にっせいとくべつつうしょうじょうやく
日西特別通商条約
明治34年勅令第1号
日本国皇帝陛下及西班牙国皇帝陛下並ニ同皇帝陛下ノ名ヲ以テスル摂政皇后陛下ハ明治30年1月2日即チ1897年1月2日「マドリッド」ニ於テ調印シタル議定書第1条ノ規定ニ基キ両締盟国ノ一方ヘ輸入セラルル他ノ一方ノ貨物及商品ニ対シ賦課セラルヘキ輸入税ニ関シ相互ノ主義ニ基ク所ノ特別通商条約ヲ締結スルコトニ決定シ之カ為ニ日本国皇帝陛下ハ外務大臣従二位勲1等子爵青木周蔵ヲ西班牙国皇帝陛下並ニ同皇帝陛下ノ名ヲ以テスル摂政皇后陛下ハ日本国皇帝陛下ノ闕下ニ駐箚スル西班牙国特命全権公使「ナイト、グランド、クロッス、オフ、ゼ、ローヤル、オルダー、オフ、イサベラ、ゼ、カソリック」「コンマンダー、オフ、ナンバー、オフ、ゼ、ローヤル、エンド、ヂスチングイシド、オルダー、オフ、チヤールス、ゼ、サード」勲1等旭日大綬章、葡萄牙国「ナイト、グランド、クロッス、オフ、ゼ、ローヤル、オルダー、オフ、クライスト」「ドン、ルイス、デ、ラ、バレラ、イ、リエラ」ヲ各其ノ全権委員ニ任命セリ因テ各全権委員ハ互ニ其ノ委任状ヲ示シ其ノ良好妥当ナルヲ認メ以テ左ノ諸条ヲ協議決定セリ
第1条 西班牙半島並ニ「バレアリック」島及「カネーリ」島ヘ輸入スル日本国ノ生産或ハ製造ニ係ル一切ノ物品ニ対シテハ如何ナル名義又ハ名称ヲ以テ徴税スルトモ別国ノ生産或ハ製造ニ係ル同種ノ物品ニ課スル所ノ税ニ異ナルカ或ハ之ヨリ多額ノ税ヲ課スルコトナカルヘシ然レトモ葡萄牙国ニ附与シタル特別ノ利益ハ日本国ノ生産品ニ対シ之ヲ附与セサルヘシ境界貿易ノ便宜ヲ計ラムカ為接壌諸国ニ許与スヘキ特典モ亦同シ但シ此等ノ利益又ハ特典カ葡萄牙国又ハ右ノ接壌諸国ノミニ限リ其ノ他ノ国ニ於テ之ヲ享有セサル場合ニ限ルモノトス
之ト均ク日本国ニ輸入スル西班牙国即チ西班牙半島並ニ「バレアリック」島及「カネーリ」島ノ生産或ハ製造ニ係ル一切ノ物品ニ対シテモ如何ナル名義又ハ名称ヲ以テ徴税スルトモ別国ノ生産或ハ製造ニ係ル同種ノ物品ニ課スル所ノ税ニ異ナルカ或ハ之ヨリ多額ノ税ヲ課スルコトナカルヘシ中間ノ諸港或ハ諸国ヲ通過シ又ハ此等ノ諸港或ハ諸国ニ於テ積換エ若ハ蔵置セラレタル所ノ物品タリトモ通シ船荷証券ヲ有スルニ於テハ直接輸入物品ト同一視スヘキコトヲ相互ニ協約ス
又両締盟国ノ一方ノ版図内ヘ別国ノ生産或ハ製造ニ係ル物品ノ輸入ヲ禁止スルニ非サレハ他ノ一方ノ版図内ノ生産或ハ製造ニ係ル同種ノ物品ヲ何レノ地ヨリ輸入スルコトヲモ禁止スルコトナカルヘシ但シ此ノ取極ハ人畜ノ安全或ハ農業ニ有用ナル植物ノ安全ヲ保護スルニ必要ナル衛生上其ノ他ノ禁止ニハ適用スヘカラサルモノトス
第2条 両締盟国ノ一方ノ版図内ヨリ他ノ一方ノ版図内ヘ輸出スル一切ノ物品ヘハ他ノ各外国ヘ輸出スル同種ノ物品ニ対シテ賦課シ若ハ賦課スヘキ所ニ異ナルカ或ハ之ヨリ多額ノ関税又ハ取立金ヲ賦課スルコトナカルヘシ又両締盟国ノ一方ノ版図内ニ於テ他ノ各外国ニ向ヒ物品ノ輸出ヲ禁止スルニ非サレハ他ノ一方ノ版図内ヘ同種ノ物品ヲ輸出スルコトヲモ禁止セサルヘシ
第3条 通商及航海ニ関シ西班牙国カ西班牙亜米利加諸共和国ノ為ニ保留スル所ノ特別ノ取扱ニシテ其ノ他ノ国ニ及ホササルモノニ対シテハ明治30年1月2日即チ1897年1月2日調印ノ修好交通条約第14条第1項ヲ適用セサルコトヲ同条第2項末段ニ於テ定メタルモ該取扱ハ本条約実施ノ日ヨリ条件ヲ附セスシテ日本国ニモ之ヲ許与スヘキモノトス
第4条 本条約ハ批准交換後直ニ実施セラルヘシ
両締盟国ノ一方ハ本条約実施ノ日ヨリ5箇年ヲ経過シタル後ハ何時タリトモ本条約ヲ終了セムト欲スル旨ヲ他ノ一方ニ通知スルノ権利ヲ有スヘシ而シテ此ノ通知ヲ為シタル後12箇月ヲ経過シタルトキハ本条約ハ消滅ニ帰スヘキモノトス
第5条 本条約ハ日本文ニテ2通西班牙文ニテ2通英吉利文ニテ2通即チ6通ニ之ヲ書載ス而シテ日本文ト西班牙文トノ間ニ文意相異ナルトキハ英文ニ従リ之ヲ断定スヘシ
第6条 本条約ハ之ヲ批准シ其ノ批准ハ可成速ニ東京ニ於テ交換スヘシ
右証拠トシテ各全権委員ハ之ニ記名調印スルモノナリ
明治33年3月28日即チ1900年3月28日東京ニ於テ之ヲ作ル
子爵青木周蔵 印ルイス、デ、ラ、バレラ、イ、リエラ 印
天佑ヲ保有シ万世一系ノ帝祚ヲ践ミタル日本国皇帝(御名)此書ヲ見ル有衆ニ宣示ス
朕明治33年3月28日東京ニ於テ日西両国全権委員ノ記名調印シタル特別通商条約ノ各条目ヲ親シク閲覧点検シタルニ善ク朕ノ意ニ適シ間然スル所ナキヲ以テ右条約ヲ嘉納批准ス
神武天皇即位紀元2561年明治34年3月12日東京宮城ニ於テ親カラ名ヲ署シ璽ヲ鈐セシム
御名国璽
外務大臣 加藤高明印
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