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電気設備に関する技術基準を定める省令

平成9年通商産業省令第52号
電気事業法(昭和39年法律第170号)第39条第1項及び第56条第1項の規定に基づき、電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通商産業省令第61号)の全部を改正する省令を次のように定める。

第1章 総則

第1節 定義

(用語の定義)
第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 「電路」とは、通常の使用状態で電気が通じているところをいう。
 「電気機械器具」とは、電路を構成する機械器具をいう。
 「発電所」とは、発電機、原動機、燃料電池、太陽電池その他の機械器具(電気事業法(昭和39年法律第170号)第38条第2項に規定する小出力発電設備、非常用予備電源を得る目的で施設するもの及び電気用品安全法(昭和36年法律第234号)の適用を受ける携帯用発電機を除く。)を施設して電気を発生させる所をいう。
 「変電所」とは、構外から伝送される電気を構内に施設した変圧器、回転変流機、整流器その他の電気機械器具により変成する所であって、変成した電気をさらに構外に伝送するものをいう。
 「開閉所」とは、構内に施設した開閉器その他の装置により電路を開閉する所であって、発電所、変電所及び需要場所以外のものをいう。
 「電線」とは、強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう。
 「電車線」とは、電気機関車及び電車にその動力用の電気を供給するために使用する接触電線及び鋼索鉄道の車両内の信号装置、照明装置等に電気を供給するために使用する接触電線をいう。
 「電線路」とは、発電所、変電所、開閉所及びこれらに類する場所並びに電気使用場所相互間の電線(電車線を除く。)並びにこれを支持し、又は保蔵する工作物をいう。
 「電車線路」とは、電車線及びこれを支持する工作物をいう。
 「調相設備」とは、無効電力を調整する電気機械器具をいう。
十一 「弱電流電線」とは、弱電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいう。
十二 「弱電流電線路」とは、弱電流電線及びこれを支持し、又は保蔵する工作物(造営物の屋内又は屋側に施設するものを除く。)をいう。
十三 「光ファイバケーブル」とは、光信号の伝送に使用する伝送媒体であって、保護被覆で保護したものをいう。
十四 「光ファイバケーブル線路」とは、光ファイバケーブル及びこれを支持し、又は保蔵する工作物(造営物の屋内又は屋側に施設するものを除く。)をいう。
十五 「支持物」とは、木柱、鉄柱、鉄筋コンクリート柱及び鉄塔並びにこれらに類する工作物であって、電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルを支持することを主たる目的とするものをいう。
十六 「連接引込線」とは、1需要場所の引込線(架空電線路の支持物から他の支持物を経ないで需要場所の取付け点に至る架空電線(架空電線路の電線をいう。以下同じ。)及び需要場所の造営物(土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有する工作物をいう。以下同じ。)の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るものをいう。)から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の引込口に至る部分の電線をいう。
十七 「配線」とは、電気使用場所において施設する電線(電気機械器具内の電線及び電線路の電線を除く。)をいう。
十八 「電力貯蔵装置」とは、電力を貯蔵する電気機械器具をいう。
(電圧の種別等)
第2条 電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の3種とする。
 低圧 直流にあっては750ボルト以下、交流にあっては600ボルト以下のもの
 高圧 直流にあっては750ボルトを、交流にあっては600ボルトを超え、7000ボルト以下のもの
 特別高圧 7000ボルトを超えるもの
2 高圧又は特別高圧の多線式電路(中性線を有するものに限る。)の中性線と他の1線とに電気的に接続して施設する電気設備については、その使用電圧又は最大使用電圧がその多線式電路の使用電圧又は最大使用電圧に等しいものとして、この省令の規定を適用する。

第2節 適用除外

(適用除外)
第3条 この省令は、原子力発電工作物については、適用しない。
2 鉄道営業法(明治33年法律第65号)、軌道法(大正10年法律第76号)又は鉄道事業法(昭和61年法律第92号)が適用され又は準用される電気設備であって、鉄道、索道又は軌道の専用敷地内に施設するもの(直流変成器又は交流き電用変成器を施設する変電所(以下「電気鉄道用変電所」という。)相互を接続する送電用の電線路以外の送電用の電線路を除く。)については、第19条第13項、第20条、第21条、第23条第2項、第24条から第26条まで、第27条第1項及び第2項、第27条の2、第28条から第32条、第34条、第36条から第39条まで、第47条、第48条第2項及び第3項並びに第53条第1項の規定を適用せず、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法の相当規定の定めるところによる。
3 鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される電車線等(電車線又はこれと電気的に接続するちょう架線、ブラケット若しくはスパン線をいう。以下同じ。)及びレールについては、第20条、第25条第1項、第28条、第29条及び第32条第1項の規定を適用せず、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法の相当規定の定めるところによる。
4 鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される電気鉄道用変電所については、第27条の2第2項及び第46条第2項の規定を適用せず、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法の相当規定の定めるところによる。

