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駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法

平成19年法律第67号

第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は、駐留軍等の再編を実現することが、我が国の平和及び安全の維持に資するとともに、我が国全体として防衛施設の近隣住民の負担を軽減する上で極めて重要であることに鑑み、駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められる防衛施設の周辺地域における住民の生活の利便性の向上及び産業の振興並びに当該周辺地域を含む地域の一体的な発展に寄与するための特別の措置等を講じ、もって駐留軍等の再編の円滑な実施に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 駐留軍 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づいて日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。
 駐留軍等の再編 平成18年5月1日にワシントンで開催された日米安全保障協議委員会において承認された駐留軍又は自衛隊の部隊又は機関の編成、配置又は運用の態様の変更(当該変更が航空機(回転翼航空機を除く。)を保有する部隊の編成又は配置の変更である場合にあっては、当該航空機を搭載し、当該部隊と一体として行動する艦船の部隊の編成又は配置の変更を含む。)をいう。
 防衛施設 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(第9条第1項第5号において「日米地位協定」という。)第2条第1項の施設及び区域並びに自衛隊の施設(これらの設置又は設定が予定されている地域又は水域を含む。)をいう。
(基本理念等)
第3条 駐留軍等の再編の実施に当たっては、これを迅速かつ一体的に実施するために必要となる措置が適切に講ぜられ、我が国を含む国際社会の安全保障環境の変化に的確に対応し得るよう配慮されなければならない。
2 駐留軍等の再編の実施に当たっては、これに関係する防衛施設の周辺地域の住民の福祉の向上に寄与するための措置が適切に講ぜられ、駐留軍等の再編に対する幅広い国民の理解が得られるよう配慮されなければならない。
3 関係行政機関の長は、駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実現のため、この法律に基づく措置その他の措置を実施するに当たっては、相互に密接な連携を図りながら協力しなければならない。

第2章 再編関連特定周辺市町村に係る措置

(再編関連特定防衛施設の指定)
第4条 防衛大臣は、駐留軍等の再編に当たり、次の各号に掲げる事由のいずれかに該当し、又は該当すると見込まれる防衛施設であって、当該事由によるその周辺地域における住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められるものを再編関連特定防衛施設として指定することができる。
 駐留軍等の再編として、駐留軍若しくは自衛隊の部隊若しくは機関の編成が変更され、又はそれらが新たに配置されること。
 駐留軍等の再編として、他の防衛施設に所在する駐留軍又は自衛隊の部隊又は機関が訓練のために新たに使用すること。
2 防衛大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。
3 防衛大臣は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を官報で公示するものとする。
(再編関連特定周辺市町村の指定)
第5条 防衛大臣は、再編関連特定防衛施設の周辺地域をその区域とする市町村(政令で定める範囲内のものに限る。)について、前条第1項各号に掲げる事由による当該再編関連特定防衛施設の周辺地域における住民の生活の安定に及ぼす影響の増加の程度及びその範囲を考慮し、当該市町村において再編関連特別事業(公共用の施設の整備その他の住民の生活の利便性の向上及び産業の振興に寄与する事業であって、政令で定めるものをいう。次条において同じ。)を行うことが当該再編関連特定防衛施設における駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するため必要であると認めるときは、当該市町村を再編関連特定周辺市町村として指定することができる。
2 前条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による指定について準用する。
(再編交付金)
第6条 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、再編関連特定周辺市町村に係る再編関連特定防衛施設における駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加の程度及びその範囲を考慮し、当該駐留軍等の再編の実施に向けた措置の進捗状況及びその実施から経過した期間に応じ、当該再編関連特定周辺市町村に対し、再編関連特別事業に係る経費に充てるため、再編交付金を交付することができる。

第3章 再編関連振興特別地域に係る措置

第1節 再編関連振興特別地域の指定

第7条 防衛大臣は、都道府県知事の申出により、駐留軍等再編関連振興会議の議に基づき、再編関連特定周辺市町村の区域及びこれに隣接する市町村の区域(自然的経済的社会的条件からみて当該再編関連特定周辺市町村の区域と一体としてその振興を図る必要があると認められるものに限る。)からなる地域であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものを再編関連振興特別地域として指定することができる。
 駐留軍等の再編による当該再編関連特定周辺市町村の区域に対する影響が著しいものとして政令で定める場合に該当し、又は該当すると見込まれること。
 当該地域の振興を図ることが、当該再編関連特定周辺市町村に係る再編関連特定防衛施設における駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するため特に必要であると認められること。
2 都道府県知事は、前項の申出をしようとするときは、あらかじめ、再編関連特定周辺市町村その他関係する市町村の長の意見を聴かなければならない。
3 防衛大臣は、第1項の規定による指定をしたときは、その旨を官報で公示するものとする。
4 前3項の規定は、再編関連振興特別地域の範囲を変更する場合について準用する。

