掲げるシェードグラスの種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる通りであること。
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(性能)
第41条 六分儀の性能は、中心差試験、振動試験及び温度試験並びに望遠鏡の性能により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 中心差試験は、15度おきに測角して行うものとし、それぞれの点における中心差(零度目盛における器差を零としたときの各点の総合誤差)が30秒以下であること。
 振動試験は、六分儀を格納箱に納め、振幅0・5ミリメートル、振動数毎分200回の振動を5分間以上与えて行うものとし、異状を生じないこと。
 温度試験は、六分儀を摂氏40度及び零下20度において各30分間維持して行うものとし、異状を生じないこと。
 望遠鏡が左の表の上欄に掲げる種類に応じ、それぞれ同表下欄に掲げる性能のものであり、視界の大部分において実用に差支えのある色収差、球面収差、コマ、非点収差、ジストーション、像面のわん曲等がないこと。
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第3節 アネロイド気圧計

第42条 漁船のアネロイド気圧計(以下「気圧計」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第44条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第43条 気圧計の材料及び構造の基準は、左の通りとする。
 各部の材料がなるべく無磁性で、且つ、さびを生じないものであり、チャンバー、ひげぜんまい及び鎖が洋白又はこれと同等若しくはそれ以上であること。
 壁取付型であって、その文字板の可視直径が大型のものにあっては、150ミリメートルから170ミリメートルまで、小型のものにあっては、110ミリメートルから130ミリメートルまでであること。
 温度誤差をなくすための自動調整装置を有し、且つ、指針が動揺及び振動に対し安全であること。
 文字板が中央上方を1000ヘクトパスカルとし、両端に若干の捨目盛を施したものであって、目盛及び指針が左の表によるものであること。
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(性能)
第44条 気圧計の性能は、器差、最大較差及びヒステリシスについての循環変圧試験及び気圧誤差についての温度試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。
 循環変圧試験は、ひげぜんまい及びチャンバーの平衡組立後60日以上経過したとき及び次号の温度試験から約24時間経過した後に気圧計の指度を常温で基準水銀気圧計の指度に合せ、目盛の全範囲に対し気圧差20ヘクトパスカルの間隔でそれぞれ30分間留め置いて行うものとし、器差、最大較差及びヒステリシスがそれぞれ正負1・0ヘクトパスカル、正負1・5ヘクトパスカル及び1・0ヘクトパスカルを超えないこと。
 温度試験は、ひげぜんまい及びチャンバーの平衡組立後60日以上経過したときにおいて行う循環変圧試験後に摂氏30度及び零度に各1時間以上維持して行うものとし、それぞれの温度において測定した気圧差が正負1・0ヘクトパスカルを超えないこと。

第4節 船内時計

第45条 漁船のぜんまい時計(以下「船内時計」という。)は、検査の結果、その材料及び構造については次条、性能については第47条に掲げる基準のすべてに適合するものを合格とする。
(材料及び構造)
第46条 船内時計の材料及び構造の基準は、左の通りとする。
 てんぷ、ぜんまい、ひげぜんまい及び軸以外の部分の材料が無磁性で、且つ、さびを生じないもの又はさび止処理を行ってあること。
 1週間以上巻のかぎ巻式であって動揺及び振動に耐え、歩度変化を生ぜず、時計側が金属製又は木製で防湿及び防じん構造であること。
 時針、分針及び秒針を有するものであって、時針及び分針の調整が容易であり、且つ、調整によって歩度に著しい支障を生じないこと。
 てんぷが温度の変動に応じて自動的に歩度を調整する装置が施されていること。
(性能)
第47条 船内時計の性能は、日差試験、傾斜試験及び温度試験により判定するものとし、その基準は、左の通りとする。但し、温度試験は申請があった場合においてのみ行う。
 日差試験は、常温(摂氏20度から7度までの温度をいう。以下本条において同じ。)において連続7日間行うものとし、日差が10秒以内、7日間の積差が50秒以内であること。
 傾斜試験は、常温において左に30度傾けて連続3日間及び右に30度傾けて連続3日間行うものとし、それぞれの日差と傾斜を零としたときの日差との差が正負2秒以内であること。
 温度試験は、摂氏40度及び零下5度においてそれぞれ連続3日間行うものとし、それぞれの日差と常温における日差との差が正負5秒以内であること。

