しけんけんきゅうのようにきょうするげんしろとうのせいのうにかかるぎじゅつきじゅんにかんするきそく
試験研究の用に供する原子炉等の性能に係る技術基準に関する規則
平成25年原子力規制委員会規則第23号
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)第28条の3の規定に基づき、試験研究の用に供する原子炉等の性能に係る技術基準に関する規則を次のように定める。
第1章 総則
(適用範囲)
第1条 この規則は、次に掲げる原子炉及びその附属施設について適用する。
一 試験研究の用に供する試験研究用等原子炉(船舶に設置するものを除く。)
二 船舶に設置する軽水減速加圧軽水冷却型原子炉(減速材及び冷却材として加圧軽水を使用する原子炉であって蒸気発生器が構造上原子炉圧力容器の外部にあるものをいう。)であって研究開発段階にある試験研究用等原子炉
(定義)
第2条 この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)において使用する用語の例による。
2 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 「放射線」とは、試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則(昭和32年総理府令第83号。以下この条において「試験炉規則」という。)第1条の2第2項第1号に規定する放射線をいう。
二 「管理区域」とは、試験炉規則第1条の2第2項第4号に規定する管理区域をいう。
三 「放射性廃棄物」とは、試験炉規則第1条の2第2項第2号に規定する放射性廃棄物をいう。
四 「周辺監視区域」とは、試験炉規則第1条の2第2項第6号に規定する周辺監視区域をいう。
五 「試験研究用原子炉」とは、前条第1号に規定する試験研究用等原子炉(第9号及び第10号に規定するものを除く。)をいう。
六 「研究開発段階原子炉」とは、前条第2号に規定する試験研究用等原子炉をいう。
七 「中出力炉」とは、試験研究の用に供する原子炉等の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成25年原子力規制委員会規則第21号。以下「試験炉許可基準規則」という。)第2条第2項第8号に規定する中出力炉をいう。
八 「高出力炉」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第9号に規定する高出力炉をいう。
九 「ガス冷却型原子炉」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第10号に規定するガス冷却型原子炉をいう。
十 「ナトリウム冷却型高速炉」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第11号に規定するナトリウム冷却型高速炉をいう。
十一 「安全機能」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第12号に規定する安全機能をいう。
十二 「安全機能の重要度」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第13号に規定する安全機能の重要度をいう。
十三 「通常運転」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第14号に規定する通常運転をいう。
十四 「運転時の異常な過渡変化」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第15号に規定する運転時の異常な過渡変化をいう。
十五 「設計基準事故」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第16号に規定する設計基準事故をいう。
十六 「多重性」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第17号に規定する多重性をいう。
十七 「多様性」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第18号に規定する多様性をいう。
十八 「独立性」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第19号に規定する独立性をいう。
十九 「燃料体」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第20号に規定する燃料体をいう。
二十 「燃料材」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第21号に規定する燃料材をいう。
二十一 「燃料の許容設計限界」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第23号に規定する燃料の許容設計限界をいう。
二十二 「反応度価値」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第24号に規定する反応度価値をいう。
二十三 「制御棒の最大反応度価値」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第25号に規定する制御棒の最大反応度価値をいう。
二十四 「反応度添加率」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第26号に規定する反応度添加率をいう。
二十五 「原子炉停止系統」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第27号に規定する原子炉停止系統をいう。
二十六 「反応度制御系統」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第28号に規定する反応度制御系統をいう。
二十七 「安全保護回路」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第29号に規定する安全保護回路をいう。
二十八 「安全設備」とは、設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される環境条件において、その損壊又は故障その他の異常により公衆に放射線障害を及ぼすおそれを直接又は間接に生じさせる設備であって次に掲げるものをいう。
イ 1次冷却系統設備その他の運転時において試験研究用等原子炉の安全を確保する上で必要な設備及びこれらの附属設備(原子炉容器を除く。)
ロ 非常用冷却設備(非常用炉心冷却設備を含む。以下同じ。)、安全保護回路、非常用電源設備その他の試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に試験研究用等原子炉の安全を確保する上で必要な設備及びこれらの附属設備
ハ 原子炉格納容器及びその附属設備
二十九 「1次冷却材」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第33号に規定する1次冷却材をいう。
三十 「1次冷却系統設備」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第34号に規定する1次冷却系統設備をいう。
三十一 「最終ヒートシンク」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第35号に規定する最終ヒートシンクをいう。
三十二 「冠水維持設備」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第36号に規定する冠水維持設備をいう。
三十三 「試験用燃料体」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第37号に規定する試験用燃料体をいう。
三十四 「カバーガス」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第38号に規定するカバーガスをいう。
三十五 「原子炉カバーガス」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第39号に規定する原子炉カバーガスをいう。
三十六 「炉心冠水維持バウンダリ」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第40号に規定する炉心冠水維持バウンダリをいう。
三十七 「原子炉冷却材圧力バウンダリ」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第42号に規定する原子炉冷却材圧力バウンダリをいう。
三十八 「原子炉冷却材バウンダリ」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第43号に規定する原子炉冷却材バウンダリをいう。
三十九 「原子炉カバーガス等のバウンダリ」とは、試験炉許可基準規則第2条第2項第44号に規定する原子炉カバーガス等のバウンダリをいう。
(特殊な方法による施設)
第3条 特別の理由により試験研究の用に供する原子炉等の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則(昭和62年総理府令第11号)第3条第1項の規定に基づき原子力規制委員会の認可を受けた場合は、この規則の規定にかかわらず、当該認可に係る基準をもって法第28条の3の技術上の基準とする。
(試験研究用等原子炉施設の機能)
第4条 試験研究用等原子炉施設は、通常運転時において試験研究用等原子炉の反応度を安全かつ安定的に制御でき、かつ、運転時の異常な過渡変化時においても試験研究用等原子炉固有の出力抑制特性を有するとともに、当該試験研究用等原子炉の反応度を制御することにより核分裂の連鎖反応を制御できる能力を有するものでなければならない。
