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移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令

平成25年厚生労働省令第139号
移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(平成24年法律第90号)第32条の規定に基づき、移植に用いる臍帯血の品質の確保のための基準に関する省令を次のように定める。

第1章 総則

(定義)
第1条 この省令で「調製等」とは、臍帯血供給業務のうち、移植に用いる臍帯血の採取以外の業務をいう。
2 この省令で「バリデーション」とは、事業所の構造設備並びに手順、工程その他の調製・保存及び品質管理の方法(以下「調製・保存の手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいう。
3 この省令で「有害事象」とは、臍帯血供給事業者から提供された臍帯血を用いて造血幹細胞移植を受けた者に生じた全ての疾病又はその兆候をいう。

第2章 組織及び職員

(調製・保存部門及び品質管理部門)
第2条 臍帯血供給事業者は、事業所ごとに、管理監督技術者を置き、その監督の下に調製・保存部門及び品質管理部門を置かなければならない。
(管理監督技術者)
第3条 管理監督技術者は、医師、細菌学的知識を有する者その他の技術者でなければならない。
2 管理監督技術者は、次に掲げる業務を行わなければならない。
 調製・保存及び品質管理に係る業務を統括し、その適切かつ円滑な実施が図られるよう管理監督すること。
 移植に用いる臍帯血の品質に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、所要の措置が速やかに採られていること及びその進捗状況を確認し、必要に応じ、改善等所要の措置を採るよう指示すること。
(職員)
第4条 臍帯血供給事業者は、調製・保存及び品質管理に係る業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する責任者を、調製・保存及び品質管理に係る業務を行う事業所の組織、規模及び業務の種類等に応じ、適切に置かなければならない。
2 臍帯血供給事業者は、調製・保存及び品質管理に係る業務を適切に実施しうる能力を有する人員を確保しなければならない。

第3章 移植に用いる臍帯血の採取

(臍帯血の採取を行う場所)
第5条 移植に用いる臍帯血の採取は、清潔な場所で行われなければならない。
(臍帯血の提供者の保護)
第6条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血を提供しようとする妊婦の健康に影響を及ぼすおそれがある場合には、臍帯血の採取を行ってはならない。
(臍帯血の採取に関する標準作業手順書)
第7条 臍帯血供給事業者は、次に掲げる事項について記載した標準作業手順書を作成し、移植に用いる臍帯血の採取を行う場所ごとに備え付けなければならない。
 移植に用いる臍帯血を提供しようとする妊婦に対する説明及び同意の取得の手続に関すること。
 移植に用いる臍帯血を提供しようとする妊婦に対する説明及び同意の取得を行う者の教育訓練に関すること。
 移植に用いる臍帯血の採取の手順の詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の採取を行う者の教育訓練に関すること。
 その他必要な事項

