さいしょりしせつのいち、こうぞうおよびせつびのきじゅんにかんするきそく
再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則
平成25年原子力規制委員会規則第27号
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第44条の2第1項第4号の規定に基づき、再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則を次のように定める。
第1章 総則
(定義)
第1条 この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和46年総理府令第10号。以下「再処理規則」という。)において使用する用語の例による。
2 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 「運転時の異常な過渡変化」とは、運転時に予想される機械又は器具の単一の故障若しくはその誤作動又は運転員の単一の誤操作及びこれらと類似の頻度で発生すると予想される外乱によって発生する異常な状態であって、当該状態が継続した場合には温度、圧力、流量その他の再処理施設の状態を示す事項(以下「パラメータ」という。)が安全設計上許容される範囲を超えるおそれがあるものとして安全設計上想定すべきものをいう。
二 「設計基準事故」とは、発生頻度が運転時の異常な過渡変化より低い異常な状態であって、当該状態が発生した場合には再処理施設から多量の放射性物質が放出するおそれがあるものとして安全設計上想定すべきものをいう。
三 「安全機能」とは、再処理施設の運転時、停止時、運転時の異常な過渡変化時又は設計基準事故時において、再処理施設の安全性を確保するために必要な機能をいう。
四 「安全機能を有する施設」とは、再処理施設のうち、安全機能を有するものをいう。
五 「安全上重要な施設」とは、安全機能を有する施設のうち、その機能の喪失により、公衆又は従事者に放射線障害を及ぼすおそれがあるもの及び設計基準事故時に公衆又は従事者に及ぼすおそれがある放射線障害を防止するため、放射性物質又は放射線が再処理施設を設置する工場又は事業所(以下「工場等」という。)外へ放出されることを抑制し、又は防止するものをいう。
六 「重大事故等対処施設」とは、重大事故に至るおそれがある事故(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故を除く。以下同じ。)又は重大事故(以下「重大事故等」と総称する。)に対処するための機能を有する施設をいう。
七 「重大事故等対処設備」とは、重大事故等に対処するための機能を有する設備をいう。
八 「多重性」とは、同一の機能を有し、かつ、同一の構造、動作原理その他の性質を有する2以上の系統又は機器が同一の再処理施設に存在することをいう。
九 「独立性」とは、2以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、物理的方法その他の方法によりそれぞれ互いに分離することにより、共通要因(2以上の系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因をいう。以下同じ。)又は従属要因(単一の原因によって確実に系統又は機器に故障を発生させることとなる要因をいう。以下同じ。)によって同時にその機能が損なわれないことをいう。
十 「多様性」とは、同一の機能を有する2以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、これらの構造、動作原理その他の性質が異なることにより、共通要因又は従属要因によって同時にその機能が損なわれないことをいう。
第2章 安全機能を有する施設
(核燃料物質の臨界防止)
第2条 安全機能を有する施設は、核燃料物質が臨界に達するおそれがないようにするため、核的に安全な形状寸法にすることその他の適切な措置を講じたものでなければならない。
2 再処理施設には、臨界警報設備その他の臨界事故を防止するために必要な設備を設けなければならない。
(遮蔽等)
第3条 安全機能を有する施設は、運転時及び停止時において再処理施設からの直接線及びスカイシャイン線による工場等周辺の線量が十分に低減できるよう、遮蔽その他適切な措置を講じたものでなければならない。
2 安全機能を有する施設は、工場等内における放射線障害を防止する必要がある場合には、次に掲げるものでなければならない。
一 管理区域その他工場等内の人が立ち入る場所における線量を低減できるよう、遮蔽その他適切な措置を講じたものとすること。
二 放射線業務従事者が運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、迅速な対応をするために必要な操作ができるものとすること。
(閉じ込めの機能)
第4条 安全機能を有する施設は、放射性物質を限定された区域に適切に閉じ込めることができるものでなければならない。
(火災等による損傷の防止)
第5条 安全機能を有する施設は、火災又は爆発により再処理施設の安全性が損なわれないよう、火災及び爆発の発生を防止することができ、かつ、消火を行う設備(以下「消火設備」といい、安全機能を有する施設に属するものに限る。)及び早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)並びに火災及び爆発の影響を軽減する機能を有するものでなければならない。