2 船舶に施設する試験研究用等原子炉施設は、波浪により生じる動揺、傾斜その他の要因により機能が損なわれることがないものでなければならない。
(機能の確認等)
第5条 試験研究用等原子炉施設は、原子炉容器その他の試験研究用等原子炉の安全を確保する上で必要な設備の機能の確認をするための試験又は検査及びこれらの機能を健全に維持するための保守又は修理ができるものでなければならない。
(試験研究用等原子炉施設の地盤)
第6条 試験研究用等原子炉施設(船舶に施設するものを除く。第7条、第8条及び第9条第1項において同じ。)は、試験炉許可基準規則第3条第1項の地震力が作用した場合においても当該試験研究用等原子炉施設を十分に支持することができる地盤に設置されたものでなければならない。
(地震による損傷の防止)
第7条 試験研究用等原子炉施設は、これに作用する地震力(試験炉許可基準規則第4条第2項の規定により算定する地震力をいう。)による損壊により公衆に放射線障害を及ぼすことがないものでなければならない。
2 耐震重要施設(試験炉許可基準規則第3条第1項に規定する耐震重要施設をいう。以下同じ。)は、その供用中に当該耐震重要施設に大きな影響を及ぼすおそれがある地震による加速度によって作用する地震力(試験炉許可基準規則第4条第3項に規定する地震力をいう。)に対してその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。
3 耐震重要施設は、試験炉許可基準規則第4条第3項の地震により生じる斜面の崩壊によりその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(津波による損傷の防止)
第8条 試験研究用等原子炉施設は、その供用中に当該試験研究用等原子炉施設に大きな影響を及ぼすおそれがある津波(試験炉許可基準規則第5条に規定する津波をいう。)によりその安全性が損なわれるおそれがないものでなければならない。
(外部からの衝撃による損傷の防止)
第9条 試験研究用等原子炉施設は、想定される自然現象(地震及び津波を除く。)によりその安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置、基礎地盤の改良その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設は、周辺監視区域に隣接する地域に事業所、鉄道、道路その他の外部からの衝撃が発生するおそれがある要因がある場合において、事業所における火災又は爆発事故、危険物を搭載した車両、船舶又は航空機の事故その他の敷地及び敷地周辺の状況から想定される事象であって人為によるもの(故意によるものを除く。)により試験研究用等原子炉施設の安全性が損なわれないよう、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。
3 試験研究用等原子炉を船舶に設置する場合にあっては、原子炉格納容器に近接する船体の部分は、衝突、座礁その他の要因による原子炉格納容器の機能の喪失を防止できる構造でなければならない。
4 試験研究用等原子炉施設は、航空機の墜落により試験研究用等原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。
(試験研究用等原子炉施設への人の不法な侵入等の防止)
第10条 試験研究用等原子炉を設置する工場又は事業所(以下「工場等」という。)には、試験研究用等原子炉施設への人の不法な侵入、試験研究用等原子炉施設に不正に爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件が持ち込まれること及び不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)第2条第4項に規定する不正アクセス行為をいう。第30条第6号において同じ。)を防止するため、適切な措置が講じられていなければならない。
(材料、構造等)
第11条 試験研究用等原子炉施設に属する容器、管、弁及びポンプ(以下「機器」という。)並びにこれらを支持する構造物並びに炉心支持構造物(以下この項において「機器等」という。)の材料及び構造は、その安全機能の重要度に応じて、当該機器等がその設計上要求される強度が確保されたものでなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設には、その安全機能の重要度に応じて、機器に作用する圧力の過度の上昇を適切に防止する性能を有する逃がし弁、安全弁、破壊板又は真空破壊弁(第15条において「逃がし弁等」という。)が必要な箇所に設けられていなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設に属する機器は、その安全機能の重要度に応じて、適切な耐圧試験又は漏えい試験を行ったとき、これに耐え、かつ、著しい漏えいがないものでなければならない。
4 試験研究用等原子炉施設に属する容器であって、その材料が中性子照射を受けることにより著しく劣化するおそれがあるものの内部は、監視試験片を備えたものでなければならない。
(遮蔽等)
第12条 試験研究用等原子炉施設は、通常運転時において当該試験研究用等原子炉施設からの直接ガンマ線及びスカイシャインガンマ線による工場等周辺の空間線量率が十分に低減できるものでなければならない。
2 工場等(原子力船を含む。)内における外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、次に掲げるところにより遮蔽設備が設けられていなければならない。
一 放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有するものであること。
二 開口部又は配管その他の貫通部がある場合であって放射線障害を防止するために必要がある場合は、放射線の漏えいを防止するための措置が講じられていること。
三 自重、熱応力その他の荷重に耐えるものであること。
(換気設備)
第13条 試験研究用等原子炉施設内の放射性物質により汚染された空気による放射線障害を防止する必要がある場所には、次に掲げるところにより換気設備が設けられていなければならない。
一 放射線障害を防止するために必要な換気能力を有するものであること。
二 放射性物質により汚染された空気が漏えいし難い構造であり、かつ、逆流するおそれがない構造であること。
三 ろ過装置を有する場合にあっては、ろ過装置の放射性物質による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。
四 吸気口は、放射性物質により汚染された空気を吸入し難いように設置されたものであること。
(逆止め弁)
第14条 放射性物質を含む1次冷却材その他の流体を内包する容器若しくは管又は放射性廃棄物を廃棄する設備(排気筒並びに第13条及び第34条に規定するものを除く。)へ放射性物質を含まない流体を導く管には、逆止め弁が設けられていなければならない。ただし、放射性物質を含む流体が放射性物質を含まない流体を導く管に逆流するおそれがない場合は、この限りでない。
(放射性物質による汚染の防止)
第15条 試験研究用等原子炉施設は、通常運転時において機器から放射性物質を含む流体が漏えいする場合において、これを安全に廃棄し得るように設置されたものでなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設は、逃がし弁等から排出される流体が放射性物質を含む場合において、これを安全に廃棄し得るように設置されたものでなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設は、工場等の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであって、放射性物質により汚染するおそれがある管理区域内に開口部がないものを除く。以下この項において同じ。)の上に、当該施設の放射性物質により汚染するおそれがある管理区域内の床面がないものでなければならない。ただし、液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備が設置される施設(液体状の放射性廃棄物の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。)以外の施設であって当該施設の放射性物質により汚染するおそれがある管理区域内に当該排水路の開口部がない場合並びに当該排水路に放射性物質を含む排水を安全に廃棄する設備及び第35条第2号に掲げる事項を計測する設備が設置されている場合は、この限りでない。
4 試験研究用等原子炉施設のうち、人が頻繁に出入りする建物又は船舶の内部の壁、床その他の部分であって、放射性物質により汚染されるおそれがあり、かつ、人が触れるおそれがあるものの表面は、放射性物質による汚染を除去しやすいものでなければならない。
第2章 試験研究用原子炉に係る試験研究用等原子炉施設
(安全設備)
第16条 安全設備は、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 第2条第2項第28号ロに掲げる安全設備は、2以上の原子力施設において共用し、又は相互に接続するものであってはならない。ただし、試験研究用等原子炉の安全を確保する上で支障がない場合にあっては、この限りでない。
二 第2条第2項第28号ロに掲げる安全設備は、当該安全設備を構成する機械又は器具の単一故障(試験炉許可基準規則第12条第2項に規定する単一故障をいう。以下同じ。)が発生した場合であって、外部電源が利用できない場合においても機能できるよう、当該系統を構成する機械又は器具の機能、構造及び動作原理を考慮して、多重性又は多様性を確保し、及び独立性を確保するものであること。ただし、原子炉格納容器その他多重性、多様性及び独立性を有することなく試験研究用等原子炉(試験研究用原子炉に係る試験研究用等原子炉施設に限る。以下この章において同じ。)の安全を確保する機能を維持し得る設備にあっては、この限りでない。