第4章 移植に用いる臍帯血の調製等

(調製等を実施するための設備)
第8条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血から造血幹細胞の分離、保存等を行う装置その他の移植に用いる臍帯血の調製等を実施するために必要な設備を備えていなければならない。
(作業区域)
第9条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の調製等の実施に当たっては、適切な作業区域を定め、清浄の程度の管理を行わなければならない。
(臍帯血の凍結方法)
第10条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の凍結に当たっては、温度変化を記録できる方法を用いなければならない。
(調製した臍帯血の保存)
第11条 臍帯血供給事業者は、調製した移植に用いる臍帯血を適切に保存しなければならない。
(検体の採取等)
第12条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の安全性の確認に関する試験検査及び調査の実施体制を確保するため、移植に用いる臍帯血、移植に用いる臍帯血を提供した妊婦の末梢血及び臍帯血の移植を受けた者の末梢血(臍帯血の移植を実施した場合に限る。)の検体を採取しなければならない。
2 臍帯血供給事業者は、前項の検体を移植に用いる臍帯血を廃棄するまでの間(移植に用いられた臍帯血に係るものについては、移植の実施後10年間)保存しなければならない。
(安全性その他の品質の確保のための措置)
第13条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の安全性その他の品質を確保するため、移植に用いる臍帯血を提供しようとする妊婦への問診、提供された臍帯血の試験検査その他の必要な措置を講じなければならない。
2 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血について前項の規定による措置が講じられていないときは、当該移植に用いる臍帯血の引渡しを行ってはならない。
(臍帯血供給事業者の委託により行う業務)
第13条の2 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の採取、検査又は搬送( 造血幹細胞移植を行う医療機関への搬送を除く。)以外の業務を他人に委託してはならない。
(移植に用いる臍帯血の引渡しを行う場合の確認)
第13条の3 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血を造血幹細胞移植を行う医療機関に引き渡す場合には、当該医療機関が次に掲げる要件に適合していることを確認しなければならない。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、当該確認を行ういとまがないときは、この限りでない。
 造血幹細胞移植を適正に行うために必要な設備が設けられていること。
 造血幹細胞移植を適正に行うために必要な人員及び当該医療機関内の連携体制が確保されていること。
 造血幹細胞移植を適正に実施した実績が一定程度あること。
 その他造血幹細胞移植の適正な実施に関し必要な措置が講じられていること。
(調製・保存の手順等からの逸脱等の報告)
第14条 臍帯血供給事業者は、調製・保存の手順等からの逸脱が発生した場合には、原因の調査を行い、その結果を造血幹細胞提供支援機関に報告しなければならない。
2 臍帯血供給事業者は、有害事象が臍帯血によるものと判明した場合には、直ちに厚生労働大臣、造血幹細胞提供支援機関及び移植を実施した医療機関等に報告しなければならない。
(情報の添付)
第15条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血の引渡しに当たっては、適切な移植の実施のために必要な情報を添付しなければならない。
(臍帯血供給業務に関する記録)
第16条 臍帯血供給事業者は、臍帯血供給業務に関する記録を作成し、これを管理しなければならない。
2 前項の記録は、移植に用いられた臍帯血に関係するものについては移植の実施後30年間、それ以外のものについては、移植に用いる臍帯血の採取後10年間(ただし、調製等を実施するための設備の保守点検に関するものについては、保守点検の実施後30年間)保存しなければならない。
3 前項の規定による保存は、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体により行うことができる。
(情報管理体制の構築)
第17条 臍帯血供給事業者は、移植に用いる臍帯血を識別するための番号を用いて移植に用いる臍帯血に関する情報を採取から引渡しまで一貫して管理できる体制の構築に努めなければならない。
(記録の廃棄)
第18条 臍帯血供給事業者は、適切な方法により第16条第1項の記録の廃棄を行わなければならない。
(臍帯血の調製等に関する標準作業手順書)
第19条 臍帯血供給事業者は、次に掲げる事項について記載した標準作業手順書を作成し、臍帯血の調製等を行う事業所ごとに備え付けなければならない。
 移植に用いる臍帯血の採取を行う場所から調製等を行う事業所への搬送の詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の調製等の手順の詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の調製等を行う者の教育訓練に関すること。
 バリデーションの詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の調製等を実施する作業区域の詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の調製等を実施するための設備の保守点検に関すること。
 移植に用いる臍帯血の調製等に用いる資材及び試薬の管理に関すること。
 調製・保存の手順等からの逸脱が発生した場合の対応の詳細に関すること。
 有害事象が臍帯血によるものと判明した場合の対応の詳細に関すること。
 移植に用いる臍帯血の安全性に問題が生じ、その引渡しを中止する場合の対応の詳細に関すること。
十一 移植に用いる臍帯血の廃棄の手順の詳細に関すること。
十二 その他必要な事項

附則

この省令は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律(平成24年法律第90号)の施行の日(平成26年1月1日)から施行する。
附則 (平成31年2月14日厚生労働省令第12号)
この省令は、移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律(平成30年法律第98号)の施行の日から施行する。

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