2 消火設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。)は、破損、誤作動又は誤操作が起きた場合においても安全上重要な施設の安全機能を損なわないものでなければならない。
(安全機能を有する施設の地盤)
第6条 安全機能を有する施設は、次条第2項の規定により算定する地震力(安全機能を有する施設のうち、地震の発生によって生ずるおそれがあるその安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度が特に大きいもの(以下「耐震重要施設」という。)にあっては、同条第3項に規定する基準地震動による地震力を含む。)が作用した場合においても当該安全機能を有する施設を十分に支持することができる地盤に設けなければならない。
2 耐震重要施設は、変形した場合においてもその安全機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。
3 耐震重要施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。
(地震による損傷の防止)
第7条 安全機能を有する施設は、地震力に十分に耐えることができるものでなければならない。
2 前項の地震力は、地震の発生によって生ずるおそれがある安全機能を有する施設の安全機能の喪失に起因する放射線による公衆への影響の程度に応じて算定しなければならない。
3 耐震重要施設は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(以下「基準地震動による地震力」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
4 耐震重要施設は、前項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(津波による損傷の防止)
第8条 安全機能を有する施設は、その供用中に当該安全機能を有する施設に大きな影響を及ぼすおそれがある津波(以下「基準津波」という。)に対して安全機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(外部からの衝撃による損傷の防止)
第9条 安全機能を有する施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。次項において同じ。)が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
2 安全上重要な施設は、当該安全上重要な施設に大きな影響を及ぼすおそれがあると想定される自然現象により当該安全上重要な施設に作用する衝撃及び設計基準事故時に生ずる応力を適切に考慮したものでなければならない。
3 安全機能を有する施設は、工場等内又はその周辺において想定される再処理施設の安全性を損なわせる原因となるおそれがある事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。)に対して安全機能を損なわないものでなければならない。
(再処理施設への人の不法な侵入等の防止)
第10条 工場等には、再処理施設への人の不法な侵入、再処理施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)第2条第4項に規定する不正アクセス行為をいう。)を防止するための設備を設けなければならない。
(溢水による損傷の防止)
第11条 安全機能を有する施設は、再処理施設内における溢水が発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
(化学薬品の漏えいによる損傷の防止)
第12条 安全機能を有する施設は、再処理施設内における化学薬品の漏えいが発生した場合においても安全機能を損なわないものでなければならない。
(誤操作の防止)
第13条 安全機能を有する施設は、誤操作を防止するための措置を講じたものでなければならない。
2 安全上重要な施設は、容易に操作することができるものでなければならない。
(安全避難通路等)
第14条 再処理施設には、次に掲げる設備を設けなければならない。
一 その位置を明確かつ恒久的に表示することにより容易に識別できる安全避難通路
二 照明用の電源が喪失した場合においても機能を損なわない避難用の照明
三 設計基準事故が発生した場合に用いる照明(前号の避難用の照明を除く。)及びその専用の電源
(安全機能を有する施設)
第15条 安全機能を有する施設は、その安全機能の重要度に応じて、その機能が確保されたものでなければならない。
2 安全上重要な施設は、機械又は器具の単一故障(単一の原因によって1つの機械又は器具が所定の安全機能を失うこと(従属要因による多重故障を含む。)をいう。以下同じ。)が発生した場合においてもその機能を損なわないものでなければならない。
3 安全機能を有する施設は、設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その安全機能を発揮することができるものでなければならない。
4 安全機能を有する施設は、その健全性及び能力を確認するため、その安全機能の重要度に応じ、再処理施設の運転中又は停止中に検査又は試験ができるものでなければならない。
