かがくへいきのきんしおよびとくていぶっしつのきせいとうにかんするほうりつしこうれい
化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律施行令
平成7年政令第192号
内閣は、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律（平成7年法律第65号）第2条第1項から第5項まで及び第34条第1項の規定に基づき、この政令を制定する。
（毒性物質）
第1条 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律（以下「法」という。）第2条第1項の毒性物質は、別表の第3欄に掲げる物質とする。
（化学兵器）
第2条 法第2条第2項の政令で定める兵器は、次に掲げる兵器とする。
一 砲弾又はその弾体
二 ロケット弾又はその弾体
三 地雷又はその外殻
四 爆弾又はその弾体
（特定物質及び指定物質）
第3条 法第2条第3項の特定物質は、別表1の項の第3欄又は第4欄に掲げる物質とする。
2 法第2条第4項の指定物質は、別表2の項又は3の項の第3欄又は第4欄に掲げる物質とする。
3 法第2条第5項の第1種指定物質は、別表2の項の第3欄又は第4欄に掲げる物質とする。
（運搬証明書の書換え）
第3条の2 運搬証明書の交付を受けた者は、当該運搬証明書の記載事項に変更を生じたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、遅滞なく交付を受けた都道府県公安委員会に届け出て、その書換えを受けなければならない。
（運搬証明書の再交付）
第3条の3 運搬証明書の交付を受けた者は、当該運搬証明書を喪失し、汚損し、又は盗取されたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その事由を付して交付を受けた都道府県公安委員会にその再交付を文書で申請しなければならない。
（不要となった運搬証明書の返納）
第3条の4 運搬証明書の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、速やかに当該運搬証明書（第3号の場合にあっては、発見し、又は回復した運搬証明書）を交付を受けた都道府県公安委員会に返納するようにしなければならない。
一 運搬を終了したとき。
二 運搬をしないこととなったとき。
三 運搬証明書の再交付を受けた場合において、喪失し、又は盗取された運搬証明書を発見し、又は回復したとき。
（都道府県公安委員会の間の連絡）
第3条の5 運搬が2以上の都道府県にわたることとなる場合には、関係都道府県公安委員会（以下この条において「関係公安委員会」という。）は、次に掲げる措置をとるものとする。
一 出発地を管轄する都道府県公安委員会（以下この号において「出発地公安委員会」という。）以外の関係公安委員会にあっては、出発地公安委員会を通じて、法第17条第1項の届出の受理及び運搬証明書の交付並びに同条第2項の指示を行うこと。
二 法第17条第2項の指示を行おうとするときは、あらかじめ、当該指示の内容を他の関係公安委員会に通知すること。
三 前2号に定めるもののほか、当該運搬において特定物質が盗取され、又は所在不明となることを防ぐため、他の関係公安委員会と緊密な連絡を保つこと。
2 前項に規定するもののほか、運搬が2以上の都道府県にわたることとなる場合には、関係公安委員会は、一の関係公安委員会を通じて、第3条の2の規定による届出、第3条の3の規定による申請及び前条の規定による返納の受理を行うことができるものとする。この場合において、他の関係公安委員会は、当該一の関係公安委員会を通じて、運搬証明書の書換え又は再交付を行うものとする。
（有機化学物質及び特定有機化学物質）
第4条 法第29条第1項の有機化学物質は、次のとおりとする。
一 関税定率法（明治43年法律第54号）別表第28類及び第29類に該当する物品（単一の構造式を有する炭素化合物に限るものとし、炭素の酸化物及び硫化物並びに金属炭酸塩を除く。）
二 関税定率法別表第32・04項に該当する物品（単一の構造式を有する炭素化合物に限るものとし、炭素の酸化物及び硫化物並びに金属炭酸塩を除く。）
三 エチルアルコール
四 メタン
五 プロパン
六 尿素
2 法第29条第1項の政令で定める製造は、その製造工程における化学反応に合成反応（発酵に係るものを除く。）を含まないものとする。
3 法第29条第2項の特定有機化学物質は、第1項第1号及び第2号に掲げる有機化学物質であって、りん原子、硫黄原子又はふっ素原子を含むものとする。
（国際機関の指定する者の検査等への立会い）
第5条 法第30条第1項の政令で定める場合は、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約実施及び検証に関する附属書第1部3に規定する申立てによる査察が行われる場合とする。
（特定施設）
第6条 法第34条第1項の政令で指定する施設は、陸上自衛隊化学学校とする。
2 法第34条第1項の政令で定める数量は、年間10キログラムとする。
附則
（施行期日）
第1条 この政令は、法の施行の日（平成7年5月5日）から施行する。
附則 （平成9年2月19日政令第19号）
この政令は、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日（平成9年3月19日）から施行する。ただし、第3条の次に2条を加える改正規定（第5条に係る部分に限る。）は、同法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日（平成9年4月29日）から施行する。
附則 （平成11年10月14日政令第321号）
この政令は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行の日（平成12年4月1日）から施行する。
別表（第1条、第3条関係）
| 毒性物質 | 原料物質 | ||
| 1 | 特定物質 |
（一） O—アルキル＝アルキルホスホノフルオリダート（O—アルキルのアルキル基がシクロアルキル基であるものを含み、O—アルキルのアルキル基の炭素数が10以下であり、かつ、アルキルホスホノフルオリダートのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）
