さいがいきゅうじょほうしこうれい
災害救助法施行令
昭和22年政令第225号
(災害の程度)
第1条 災害救助法(昭和22年法律第118号。以下「法」という。)第2条に規定する政令で定める程度の災害は、次の各号のいずれかに該当する災害とする。
一 当該市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、当該市の区域又は当該市の区若しくは総合区の区域とする。以下同じ。)内の人口に応じそれぞれ別表第1に定める数以上の世帯の住家が滅失したこと。
二 当該市町村の区域を包括する都道府県の区域内において、当該都道府県の区域内の人口に応じそれぞれ別表第2に定める数以上の世帯の住家が滅失した場合であって、当該市町村の区域内の人口に応じそれぞれ別表第3に定める数以上の世帯の住家が滅失したこと。
三 当該市町村の区域を包括する都道府県の区域内において、当該都道府県の区域内の人口に応じそれぞれ別表第4に定める数以上の世帯の住家が滅失したこと又は当該災害が隔絶した地域に発生したものである等被災者の救護を著しく困難とする内閣府令で定める特別の事情がある場合であって、多数の世帯の住家が滅失したこと。
四 多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じた場合であって、内閣府令で定める基準に該当すること。
2 前項第1号から第3号までに規定する住家が滅失した世帯の数の算定に当たっては、住家が半壊し又は半焼する等著しく損傷した世帯は2世帯をもって、住家が床上浸水、土砂の堆積等により一時的に居住することができない状態となった世帯は3世帯をもって、それぞれ住家が滅失した一の世帯とみなす。
(救助の種類)
第2条 法第4条第1項第10号に規定する救助の種類は、次のとおりとする。
一 死体の捜索及び処理
二 災害によって住居又はその周辺に運ばれた土石、竹木等で、日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去
(救助の程度、方法及び期間)
第3条 救助の程度、方法及び期間は、応急救助に必要な範囲内において、内閣総理大臣が定める基準に従い、あらかじめ、都道府県知事又は救助実施市の長(以下「都道府県知事等」という。)が、これを定める。
2 前項の内閣総理大臣が定める基準によっては救助の適切な実施が困難な場合には、都道府県知事等は、内閣総理大臣に協議し、その同意を得た上で、救助の程度、方法及び期間を定めることができる。
(医療、土木建築工事及び輸送関係者の範囲)
第4条 法第7条第1項及び第2項に規定する医療、土木建築工事及び輸送関係者の範囲は、次のとおりとする。
一 医師、歯科医師又は薬剤師
二 保健師、助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士又は歯科衛生士
三 土木技術者又は建築技術者
四 大工、左官又はとび職
五 土木業者又は建築業者及びこれらの者の従業者
六 鉄道事業者及びその従業者
七 軌道経営者及びその従業者
八 自動車運送事業者及びその従業者
九 船舶運送業者及びその従業者
十 港湾運送業者及びその従業者
(実費弁償)
第5条 法第7条第5項の規定による実費弁償に関して必要な事項は、内閣総理大臣が定める基準に従い、あらかじめ、都道府県知事等が、これを定める。
(都道府県知事等が管理することができる施設)
第6条 法第9条第1項の規定により都道府県知事等が管理することができる施設は、次のとおりとする。
一 病院、診療所又は助産所
二 旅館又は飲食店
(扶助金の種類)
第7条 法第12条の扶助金(以下「扶助金」という。)は、療養扶助金、休業扶助金、障害扶助金、遺族扶助金、葬祭扶助金及び打切扶助金の6種類とする。
(支給基礎額)
第8条 前条に規定する扶助金(療養扶助金を除く。)は、支給基礎額を基準として支給する。
2 前項に規定する支給基礎額は、次のとおりとする。
一 法第7条の規定により救助に関する業務に従事した者(以下「従事者」という。)のうち、労働基準法(昭和22年法律第49号)に規定する労働者である者については、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日を基準として、同法第12条の規定により算定した平均賃金の額
二 従事者のうち、労働基準法に規定する労働者でない者については、その者が通常得ている収入の額を基準として都道府県知事等が定める額。ただし、その者が通常得ている収入の額が、その地方で、同様の事業を営み、又は同様の業務に従事する者が通常得ている収入の額(以下「標準収入額」という。)を超えるときは、標準収入額を基準として都道府県知事等が定める額とする。