5 安全機能を有する施設は、その安全機能を健全に維持するための適切な保守及び修理ができるものでなければならない。
6 安全機能を有する施設は、ポンプその他の機器又は配管の損壊に伴う飛散物により、その安全機能を損なわないものでなければならない。
7 安全機能を有する施設は、2以上の原子力施設と共用する場合には、再処理施設の安全性を損なわないものでなければならない。
(運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の拡大の防止)
第16条 安全機能を有する施設は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一 運転時の異常な過渡変化時において、パラメータを安全設計上許容される範囲内に維持できるものであること。
二 設計基準事故時において、工場等周辺の公衆に放射線障害を及ぼさないものであること。
(使用済燃料の貯蔵施設等)
第17条 再処理施設には、次に掲げるところにより、使用済燃料の受入施設(安全機能を有する施設に属するものに限る。)及び貯蔵施設(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
一 使用済燃料を受け入れ、又は貯蔵するために必要な容量を有するものとすること。
二 冷却のための適切な措置が講じられているものであること。
2 再処理施設には、次に掲げるところにより、製品貯蔵施設(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
一 製品を貯蔵するために必要な容量を有するものとすること。
二 冷却のための適切な措置が講じられているものであること。
(計測制御系統施設)
第18条 再処理施設には、次に掲げるところにより、計測制御系統施設を設けなければならない。
一 安全機能を有する施設の健全性を確保するために監視することが必要なパラメータは、運転時、停止時及び運転時の異常な過渡変化時においても想定される範囲内に制御できるものとすること。
二 前号のパラメータは、運転時、停止時及び運転時の異常な過渡変化時においても想定される範囲内で監視できるものとすること。
三 設計基準事故が発生した場合の状況を把握し、及び対策を講じるために必要なパラメータは、設計基準事故時に想定される環境下において、十分な測定範囲及び期間にわたり監視できるものとすること。
四 前号のパラメータは、設計基準事故時においても確実に記録され、及び当該記録が保存されるものとすること。
(安全保護回路)
第19条 再処理施設には、次に掲げるところにより、安全保護回路(安全機能を有する施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
一 運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故が発生した場合において、これらの異常な状態を検知し、これらの核的、熱的及び化学的制限値を超えないようにするための設備の作動を速やかに、かつ、自動的に開始させるものとすること。
二 火災、爆発その他の再処理施設の安全性を著しく損なうおそれが生じたときに、これらを抑制し、又は防止するための設備(前号に規定するものを除く。)の作動を速やかに、かつ、自動的に開始させるものとすること。
三 計測制御系統施設の一部を安全保護回路と共用する場合であって、単一故障が生じた場合においても当該安全保護回路の安全保護機能が失われないものとすること。
(制御室等)
第20条 再処理施設には、次に掲げるところにより、制御室(安全機能を有する施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
一 再処理施設の健全性を確保するために必要なパラメータを監視できるものとすること。
二 主要な警報装置及び計測制御系統設備を有するものとすること。
三 再処理施設の外の状況を把握する設備を有するものとすること。
2 分離施設、精製施設その他必要な施設には、再処理施設の健全性を確保するために必要なパラメータを監視するための設備及び再処理施設の安全性を確保するために必要な操作を手動により行うことができる設備を設けなければならない。
3 設計基準事故が発生した場合に再処理施設の安全性を確保するための措置をとるため、従事者が支障なく制御室に入り、又は一定期間とどまり、かつ、当該措置をとるための操作を行うことができるよう、次の各号に掲げる場所の区分に応じ、当該各号に定める設備を設けなければならない。
一 制御室及びその近傍並びに有毒ガスの発生源の近傍 工場等内における有毒ガスの発生を検出するための装置及び当該装置が有毒ガスの発生を検出した場合に制御室において自動的に警報するための装置
二 制御室及びこれに連絡する通路並びに運転員その他の従事者が制御室に出入りするための区域 遮蔽壁その他の適切に放射線から防護するための設備、気体状の放射性物質及び制御室外の火災又は爆発により発生する有毒ガスに対し換気設備を隔離するための設備その他の従事者を適切に防護するための設備
(廃棄施設)
第21条 再処理施設には、運転時において、周辺監視区域の外の空気中の放射性物質の濃度及び液体状の放射性物質の海洋放出に起因する線量を十分に低減できるよう、再処理施設において発生する放射性廃棄物を処理する能力を有する放射性廃棄物の廃棄施設(安全機能を有する施設に属するものに限り、放射性廃棄物を保管廃棄する施設を除く。)を設けなければならない。