第3節 保安原則

第1款 感電、火災等の防止
(電気設備における感電、火災等の防止)
第4条 電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
(電路の絶縁)
第5条 電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
2 前項の場合にあっては、その絶縁性能は、第22条及び第58条の規定を除き、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
3 変成器内の巻線と当該変成器内の他の巻線との間の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないものでなければならない。
(電線等の断線の防止)
第6条 電線、支線、架空地線、弱電流電線等(弱電流電線及び光ファイバケーブルをいう。以下同じ。)その他の電気設備の保安のために施設する線は、通常の使用状態において断線のおそれがないように施設しなければならない。
(電線の接続)
第7条 電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか、絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線のおそれがないようにしなければならない。
(電気機械器具の熱的強度)
第8条 電路に施設する電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えるものでなければならない。
(高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止)
第9条 高圧又は特別高圧の電気機械器具は、取扱者以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。ただし、接触による危険のおそれがない場合は、この限りでない。
2 高圧又は特別高圧の開閉器、遮断器、避雷器その他これらに類する器具であって、動作時にアークを生ずるものは、火災のおそれがないよう、木製の壁又は天井その他の可燃性の物から離して施設しなければならない。ただし、耐火性の物で両者の間を隔離した場合は、この限りでない。
(電気設備の接地)
第10条 電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第5条第1項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。
(電気設備の接地の方法)
第11条 電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。
第2款 異常の予防及び保護対策
(特別高圧電路等と結合する変圧器等の火災等の防止)
第12条 高圧又は特別高圧の電路と低圧の電路とを結合する変圧器は、高圧又は特別高圧の電圧の侵入による低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、当該変圧器における適切な箇所に接地を施さなければならない。ただし、施設の方法又は構造によりやむを得ない場合であって、変圧器から離れた箇所における接地その他の適切な措置を講ずることにより低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがない場合は、この限りでない。
2 変圧器によって特別高圧の電路に結合される高圧の電路には、特別高圧の電圧の侵入による高圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、接地を施した放電装置の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
(特別高圧を直接低圧に変成する変圧器の施設制限)
第13条 特別高圧を直接低圧に変成する変圧器は、次の各号のいずれかに掲げる場合を除き、施設してはならない。
 発電所等公衆が立ち入らない場所に施設する場合
 混触防止措置が講じられている等危険のおそれがない場合
 特別高圧側の巻線と低圧側の巻線とが混触した場合に自動的に電路が遮断される装置の施設その他の保安上の適切な措置が講じられている場合
(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策)
第14条 電路の必要な箇所には、過電流による過熱焼損から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、火災の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
(地絡に対する保護対策)
第15条 電路には、地絡が生じた場合に、電線若しくは電気機械器具の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電気機械器具を乾燥した場所に施設する等地絡による危険のおそれがない場合は、この限りでない。
(サイバーセキュリティの確保)
第15条の2 電気工作物(一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業及び発電事業の用に供するものに限る。)の運転を管理する電子計算機は、当該電気工作物が人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれ及び一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第2条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を確保しなければならない。
第3款 電気的、磁気的障害の防止
(電気設備の電気的、磁気的障害の防止)
第16条 電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない。
(高周波利用設備への障害の防止)
第17条 高周波利用設備(電路を高周波電流の伝送路として利用するものに限る。以下この条において同じ。)は、他の高周波利用設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
第4款 供給支障の防止
(電気設備による供給支障の防止)
第18条 高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。
2 高圧又は特別高圧の電気設備は、その電気設備が一般送配電事業の用に供される場合にあっては、その電気設備の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないように施設しなければならない。