（二） O—アルキル＝N・N—ジアルキル＝ホスホルアミドシアニダート（O—アルキルのアルキル基がシクロアルキル基であるものを含み、O—アルキルのアルキル基の炭素数が10以下であり、かつ、N・N—ジアルキルのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）
（三） O—アルキル＝S—2—ジアルキルアミノエチル＝アルキルホスホノチオラート（O—アルキルのアルキル基がシクロアルキル基であるものを含み、O—アルキルのアルキル基の炭素数が10以下であり、かつ、S—2—ジアルキルアミノエチル及びアルキルホスホノチオラートのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）並びにそのアルキル化塩類及びプロトン化塩類
（四） S—2—ジアルキルアミノエチル＝ヒドロゲン＝アルキルホスホノチオラート（S—2—ジアルキルアミノエチル及びアルキルホスホノチオラートのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）並びにそのアルキル化塩類及びプロトン化塩類
（五） 2—クロロエチルクロロメチルスルフィド
（六） ビス（2—クロロエチル）スルフィド（別名マスタードガス）
（七） ビス（2—クロロエチルチオ）メタン
（八） 1・2—ビス（2—クロロエチルチオ）エタン（別名セスキマスタード）
（九） 1・3—ビス（2—クロロエチルチオ）—n—プロパン
（一〇） 1・4—ビス（2—クロロエチルチオ）—n—ブタン
（一一） 1・5—ビス（2—クロロエチルチオ）—n—ペンタン
（一二） ビス（2—クロロエチルチオメチル）エーテル
（一三） ビス（2—クロロエチルチオエチル）エーテル（別名O—マスタード）
（一四） 2—クロロビニルジクロロアルシン（別名ルイサイト1）
（一五） ビス（2—クロロビニル）クロロアルシン（別名ルイサイト2）
（一六） トリス（2—クロロビニル）アルシン（別名ルイサイト3）
（一七） ビス（2—クロロエチル）エチルアミン（別名HN1）
（一八） ビス（2—クロロエチル）メチルアミン（別名HN2）
（一九） トリス（2—クロロエチル）アミン（別名HN3）
（二〇） サキシトキシン
（二一） リシン
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（一） アルキルホスホニルジフルオリド（アルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）
（二） O—アルキル＝O—2—ジアルキルアミノエチル＝アルキルホスホニット（O—アルキルのアルキル基がシクロアルキル基であるものを含み、O—アルキルのアルキル基の炭素数が10以下であり、かつ、O—2—ジアルキルアミノエチル及びアルキルホスホニットのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）並びにそのアルキル化塩類及びプロトン化塩類
（三） O—2—ジアルキルアミノエチル＝ヒドロゲン＝アルキルホスホニット（O—2—ジアルキルアミノエチル及びアルキルホスホニットのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）並びにそのアルキル化塩類及びプロトン化塩類
（四） O—イソプロピル＝メチルホスホノクロリダート（別名クロロサリン）
（五） O—ピナコリル＝メチルホスホノクロリダート（別名クロロソマン）
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| 2 | 第1種指定物質 |
（一） O・O′—ジエチル＝S—［2—（ジエチルアミノ）エチル］＝ホスホロチオラート（別名アミトン）並びにそのアルキル化塩類及びプロトン化塩類
（二） 1・1・3・3・3—ペンタフルオロ—2—（トリフルオロメチル）—1—プロペン（別名PFIB）
（三） 3—キヌクリジニル＝ベンジラート（別名BZ）
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（一） 炭素数が3以下である一のアルキル基との結合以外に炭素原子との結合のないりん原子を含む化合物であって、次に掲げるもの以外のもの。
イ 一の項の第3欄（一）から（四）まで及び第4欄に掲げる物質
ロ O—エチル＝S—フェニル＝エチルホスホノチオロチオナート（別名ホノホス）
（二） N・N—ジアルキルホスホルアミジク＝ジハリド（アルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）
（三） ジアルキル＝N・N—ジアルキルホスホルアミダート（ジアルキル及びN・N—ジアルキルホスホルアミダートのアルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）
（四） 三塩化ヒ素
（五） 2・2—ジフェニル—2—ヒドロキシ酢酸
（六） キヌクリジン—3—オール
（七） N・N—ジアルキルアミノエチル—2—クロリド（アルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）及びそのプロトン化塩類
（八） N・N—ジアルキルアミノエタン—2—オール（アルキル基の炭素数が3以下であるものに限り、N・N—ジメチルアミノエタノール及びN・N—ジエチルアミノエタノールを除く。）及びそのプロトン化塩類
（九） N・N—ジアルキルアミノエタン—2—チオール（アルキル基の炭素数が3以下であるものに限る。）及びそのプロトン化塩類
（一〇） ビス（2—ヒドロキシエチル）スルフィド（別名チオジグリコール）
（一一） 3・3—ジメチルブタン—2—オール（別名ピナコリルアルコール）
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| 3 | 第2種指定物質 |
（一） 二塩化カルボニル（別名ホスゲン）
（二） 塩化シアン
（三） シアン化水素
（四） トリクロロニトロメタン（別名クロロピクリン）
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（一） 塩化ホスホリル
（二） 三塩化リン
（三） 五塩化リン
（四） 亜リン酸トリメチル
（五） 亜リン酸トリエチル
（六） 亜リン酸ジメチル
（七） 亜リン酸ジエチル
（八） 一塩化硫黄
（九） 二塩化硫黄
（一〇） 塩化チオニル
（一一） エチルジエタノールアミン
（一二） メチルジエタノールアミン
（一三） トリエタノールアミン
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