三 安全設備は、設計基準事故時及び設計基準事故に至るまでの間に想定される全ての環境条件において、その機能を発揮することができるものであること。
四 火災により損傷を受けるおそれがある場合においては、次に掲げるところによること。
イ 火災の発生を防止するために可能な限り不燃性又は難燃性の材料を使用すること。
ロ 必要に応じて火災の発生を感知する設備及び消火を行う設備が設けられていること。
ハ 火災の影響を軽減するため、必要に応じて、防火壁の設置その他の適切な防火措置を講ずること。
五 前号ロの消火を行う設備は、破損、誤作動又は誤操作が起きた場合においても試験研究用等原子炉を安全に停止させるための機能を損なわないものであること。
六 蒸気タービン、ポンプその他の機器又は配管の損壊に伴う飛散物により損傷を受け、試験研究用等原子炉施設の安全性を損なうおそれがある場合には、防護施設の設置その他の適切な損傷防止措置が講じられていること。
(溢水による損傷の防止)
第17条 試験研究用等原子炉施設は、当該試験研究用等原子炉施設内における溢水の発生によりその安全性を損なうおそれがある場合において、防護措置その他の適切な措置が講じられたものでなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設は、当該試験研究用等原子炉施設内の放射性物質を含む液体を内包する容器、配管その他の設備から放射性物質を含む液体があふれ出るおそれがある場合において、当該液体が管理区域外へ漏えいすることを防止するために必要な措置が講じられたものでなければならない。
(安全避難通路等)
第18条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる設備が設けられていなければならない。
一 その位置を明確かつ恒久的に表示することにより容易に識別できる安全避難通路
二 照明用の電源が喪失した場合においても機能を損なわない避難用の照明
三 設計基準事故が発生した場合に用いる照明(前号の避難用の照明を除く。)及びその専用の電源
(炉心等)
第19条 燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物の材料は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
2 燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物は、最高使用圧力、自重、附加荷重その他の燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物に加わる負荷に耐えられるものでなければならない。
3 燃料体、減速材及び反射材並びに炉心支持構造物は、冷却材の循環その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないように設置されていなければならない。
(熱遮蔽材)
第20条 試験研究用等原子炉施設には、原子炉容器の材料が中性子照射を受けることにより著しく劣化するおそれがある場合において、これを防止するため、次に掲げるところにより熱遮蔽材が設けられていなければならない。
一 熱応力による変形により試験研究用等原子炉の安全に支障を及ぼすおそれがないこと。
二 冷却材の循環その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないこと。
(核燃料物質取扱設備)
第21条 核燃料物質取扱設備は、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 通常運転時において取り扱う必要がある燃料体又は使用済燃料(以下この条及び次条において「燃料体等」と総称する。)を取り扱う能力を有するものであること。
二 燃料体等が臨界に達するおそれがないこと。
三 燃料体等の崩壊熱を安全に除去することにより燃料体等が溶融しないものであること。
四 取扱中に燃料体等が破損するおそれがないものであること。
五 燃料体等を封入する容器は、取扱中における衝撃及び熱に耐え、かつ、容易に破損しないものであること。
六 前号の容器は、燃料体等を封入した場合に、その表面及び表面から1メートルの距離における線量当量率がそれぞれ原子力規制委員会の定める線量当量率を超えないものであること。ただし、管理区域内においてのみ使用されるものについては、この限りでない。
七 燃料体等の取扱中に燃料体等を取り扱うための動力の供給が停止した場合に、燃料体等を保持する構造を有する機器により燃料体等の落下を防止できること。
八 次に掲げるところにより燃料取扱場所の放射線量及び温度を測定できる設備を備えるものであること。
イ 燃料取扱場所の放射線量の異常を検知し、及び警報を発することができるものであること。
ロ 崩壊熱を除去する機能の喪失を検知する必要がある場合には、燃料取扱場所の温度の異常を検知し、及び警報を発することができるものであること。
(核燃料物質貯蔵設備)
第22条 核燃料物質貯蔵設備は、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 燃料体等が臨界に達するおそれがないこと。
二 燃料体等を貯蔵することができる容量を有すること。
三 次に掲げるところにより燃料取扱場所の放射線量及び温度を測定できる設備を備えるものであること。
イ 燃料取扱場所の放射線量の異常を検知し、及び警報を発することができるものであること。
ロ 崩壊熱を除去する機能の喪失を検知する必要がある場合には、燃料取扱場所の温度の異常を検知し、及び警報を発することができるものであること。
2 使用済燃料その他高放射性の燃料体を貯蔵する核燃料物質貯蔵設備は、前項に定めるところによるほか、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 使用済燃料その他高放射性の燃料体の被覆が著しく腐食することを防止し得るものであること。
二 使用済燃料その他高放射性の燃料体からの放射線に対して適切な遮蔽能力を有するものであること。
三 使用済燃料その他高放射性の燃料体の崩壊熱を安全に除去し得るものであること。
四 使用済燃料その他高放射性の燃料体を液体中で貯蔵する場合は、前号に掲げるところによるほか、次に掲げるところによること。
イ 液体があふれ、又は漏えいするおそれがないものであること。
ロ 液位を測定でき、かつ、液体の漏えいその他の異常を適切に検知し得るものであること。
(1次冷却材)
第23条 1次冷却材は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
(1次冷却材の排出)
第24条 試験研究用等原子炉施設は、放射性物質を含む1次冷却材(次条第1項第4号の設備から排出される放射性物質を含む流体を含む。)を通常運転時において系統外に排出する場合において、これを安全に廃棄し得るように設置されたものでなければならない。
(冷却設備等)
第25条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる設備が設けられていなければならない。ただし、試験研究用等原子炉の安全を確保する上で支障がない場合にあっては、この限りでない。
一 原子炉容器内において発生した熱を除去することができる容量の冷却材その他の流体を循環させる設備
二 液体の1次冷却材を用いる試験研究用等原子炉にあっては、運転時における原子炉容器内の液位を自動的に調整する設備
三 密閉容器型原子炉(燃料体及び1次冷却材が容器(原子炉格納施設を除く。)内に密閉されている試験研究用等原子炉をいう。)にあっては、原子炉容器内の圧力を自動的に調整する設備
四 1次冷却材に含まれる放射性物質及び不純物の濃度を試験研究用等原子炉の安全に支障を及ぼさない値以下に保つ設備
五 試験研究用等原子炉停止時における原子炉容器内の残留熱を除去する設備
六 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じたときに想定される最も厳しい条件の下において原子炉容器内において発生した熱を除去できる非常用冷却設備
七 前2号の設備により除去された熱を最終ヒートシンクへ輸送することができる設備
2 前項の設備は、冷却材の循環その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないように設置されていなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設には、1次冷却系統設備からの1次冷却材の漏えいを検出する装置が設けられていなければならない。
(液位の保持等)
第26条 液体の1次冷却材を用いる試験研究用等原子炉施設にあっては、1次冷却材の流出を伴う異常が発生した場合において原子炉容器内の液位の過度の低下を防止し、炉心全体を冷却材中に保持する機能を有する設備は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常に伴う温度の変化による荷重の増加その他の当該設備に加わる負荷に耐えるものでなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設のうち、冠水維持設備を設けるものにあっては、前項に掲げるもののほか、原子炉容器内の設計水位を確保できるものでなければならない。
(計装)
第27条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる事項を計測する設備が設けられていなければならない。この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する設備をもって代えることができる。
一 熱出力及び炉心における中性子束密度
二 炉周期
三 制御棒(固体の制御材をいう。以下同じ。)の位置