第7章 総合検査

第48条 漁船は、総合検査の結果、左の各号、第1章から第6章まで、次条及び第50条に掲げるすべての基準に適合するものを合格とする。
 法第25条第1項第2号から第6号までに掲げるものの大きさ、重量及び性能が当該漁船の従事する漁業種類又は用途に対し適当なものであり、且つ、その相互間及び船体と良好な釣合を有すること。
 魚群探知機、冷凍機、電動機その他の設備であって機関室と連絡して操作されるものにあっては、その連絡について必要な処置がされていること。
(装備の基準)
第49条 法第25条第1項各号に掲げるものの装備の基準は、第1章から第6章までに規定するものの外左の通りとする。
 推進器及びかじが船体に対し推進、旋回等の運動性能について良好な関係を有すること。
 推進器及び軸系が推進機関に対し適当なものであり、推進機関、補機関その他の動力機械とともに船体に有害な振動を与えないように装備されており、且つ、危険を及ぼすおそれがある運動部分には、それぞれ適当な防護装置が設けられていること。
 推進機関、補機関その他機関室内に装備される機器が船体中心線に並行に据え付けられていることを標準とし、これらの機関、機器及び動力伝導装置が漁ろう能率及び漁獲物の保蔵能力を阻害せず、且つ、その操作(これらの関係的操作を含む。)、点検及び応急修繕を容易に行えるように配置されていること。
 前号の機関の排気管が適当な防熱装置が施されてあり、且つ、排気が抵抗少く行われるようわん曲を少くして取り付けられていること。
 燃料の加熱装置には、コック等による加熱温度の調節装置が設けられていること。
 機関室内のすべての油管及び水管並びにうず巻ポンプの諸管が亜鉛めっき又は適当な防しょく処理が施されてあり、諸操作を阻害せず、急激な屈曲を避け、点検及び修繕が容易であり、且つ、損傷を受けるおそれがないように配管されてあり、それらに附属するバルブ及びコック類が容易に操作できる場所に取り付けられていること。
 うず巻ポンプの諸管にあっては、その主吐出管の直径がポンプの吐出口と同一なものであり、吸水管路において吸込口から1メートル以内の位置、吐出管路において適当な位置にそれぞれ塞止バルブが設けられてあり、且つ、吸水管端にはごみ除けが設けられていること。
 発電機、電動機、変圧器及び配電盤が機械的損害及びじんあい、水滴、油滴等による損害を受けることが少く乾燥した場所に据え付けられていることを標準とし、やむを得ずこれらによる損害を受けることが多い場所に据え付けられているものにあっては、適当な保護装置が設けられていること。
 電線は、鉛被電線、鉛被がい装電線、600ボルトゴム絶縁電線又はこれらと同等以上のものであり、甲板上又は機械的損傷を受けるおそれのある場所に敷設されるものにあっては、金属おおいを設け又は鋼管内に納め、魚そう等湿潤な場所に敷設されるものにあっては、鉛被電線又は鉛被がい装電線とし、防熱装置を貫通するものにあっては、両端に水防金具をもつ鋼管に納め当該装置に対し直角に敷設されてあり、電線の接続が接続箱その他適当な器具内に設けられた接続用端子によること。
 磁気コンパスが船体中心線上において出漁状態におけるきっ水線に垂直に据え付けられていること。
(装備後の性能の基準)
第50条 法第25条第1項第2号、第3号(魚群探知機を除く。)及び第5号に掲げるものが船体に装備されたときの性能の基準は、次のとおりとする。
 推進機関にあっては、第9条第1号、第4号から第6号まで及び第9号に掲げる基準(第9条第4号に掲げるものについては、過負荷試験に係るものを除く。)のとおりであること。ただし、燃料油消費率の計測は、必要があると認める場合に行うものとし、負荷試験において異常が認められない場合は、温度上昇試験を省略しても差し支えない。また、負荷試験における負荷及び運転時間、温度上昇試験における温度計測時並びに逆転試験における運転時間については、同条第4号、第5号及び第9号の規定にかかわらず次のとおりとする。
 負荷試験における負荷は、回転数及び燃料油ハンドルの位置を加減して定めるものとし、分力試験の運転時間は、適宜であり、全負荷試験の運転時間は連続1時間以上であること。
 温度上昇試験の温度計測時は、全負荷連続1時間以上の運転の直後行うこと。
 逆転試験における運転時間は、適宜であること。
 補機関にあっては、第10条の負荷試験、温度上昇試験及び調速機試験に掲げる基準のとおりであること。ただし、燃料油消費率の計測は、必要があると認める場合に行うものとし、負荷試験における負荷及び運転時間は、同条の規定にかかわらず適宜であること。
 空気圧縮機にあっては、第11条第2項に掲げる基準のとおりであること。
 渦巻ポンプにあっては、第18条第1号に掲げる最高揚水量及び揚程で連続1時間以上の試験を行うものとし、性能がその目的に対し適当であること。
 直流発電機にあっては、第28条第1号から第5号まで及び第7号に掲げる基準のとおりであること。
 直流電動機にあっては、第31条各号(耐電圧試験を除く。)に掲げる基準のとおりであること。
 交流発電機にあっては、第31条の4第1号から第5号まで及び第7号に掲げる基準のとおりであること。
 交流電動機にあっては、第31条の7第1号から第3号までに掲げる基準のとおりであること。
 変圧器にあっては、第31条の11第1号、第2号、第4号及び第6号に掲げる基準のとおりであること。
 配電盤にあっては、第34条第1号、第2号及び第4号に掲げる基準のとおりであること。