(保管廃棄施設)
第22条 再処理施設には、次に掲げるところにより、放射性廃棄物の保管廃棄施設(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
一 放射性廃棄物を保管廃棄するために必要な容量を有するものとすること。
二 冷却のための適切な措置が講じられているものであること。
(放射線管理施設)
第23条 工場等には、放射線から放射線業務従事者を防護するため、放射線管理施設を設けなければならない。
2 放射線管理施設には、放射線管理に必要な情報を制御室その他当該情報を伝達する必要がある場所に表示できる設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
(監視設備)
第24条 再処理施設には、運転時、停止時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時において、当該再処理施設及びその境界付近における放射性物質の濃度及び線量を監視し、及び測定し、並びに設計基準事故時における迅速な対応のために必要な情報を制御室その他当該情報を伝達する必要がある場所に表示できる設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
(保安電源設備)
第25条 再処理施設は、安全上重要な施設がその機能を維持するために必要となる電力を当該安全上重要な施設に供給するため、電力系統に連系したものでなければならない。
2 再処理施設には、非常用電源設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。以下この条において同じ。)を設けなければならない。
3 保安電源設備(安全機能を有する施設へ電力を供給するための設備をいう。)は、電線路及び非常用電源設備から安全機能を有する施設への電力の供給が停止することがないよう、機器の損壊、故障その他の異常を検知するとともに、その拡大を防止するものでなければならない。
4 再処理施設に接続する電線路のうち少なくとも2回線は、当該再処理施設において受電可能なものであり、かつ、それにより当該再処理施設を電力系統に連系するものでなければならない。
5 非常用電源設備及びその附属設備は、多重性を確保し、及び独立性を確保し、その系統を構成する機械又は器具の単一故障が発生した場合であっても、運転時の異常な過渡変化時又は設計基準事故時において安全上重要な施設及び設計基準事故に対処するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有するものでなければならない。
(緊急時対策所)
第26条 工場等には、設計基準事故が発生した場合に適切な措置をとるため、緊急時対策所を制御室以外の場所に設けなければならない。
2 緊急時対策所及びその近傍並びに有毒ガスの発生源の近傍には、有毒ガスが発生した場合に適切な措置をとるため、工場等内における有毒ガスの発生を検出するための装置及び当該装置が有毒ガスの発生を検出した場合に緊急時対策所において自動的に警報するための装置その他の適切に防護するための設備を設けなければならない。
(通信連絡設備)
第27条 工場等には、設計基準事故が発生した場合において工場等内の人に対し必要な指示ができるよう、警報装置(安全機能を有する施設に属するものに限る。)及び多様性を確保した通信連絡設備(安全機能を有する施設に属するものに限る。)を設けなければならない。
2 工場等には、設計基準事故が発生した場合において再処理施設外の通信連絡をする必要がある場所と通信連絡ができるよう、多様性を確保した専用通信回線を設けなければならない。
第3章 重大事故等対処施設
(重大事故等の拡大の防止等)
第28条 再処理施設は、重大事故に至るおそれがある事故が発生した場合において、重大事故の発生を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
2 再処理施設は、重大事故が発生した場合において、当該重大事故の拡大を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
3 再処理施設は、重大事故が発生した場合において、工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。
(火災等による損傷の防止)
第29条 重大事故等対処施設は、火災又は爆発により重大事故等に対処するために必要な機能を損なうおそれがないよう、火災及び爆発の発生を防止することができ、かつ、消火設備及び火災感知設備を有するものでなければならない。
(重大事故等対処施設の地盤)
第30条 重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める地盤に設けなければならない。
一 重大事故等対処設備のうち常設のもの(重大事故等対処設備のうち可搬型のもの(以下「可搬型重大事故等対処設備」という。)と接続するものにあっては、当該可搬型重大事故等対処設備と接続するために必要な再処理施設内の常設の配管、弁、ケーブルその他の機器を含む。以下「常設重大事故等対処設備」という。)であって、耐震重要施設に属する設計基準事故に対処するための設備が有する機能を代替するもの(以下「常設耐震重要重大事故等対処設備」という。)が設置される重大事故等対処施設 基準地震動による地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