三 法第8条の規定により救助に関する業務に協力した者(以下「協力者」という。)については、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律施行令(昭和27年政令第429号)第5条に規定する給付基礎額の例により都道府県知事等が定める額
(療養扶助金)
第9条 従事者又は協力者が負傷し、又は疾病にかかった場合においては、療養扶助金として、必要な療養に要する費用を支給する。
2 前項の療養の範囲は、次に掲げるものであって、療養上相当と認められるものとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
(休業扶助金)
第10条 従事者又は協力者が負傷し、又は疾病にかかり、療養のため従前の業務に服することができない場合においては、休業扶助金として、その業務に服することができない期間1日につき、支給基礎額の100分の60に相当する金額を支給する。
2 前項の場合において、引き続き業務上の収入の全部又は一部を受けることができる者に対しては、同項の規定にかかわらず、その受けることができる期間中は休業扶助金を支給しない。ただし、その業務上の収入の額が休業扶助金の額より少ないときは、その差額を支給する。
(障害扶助金)
第11条 従事者又は協力者の負傷又は疾病が治った場合において、次項に規定する障害等級に該当する程度の身体障害が存するときは、障害扶助金を支給する。
2 障害等級は、その身体障害の程度に応じて重度のものから順に、第1級から第14級までに区分するものとする。この場合において、各障害等級に該当する身体障害は、内閣府令で定める。
3 障害扶助金の額は、次の各号に掲げる障害等級(前項に規定する障害等級をいう。以下同じ。)に応じ、支給基礎額に当該各号に定める倍数を乗じて得た額とする。
一 第1級 1340
二 第2級 1190
三 第3級 1050
四 第4級 920
五 第5級 790
六 第6級 670
七 第7級 560
八 第8級 450
九 第9級 350
十 第10級 270
十一 第11級 200
十二 第12級 140
十三 第13級 90
十四 第14級 50
4 障害等級に該当する程度の身体障害が2以上ある場合の障害等級は、最も重い身体障害に応ずる障害等級による。
5 次に掲げる場合の障害等級は、前項の規定にかかわらず、次の各号のうち、従事者又は協力者に最も有利なものによる。
一 第13級以上に該当する身体障害が2以上ある場合には、最も重い身体障害に応ずる障害等級より1級上位の障害等級
二 第8級以上に該当する身体障害が2以上ある場合には、最も重い身体障害に応ずる障害等級より2級上位の障害等級
三 第5級以上に該当する身体障害が2以上ある場合には、最も重い身体障害に応ずる障害等級より3級上位の障害等級
6 前項の規定による障害扶助金の額は、それぞれの身体障害に応ずる障害等級による障害扶助金の額を合算した額を超えてはならない。
7 既に身体障害のある従事者又は協力者が、負傷又は疾病によって、同一部位について障害の程度を加重した場合には、その障害扶助金の額から従前の障害に応ずる障害等級による障害扶助金の額を差し引いた額をもって、障害扶助金の額とする。
(遺族扶助金)
第12条 従事者又は協力者が死亡した場合においては、遺族扶助金として、その者の遺族に対して、支給基礎額の1000倍に相当する金額を支給する。
(遺族扶助金の受給者の範囲)
第13条 前条の遺族は、次の各号に掲げる者とする。
一 配偶者(婚姻の届出をしないが、従事者又は協力者の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)
二 子、父母、孫及び祖父母で、従事者又は協力者の死亡当時主としてその収入により生計を維持していたもの
三 前2号に掲げる者のほか、従事者又は協力者の死亡当時主としてその収入により生計を維持していた者
四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で前2号に該当しないもの
2 前項に掲げる者の遺族扶助金を受ける順位は、同項各号の順位により、同項第2号又は第4号に掲げる者のうちにあっては、それぞれ、当該各号に掲げる順序により、父母については、養父母を先にし、実父母を後にし、祖父母については、養父母の父母を先にし、実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし、実父母を後にする。
3 従事者又は協力者が遺言又は都道府県知事等に対する予告で、第1項第3号及び第4号に掲げる者のうち特に指定した者があるときは、その指定された者は、同項第3号及び第4号に掲げる他の者に優先して遺族扶助金を受けるものとする。
4 遺族扶助金を受けるべき同順位の者が2人以上ある場合においては、遺族扶助金は、その人数によって等分して支給するものとする。
(葬祭扶助金)
第14条 従事者又は協力者が死亡した場合においては、葬祭扶助金として、葬祭を行う者に対して、支給基礎額の60倍に相当する金額を支給する。