第4節 公害等の防止

(公害等の防止)
第19条 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第51号)第4条第1項及び第2項の規定は、変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する電気設備又は電力保安通信設備に附属する電気設備について準用する。
2 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第2項の規定による特定施設を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所から排出される排出水は、同法第3条第1項及び第3項の規定による規制基準に適合しなければならない。
3 水質汚濁防止法第4条の5第1項に規定する指定地域内事業場から排出される排出水にあっては、前項の規定によるほか、同法第4条の2第1項に規定する指定項目で表示した汚濁負荷量が同法第4条の5第1項又は第2項の規定に基づいて定められた総量規制基準に適合しなければならない。
4 水質汚濁防止法第2条第8項に規定する有害物質使用特定施設(次項において「有害物質使用特定施設」という。)を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所から地下に浸透される同項に規定する特定地下浸透水(次項において「特定地下浸透水」という。)は、同法第8条第1項の環境省令で定める要件に該当してはならない。
5 発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する有害物質使用特定施設は、水質汚濁防止法第12条の4の環境省令で定める基準に適合しなければならない。ただし、発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所から特定地下浸透水を浸透させる場合は、この限りでない。
6 発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する水質汚濁防止法第5条第3項に規定する有害物質貯蔵指定施設は、同法第12条の4の環境省令で定める基準に適合しなければならない。
7 水質汚濁防止法第2条第4項の規定による指定施設を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、指定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質又は指定物質を含む水が当該設置場所から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがないよう、適切な措置を講じなければならない。
8 水質汚濁防止法第2条第5項の規定による貯油施設等を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、貯油施設等の破損その他の事故が発生し、油を含む水が当該設置場所から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがないよう、適切な措置を講じなければならない。
9 特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法(平成6年法律第9号)第2条第6項の規定による特定施設等を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所から排出される排出水は、同法第9条第1項の規定による規制基準に適合しなければならない。
10 中性点直接接地式電路に接続する変圧器を設置する箇所には、絶縁油の構外への流出及び地下への浸透を防止するための措置が施されていなければならない。
11 騒音規制法(昭和43年法律第98号)第2条第1項の規定による特定施設を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所であって同法第3条第1項の規定により指定された地域内に存するものにおいて発生する騒音は、同法第4条第1項又は第2項の規定による規制基準に適合しなければならない。
12 振動規制法(昭和51年法律第64号)第2条第1項の規定による特定施設を設置する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所であって同法第3条第1項の規定により指定された地域内に存するものにおいて発生する振動は、同法第4条第1項又は第2項の規定による規制基準に適合しなければならない。
13 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域(以下「急傾斜地崩壊危険区域」という。)内に施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所の電気設備、電線路又は電力保安通信設備は、当該区域内の急傾斜地(同法第2条第1項の規定によるものをいう。)の崩壊を助長し又は誘発するおそれがないように施設しなければならない。
14 ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気機械器具及び電線は、電路に施設してはならない。
15 水質汚濁防止法第2条第5項の規定による貯油施設等が一般用電気工作物である場合には、当該貯油施設等を設置する場所において、貯油施設等の破損その他の事故が発生し、油を含む水が当該設置場所から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがないよう、適切な措置を講じなければならない。

第2章 電気の供給のための電気設備の施設

第1節 感電、火災等の防止

(電線路等の感電又は火災の防止)
第20条 電線路又は電車線路は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
(架空電線及び地中電線の感電の防止)
第21条 低圧又は高圧の架空電線には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線又はケーブルを使用しなければならない。ただし、通常予見される使用形態を考慮し、感電のおそれがない場合は、この限りでない。
2 地中電線(地中電線路の電線をいう。以下同じ。)には、感電のおそれがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有するケーブルを使用しなければならない。
(低圧電線路の絶縁性能)
第22条 低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間の絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の2000分の1を超えないようにしなければならない。
(発電所等への取扱者以外の者の立入の防止)
第23条 高圧又は特別高圧の電気機械器具、母線等を施設する発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所には、取扱者以外の者に電気機械器具、母線等が危険である旨を表示するとともに、当該者が容易に構内に立ち入るおそれがないように適切な措置を講じなければならない。
2 地中電線路に施設する地中箱は、取扱者以外の者が容易に立ち入るおそれがないように施設しなければならない。
(架空電線路の支持物の昇塔防止)
第24条 架空電線路の支持物には、感電のおそれがないよう、取扱者以外の者が容易に昇塔できないように適切な措置を講じなければならない。
(架空電線等の高さ)
第25条 架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
2 支線は、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。
(架空電線による他人の電線等の作業者への感電の防止)
第26条 架空電線路の支持物は、他人の設置した架空電線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の電線又は弱電流電線若しくは光ファイバケーブルの間を貫通して施設してはならない。ただし、その他人の承諾を得た場合は、この限りでない。
2 架空電線は、他人の設置した架空電線路、電車線路又は架空弱電流電線路若しくは架空光ファイバケーブル線路の支持物を挟んで施設してはならない。ただし、同一支持物に施設する場合又はその他人の承諾を得た場合は、この限りでない。
(架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用による感電の防止)
第27条 特別高圧の架空電線路は、通常の使用状態において、静電誘導作用により人による感知のおそれがないよう、地表上1メートルにおける電界強度が3キロボルト毎メートル以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 特別高圧の架空電線路は、電磁誘導作用により弱電流電線路(電力保安通信設備を除く。)を通じて人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
3 電力保安通信設備は、架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用により人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
(電気機械器具等からの電磁誘導作用による人の健康影響の防止)
第27条の2 変圧器、開閉器その他これらに類するもの又は電線路を発電所、変電所、開閉所及び需要場所以外の場所に施設するに当たっては、通常の使用状態において、当該電気機械器具等からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該電気機械器具等のそれぞれの付近において、人によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200マイクロテスラ以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、人によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200マイクロテスラ以下になるように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。