四 1次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 原子炉容器内における温度、圧力、流量及び液位
2 試験研究用等原子炉施設には、設計基準事故が発生した場合の状況を把握し、及び対策を講ずるために必要な試験研究用等原子炉の停止後の温度、液位その他の試験研究用等原子炉施設の状態を示す事項(以下「パラメータ」という。)を、設計基準事故時に想定される環境下において、十分な測定範囲及び期間にわたり監視及び記録できる設備が設けられていなければならない。
(警報装置)
第28条 試験研究用等原子炉施設には、その設備の機能の喪失、誤操作その他の要因により試験研究用等原子炉の安全を著しく損なうおそれが生じたとき、第35条第1号の放射性物質の濃度若しくは同条第3号の線量当量が著しく上昇したとき又は液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備から液体状の放射性廃棄物が著しく漏えいするおそれが生じたときに、これらを確実に検知して速やかに警報する装置が設けられていなければならない。
(通信連絡設備等)
第29条 工場等には、設計基準事故が発生した場合において工場等内の人に対し必要な指示ができるよう、通信連絡設備が設けられていなければならない。
2 工場等には、設計基準事故が発生した場合において当該試験研究用等原子炉施設外の通信連絡をする必要がある場所と通信連絡ができるよう、多重性又は多様性を確保した通信回線が設けられていなければならない。
(安全保護回路)
第30条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより安全保護回路が設けられていなければならない。
一 運転時の異常な過渡変化が発生する場合又は地震の発生により試験研究用等原子炉の運転に支障が生じる場合において、原子炉停止系統その他系統と併せて機能することにより、燃料の許容設計限界を超えないようにできるものであること。
二 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常により多量の放射性物質が漏えいする可能性が生じる場合において、これを抑制又は防止するための設備を速やかに作動させる必要がある場合には、当該設備の作動を速やかに、かつ、自動的に開始させるものであること。
三 安全保護回路を構成する機械若しくは器具又はチャンネルは、単一故障が起きた場合又は使用状態からの単一の取り外しを行った場合において、安全保護機能を失わないよう、多重性又は多様性を確保するものであること。
四 安全保護回路を構成するチャンネルは、それぞれ互いに分離し、それぞれのチャンネル間において安全保護機能を失わないように独立性を確保するものであること。
五 駆動源の喪失、系統の遮断その他の不利な状況が生じた場合においても、試験研究用等原子炉施設をより安全な状態に移行するか、又は当該状態を維持することにより、試験研究用等原子炉施設の安全上支障がない状態を維持できるものであること。
六 不正アクセス行為その他の電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせる行為による被害を防止するために必要な措置が講じられているものであること。
七 計測制御系統施設の一部を安全保護回路と共用する場合において、その安全保護機能を失わないよう、計測制御系統施設から機能的に分離されたものであること。
八 試験研究用等原子炉の安全を確保する上で必要な場合には、運転条件に応じてその作動設定値を変更できるものであること。
(反応度制御系統及び原子炉停止系統)
第31条 試験研究用等原子炉施設には、通常運転時において、燃料の許容設計限界を超えることがないように反応度を制御できるよう、次に掲げるところにより反応度制御系統が設けられていなければならない。
一 通常運転時に予想される温度変化、キセノンの濃度変化、実験物(構造材料その他の実験のために使用されるものをいう。以下同じ。)の移動その他の要因による反応度変化を制御できるものであること。
二 制御棒を用いる場合にあっては、次のとおりとすること。
イ 炉心からの飛び出し、又は落下を防止するものであること。
ロ 当該制御棒の反応度添加率は、原子炉停止系統の停止能力と併せて、想定される制御棒の異常な引き抜きが発生しても、燃料の許容設計限界を超えないものであること。
2 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより原子炉停止系統が設けられていなければならない。
一 制御棒その他の反応度を制御する設備による2以上の独立した系統を有するものであること。ただし、当該系統が制御棒のみから構成される場合であって、次に掲げるときは、この限りでない。
イ 試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、未臨界を維持することができる制御棒の数に比し当該系統の能力に十分な余裕があるとき。
ロ 原子炉固有の出力抑制特性が優れているとき。
二 運転時において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、燃料の許容設計限界を超えることなく試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
三 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じた場合において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、速やかに試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
四 制御棒を用いる場合にあっては、1本の制御棒が固着した場合においても、前2号の機能を有するものであること。
3 制御材は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
4 制御材を駆動する設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。
一 試験研究用等原子炉の特性に適合した速度で制御材を駆動し得るものであること。
二 制御材を駆動するための動力の供給が停止した場合に、制御材が反応度を増加させる方向に動かないものであること。
三 制御棒の落下その他の衝撃により燃料体、制御棒その他の設備を損壊することがないものであること。
5 制御棒の最大反応度価値及び反応度添加率は、想定される反応度投入事象(試験研究用等原子炉に反応度が異常に投入される事象をいう。以下同じ。)に対して炉心冠水維持バウンダリを破損せず、かつ、炉心の冷却機能を損なうような炉心又は炉心支持構造物の損壊を起こさないものでなければならない。
6 原子炉停止系統は、反応度制御系統と共用する場合には、反応度制御系統を構成する設備の故障が発生した場合においても通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、低温状態において未臨界を維持できるものでなければならない。
(原子炉制御室等)
第32条 試験研究用等原子炉施設には、原子炉制御室が設けられていなければならない。
2 原子炉制御室は、試験研究用等原子炉の運転状態を表示する装置、試験研究用等原子炉の安全を確保するための設備を操作する装置、異常を表示する警報装置その他の試験研究用等原子炉の安全を確保するための主要な装置が集中し、かつ、誤操作することなく適切に運転操作することができるよう設置されていなければならない。
3 原子炉制御室は、従事者が、設計基準事故時に、容易に避難できる構造でなければならない。
4 原子炉制御室及びこれに連絡する通路は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じた場合において、試験研究用等原子炉の運転の停止その他の試験研究用等原子炉施設の安全性を確保するための措置をとるため、従事者が支障なく原子炉制御室に入り、かつ、一定期間とどまることができるように、遮蔽設備の設置その他の適切な放射線防護措置が講じられたものでなければならない。
5 試験研究用等原子炉施設は、火災その他の要因により原子炉制御室が使用できない場合に、原子炉制御室以外の場所から試験研究用等原子炉の運転を停止し、かつ、安全な状態に維持することができる設備が設けられていなければならない。ただし、試験研究用等原子炉の安全を確保する上で支障がない場合にあっては、この限りでない。
(廃棄物処理設備)
第33条 工場等には、次に掲げるところにより放射性廃棄物を廃棄する設備(放射性廃棄物を保管廃棄する設備を除く。)が設けられていなければならない。
一 周辺監視区域の外の空気中及び周辺監視区域の境界における水中の放射性物質の濃度が、それぞれ原子力規制委員会の定める濃度限度を超えないように試験研究用等原子炉施設において発生する放射性廃棄物を廃棄する能力を有するものであること。
二 放射性廃棄物以外の廃棄物を廃棄する設備と区別すること。ただし、放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を流体状の放射性廃棄物を廃棄する設備に導く場合において、流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物以外の流体状の廃棄物を取り扱う設備に逆流するおそれがないときは、この限りでない。
三 放射性廃棄物に含まれる化学薬品の影響その他の要因により著しく腐食するおそれがないものであること。
四 気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排気口以外の箇所において気体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。
