どうぶつようさいせいいりょうとうせいひんのせいぞうかんりおよびひんしつかんりにかんするしょうれい
動物用再生医療等製品の製造管理及び品質管理に関する省令
平成26年農林水産省令第62号
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第83条第1項の規定により読み替えて適用される同法第23条の25第2項第4号(同法第23条の37第5項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、動物用再生医療等製品の製造管理及び品質管理に関する省令を次のように定める。
第1章 総則
(定義)
第1条 この省令において「製品」とは、製造所の製造工程を経た物(製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって製品となるもの(以下「中間製品」という。)を含む。以下同じ。)をいう。
2 この省令において「資材」とは、製品の容器、被包、添付文書並びに容器及び被包に貼り付けるラベルをいう。
3 この省令において「ロット」とは、一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料の1群をいう。
4 この省令において「管理単位」とは、同一性が確認された資材の1群をいう。
5 この省令において「ドナー動物」とは、再生医療等製品の原料となる細胞又は組織を提供する動物をいう。
(適用の範囲)
第2条 再生医療等製品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものに限る。以下同じ。)の製造販売業者又は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第23条の37第4項に規定する選任外国製造再生医療等製品製造販売業者は、この省令の規定に基づき、再生医療等製品の製造業者及び法第23条の24第1項に規定する再生医療等製品外国製造業者(以下「再生医療等製品外国製造業者」という。)(以下「製造業者等」と総称する。)に製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わせなければならない。
2 再生医療等製品に係る製品の製造業者等は、この省令の規定に基づき、製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わなければならない。
3 輸出用の再生医療等製品に係る製品の製造業者は、この省令の規定に基づき、輸出用の再生医療等製品の製造所における製品の製造管理及び品質管理を行わなければならない。
(製造管理責任者及び品質管理責任者)
第3条 製造業者等は、製造所ごとに、法第23条の34第4項に規定する再生医療等製品製造管理者(再生医療等製品外国製造業者にあっては、法第23条の24第1項の規定により認定を受けた製造所の責任者又は当該再生医療等製品外国製造業者があらかじめ指定した者。以下「製造管理者」という。)の管理の下に、製造管理に係る部門の責任者として製造管理責任者を、品質管理に係る部門の責任者として品質管理責任者を置かなければならない。
2 品質管理に係る部門は、製造管理に係る部門から独立していなければならない。
3 第1項の製造管理責任者(以下「製造管理責任者」という。)は、同項の品質管理責任者(以下「品質管理責任者」という。)を兼ねてはならない。
(製造管理者)
第4条 製造管理者は、次に掲げる業務を行わなければならない。
一 製造管理責任者及び品質管理責任者を統括すること。
二 第14条、第15条及び第16条第1項に規定する業務
2 製造業者等は、製造管理者が業務を遂行するに当たって支障を生ずることがないようにしなければならない。
(製品標準書)
第5条 製造業者等は、製品(中間製品を除く。以下この条において同じ。)ごとに、製造販売承認事項(法第23条の25又は第23条の37の承認に係る事項をいう。)、製造手順その他必要な事項について記載した製品標準書を当該製品の製造に係る製造所ごとに作成しなければならない。
第2章 製造管理
(製造管理基準書及び製造衛生管理基準書)
第6条 製造業者等は、製造所ごとに、原料等の保管、製造工程の管理その他製造管理に関し必要な事項について記載した製造管理基準書を作成するとともに、製造作業を行う場所ごとに、構造設備(試験検査に関するものを除く。以下同じ。)の衛生管理、作業員の衛生管理その他製造衛生管理に関し必要な事項について記載した製造衛生管理基準書を作成しなければならない。
(製造管理責任者の業務)
第7条 製造業者等は、製造管理責任者に、第5条の製品標準書(以下「製品標準書」という。)、前条の製造管理基準書(以下「製造管理基準書」という。)又は同条の製造衛生管理基準書に基づき、次に掲げる製品の製造管理に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した製造指図書を作成すること。