第2節 他の電線、他の工作物等への危険の防止

(電線の混触の防止)
第28条 電線路の電線、電力保安通信線又は電車線等は、他の電線又は弱電流電線等と接近し、若しくは交さする場合又は同一支持物に施設する場合には、他の電線又は弱電流電線等を損傷するおそれがなく、かつ、接触、断線等によって生じる混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
(電線による他の工作物等への危険の防止)
第29条 電線路の電線又は電車線等は、他の工作物又は植物と接近し、又は交さする場合には、他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく、かつ、接触、断線等によって生じる感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
(地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止)
第30条 地中電線、屋側電線及びトンネル内電線その他の工作物に固定して施設する電線は、他の電線、弱電流電線等又は管(他の電線等という。以下この条において同じ。)と接近し、又は交さする場合には、故障時のアーク放電により他の電線等を損傷するおそれがないように施設しなければならない。ただし、感電又は火災のおそれがない場合であって、他の電線等の管理者の承諾を得た場合は、この限りでない。
(異常電圧による架空電線等への障害の防止)
第31条 特別高圧の架空電線と低圧又は高圧の架空電線又は電車線を同一支持物に施設する場合は、異常時の高電圧の侵入により低圧側又は高圧側の電気設備に障害を与えないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。
2 特別高圧架空電線路の電線の上方において、その支持物に低圧の電気機械器具を施設する場合は、異常時の高電圧の侵入により低圧側の電気設備へ障害を与えないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。

第3節 支持物の倒壊による危険の防止

(支持物の倒壊の防止)
第32条 架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、風速40メートル毎秒の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される気象の変化、振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、風速40メートル毎秒の風圧荷重の2分の1の風圧荷重を考慮して施設することができる。
2 特別高圧架空電線路の支持物は、構造上安全なものとすること等により連鎖的に倒壊のおそれがないように施設しなければならない。

第4節 高圧ガス等による危険の防止

(ガス絶縁機器等の危険の防止)
第33条 発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設するガス絶縁機器(充電部分が圧縮絶縁ガスにより絶縁された電気機械器具をいう。以下同じ。)及び開閉器又は遮断器に使用する圧縮空気装置は、次の各号により施設しなければならない。
 圧力を受ける部分の材料及び構造は、最高使用圧力に対して十分に耐え、かつ、安全なものであること。
 圧縮空気装置の空気タンクは、耐食性を有すること。
 圧力が上昇する場合において、当該圧力が最高使用圧力に到達する以前に当該圧力を低下させる機能を有すること。
 圧縮空気装置は、主空気タンクの圧力が低下した場合に圧力を自動的に回復させる機能を有すること。
 異常な圧力を早期に検知できる機能を有すること。
 ガス絶縁機器に使用する絶縁ガスは、可燃性、腐食性及び有毒性のないものであること。
(加圧装置の施設)
第34条 圧縮ガスを使用してケーブルに圧力を加える装置は、次の各号により施設しなければならない。
 圧力を受ける部分は、最高使用圧力に対して十分に耐え、かつ、安全なものであること。
 自動的に圧縮ガスを供給する加圧装置であって、故障により圧力が著しく上昇するおそれがあるものは、上昇した圧力に耐える材料及び構造であるとともに、圧力が上昇する場合において、当該圧力が最高使用圧力に到達する以前に当該圧力を低下させる機能を有すること。
 圧縮ガスは、可燃性、腐食性及び有毒性のないものであること。
(水素冷却式発電機等の施設)
第35条 水素冷却式の発電機若しくは調相設備又はこれに附属する水素冷却装置は、次の各号により施設しなければならない。
 構造は、水素の漏洩又は空気の混入のおそれがないものであること。
 発電機、調相設備、水素を通ずる管、弁等は、水素が大気圧で爆発する場合に生じる圧力に耐える強度を有するものであること。
 発電機の軸封部から水素が漏洩したときに、漏洩を停止させ、又は漏洩した水素を安全に外部に放出できるものであること。
 発電機内又は調相設備内への水素の導入及び発電機内又は調相設備内からの水素の外部への放出が安全にできるものであること。
 異常を早期に検知し、警報する機能を有すること。

第5節 危険な施設の禁止

(油入開閉器等の施設制限)
第36条 絶縁油を使用する開閉器、断路器及び遮断器は、架空電線路の支持物に施設してはならない。
(屋内電線路等の施設の禁止)
第37条 屋内を貫通して施設する電線路、屋側に施設する電線路、屋上に施設する電線路又は地上に施設する電線路は、当該電線路より電気の供給を受ける者以外の者の構内に施設してはならない。ただし、特別の事情があり、かつ、当該電線路を施設する造営物(地上に施設する電線路にあっては、その土地。)の所有者又は占有者の承諾を得た場合は、この限りでない。
(連接引込線の禁止)
第38条 高圧又は特別高圧の連接引込線は、施設してはならない。ただし、特別の事情があり、かつ、当該電線路を施設する造営物の所有者又は占有者の承諾を得た場合は、この限りでない。
(電線路のがけへの施設の禁止)
第39条 電線路は、がけに施設してはならない。ただし、その電線が建造物の上に施設する場合、道路、鉄道、軌道、索道、架空弱電流電線等、架空電線又は電車線と交さして施設する場合及び水平距離でこれらのもの(道路を除く。)と接近して施設する場合以外の場合であって、特別の事情がある場合は、この限りでない。
(特別高圧架空電線路の市街地等における施設の禁止)
第40条 特別高圧の架空電線路は、その電線がケーブルである場合を除き、市街地その他人家の密集する地域に施設してはならない。ただし、断線又は倒壊による当該地域への危険のおそれがないように施設するとともに、その他の絶縁性、電線の強度等に係る保安上十分な措置を講ずる場合は、この限りでない。
(市街地に施設する電力保安通信線の特別高圧電線に添架する電力保安通信線との接続の禁止)
第41条 市街地に施設する電力保安通信線は、特別高圧の電線路の支持物に添架された電力保安通信線と接続してはならない。ただし、誘導電圧による感電のおそれがないよう、保安装置の施設その他の適切な措置を講ずる場合は、この限りでない。