五 気体状の放射性廃棄物を廃棄する設備にろ過装置を設ける場合にあっては、ろ過装置の放射性物質による汚染の除去又はろ過装置の取替えが容易な構造であること。
六 液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、排水口以外の箇所において液体状の放射性廃棄物を排出することがないものであること。
七 固体状の放射性廃棄物を廃棄する設備は、放射性廃棄物を廃棄する過程において放射性物質が散逸し難いものであること。
2 液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備(液体状の放射性廃棄物を保管廃棄する設備を除く。以下この項において同じ。)が設置される施設(液体状の放射性廃棄物の漏えいが拡大するおそれがある部分に限る。)は、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 施設内部の床面及び壁面は、液体状の放射性廃棄物が漏えいし難いものであること。
二 施設内部の床面は、床面の傾斜又は床面に設けられた溝の傾斜により液体状の放射性廃棄物がその受け口に導かれる構造であり、かつ、液体状の放射性廃棄物を廃棄する設備の周辺部には、液体状の放射性廃棄物の漏えいの拡大を防止するための堰が設けられていること。
三 施設外に通じる出入口又はその周辺部には、液体状の放射性廃棄物が施設外へ漏えいすることを防止するための堰が設けられていること。ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表面より低い場合であって液体状の放射性廃棄物が施設外へ漏えいするおそれがないときは、この限りでない。
(保管廃棄設備)
第34条 放射性廃棄物を保管廃棄する設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。
一 通常運転時に発生する放射性廃棄物を保管廃棄する容量を有すること。
二 放射性廃棄物が漏えいし難い構造であること。
三 崩壊熱及び放射線の照射により発生する熱に耐え、かつ、放射性廃棄物に含まれる化学薬品の影響その他の要因により著しく腐食するおそれがないこと。
2 固体状の放射性廃棄物を保管廃棄する設備が設置される施設は、放射性廃棄物による汚染が広がらないように設置されていなければならない。
3 前条第2項の規定は、流体状の放射性廃棄物を保管廃棄する設備が設置されている施設について準用する。
(放射線管理施設)
第35条 工場等には、次に掲げる事項を計測する放射線管理施設が設けられていなければならない。この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する施設をもって代えることができる。
一 放射性廃棄物の排気口又はこれに近接する箇所における排気中の放射性物質の濃度
二 放射性廃棄物の排水口又はこれに近接する箇所における排水中の放射性物質の濃度
三 管理区域における外部放射線に係る原子力規制委員会の定める線量当量及び空気中の放射性物質の濃度
(原子炉格納施設)
第36条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより、原子炉格納施設が設けられていなければならない。
一 通常運転時に、その内部を負圧状態に維持し得るものであり、かつ、所定の漏えい率を超えることがないものであること。ただし、公衆に放射線障害を及ぼすおそれがない場合にあっては、この限りでない。
二 設計基準事故時において、公衆に放射線障害を及ぼさないようにするため、原子炉格納施設から放出される放射性物質を低減するものであること。ただし、公衆に放射線障害を及ぼすおそれがない場合にあっては、この限りでない。
(保安電源設備)
第37条 試験研究用等原子炉施設には、外部電源系統からの電気の供給が停止した場合において、試験研究用等原子炉施設の安全を確保するために必要な設備の機能を維持するために、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する非常用電源設備が設けられていなければならない。ただし、試験研究用等原子炉施設の安全を確保する上で支障がない場合にあっては、この限りでない。
2 試験研究用等原子炉の安全を確保する上で特に必要な設備は、無停電電源装置又はこれと同等以上の機能を有する設備に接続されているものでなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設には、必要に応じ、全交流動力電源喪失時に試験研究用等原子炉を安全に停止し、又はパラメータを監視する設備の動作に必要な容量を有する蓄電池その他の非常用電源設備が設けられていなければならない。
(実験設備等)
第38条 試験研究用等原子炉施設に設置される実験設備(試験研究用等原子炉を利用して材料試験その他の実験を行う設備をいう。)及び利用設備(試験研究用等原子炉を利用して分析、放射性同位元素の製造、医療その他の行為を行うための設備をいう。)(以下「実験設備等」と総称する。)は、次に掲げるものでなければならない。
一 実験設備等の損傷その他の実験設備等の異常が発生した場合においても、試験研究用等原子炉の安全性を損なうおそれがないものであること。
二 実験物の移動又は状態の変化が生じた場合においても、運転中の試験研究用等原子炉に反応度が異常に投入されないものであること。
三 放射線又は放射性物質の著しい漏えいのおそれがないものであること。
四 試験研究用等原子炉施設の健全性を確保するために実験設備等の動作状況、異常の発生状況、周辺の環境の状況その他の試験研究用等原子炉の安全上必要なパラメータを原子炉制御室に表示できるものであること。
五 実験設備等が設置されている場所は、原子炉制御室と相互に連絡することができる場所であること。
(多量の放射性物質等を放出する事故の拡大の防止)
第39条 中出力炉又は高出力炉に係る試験研究用等原子炉施設は、発生頻度が設計基準事故より低い事故であって、当該施設から多量の放射性物質又は放射線を放出するおそれがあるものが発生した場合において、当該事故の拡大を防止するために必要な措置が講じられたものでなければならない。
第3章 研究開発段階原子炉に係る試験研究用等原子炉施設
(冷却設備等)
第40条 試験研究用等原子炉施設(研究開発段階原子炉に係る試験研究用等原子炉施設に限る。以下この章において同じ。)には、次に掲げる設備が設けられていなければならない。
一 原子炉容器内において発生した熱を除去することができる容量の冷却材を循環させる設備
二 運転時において1次冷却材が減少した場合に、これを自動的に補給する設備
三 原子炉容器内の圧力を自動的に調整する設備
四 1次冷却材に含まれる放射性物質及び不純物の濃度を試験研究用等原子炉の安全を確保する上で支障を及ぼさない値以下に保つ設備
五 試験研究用等原子炉停止時における原子炉容器内の残留熱を除去する設備
2 前項の設備は、冷却材の循環、沸騰その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないように設置されていなければならない。
(非常用炉心冷却設備)
第41条 試験研究用等原子炉施設には、1次冷却系統設備がその機能を喪失した場合に原子炉容器内において発生した熱を除去する非常用炉心冷却設備が設けられていなければならない。
2 非常用炉心冷却設備は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じたときに想定される最も厳しい条件の下において、燃料材の溶触及び燃料体の著しい破損を防止し得るものであり、かつ、被覆材と冷却材との反応により著しく多量の水素を生じることがないものでなければならない。
(原子炉冷却材圧力バウンダリ)
第42条 原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常による衝撃、反応度の変化その他の原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器に加わる負荷に耐えるものでなければならない。
(蒸気タービン)
第43条 蒸気タービン及びその附属設備は、その損壊又は故障その他の異常により試験研究用等原子炉施設の安全を損なうことがないものでなければならない。
(計装)
第44条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる事項を計測する設備が設けられていなければならない。この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する設備をもって代えることができる。
一 熱出力及び炉心における中性子束密度
二 炉周期
三 制御棒の位置及び液体の制御材を使用する場合にあっては、その濃度
四 1次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 原子炉容器の入口及び出口における温度、圧力及び流量
ハ 原子炉容器(加圧器がある場合は加圧器)内又は蒸気ドラム内における水位
五 2次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質の濃度
ロ 蒸気発生器の出口における温度、圧力及び流量
ハ 蒸気発生器内における水位
(反応度制御系統及び原子炉停止系統)
第45条 試験研究用等原子炉施設には、通常運転時において、燃料の許容設計限界を超えることがないように反応度を制御できるよう、反応度制御系統が設けられていなければならない。
2 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより原子炉停止系統が設けられていなければならない。
一 制御棒その他の反応度を制御する設備による2以上の独立した系統を有するものであること。
二 通常運転時の高温状態において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、燃料の許容設計限界を超えることなく試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、高温状態において未臨界を維持できるものであること。