第2節 再編関連振興特別地域整備計画

(再編関連振興特別地域整備計画の決定及び変更)
第8条 都道府県知事は、前条第1項の規定による指定があったときは、再編関連振興特別地域の整備に関する計画(以下「再編関連振興特別地域整備計画」という。)の案を作成し、防衛大臣に提出するものとする。
2 都道府県知事は、前項の再編関連振興特別地域整備計画の案を作成しようとするときは、再編関連振興特別地域に含まれる区域をその区域とする市町村の長の意見を聴かなければならない。
3 防衛大臣は、駐留軍等再編関連振興会議の議に基づき、再編関連振興特別地域整備計画を決定する。
4 防衛大臣は、再編関連振興特別地域整備計画を決定したときは、その案を提出した都道府県知事にその旨を通知するものとする。
5 前各項の規定は、再編関連振興特別地域整備計画を変更する場合について準用する。
(再編関連振興特別地域整備計画の内容等)
第9条 再編関連振興特別地域整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 再編関連振興特別地域の整備の基本的方針に関する事項
 基幹的な交通施設の整備に関する事項
 産業の振興に関する事項
 生活環境の整備に関する事項
 再編関連振興特別地域に含まれる区域に駐留軍用地跡地等(日米地位協定第2条第1項の施設及び区域に係る土地で駐留軍から返還されたもの並びに返還される予定のものをいう。)が所在する場合には、その利用の促進に関する事項
 前各号に掲げるもののほか、再編関連振興特別地域の整備に必要な事項
2 再編関連振興特別地域整備計画は、他の法令の規定による地域振興又は社会資本の整備に関する計画と調和が保たれたものでなければならない。

第3節 事業の実施等

(事業の実施)
第10条 再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法令の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。
(国の負担又は補助の割合の特例等)
第11条 再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業のうち、別表に掲げる事業で駐留軍等の再編による地域社会への影響の内容及び程度を考慮して速やかに実施することが必要なものとして政令で定めるものに要する経費に係る国の負担又は補助の割合は、当該事業に関する法令の規定にかかわらず、同表に掲げる割合とする。ただし、再編関連振興特別地域が沖縄県の区域に含まれる場合にあっては、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号。これに基づく命令を含む。)の例により、再編関連振興特別地域が沖縄県の区域以外の区域に含まれる場合で他の法令の規定により同表に掲げる割合を超える国の負担又は補助の割合が定められている場合にあっては、その定めるところによる。
2 国は、再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業のうち、別表に掲げる事業で駐留軍等の再編による地域社会への影響の内容及び程度を考慮して速やかに実施することが必要なものとして政令で定めるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。
3 国は、前2項に規定する事業のほか、再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業で政令で定めるものに要する経費については、地方公共団体その他の者に対して、予算の範囲内で、その全部又は一部を補助することができる。
(地方債についての配慮)
第12条 地方公共団体が再編関連振興特別地域整備計画に基づいて行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、国は、地方公共団体の財政状況が許す限り起債ができるよう、及び資金事情が許す限り財政融資資金をもって引き受けるよう特別の配慮をするものとする。
(財政上及び金融上の措置)
第13条 国は、前2条に定めるもののほか、再編関連振興特別地域整備計画を達成するために必要があると認めるときは、再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業を実施する者に対し、財政上及び金融上の措置を講ずるよう努めなければならない。