第6節 電気的、磁気的障害の防止

(通信障害の防止)
第42条 電線路又は電車線路は、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼす電波を発生するおそれがないように施設しなければならない。
2 電線路又は電車線路は、弱電流電線路に対し、誘導作用により通信上の障害を及ぼさないように施設しなければならない。ただし、弱電流電線路の管理者の承諾を得た場合は、この限りでない。
(地球磁気観測所等に対する障害の防止)
第43条 直流の電線路、電車線路及び帰線は、地球磁気観測所又は地球電気観測所に対して観測上の障害を及ぼさないように施設しなければならない。

第7節 供給支障の防止

(発変電設備等の損傷による供給支障の防止)
第44条 発電機、燃料電池又は常用電源として用いる蓄電池には、当該電気機械器具を著しく損壊するおそれがあり、又は一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがある異常が当該電気機械器具に生じた場合に自動的にこれを電路から遮断する装置を施設しなければならない。
2 特別高圧の変圧器又は調相設備には、当該電気機械器具を著しく損壊するおそれがあり、又は一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがある異常が当該電気機械器具に生じた場合に自動的にこれを電路から遮断する装置の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
(発電機等の機械的強度)
第45条 発電機、変圧器、調相設備並びに母線及びこれを支持するがいしは、短絡電流により生ずる機械的衝撃に耐えるものでなければならない。
2 水車又は風車に接続する発電機の回転する部分は、負荷を遮断した場合に起こる速度に対し、蒸気タービン、ガスタービン又は内燃機関に接続する発電機の回転する部分は、非常調速装置及びその他の非常停止装置が動作して達する速度に対し、耐えるものでなければならない。
3 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第51号)第13条第2項の規定は、蒸気タービンに接続する発電機について準用する。
(常時監視をしない発電所等の施設)
第46条 異常が生じた場合に人体に危害を及ぼし、若しくは物件に損傷を与えるおそれがないよう、異常の状態に応じた制御が必要となる発電所、又は一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、異常を早期に発見する必要のある発電所であって、発電所の運転に必要な知識及び技能を有する者が当該発電所又はこれと同一の構内において常時監視をしないものは、施設してはならない。
2 前項に掲げる発電所以外の発電所又は変電所(これに準ずる場所であって、10万ボルトを超える特別高圧の電気を変成するためのものを含む。以下この条において同じ。)であって、発電所又は変電所の運転に必要な知識及び技能を有する者が当該発電所若しくはこれと同一の構内又は変電所において常時監視をしない発電所又は変電所は、非常用予備電源を除き、異常が生じた場合に安全かつ確実に停止することができるような措置を講じなければならない。
(地中電線路の保護)
第47条 地中電線路は、車両その他の重量物による圧力に耐え、かつ、当該地中電線路を埋設している旨の表示等により掘削工事からの影響を受けないように施設しなければならない。
2 地中電線路のうちその内部で作業が可能なものには、防火措置を講じなければならない。
(特別高圧架空電線路の供給支障の防止)
第48条 使用電圧が17万ボルト以上の特別高圧架空電線路は、市街地その他人家の密集する地域に施設してはならない。ただし、当該地域からの火災による当該電線路の損壊によって一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 使用電圧が17万ボルト以上の特別高圧架空電線と建造物との水平距離は、当該建造物からの火災による当該電線の損壊等によって一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、3メートル以上としなければならない。
3 使用電圧が17万ボルト以上の特別高圧架空電線が、建造物、道路、歩道橋その他の工作物の下方に施設されるときの相互の水平離隔距離は、当該工作物の倒壊等による当該電線の損壊によって一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を及ぼすおそれがないよう、3メートル以上としなければならない。
(高圧及び特別高圧の電路の避雷器等の施設)
第49条 雷電圧による電路に施設する電気設備の損壊を防止できるよう、当該電路中次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、雷電圧による当該電気設備の損壊のおそれがない場合は、この限りでない。
 発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線引込口及び引出口
 架空電線路に接続する配電用変圧器であって、過電流遮断器の設置等の保安上の保護対策が施されているものの高圧側及び特別高圧側
 高圧又は特別高圧の架空電線路から供給を受ける需要場所の引込口
(電力保安通信設備の施設)
第50条 発電所、変電所、開閉所、給電所(電力系統の運用に関する指令を行う所をいう。)、技術員駐在所その他の箇所であって、一般送配電事業に係る電気の供給に対する著しい支障を防ぎ、かつ、保安を確保するために必要なものの相互間には、電力保安通信用電話設備を施設しなければならない。
2 電力保安通信線は、機械的衝撃、火災等により通信の機能を損なうおそれがないように施設しなければならない。
(災害時における通信の確保)
第51条 電力保安通信設備に使用する無線通信用アンテナ又は反射板(以下この条において「無線用アンテナ等」という。)を施設する支持物の材料及び構造は、風速60メートル毎秒の風圧荷重を考慮し、倒壊により通信の機能を損なうおそれがないように施設しなければならない。ただし、電線路の周囲の状態を監視する目的で施設する無線用アンテナ等を架空電線路の支持物に施設するときは、この限りでない。