(打切扶助金)
第15条 第9条の規定によって療養扶助金の支給を受ける者が、療養扶助金の支給開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合においては、打切扶助金として、支給基礎額の1200倍に相当する金額を支給することができる。
2 前項の規定により打切扶助金を支給したときは、その後は扶助金を支給しない。
(他の法令による給付又は補償との調整等)
第16条 扶助金の支給を受けるべき者が他の法令(条例を含む。)による療養その他の給付又は補償を受けたときは、同一の事故については、その給付又は補償の限度において、扶助金を支給しない。
2 扶助金の支給の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合において、扶助金の支給を受けるべき者が当該第三者から損害賠償を受けたときは、同一の事故については、その賠償の限度において、扶助金を支給しない。
(災害発生市町村の長による救助の実施に関する事務の実施)
第17条 都道府県知事は、法第13条第1項の規定により救助の実施に関するその権限に属する事務の一部を災害発生市町村の長が行うこととするときは、災害発生市町村の長が行うこととする事務の内容及び当該事務を行うこととする期間を災害発生市町村の長に通知するものとする。この場合においては、当該災害発生市町村の長は、当該期間において当該事務を行わなければならない。
2 都道府県知事は、法第13条第1項の規定により救助の実施に関するその権限に属する事務(法第7条から第10条までに規定する事務に限る。)の一部を災害発生市町村の長が行うこととし、前項前段の規定による通知をしたときは、直ちにその旨を公示しなければならない。
3 法第13条第1項の規定により救助の実施に関するその権限に属する事務の一部を災害発生市町村の長が行うこととした場合においては、法の規定中当該事務に係る都道府県知事に関する規定は、災害発生市町村の長に関する規定として災害発生市町村の長に適用があるものとする。
(事務の区分)
第18条 この政令の規定により都道府県又は救助実施市(以下「都道府県等」という。)が処理することとされている事務のうち次に掲げるものは、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
一 第3条、第5条並びに第8条第2項第2号及び第3号の規定により都道府県等が処理することとされている事務
二 前条第1項及び第2項の規定により都道府県が処理することとされている事務
(国庫負担)
第19条 法第21条第1項に規定する政令で定める額は、100万円とする。
(災害救助基金の積立て)
第20条 都道府県等が法第23条の規定により積み立てなければならない金額は、当該都道府県等の当該年度における災害救助基金の最少額の5分の1に相当する額とする。
2 前項の規定により算定した額と当該都道府県等が現に積み立てている額の合計額が、当該都道府県等の当該年度における災害救助基金の最少額を超過する場合には、当該都道府県等が積み立てなければならない金額は、同項の規定により算定した額からその超過額を控除した額とする。
附則
○1 この政令は、公布の日から、これを施行する。
○2 昭和10年勅令第20号(罹災救助基金の貯蓄額に関する勅令)は、これを廃止する。
附則 (昭和22年12月27日政令第290号)
この政令は、公布の日から、これを施行する。
附則 (昭和28年8月12日政令第181号)
この政令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和30年1月19日政令第4号)
この政令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和34年7月11日政令第256号)
この政令は、公布の日から施行する。
附則 (昭和37年7月9日政令第289号)
この政令は、災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。ただし、この政令による改正後の第23条の規定は、昭和37年度分の国庫負担金から適用する。
附則 (昭和38年4月13日政令第128号)
この政令は、公布の日から施行し、昭和38年4月1日から適用する。
附則 (平成6年9月2日政令第282号) 抄
(施行期日)
第1条 この政令は、平成6年10月1日から施行する。
附則 (平成11年12月8日政令第393号) 抄
(施行期日)
第1条 この政令は、平成12年4月1日から施行する。
(災害救助法施行令の一部改正に伴う経過措置)