二 次に掲げる業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した者に当該業務を行わせること。
イ 前号の製造指図書に基づき製品を製造すること。
ロ 製品の製造に関する記録をロットごと(ロットを構成しない製品にあっては、製造番号ごと。以下同じ。)に作成すること。
ハ 製品の表示及び包装についてロットごとにそれらが適正である旨を確認し、その記録を作成すること。
ニ 原料及び製品についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに適正に保管及び出納を行い、これらの記録を作成すること。
ホ 構造設備の清浄を確認し、その記録を作成すること。
ヘ 構造設備の定期的な点検整備(計器の校正を含む。以下同じ。)を行い、その記録を作成すること。
ト 作業員の衛生管理を行い、その記録を作成すること。
チ その他必要な業務
三 前号の規定により作成した製造、保管及び出納並びに製造衛生管理に関する記録により製造管理が適切に行われていることを確認し、その結果を製造管理者に対して文書により報告すること。
四 第2号の規定により作成した製造、保管及び出納並びに製造衛生管理に関する記録を作成の日から再生医療等製品の有効期間(使用の期限を含む。以下同じ。)の満了する期日から起算して3年が経過するまでの間保存すること。
(製造管理)
第8条 再生医療等製品の製造業者は、製品の製造に家畜伝染病(家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)第2条第1項に規定する家畜伝染病をいう。以下同じ。)の病原体を使用する場合において、当該製品に係る作業を行うときは、次に掲げる事項を厳守しなければならない。
一 作業室内に除じん及び除菌をした空気を導入するとともに、作業室内の天井、壁面及び床面並びに作業台その他の作業室内に設置されている設備及び器具の表面の清掃及び消毒をすること。
二 作業員以外の者が作業室に出入りすることを制限すること。
三 家畜伝染病の病原体により汚染された物品又は機械器具は、当該製造所の構内において、焼却し、又は消毒すること。
四 作業員は、更衣場所においてその衣服及び履物を清潔な作業用の衣服及び履物に交換し、作業中には清潔な作業用の帽子及びマスクを着用すること。
第9条 製造業者等は、使用する細胞又は組織の取扱いについて、次に掲げる事項に関する記録を作成し、かつ、作成の日(当該細胞又は組織を製造に使用する場合にあっては、製造に使用しなくなった日)から5年間これを保存すること。
一 細胞又は組織の名称(種類名を含む。)及びその由来
二 受領先及び受領の年月日(ドナー動物から採取した場合にあっては、採取した施設、採取した年月日及び採取したときの記録)
三 継代数、継代年月日及び継代方法
四 継代中に生じた変化及びこれに対してとった処置
五 生物学的性状及びこれを検査した年月日
六 保存方法
七 製造に使用したときは、その年月日並びに製造品名及び製造番号
八 その他参考となる事項
第3章 品質管理
(品質管理基準書)
第10条 製造業者等は、製造所ごとに、検体の採取方法、試験検査結果の判定方法その他品質管理に関し必要な事項を記載した品質管理基準書を作成しなければならない。
(品質管理責任者の業務)
第11条 製造業者等は、品質管理責任者に、製品標準書又は前条の品質管理基準書(以下「品質管理基準書」という。)に基づき、次に掲げる品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない。
一 次に掲げる業務を自ら行い、又は業務の内容に応じてあらかじめ指定した者に当該業務を行わせること。
イ 原料及び製品についてはロットごとに、資材については管理単位ごとに試験検査を行うために必要な検体を採取し、その記録を作成すること。
ロ 採取した検体について、ロットごと又は管理単位ごとに製品の製造所において試験検査を行い、その記録を作成すること。ただし、他の試験検査機関を利用して自己の責任において試験検査を行う場合であって、支障がないと認められるときは、この限りでない。
ハ 製品(中間製品を除く。)について、ロットごとに所定の試験検査に必要な量の2倍以上の量(当該量の確保が困難な場合にあっては、適当量)を参考品として、製造された日から適切な期間、適切な保管条件の下で保管すること。ただし、当該製品の有効期間の満了する期日から起算して1年が経過した後は、当該製品の製造に使用された再生医療等製品生物由来原料(製品の製造に使用する生物(植物を除く。)に由来する原料をいう。)の保管をもって製品の保管に代えることができる。
ニ 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備し、その記録を作成すること。
ホ ドナー動物の受入れ時及び受入れ後の試験検査に必要な業務を行い、その記録を作成すること。