第8節 電気鉄道に電気を供給するための電気設備の施設

(電車線路の施設制限)
第52条 直流の電車線路の使用電圧は、低圧又は高圧としなければならない。
2 交流の電車線路の使用電圧は、2万5000ボルト以下としなければならない。
3 電車線路は、電気鉄道の専用敷地内に施設しなければならない。ただし、感電のおそれがない場合は、この限りでない。
4 前項の専用敷地は、電車線路が、サードレール式である場合等人がその敷地内に立ち入った場合に感電のおそれがあるものである場合には、高架鉄道等人が容易に立ち入らないものでなければならない。
(架空絶縁帰線等の施設)
第53条 第20条、第21条第1項、第25条第1項、第26条第2項、第28条、第29条、第32条、第36条、第38条及び第41条の規定は、架空絶縁帰線に準用する。
2 第6条、第7条、第10条、第11条、第25条、第26条、第28条、第29条、第32条第1項及び第42条第2項の規定は、架空で施設する排流線に準用する。
(電食作用による障害の防止)
第54条 直流帰線は、漏れ電流によって生じる電食作用による障害のおそれがないように施設しなければならない。
(電圧不平衡による障害の防止)
第55条 交流式電気鉄道は、その単相負荷による電圧不平衡により、交流式電気鉄道の変電所の変圧器に接続する電気事業の用に供する発電機、調相設備、変圧器その他の電気機械器具に障害を及ぼさないように施設しなければならない。

第3章 電気使用場所の施設

第1節 感電、火災等の防止

(配線の感電又は火災の防止)
第56条 配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
2 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
3 特別高圧の移動電線は、第1項及び前項の規定にかかわらず、施設してはならない。ただし、充電部分に人が触れた場合に人体に危害を及ぼすおそれがなく、移動電線と接続することが必要不可欠な電気機械器具に接続するものは、この限りでない。
(配線の使用電線)
第57条 配線の使用電線(裸電線及び特別高圧で使用する接触電線を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。
2 配線には、裸電線を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び電圧に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
3 特別高圧の配線には、接触電線を使用してはならない。
(低圧の電路の絶縁性能)
第58条 電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の上欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。
電路の使用電圧の区分 絶縁抵抗値
300ボルト以下 対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧をいう。以下同じ。)が150ボルト以下の場合 0・1メガオーム
その他の場合 0・2メガオーム
300ボルトを超えるもの 0・4メガオーム
(電気使用場所に施設する電気機械器具の感電、火災等の防止)
第59条 電気使用場所に施設する電気機械器具は、充電部の露出がなく、かつ、人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがある発熱がないように施設しなければならない。ただし、電気機械器具を使用するために充電部の露出又は発熱体の施設が必要不可欠である場合であって、感電その他人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 燃料電池発電設備が一般用電気工作物である場合には、運転状態を表示する装置を施設しなければならない。
(特別高圧の電気集じん応用装置等の施設の禁止)
第60条 使用電圧が特別高圧の電気集じん装置、静電塗装装置、電気脱水装置、電気選別装置その他の電気集じん応用装置及びこれに特別高圧の電気を供給するための電気設備は、第56条及び前条の規定にかかわらず、屋側又は屋外には、施設してはならない。ただし、当該電気設備の充電部の危険性を考慮して、感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
(非常用予備電源の施設)
第61条 常用電源の停電時に使用する非常用予備電源(需要場所に施設するものに限る。)は、需要場所以外の場所に施設する電路であって、常用電源側のものと電気的に接続しないように施設しなければならない。