第3条 この政令の施行前に開始した災害救助法(昭和22年法律第144号)第2条に規定する救助に係る救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償に関して必要な事項に関する都道府県知事の定めについては、第3条の規定による改正後の災害救助法施行令第9条の2及び第11条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則 (平成12年6月7日政令第309号) 抄
(施行期日)
1 この政令は、内閣法の一部を改正する法律(平成11年法律第88号)の施行の日(平成13年1月6日)から施行する。
附則 (平成14年1月17日政令第4号) 抄
(施行期日)
第1条 この政令は、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律の施行の日(平成14年3月1日)から施行する。
附則 (平成18年8月11日政令第266号)
(施行期日)
1 この政令は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この政令の施行の日前に支給すべき事由の生じた災害救助法施行令第17条に規定する障害扶助金の支給については、なお従前の例による。
附則 (平成23年7月6日政令第212号)
この政令は、公布の日から施行する。
附則 (平成25年9月26日政令第285号) 抄
(施行期日)
第1条 この政令は、災害対策基本法等の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日(平成25年10月1日)から施行する。
(災害救助法施行令の一部改正に伴う経過措置)
第2条 第2条の規定の施行前に開始した災害救助法第2条に規定する救助に係る救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償に関して必要な事項に関する都道府県知事の定めについては、第2条の規定による改正後の災害救助法施行令(以下この条において「新災害救助法施行令」という。)第3条及び第5条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 第2条の規定の施行前に同条の規定による改正前の災害救助法施行令第9条第2項の規定によりされた同意又は第2条の規定の施行の際現に同項の規定によりされている協議の申出は、それぞれ新災害救助法施行令第3条第2項の規定によりされた同意又は協議の申出とみなす。
3 第2条の規定の施行前に支給すべき事由の生じた障害扶助金の支給については、新災害救助法施行令第11条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則 (平成27年1月30日政令第30号) 抄
(施行期日)
第1条 この政令は、地方自治法の一部を改正する法律(次条において「改正法」という。)の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。
附則 (平成30年12月28日政令第359号) 抄
(施行期日)
1 この政令は、平成31年4月1日から施行する。
別表第1(第1条関係)
市町村の区域内の人口 | 住家が滅失した世帯の数 |
5、000人未満 | 30 |
5、000人以上15、000人未満 | 40 |
15、000人以上30、000人未満 | 50 |
30、000人以上50、000人未満 | 60 |
50、000人以上100、000人未満 | 80 |
100、000人以上300、000人未満 | 100 |
300、000人以上 | 150 |
別表第2(第1条関係)
都道府県の区域内の人口 | 住家が滅失した世帯の数 |
1、000、000人未満 | 1、000 |
1、000、000人以上2、000、000人未満 | 1、500 |
2、000、000人以上3、000、000人未満 | 2、000 |
3、000、000人以上 | 2、500 |
別表第3(第1条関係)
市町村の区域内の人口 | 住家が滅失した世帯の数 |
5、000人未満 | 15 |
5、000人以上15、000人未満 | 20 |
15、000人以上30、000人未満 | 25 |
30、000人以上50、000人未満 | 30 |
50、000人以上100、000人未満 | 40 |
100、000人以上300、000人未満 | 50 |
300、000人以上 | 75 |
別表第4(第1条関係)
都道府県の区域内の人口 | 住家が滅失した世帯の数 |
1、000、000人未満 | 5、000 |
1、000、000人以上2、000、000人未満 | 7、000 |
2、000、000人以上3、000、000人未満 | 9、000 |
3、000、000人以上 | 12、000 |
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