ヘ その他必要な業務
二 試験検査の結果の判定を行い、その結果を製造管理者及び製造管理責任者に対して文書により報告すること。
三 試験検査に関する記録を作成の日から再生医療等製品の有効期間の満了する期日から起算して3年が経過するまでの間保存すること。
(出荷の可否の決定)
第12条 製造業者等は、あらかじめ指定した者に、製品標準書、製造管理基準書及び品質管理基準書に基づき、次に掲げる製品の出荷の可否の決定に係る業務を適切に行わせなければならない。
一 製造管理及び品質管理の結果を適正に評価して製品の製造所からの出荷の可否の決定を行い、その記録を作成すること。
二 前号の記録を作成の日から再生医療等製品の有効期間の満了する期日から起算して3年が経過するまでの間保存すること。
2 前項の業務を行う者は、当該業務を適正かつ円滑に実施し得る能力を有する者でなければならない。
3 製造業者等は、第1項の業務を行う者が当該業務を行うに当たって支障を生ずることがないようにしなければならない。
4 製造業者等は、第1項の決定が適正に行われるまで製造所から製品を出荷してはならない。
第4章 その他の製造管理及び品質管理に関する業務
(苦情処理等の手順に関する文書)
第13条 製造業者等は、次条から第16条までに規定する業務を適切に行うため、苦情処理、回収処理及び自己点検の手順に関する文書(以下「手順に関する文書」という。)を製造所ごとに作成しなければならない。
(苦情処理)
第14条 製造業者等は、製品の品質等に関して苦情があったときは、当該苦情に係る事項がその製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、当該製造所の製造管理者に、手順に関する文書に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。
一 苦情に係る事項の原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
二 苦情の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した苦情処理記録を作成し、その作成の日から再生医療等製品の有効期間の満了する期日から起算して3年が経過するまでの間保存すること。
(回収処理)
第15条 製造業者等は、製品の品質等に関する理由により回収を行うときは、当該回収に至った理由がその製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、当該製造所の製造管理者に、手順に関する文書に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。
一 回収に至った原因を究明し、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講ずること。
二 回収した製品を区分して一定期間保管した後、適切に処理すること。
三 回収の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した回収処理記録を作成し、その作成の日から再生医療等製品の有効期間の満了する期日から起算して3年が経過するまでの間保存すること。
(自己点検)
第16条 製造業者等は、製品の製造所の製造管理者に、手順に関する文書に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。
一 当該製造所における製品の製造管理及び品質管理について定期的に自己点検を行うこと。
二 自己点検の結果の記録を作成し、その作成の日から再生医療等製品の有効期間に3年を加算した期間保存すること。
2 製造業者等は、前項第1号の自己点検の結果に基づき、製造管理又は品質管理に関し改善が必要な場合には、所要の措置を講ずるとともに、当該措置の記録を作成し、その作成の日から再生医療等製品の有効期間に3年を加算した期間保存しなければならない。
附則
この省令は、薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号)の施行の日(平成26年11月25日)から施行する。
インターネット六法に掲載している法令データは、原則、官報その他政府提供データを基にしています。
※原則とは、現在有効ではない法令の場合は図書館等にて収集しております
データ内容の正確性については万全を期しておりますが、官報に掲載された内容と異なる場合はそちらが優先します。
インターネット六法.comの利用に伴って発生した不利益や問題について、当サイトの運営者は何らの責任を負いません。
掲載している法令等に誤植(ふりがな等)がありましたら、「お問い合わせ」よりお知らせください。ご協力お願いいたします。
インターネット六法が少しでもあなたの役に立てれば光栄です。これからもインターネット六法を宜しくお願いします。
※スマホやタブレットで左の画像を読み込むと現在の法令ページを読み込めます。