第2節 他の配線、他の工作物等への危険の防止

(配線による他の配線等又は工作物への危険の防止)
第62条 配線は、他の配線、弱電流電線等と接近し、又は交さする場合は、混触による感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
2 配線は、水道管、ガス管又はこれらに類するものと接近し、又は交さする場合は、放電によりこれらの工作物を損傷するおそれがなく、かつ、漏電又は放電によりこれらの工作物を介して感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

第3節 異常時の保護対策

(過電流からの低圧幹線等の保護措置)
第63条 低圧の幹線、低圧の幹線から分岐して電気機械器具に至る低圧の電路及び引込口から低圧の幹線を経ないで電気機械器具に至る低圧の電路(以下この条において「幹線等」という。)には、適切な箇所に開閉器を施設するとともに、過電流が生じた場合に当該幹線等を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。ただし、当該幹線等における短絡事故により過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
2 交通信号灯、出退表示灯その他のその損傷により公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがあるものに電気を供給する電路には、過電流による過熱焼損からそれらの電線及び電気機械器具を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
(地絡に対する保護措置)
第64条 ロードヒーティング等の電熱装置、プール用水中照明灯その他の一般公衆の立ち入るおそれがある場所又は絶縁体に損傷を与えるおそれがある場所に施設するものに電気を供給する電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
(電動機の過負荷保護)
第65条 屋内に施設する電動機(出力が0・2キロワット以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
(異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断)
第66条 高圧の移動電線又は接触電線(電車線を除く。以下同じ。)に電気を供給する電路には、過電流が生じた場合に、当該高圧の移動電線又は接触電線を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
2 前項の電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。

第4節 電気的、磁気的障害の防止

(電気機械器具又は接触電線による無線設備への障害の防止)
第67条 電気使用場所に施設する電気機械器具又は接触電線は、電波、高周波電流等が発生することにより、無線設備の機能に継続的かつ重大な障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

第5節 特殊場所における施設制限

(粉じんにより絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設)
第68条 粉じんの多い場所に施設する電気設備は、粉じんによる当該電気設備の絶縁性能又は導電性能が劣化することに伴う感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
(可燃性のガス等により爆発する危険のある場所における施設の禁止)
第69条 次の各号に掲げる場所に施設する電気設備は、通常の使用状態において、当該電気設備が点火源となる爆発又は火災のおそれがないように施設しなければならない。
 可燃性のガス又は引火性物質の蒸気が存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所
 粉じんが存在し、点火源の存在により爆発するおそれがある場所
 火薬類が存在する場所
 セルロイド、マッチ、石油類その他の燃えやすい危険な物質を製造し、又は貯蔵する場所
(腐食性のガス等により絶縁性能等が劣化することによる危険のある場所における施設)
第70条 腐食性のガス又は溶液の発散する場所(酸類、アルカリ類、塩素酸カリ、さらし粉、染料若しくは人造肥料の製造工場、銅、亜鉛等の製錬所、電気分銅所、電気めっき工場、開放形蓄電池を設置した蓄電池室又はこれらに類する場所をいう。)に施設する電気設備には、腐食性のガス又は溶液による当該電気設備の絶縁性能又は導電性能が劣化することに伴う感電又は火災のおそれがないよう、予防措置を講じなければならない。
(火薬庫内における電気設備の施設の禁止)
第71条 照明のための電気設備(開閉器及び過電流遮断器を除く。)以外の電気設備は、第69条の規定にかかわらず、火薬庫内には、施設してはならない。ただし、容易に着火しないような措置が講じられている火薬類を保管する場所にあって、特別の事情がある場合は、この限りでない。
(特別高圧の電気設備の施設の禁止)
第72条 特別高圧の電気設備は、第68条及び第69条の規定にかかわらず、第68条及び第69条各号に規定する場所には、施設してはならない。ただし、静電塗装装置、同期電動機、誘導電動機、同期発電機、誘導発電機又は石油の精製の用に供する設備に生ずる燃料油中の不純物を高電圧により帯電させ、燃料油と分離して、除去する装置及びこれらに電気を供給する電気設備(それぞれ可燃性のガス等に着火するおそれがないような措置が講じられたものに限る。)を施設するときは、この限りでない。
(接触電線の危険場所への施設の禁止)
第73条 接触電線は、第69条の規定にかかわらず、同条各号に規定する場所には、施設してはならない。
2 接触電線は、第68条の規定にかかわらず、同条に規定する場所には、施設してはならない。ただし、展開した場所において、低圧の接触電線及びその周囲に粉じんが集積することを防止するための措置を講じ、かつ、綿、麻、絹その他の燃えやすい繊維の粉じんが存在する場所にあっては、低圧の接触電線と当該接触電線に接触する集電装置とが使用状態において離れ難いように施設する場合は、この限りでない。
3 高圧接触電線は、第70条の規定にかかわらず、同条に規定する場所には、施設してはならない。