三 運転時において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、燃料の許容設計限界を超えることなく試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
四 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じた場合において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、非常用炉心冷却設備と併せて又は単独で、速やかに試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
五 制御棒を用いる場合にあっては、1本の制御棒が固着した場合においても、前2号の機能を有するものであること。
3 制御材は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
4 制御材を駆動する設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。
一 試験研究用等原子炉の特性に適合した速度で制御材を駆動し得るものであること。
二 制御材を駆動するための動力の供給が停止した場合に、制御材が反応度を増加させる方向に動かないものであること。
三 制御棒の落下その他の衝撃により燃料体、制御棒その他の設備を損壊することがないものであること。
四 試験研究用等原子炉を船舶に設置する場合にあっては、当該船舶が沈没した場合においても、制御棒を挿入した状態で保持できるものであること。
(原子炉格納施設)
第46条 原子炉格納施設は、第52条第1項第1号から第3号までに定めるところによるほか、次に掲げるところにより設置されていなければならない。
一 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に生じる原子炉格納容器内の圧力及び温度の上昇により原子炉格納施設の安全に支障が生じることを防止するため、原子炉格納容器内において発生した熱を除去する設備(以下「格納容器熱除去設備」という。)が設けられていること。
二 格納容器熱除去設備は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に生じる原子炉格納容器内の圧力及び温度につき想定される最も厳しい条件の下においても機能が損なわれないものであること。
三 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に生じる水素及び酸素により原子炉格納施設の安全に支障が生じるおそれがある場合は、当該水素及び酸素の濃度を低下させる設備が設けられていること。
2 試験研究用等原子炉を船舶に設置する場合にあっては、原子炉格納容器には、船舶が沈没した場合に水圧により当該容器が損壊することを防止するための圧力平衡装置が設けられていなければならない。
(保安電源設備)
第47条 試験研究用等原子炉施設(船舶に施設するものを除く。)には、外部電源系統及び当該試験研究用等原子炉施設において常時使用されている発電設備からの電気の供給が停止した場合において、試験研究用等原子炉施設の安全を確保するために必要な設備の機能を維持するために、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する設備が設けられていなければならない。
2 船舶に施設する試験研究用等原子炉施設には、主電源からの電気の供給が停止した場合において安全を確保するために必要な設備の機能を維持するために、内燃機関を原動力とする発電設備又はこれと同等以上の機能を有する設備が設けられていなければならない。
3 試験研究用等原子炉の安全を確保する上で特に必要な設備には、無停電電源装置又はこれと同等以上の機能を有する設備が設けられていなければならない。
(準用)
第48条 第16条から第24条まで、第28条から第30条まで、第32条(第5項ただし書を除く。)、第33条から第35条まで及び第52条第2項から第5項までの規定は、研究開発段階原子炉に係る試験研究用等原子炉施設について準用する。この場合において、第19条第3項及び第20条第2号中「循環」とあるのは「循環、沸騰」と、第24条中「次条第1項第4号」とあるのは「第40条第1項第4号」と、第35条中「工場等」とあるのは「工場等(原子力船を含む。)」と、第52条第5項中「原子炉格納施設」とあるのは「非常用炉心冷却設備に係る管、原子炉格納施設」と、「おそれがある管又は試験研究用等原子炉施設の安全を確保する上で支障がない管」とあるのは「おそれがある管」と読み替えるものとする。
第4章 ガス冷却型原子炉に係る試験研究用等原子炉施設
(試験用燃料体)
第49条 試験用燃料体は、次に掲げるものでなければならない。
一 試験計画の範囲内において、試験用燃料体の健全性を維持できない場合においても、燃料体の性状又は性能に悪影響を与えないものであること。
二 設計基準事故時において、試験用燃料体が破損した場合においても、試験研究用等原子炉を安全に停止するために必要な機能及び炉心の冷却機能を損なうおそれがないものであること。
三 放射性物質の漏えい量を抑制するための措置が講じられているものであること。
四 輸送中又は取扱中において、著しい変形が生じないものであること。
(原子炉冷却材圧力バウンダリ)
第50条 原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器は、試験研究用等原子炉施設(ガス冷却型原子炉に係る試験研究用等原子炉施設に限る。以下この章において同じ。)の損壊又は故障に伴う衝撃、反応度の変化その他の要因による荷重の増加その他の原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器に加わる負荷に耐えるものでなければならない。
2 原子炉冷却材圧力バウンダリには、原子炉冷却材の流出を制限するため隔離装置が設けられていなければならない。
3 原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する機器は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に瞬間的破壊が生じないよう、十分な破壊じん性を有するものでなければならない。
4 試験研究用等原子炉施設には、原子炉冷却材圧力バウンダリからの1次冷却材の漏えいを検出する装置が設けられていなければならない。
(計装)
第51条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる事項を計測する設備が設けられていなければならない。この場合において、当該事項を直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する設備をもって代えることができる。
一 熱出力及び炉心における中性子束密度
二 炉周期
三 制御棒の位置
四 1次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 原子炉容器内の入口及び出口における温度、圧力及び流量
五 2次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 1次冷却材の熱を取り出す熱交換器の入口及び出口における温度並びに入口における圧力及び流量
2 試験研究用等原子炉施設には、設計基準事故が発生した場合の状況を把握し、及び対策を講ずるために必要なパラメータを、設計基準事故時に想定される環境下において、十分な測定範囲及び期間にわたり監視及び記録できる設備が設けられていなければならない。
(原子炉格納施設)
第52条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより原子炉格納施設が設けられていなければならない。
一 原子炉格納施設の内部における試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際の漏えい率が公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないものであり、かつ、その際に生じるものと想定される最大の荷重に耐えるものであること。
二 原子炉格納施設の開口部には、気密性の扉を設けていること。
三 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に原子炉格納施設から気体状の放射性物質が漏えいすることにより公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないように、当該放射性物質の濃度を低下させる設備を設けていること。
四 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に生じる可燃性ガス及び酸素により原子炉格納施設の安全に支障が生じるおそれがある場合において、当該可燃性ガス及び酸素の濃度を低下させる設備を設けていること。
2 前項の試験研究用等原子炉施設に属する原子炉格納容器は、定期的に漏えい率試験ができるものでなければならない。
3 第1項の試験研究用等原子炉施設に属する原子炉格納容器を貫通する管には、当該貫通箇所の内側及び外側の当該貫通箇所に近接した箇所にそれぞれ1個の閉鎖隔離弁(ロック装置が付されているものに限る。)又は自動隔離弁(隔離機能がない逆止め弁を除く。)(以下この条及び第63条において「隔離弁」と総称する。)を設けていなければならない。ただし、当該貫通箇所の内側又は外側において、湿気その他の要因により隔離弁の機能が著しく低下するおそれがある場合は、当該貫通箇所の内側及び外側に代え、当該貫通箇所の他方の側の当該貫通箇所に近接した箇所に2個の隔離弁を設けていなければならない。