附則

この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和28年12月16日農林省令第70号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和29年7月31日農林省令第49号)
この省令は、昭和29年8月1日から施行する。
附則 (昭和30年5月10日農林省令第21号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和31年6月30日農林省令第34号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定により提出があった申請書に係る漁船の検査については、なお従前の例による。
附則 (昭和35年4月1日農林省令第11号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定により申請書が提出された漁船の船体、魚群探知機又は魚そうの防熱設備に係る検査については、なお従前の例による。ただし、申請者が改正後の規定による検査の実施を希望してその旨を申し出たときは、この限りでない。
附則 (昭和36年12月27日農林省令第63号)
この省令は、昭和37年1月1日から施行する。
附則 (昭和40年7月21日農林省令第35号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定により申請書が提出された漁船の機関の検査に係る燃料油消費率の基準については、なお従前の例による。
附則 (昭和42年4月1日農林省令第10号)
この省令は、昭和42年8月1日から施行する。
附則 (昭和48年10月30日農林省令第69号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定によりその申請書の提出があった漁船の船体及び魚群探知機の検査については、なお従前の例による。ただし、申請者が改正後の規定による検査の実施を希望してその旨を申し出たときは、この限りでない。
附則 (昭和55年12月13日農林水産省令第50号)
1 この省令は、昭和56年4月1日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定によりその申請書の提出があった漁船の魚群探知機の検査については、なお従前の例による。ただし、申請者が改正後の規定による検査の実施を希望してその旨を申し出たときは、この限りでない。
附則 (平成6年12月15日農林水産省令第83号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行前に漁船法施行規則(昭和25年農林省令第95号)第18条第1項の規定によりその申請書の提出があった漁船の魚群探知機の検査については、なお従前の例による。ただし、申請者が改正後の規定による検査の実施を希望してその旨を申し出たときは、この限りでない。
附則 (平成11年9月29日農林水産省令第63号)
この省令は、平成11年10月1日から施行する。
附則 (平成13年12月27日農林水産省令第153号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成14年4月1日から施行する。
附則 (平成25年6月12日農林水産省令第47号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (令和元年6月27日農林水産省令第10号)
(施行期日)
第1条 この省令は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月1日)から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現にあるこの省令による改正前の様式(次項において「旧様式」という。)により使用されている書類は、この省令による改正後の様式によるものとみなす。
2 この省令の施行の際現にある旧様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。

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