二 常設耐震重要重大事故等対処設備以外の常設重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 第7条第2項の規定により算定する地震力が作用した場合においても当該重大事故等対処施設を十分に支持することができる地盤
2 前項第1号の重大事故等対処施設は、変形した場合においても重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがない地盤に設けなければならない。
3 第1項第1号の重大事故等対処施設は、変位が生ずるおそれがない地盤に設けなければならない。
(地震による損傷の防止)
第31条 重大事故等対処施設は、次に掲げる施設の区分に応じ、それぞれ次に定める要件を満たすものでなければならない。
一 常設耐震重要重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 基準地震動による地震力に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものであること。
二 常設耐震重要重大事故等対処設備以外の常設重大事故等対処設備が設置される重大事故等対処施設 第7条第2項の規定により算定する地震力に十分に耐えることができるものであること。
2 前項第1号の重大事故等対処施設は、第7条第3項の地震の発生によって生ずるおそれがある斜面の崩壊に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(津波による損傷の防止)
第32条 重大事故等対処施設は、基準津波に対して重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(重大事故等対処設備)
第33条 重大事故等対処設備は、次に掲げるものでなければならない。
一 想定される重大事故等の収束に必要な個数及び容量を有するものであること。
二 想定される重大事故等が発生した場合における温度、放射線、荷重その他の使用条件において、重大事故等に対処するために必要な機能を有効に発揮するものであること。
三 想定される重大事故等が発生した場合において確実に操作できるものであること。
四 健全性及び能力を確認するため、再処理施設の運転中又は停止中に検査又は試験ができるものであること。
五 本来の用途以外の用途として重大事故等に対処するために使用する設備にあっては、通常時に使用する系統から速やかに切り替えられる機能を備えるものであること。
六 工場等内の他の設備に対して悪影響を及ぼさないものであること。
七 想定される重大事故等が発生した場合において重大事故等対処設備の操作及び復旧作業を行うことができるよう、線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。
2 常設重大事故等対処設備は、前項に定めるもののほか、共通要因によって設計基準事故に対処するための設備の安全機能と同時にその機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものでなければならない。
3 可搬型重大事故等対処設備に関しては、第1項に定めるもののほか、次に掲げるものでなければならない。
一 常設設備(再処理施設と接続されている設備又は短時間に再処理施設と接続することができる常設の設備をいう。以下同じ。)と接続するものにあっては、当該常設設備と容易かつ確実に接続することができ、かつ、2以上の系統が相互に使用することができるよう、接続部の規格の統一その他の適切な措置を講じたものであること。
二 常設設備と接続するものにあっては、共通要因によって接続することができなくなることを防止するため、可搬型重大事故等対処設備(再処理施設の外から水又は電力を供給するものに限る。)の接続口をそれぞれ互いに異なる複数の場所に設けるものであること。
三 想定される重大事故等が発生した場合において可搬型重大事故等対処設備を設置場所に据え付け、及び常設設備と接続することができるよう、線量が高くなるおそれが少ない設置場所の選定、設置場所への遮蔽物の設置その他の適切な措置を講じたものであること。
四 地震、津波その他の自然現象又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムによる影響、設計基準事故に対処するための設備及び重大事故等対処設備の配置その他の条件を考慮した上で常設重大事故等対処設備と異なる保管場所に保管すること。
五 想定される重大事故等が発生した場合において、可搬型重大事故等対処設備を運搬し、又は他の設備の被害状況を把握するため、工場等内の道路及び通路が確保できるよう、適切な措置を講じたものであること。
六 共通要因によって、設計基準事故に対処するための設備の安全機能又は常設重大事故等対処設備の重大事故等に対処するために必要な機能と同時に可搬型重大事故等対処設備の重大事故等に対処するために必要な機能が損なわれるおそれがないよう、適切な措置を講じたものであること。
(臨界事故の拡大を防止するための設備)
第34条 セル内において核燃料物質が臨界に達することを防止するための機能を有する施設には、再処理規則第1条の3第1号に規定する重大事故の拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備を設けなければならない。