第6節 特殊機器の施設

(電気さくの施設の禁止)
第74条 電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。)は、施設してはならない。ただし、田畑、牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって、絶縁性がないことを考慮し、感電又は火災のおそれがないように施設するときは、この限りでない。
(電撃殺虫器、エックス線発生装置の施設場所の禁止)
第75条 電撃殺虫器又はエックス線発生装置は、第68条から第70条までに規定する場所には、施設してはならない。
(パイプライン等の電熱装置の施設の禁止)
第76条 パイプライン等(導管等により液体の輸送を行う施設の総体をいう。)に施設する電熱装置は、第68条から第70条までに規定する場所には、施設してはならない。ただし、感電、爆発又は火災のおそれがないよう、適切な措置を講じた場合は、この限りでない。
(電気浴器、銀イオン殺菌装置の施設)
第77条 電気浴器(浴槽の両端に板状の電極を設け、その電極相互間に微弱な交流電圧を加えて入浴者に電気的刺激を与える装置をいう。)又は銀イオン殺菌装置(浴槽内に電極を収納したイオン発生器を設け、その電極相互間に微弱な直流電圧を加えて銀イオンを発生させ、これにより殺菌する装置をいう。)は、第59条の規定にかかわらず、感電による人体への危害又は火災のおそれがない場合に限り、施設することができる。
(電気防食施設の施設)
第78条 電気防食施設は、他の工作物に電食作用による障害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。

附則

1 この省令は、平成9年6月1日から施行する。
2 この省令の施行の際現に設置され、又は設置のための工事に着手している電気工作物については、なお従前の例による。ただし、この省令の施行の際現に設置され、又は設置のための工事に着手しているもののうち、別に告示する電気工作物であって、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油(当該絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0・5パーセントを超えるものに限る。)を使用するものについては、別に告示する期限(以下この項において単に「期限」という。)の翌日(期限から1年を超えない期間に当該電気工作物を廃止することが明らかな場合は、期限から1年を経過した日)以後、第19条第14項の規定を適用する。
3 改正前の電気設備に関する技術基準を定める省令中深海底鉱山保安規則(昭和57年通商産業省令第35号)又は鉱山保安規則(平成6年通商産業省令第13号)の規定により準用され、又はその例によるものとされているものについては、その範囲内において、なお当分の間その例による。
附則 (平成12年6月30日通商産業省令第122号)
この省令は、平成12年7月1日から施行する。
附則 (平成12年9月20日通商産業省令第189号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成13年3月21日経済産業省令第27号)
この省令は、平成13年4月1日から施行する。
附則 (平成13年6月29日経済産業省令第180号)
この省令は、平成13年7月1日から施行する。
附則 (平成16年7月22日経済産業省令第79号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成17年3月10日経済産業省令第18号)
この省令は、公布の日から施行する。ただし、この省令の施行の際現に設置され、又は設置の工事が行われている燃料電池発電設備であって、電気事業法第38条第3項に規定する事業用電気工作物に関する規定を適用する場合には、平成18年3月31日までは、なお従前の例による。
附則 (平成19年3月28日経済産業省令第21号)
この省令は、公布の日から施行する。
附則 (平成20年4月7日経済産業省令第31号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、平成20年5月1日から施行する。
附則 (平成23年3月31日経済産業省令第14号)
この省令は、平成23年4月1日から施行する。
附則 (平成23年3月31日経済産業省令第15号)
この省令は、平成23年10月1日から施行する。ただし、この省令の施行の際現に設置され、又は設置のための工事に着手している電気工作物については、なお従前の例による。
附則 (平成24年6月1日経済産業省令第44号)
(施行期日)
第1条 この省令は、平成24年6月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行の際現に発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置している水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第2条第8項に規定する有害物質使用特定施設(同法第5条第2項に該当する場合を除き、設置の工事をしている場合を含む。)及び同法第5条第3項に規定する有害物質貯蔵指定施設(設置の工事をしている場合を含む。)については、この省令の施行の日から起算して3年を経過するまでの間は、この省令による改正後の電気設備に関する技術基準を定める省令第19条第5項及び第6項の規定は、適用しない。
附則 (平成24年7月2日経済産業省令第48号)
この省令は、平成24年8月1日から施行する。
附則 (平成24年9月14日経済産業省令第68号)
この省令は、原子力規制委員会設置法の施行の日(平成24年9月19日)から施行する。
附則 (平成28年3月23日経済産業省令第27号)
この省令は、電気事業法等の一部を改正する法律の施行の日(平成28年4月1日)から施行する。
附則 (平成28年9月23日経済産業省令第91号) 抄
(施行期日)
1 この省令は、平成28年9月24日から施行する。
(経過措置)
4 この省令の施行の際現に設置され、又は設置のための工事に着手している電気工作物についてのこの省令による改正後の電気設備に関する技術基準を定める省令第15条の2の適用については、この省令の施行後最初に行う変更の工事が完成するまでの間は、なお従前の例によることができる。
附則 (平成29年3月31日経済産業省令第32号) 抄
(施行期日)
第1条 この省令は、電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日(平成29年4月1日)から施行する。

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