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スポーツにおけるドーピングのぼうしかつどうのすいしんにかんするほうりつ

スポーツにおけるドーピングの防止活動の推進に関する法律

平成30年法律第58号

第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は、スポーツ基本法(平成23年法律第78号)及びスポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約(以下「国際規約」という。)の趣旨にのっとり、ドーピング防止活動の推進に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにするとともに、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進し、もってスポーツを行う者の心身の健全な発達及びスポーツの発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において「国際競技大会等出場スポーツ選手」とは、国際競技大会等(オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会その他の国際的な規模のスポーツの競技会及び全国的な規模のスポーツの競技会をいう。第15条第1項において同じ。)に出場し、又は出場しようとするスポーツ選手(プロスポーツの選手を含む。)をいう。
2 この法律において「スポーツ競技会運営団体」とは、スポーツの振興のための事業を行うことを主たる目的とする団体であって、スポーツの競技会の準備及び運営を行うものをいう。
3 この法律において「スポーツにおけるドーピング」とは、禁止物質(スポーツ選手の競技に関する能力を不当に向上させる効果を有するためスポーツにおける使用を禁止すべき物質として文部科学省令で定める物質をいう。)の国際競技大会等出場スポーツ選手に対する使用その他の国際競技大会等出場スポーツ選手の競技に関する能力を不当に向上させると認められる行為(以下この項において「禁止物質の使用等」という。)、禁止物質の使用等の目的でこれに用いられる薬品その他の物品を所持する行為、ドーピングの検査(禁止物質の使用等に係る検査に関する計画の立案、国際競技大会等出場スポーツ選手からの検体の採取、当該検体の保管及び当該検体の輸送を含む。以下同じ。)を妨げる行為その他の国際規約に違反する行為として文部科学省令で定める行為をいう。
4 この法律において「ドーピング防止活動」とは、ドーピングの検査、スポーツにおけるドーピングの防止に関する教育及び啓発その他のスポーツにおけるドーピングの防止に必要な活動をいう。
(基本理念)
第3条 ドーピング防止活動は、スポーツにおける公正性及びスポーツを行う者の心身の健康の保持増進が確保されることを旨として、推進されなければならない。
2 ドーピング防止活動は、ドーピングの検査における公平性及び透明性が確保されるよう推進されなければならない。
3 ドーピング防止活動は、スポーツ競技会運営団体の自主性及び自律性が確保されるよう推進されなければならない。
4 ドーピング防止活動は、スポーツの多様性に配慮しつつ推進されなければならない。
(スポーツにおけるドーピングの禁止)
第4条 国際競技大会等出場スポーツ選手は、不正の目的をもって、自己のためにスポーツにおけるドーピングを行い、又は他の国際競技大会等出場スポーツ選手のためにスポーツにおけるドーピングを行い、若しくは助けてはならない。
2 国際競技大会等出場スポーツ選手に対して指導又は訓練を行う者、国際競技大会等出場スポーツ選手が属するチームの業務に従事する者、国際競技大会等出場スポーツ選手に対して医療を提供する医師その他の国際競技大会等出場スポーツ選手の支援を行う者は、不正の目的をもって、国際競技大会等出場スポーツ選手のためにスポーツにおけるドーピングを行い、又は助けてはならない。
(国の責務)
第5条 国は、第3条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、ドーピング防止活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(日本スポーツ振興センターの役割)
第6条 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)は、国及び公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(平成13年9月16日に財団法人日本アンチ・ドーピング機構という名称で設立された法人をいう。以下「日本アンチ・ドーピング機構」という。)と連携し、ドーピング防止活動における中核的な機関として積極的な役割を果たすものとする。
(スポーツ競技会運営団体の努力)
第7条 スポーツ競技会運営団体は、基本理念にのっとり、ドーピング防止活動に主体的かつ積極的に取り組むよう努めるものとする。
(関係者相互の連携及び協働)
第8条 国、センター、日本アンチ・ドーピング機構、スポーツ競技会運営団体及び民間事業者その他の関係者は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協働するよう努めなければならない。
(地方公共団体の努力義務)
第9条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、ドーピング防止活動の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。
(法制上の措置等)
第10条 政府は、ドーピング防止活動の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

第2章 基本方針

第11条 文部科学大臣は、ドーピング防止活動に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、ドーピング防止活動を推進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
3 文部科学大臣は、基本方針を定め、又は変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議するものとする。
4 文部科学大臣は、基本方針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

第3章 基本的施策

(人材の育成及び確保)
第12条 国は、ドーピングの検査を行う者、これを補助する者その他のドーピング防止活動を担う人材の育成及び確保が図られるよう、ドーピング防止活動に関する教育及び研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(研究開発の促進)
第13条 国は、大学その他の研究機関が行うドーピング防止活動に関する研究開発を促進するために必要な施策を講ずるものとする。
(教育及び啓発の推進等)
第14条 国及び地方公共団体は、ドーピング防止活動に関する国民の理解と関心を深めるよう、ドーピング防止活動に関する教育及び啓発の推進その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、ドーピング防止活動に資するよう、医師、歯科医師、薬剤師その他の医療従事者に対する情報の提供、研修の機会の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
(情報の共有等)
第15条 国は、我が国における国際競技大会等の開催が円滑になされるよう、国の行政機関、センター、日本アンチ・ドーピング機構及び国際的なスポーツにおけるドーピングの防止に関する機関の間におけるスポーツにおけるドーピングに関する情報の共有を図るために必要な施策を講ずるものとする。
2 文部科学大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料又は情報の提供その他の必要な協力を求めることができる。
(国際協力の推進等)
第16条 国は、前条第1項に定めるもののほか、ドーピング防止活動に関する国際協力を推進するとともに、センター及び日本アンチ・ドーピング機構が国際的なスポーツにおけるドーピングの防止に関する機関との連携を図るために必要な施策を講ずるものとする。

附則

(施行期日)
1 この法律は、平成30年10月1日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後速やかに、スポーツにおけるドーピングの防止のための対策についてスポーツにおけるドーピングに関する国の関与の在り方を含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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