一 未臨界に移行し、及び未臨界を維持するために必要な設備
二 臨界事故が発生した設備に接続する換気系統の配管の流路を遮断するために必要な設備及び換気系統の配管内が加圧状態になった場合にセル内に設置された配管の外部へ放射性物質を排出するために必要な設備
三 臨界事故が発生した場合において放射性物質の放出による影響を緩和するために必要な設備
(冷却機能の喪失による蒸発乾固に対処するための設備)
第35条 セル内において使用済燃料から分離された物であって液体状のもの又は液体状の放射性廃棄物を冷却する機能を有する施設には、再処理規則第1条の3第2号に規定する重大事故の発生又は拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備を設けなければならない。
一 蒸発乾固の発生を未然に防止するために必要な設備
二 蒸発乾固が発生した場合において、放射性物質の発生を抑制し、及び蒸発乾固の進行を緩和するために必要な設備
三 蒸発乾固が発生した設備に接続する換気系統の配管の流路を遮断するために必要な設備及び換気系統の配管内が加圧状態になった場合にセル内に設置された配管の外部へ放射性物質を排出するために必要な設備
四 蒸発乾固が発生した場合において放射性物質の放出による影響を緩和するために必要な設備
(放射線分解により発生する水素による爆発に対処するための設備)
第36条 セル内において放射線分解によって発生する水素が再処理設備の内部に滞留することを防止する機能を有する施設には、再処理規則第1条の3第3号に規定する重大事故の発生又は拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備を設けなければならない。
一 放射線分解により発生する水素による爆発(以下この条において「水素爆発」という。)の発生を未然に防止するために必要な設備
二 水素爆発が発生した場合において水素爆発が続けて生じるおそれがない状態を維持するために必要な設備
三 水素爆発が発生した設備に接続する換気系統の配管の流路を遮断するために必要な設備及び換気系統の配管内が加圧状態になった場合にセル内に設置された配管の外部へ放射性物質を排出するために必要な設備
四 水素爆発が発生した場合において放射性物質の放出による影響を緩和するために必要な設備
(有機溶媒等による火災又は爆発に対処するための設備)
第37条 セル内において有機溶媒その他の物質を内包する施設には、再処理規則第1条の3第4号に規定する重大事故の発生又は拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備を設けなければならない。
一 火災又は爆発の発生(リン酸トリブチルの混入による急激な分解反応により発生するものを除く。)を未然に防止するために必要な設備
二 火災又は爆発が発生した場合において火災又は爆発を収束させるために必要な設備
三 火災又は爆発が発生した設備に接続する換気系統の配管の流路を遮断するために必要な設備及び換気系統の配管内が加圧状態になった場合にセル内に設置された配管の外部へ放射性物質を排出するために必要な設備
四 火災又は爆発が発生した場合において放射性物質の放出による影響を緩和するために必要な設備
(使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備)
第38条 再処理施設には、使用済燃料貯蔵槽の冷却機能又は注水機能が喪失し、又は使用済燃料貯蔵槽からの水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が低下した場合において使用済燃料貯蔵槽内の使用済燃料を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。
2 再処理施設には、使用済燃料貯蔵槽からの大量の水の漏えいその他の要因により当該使用済燃料貯蔵槽の水位が異常に低下した場合において使用済燃料貯蔵槽内の使用済燃料の著しい損傷の進行を緩和し、及び臨界を防止するために必要な設備を設けなければならない。
(放射性物質の漏えいに対処するための設備)
第39条 セル内又は建屋内(セル内を除く。以下この条において同じ。)において系統又は機器からの放射性物質の漏えいを防止するための機能を有する施設には、必要に応じ、再処理規則第1条の3第6号に規定する重大事故の発生又は拡大を防止するために必要な次に掲げる重大事故等対処設備(建屋内において系統又は機器からの放射性物質の漏えいを防止するための機能を有する施設にあっては、第3号を除く。)を設けなければならない。
一 系統又は機器からの放射性物質の漏えいを未然に防止するために必要な設備
二 系統又は機器から放射性物質の漏えいが発生した場合において当該系統又は機器の周辺における放射性物質の漏えいの拡大を防止するために必要な設備
三 系統又は機器から放射性物質の漏えいが発生した設備に接続する換気系統の配管の流路を遮断するために必要な設備及び換気系統の配管内が加圧状態になった場合にセル内に設置された配管の外部へ放射性物質を排出するために必要な設備
四 系統又は機器から放射性物質の漏えいが発生した場合において放射性物質の放出による影響を緩和するために必要な設備
(工場等外への放射性物質等の放出を抑制するための設備)
第40条 再処理施設には、重大事故が発生した場合において工場等外への放射性物質及び放射線の放出を抑制するために必要な設備を設けなければならない。