4 前項の規定にかかわらず、原子炉格納容器を貫通する管であって、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に損壊するおそれがないもの(1次冷却系統設備に係る設備に接続するもの並びに原子炉格納容器の内側及び外側に開口部があるものを除く。)及び試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に構造上内部に液体が滞留することにより原子炉格納容器内の放射性物質が外部へ漏えいするおそれがないものには、当該貫通箇所の内側又は外側の当該貫通箇所に近接した箇所に1個の隔離弁を設けていなければならない。ただし、当該貫通箇所の内側又は外側において、湿気その他の要因により隔離弁の機能が著しく低下するおそれがある場合は、当該貫通箇所の他方の側の当該貫通箇所に近接した箇所に1個の隔離弁を設けていなければならない。
5 前2項の規定にかかわらず、原子炉格納施設に属する安全設備に係る管その他隔離弁を設けることにより安全に支障が生じるおそれがある管又は試験研究用等原子炉施設の安全を確保する上で支障がない管には、隔離弁を設けることを要しない。
(多量の放射性物質等を放出する事故の拡大の防止)
第53条 試験研究用等原子炉施設は、発生頻度が設計基準事故より低い事故であって、当該施設から多量の放射性物質又は放射線を放出するおそれがあるものが発生した場合において、当該事故の拡大を防止するために必要な措置が講じられたものでなければならない。
(準用)
第54条 第16条から第25条まで、第28条から第35条まで、第37条(第1項ただし書を除く。)及び第38条の規定は、ガス冷却型原子炉に係る試験研究用等原子炉施設について準用する。この場合において、第21条中「燃料体又は」とあるのは「燃料体、試験用燃料体又は」と読み替えるものとする。
第5章 ナトリウム冷却型高速炉に係る試験研究用等原子炉施設
(ナトリウムの漏えいによる影響の防止)
第55条 試験研究用等原子炉施設(ナトリウム冷却型高速炉に係る試験研究用等原子炉施設に限る。以下この章において同じ。)は、ナトリウムの漏えいによる物理的又は化学的影響(ナトリウム及びナトリウム化合物が関与する腐食が構造物及び機器に及ぼす影響を含む。)を受けることにより、当該試験研究用等原子炉施設の安全に支障が生じるおそれがある場合において、その影響を抑制するための措置が講じられたものでなければならない。
(炉心等)
第56条 燃料体及び反射材並びに炉心支持構造物の材料は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
2 燃料体及び反射材並びに炉心支持構造物は、最高使用圧力、自重、附加荷重その他の燃料体及び反射材並びに炉心支持構造物に加わる負荷に耐えるものであり、かつ、冷却材による炉心の冷却機能を損なうおそれがないものでなければならない。
3 反射材は、原子炉容器の材料が中性子照射を受けることにより著しく劣化するおそれがある場合には、これを防止できるように設置されていなければならない。
4 燃料体及び反射材並びに炉心支持構造物は、冷却材の循環その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないように設置されていなければならない。
(ナトリウムの取扱い)
第57条 ナトリウムを取り扱う機器は、ナトリウムとの共存性を考慮して適切な材料を使用したものでなければならない。
2 ナトリウムを取り扱う系統は原則として密閉したものとするとともに、当該系統に属する機器のうち内部に液面を有するものは、その液面上をカバーガスで覆う構造でなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設は、放射性物質を含むナトリウムを通常運転時において系統外に排出する場合には、これを安全に廃棄し得るように設置されていなければならない。
(カバーガスの取扱い)
第58条 カバーガスは、ナトリウムに対して化学的に安定な性質を有し、かつ、運転時における放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
2 カバーガスを取り扱う系統には、圧力が過度に上昇することを防止し得る設備が設けられていなければならない。
3 試験研究用等原子炉施設は、放射性物質を含むカバーガスを通常運転時において系統外に排出する場合において、これを安全に廃棄し得るように設置されていなければならない。
(冷却設備等)
第59条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる設備が設けられていなければならない。
一 原子炉容器内において発生した熱を除去することができる容量の冷却材を循環させる設備
二 運転時における原子炉容器内の液位を調整する設備
三 1次冷却材及び原子炉カバーガスに含まれる放射性物質及び不純物の濃度並びに2次冷却材に含まれる不純物の濃度を試験研究用等原子炉の運転に支障を及ぼさない値以下に保つ設備
四 1次冷却材及び2次冷却材の温度を試験研究用等原子炉の運転に支障を及ぼさない値以上に保つ設備
五 試験研究用等原子炉停止時における原子炉容器内の残留熱を除去する設備
六 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じたときに想定される最も厳しい条件の下において原子炉容器内において発生した熱を除去できる非常用冷却設備。ただし、第1号又は前号に掲げる設備がこれと同等以上の機能を有する場合にあっては、この限りでない。
七 前2号の設備により除去された熱を最終ヒートシンクへ輸送することができる設備
2 前項の設備は、冷却材の循環その他の要因により生じる振動により損傷を受けることがないように設置されていなければならない。
(原子炉冷却材バウンダリ等)
第60条 原子炉冷却材バウンダリを構成する機器は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常に伴う温度の変化による荷重の増加その他の原子炉冷却材バウンダリを構成する機器に加わる負荷に耐えるものでなければならない。
2 原子炉冷却材バウンダリを構成する機器は、原子炉冷却材バウンダリの破損が生じた場合においても冷却材の液位を必要な高さに保持するための措置が講じられたものでなければならない。
3 原子炉冷却材バウンダリを構成する機器は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に瞬間的破壊が生じないよう、十分な破壊じん性を有するものでなければならない。
4 原子炉カバーガス等のバウンダリを構成する機器は、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常に伴う温度の変化による荷重の増加その他の負荷に耐えるものでなければならない。
5 試験研究用等原子炉施設には、原子炉冷却材バウンダリからの1次冷却材の漏えいを検出する装置及び原子炉カバーガス等のバウンダリからの原子炉カバーガスの漏えいを検出する装置が設けられていなければならない。
6 試験研究用等原子炉施設の原子炉冷却材バウンダリ及び原子炉カバーガス等のバウンダリの必要な箇所には、ナトリウムを液体の状態に保つことができる設備が設けられていなければならない。
(計装)
第61条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げる事項を計測する設備が設けられていなければならない。この場合において、直接計測することが困難な場合は、これを間接的に計測する設備をもって代えることができる。
一 熱出力及び炉心における中性子束密度
二 炉周期
三 制御棒の位置
四 1次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 原子炉容器の入口及び出口における温度及び流量
ハ 原子炉容器内及び主要な機器内における液位
五 2次冷却材に関する次の事項
イ 含有する放射性物質及び不純物の濃度
ロ 1次冷却材の熱を取り出す熱交換器の入口における温度及び流量
ハ 主要な機器内における液位
六 原子炉カバーガスに関する次の事項
イ 含有する放射性物質の濃度
ロ 圧力
2 試験研究用等原子炉施設には、設計基準事故が発生した場合の状況を把握し、及び対策を講ずるために必要なパラメータを、設計基準事故時に想定される環境下において、十分な測定範囲及び期間にわたり監視及び記録できる設備が設けられていなければならない。
(反応度制御系統及び原子炉停止系統)
第62条 試験研究用等原子炉施設には、通常運転時において、燃料の許容設計限界を超えることがないように反応度を制御できるよう、次に掲げるところにより反応度制御系統が設けられていなければならない。
一 制御棒を用いるものであること。
二 制御棒の炉心からの飛び出し、又は落下を防止するものであること。
三 制御棒の反応度添加率は、原子炉停止系統の停止能力と併せて、想定される制御棒の異常な引き抜きが発生しても、燃料の許容設計限界を超えないものであること。
四 通常運転時に予想される温度変化、キセノンの濃度変化、実験物の移動その他の要因による反応度変化を制御できるものであること。
2 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより原子炉停止系統が設けられていなければならない。
一 制御棒による2以上の独立した系統を有するものであること。ただし、次に掲げるときは、この限りでない。
イ 試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、未臨界を維持することができる制御棒の数に比し当該系統の能力に十分な余裕があるとき。
ロ 原子炉固有の出力抑制特性が優れているとき。