(重大事故等への対処に必要となる水の供給設備)
第41条 設計基準事故への対処に必要な水源とは別に、重大事故等への対処に必要となる十分な量の水を有する水源を確保することに加えて、再処理施設には、設計基準事故に対処するための設備及び重大事故等対処設備に対して重大事故等への対処に必要となる十分な量の水を供給するために必要な設備を設けなければならない。
(電源設備)
第42条 再処理施設には、設計基準事故に対処するための設備の電源が喪失したことにより重大事故等が発生した場合において当該重大事故等に対処するために必要な電力を確保するために必要な設備を設けなければならない。
(計装設備)
第43条 再処理施設には、重大事故等が発生し、計測機器(非常用のものを含む。)の直流電源の喪失その他の故障により当該重大事故等に対処するために監視することが必要なパラメータを計測することが困難となった場合において当該パラメータを推定するために有効な情報を把握できる設備を設けなければならない。
2 再処理施設には、再処理施設への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムが発生した場合においても必要な情報を把握できる設備を設けなければならない。
3 前項の設備は、共通要因によって制御室と同時にその機能が損なわれないものでなければならない。
(制御室)
第44条 第20条第1項の規定により設置される制御室には、重大事故が発生した場合においても運転員がとどまるために必要な設備を設けなければならない。
(監視測定設備)
第45条 再処理施設には、重大事故等が発生した場合に工場等及びその周辺(工場等の周辺海域を含む。)において再処理施設から放出される放射性物質の濃度及び線量を監視し、及び測定し、並びにその結果を記録することができる設備を設けなければならない。
2 再処理施設には、重大事故等が発生した場合に工場等において、風向、風速その他の気象条件を測定し、及びその結果を記録することができる設備を設けなければならない。
(緊急時対策所)
第46条 第26条の規定により設置される緊急時対策所は、重大事故等が発生した場合においても当該重大事故等に対処するための適切な措置が講じられるよう、次に掲げるものでなければならない。
一 重大事故等に対処するために必要な指示を行う要員がとどまることができるよう、適切な措置を講じたものであること。
二 重大事故等に対処するために必要な指示ができるよう、重大事故等に対処するために必要な情報を把握できる設備を設けたものであること。
三 再処理施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けたものであること。
2 緊急時対策所は、重大事故等に対処するために必要な数の要員を収容することができるものでなければならない。
(通信連絡を行うために必要な設備)
第47条 再処理施設には、重大事故等が発生した場合において当該再処理施設の内外の通信連絡をする必要のある場所と通信連絡を行うために必要な設備を設けなければならない。
附則
この規則は、原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号)附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日(平成25年12月18日)から施行する。
附則 (平成29年5月1日原子力規制委員会規則第6号) 抄
(施行期日)
第1条 この規則は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第2条
2 この規則の施行の際現に設置され又は設置に着手されている再処理施設(法第44条第2項第2号に規定する再処理施設をいう。以下同じ。)については、平成32年5月1日以後最初に当該再処理施設に係る法第46条の2の3第1項の検査を終了した日又は平成32年5月1日以後に再処理(法第2条第10項に規定する再処理をいう。)の事業を開始する日の前日のいずれか早い日までの間(以下この項において「経過措置期間」という。)は、なお従前の例による。ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。
一 経過措置期間中に行われる次に掲げる許可、認可及び検査
イ 法第44条の4第1項の規定による変更の許可(この規則による改正後の再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則第20条第3項及び第26条第2項の規定に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ロ 法第45条第1項の規定による認可(この規則による改正後の再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則第15条第5項及び第20条第2項に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ハ 法第46条第1項の検査(ロの認可を受けた設計及び方法に従って行われる工事に係るものに限る。)
二 前号ハの検査に合格した再処理施設
附則 (平成30年6月8日原子力規制委員会規則第6号)
この規則は、公布の日から施行する。
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