二 運転時において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、燃料の許容設計限界を超えることなく試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
三 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常が生じた場合において、原子炉停止系統のうち少なくとも1つは、速やかに試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、少なくとも1つは、低温状態において未臨界を維持できるものであること。
四 1本の制御棒が固着した場合においても、前2号の機能を有するものであること。
3 制御棒は、運転時における圧力、温度及び放射線につき想定される最も厳しい条件の下において、必要な物理的及び化学的性質を保持するものでなければならない。
4 制御棒を駆動する設備は、次に掲げるところによるものでなければならない。
一 試験研究用等原子炉の特性に適合した速度で制御棒を駆動し得るものであること。
二 制御棒を駆動するための動力の供給が停止した場合に、制御棒が反応度を増加させる方向に動かないものであること。
三 制御棒の落下その他の衝撃により燃料体、制御棒その他の設備を損壊することがないものであること。
5 制御棒の最大反応度価値及び反応度添加率は、想定される反応度投入事象に対して原子炉冷却材バウンダリ及び原子炉カバーガス等のバウンダリを破損せず、かつ、炉心の冷却機能を損なうような炉心、炉心支持構造物又は原子炉容器内部構造物の損壊を起こさないものでなければならない。
6 原子炉停止系統は、反応度制御系統と共用する場合には、反応度制御系統を構成する設備の故障が発生した場合においても通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び設計基準事故時に試験研究用等原子炉を未臨界に移行することができ、かつ、低温状態において未臨界を維持できるものでなければならない。
(原子炉格納施設)
第63条 試験研究用等原子炉施設には、次に掲げるところにより原子炉格納施設が設けられていなければならない。
一 原子炉格納施設の内部における試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際の漏えい率が公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないものであり、かつ、その際に生じるものと想定される最大の荷重に耐えるものであること。
二 原子炉格納施設の開口部には、気密性の扉を設けていること。
三 試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に原子炉格納施設から気体状の放射性物質が漏えいすることにより公衆に放射線障害を及ぼすおそれがないように、当該放射性物質の濃度を低下させる設備を設けていること。
2 前項の試験研究用等原子炉施設に属する原子炉格納容器は、定期的に漏えい率試験ができるものでなければならない。
3 第1項の試験研究用等原子炉施設に属する原子炉格納容器を貫通する管には、隔離弁を設けていなければならない。ただし、当該貫通箇所の内側又は外側において、湿気その他の要因により隔離弁の機能が著しく低下するおそれがある場合は、当該貫通箇所の内側及び外側に代え、当該貫通箇所の他方の側の当該貫通箇所に近接した箇所に2個の隔離弁を設けていなければならない。
4 前項の規定にかかわらず、原子炉格納容器を貫通する管であって、試験研究用等原子炉施設の損壊又は故障その他の異常の際に損壊するおそれがないもの(1次冷却系統設備に係る設備に接続するもの並びに原子炉格納容器の内側及び外側に開口部があるものを除く。)には、当該貫通箇所の内側又は外側の当該貫通箇所に近接した箇所に1個の隔離弁を設けていなければならない。ただし、当該貫通箇所の内側又は外側において、湿気その他の要因により隔離弁の機能が著しく低下するおそれがある場合は、当該貫通箇所の他方の側の当該貫通箇所に近接した箇所に1個の隔離弁を設けていなければならない。
5 前2項の規定にかかわらず、原子炉格納施設に属する安全設備に係る管その他隔離弁を設けることにより安全に支障が生じるおそれがある管又は試験研究用等原子炉施設の安全を確保する上で支障がない管には、隔離弁を設けることを要しない。
(準用)
第64条 第16条から第18条まで、第20条から第23条まで、第28条から第30条まで、第32条から第35条まで、第37条(第1項ただし書きを除く。)、第38条、第49条及び第53条の規定は、ナトリウム冷却型高速炉に係る試験研究用等原子炉施設について準用する。この場合において、第21条中「燃料体又は」とあるのは「燃料体、試験用燃料体又は」と読み替えるものとする。
附則
この規則は、原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号)附則第1条第5号に掲げる規定の施行の日(平成25年12月18日)から施行する。
附則 (平成30年2月20日原子力規制委員会規則第3号)
(施行期日)
第1条 この規則は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第2条 この規則の施行の際現に設置され又は設置に着手されている試験研究用等原子炉施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)第23条第2項第5号に規定する試験研究用等原子炉施設をいう。以下同じ。)に対するこの規則による改正後の試験研究の用に供する原子炉等の位置、構造及び設備の基準に関する規則(以下「新試験炉設置許可基準規則」という。)第9条第2項、この規則による改正後の試験研究の用に供する原子炉等の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則(以下「新試験炉設工基準規則」という。)第13条の2第2項及びこの規則による改正後の試験研究の用に供する原子炉等の性能に係る技術基準に関する規則第17条第2項の規定の適用については、この規則の施行の日から起算して1年を経過する日(以下「経過日」という。)までの間は、なお従前の例による。ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。
一 経過日までの間に行われる次に掲げる許可、認可及び検査
イ 法第26条第1項の規定による変更の許可(新試験炉設置許可基準規則第9条第2項の規定に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ロ 法第27条第1項及び第2項の規定による認可(新試験炉設工基準規則第13条の2第2項の規定に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ハ 法第28条第1項の検査(ロの認可を受けた設計及び方法に従って行われる工事に係るものに限る。)
二 前号ハの検査に合格した試験研究用等原子炉施設
第3条 この規則の施行の際現に設置され又は設置に着手されている発電用原子炉施設(法第43条の3の5第2項第5号に規定する発電用原子炉施設をいう。以下同じ。)に対するこの規則による改正後の実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(以下「新実用炉設置許可基準規則」という。)第9条第2項、この規則による改正後の実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(以下「新実用炉技術基準規則」という。)第12条第2項、この規則による改正後の研究開発段階発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(以下「新研開炉設置許可基準規則」という。)第9条第2項及びこの規則による改正後の研究開発段階発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する規則(以下「新研開炉技術基準規則」という。)第12条第2項の規定の適用については、経過日までの間は、なお従前の例による。ただし、次に掲げるものについては、この限りでない。
一 経過日までの間に行われる次に掲げる許可、認可及び検査
イ 法第43条の3の8第1項の規定による変更の許可(新実用炉設置許可基準規則第9条第2項又は新研開炉設置許可基準規則第9条第2項の規定に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ロ 法第43条の3の9第1項及び第2項の規定による認可(新実用炉技術基準規則第12条第2項又は新研開炉技術基準規則第12条第2項の規定に適合するために必要な事項に係るものに限る。)
ハ 法第43条の3の11第1項の検査(ロの認可を受けた工事の計画に従って行われる工事に係るものに限る。)
二 前号ハの検査に合格した発電用原子炉施設
第4条 この規則の施行前に施設に着手した工事であって、この規則の施行により新たに法第27条第1項及び第43条の3の9第1項の規定に該当するものを行っている者は、この規則の施行後においても引き続きその工事を行うことができる。
附則 (平成30年6月8日原子力規制委員会規則第6号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則 (令和元年7月1日原子力規制委員会規則第3号)
この規則は、不正競争防止法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月1日)から施行する。ただし、第44条の規定は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則の一部を改正する規則(平成30年原子力規制委員会規則第11号)の施行の日(令和元年9月1日)から施行する。
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