第4節 駐留軍等再編関連振興会議

(駐留軍等再編関連振興会議の設置及び所掌事務等)
第14条 防衛省本省に、駐留軍等再編関連振興会議(以下「会議」という。)を置く。
2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
 再編関連振興特別地域に関し、第7条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
 再編関連振興特別地域整備計画に関し、第8条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
 前2号に掲げるもののほか、再編関連振興特別地域の整備に関する重要事項を調査審議すること。
3 再編関連振興特別地域整備計画に定められた事項を所管する関係行政機関の長は、当該事項の達成状況について、毎年度、会議に報告しなければならない。
(会議の組織等)
第15条 会議は、議長及び第4項各号に掲げる議員をもって組織する。
2 議長は、防衛大臣をもって充てる。
3 議長は、会議の議事を整理する。
4 議員は、次に掲げる者をもって充てる。
 総務大臣
 外務大臣
 財務大臣
 文部科学大臣
 厚生労働大臣
 農林水産大臣
 経済産業大臣
 国土交通大臣
 環境大臣
 内閣官房長官
十一 内閣府設置法(平成11年法律第89号)第9条第1項に規定する特命担当大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者
5 会議は、前条第2項第2号に規定する事項については、再編関連振興特別地域整備計画に定めるべき事項を所管する大臣である議員の賛成がなければ、議決することができない。
6 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

第4章 駐留軍等労働者に係る措置

第16条 国は、駐留軍等の再編に当たっては、駐留軍等労働者(独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構法(平成11年法律第217号)第3条に規定する駐留軍等労働者をいう。)について、その雇用の継続に資するよう、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練その他の適切な措置を講ずるものとする。

第5章 雑則

(省令への委任)
第17条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、防衛省令で定める。

附則

(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(この法律の失効)
第2条 この法律は、平成39年3月31日限り、その効力を失う。
2 前項の規定にかかわらず、再編関連特定防衛施設に係る駐留軍等の再編の実施の年度の開始の日(以下この項において「再編実施基準日」という。)から前項に規定する日までの期間が5年に満たない場合又は再編実施基準日が同項に規定する日後となる場合における当該再編関連特定防衛施設に係る再編交付金の交付については、第6条の規定は、再編実施基準日から起算して5年を経過する日又は平成44年3月31日のいずれか早い日(次項において「交付終了日」という。)までの間、なおその効力を有する。
3 前2項の規定にかかわらず、再編交付金に基づく事業で、第1項に規定する日(前項に規定する場合にあっては、交付終了日。以下この項において同じ。)後に繰り越される再編交付金に係るものについては、第6条の規定は、第1項に規定する日後も、なおその効力を有する。
4 第1項の規定にかかわらず、再編関連振興特別地域整備計画に基づく事業で、同項に規定する日後に繰り越される国の負担金、補助金又は交付金に係るものについては、第11条の規定は、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
附則 (平成19年5月25日法律第58号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成20年10月1日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第8条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第9条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成23年3月31日法律第9号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成23年4月1日から施行する。
附則 (平成23年5月2日法律第39号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第5条第1項及び第47条並びに附則第22条から第51条までの規定は、平成24年4月1日から施行する。
(株式会社日本政策金融公庫法等の改正に伴う経過措置)
第50条 
2 前項に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則の適用に関する経過措置)
第51条 附則第1条ただし書に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成27年6月17日法律第39号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して10月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成27年6月24日法律第46号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
附則 (平成28年5月18日法律第41号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第4条に1項を加える改正規定、第13条の改正規定、同条の次に2条を加える改正規定、第26条の次に2条を加える改正規定、第27条第1項及び第31条の改正規定、第33条第6項の改正規定(「短期借入金」の下に「、外国通貨長期借入金」を加える部分を除く。)、同条第7項及び第8項の改正規定、同条に2項を加える改正規定並びに第46条の改正規定並びに附則第5条(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成19年法律第67号)第22条第1項の表第33条第1項の項の改正規定を除く。)及び第8条の規定は、平成29年3月31日までの間において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第6条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第7条 附則第2条及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(特別業務の在り方の検討)
第8条 政府は、附則第1条ただし書に規定する改正規定の施行後適当な時期において、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資の状況、会社による特別業務の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、会社による特別業務の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則 (平成29年3月31日法律第6号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
別表(第11条関係)
事業の区分 国の負担又は補助の割合
1 土地改良 土地改良法(昭和24年法律第195号)第2条第2項に規定する土地改良事業 10分の5・5
2 漁港 漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第3条第1号に掲げる基本施設又は同条第2号に掲げる機能施設のうち輸送施設若しくは漁港施設用地(公共施設用地に限る。)の修築 10分の5・5
3 港湾 港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第2項に規定する国際戦略港湾、国際拠点港湾又は重要港湾における同条第5項に規定する港湾施設のうち水域施設、外郭施設、係留施設又は臨港交通施設(以下「水域施設等」という。)の建設及び改良 10分の5・5(港湾法第42条第1項に規定する国土交通省令で定める小規模な水域施設、外郭施設又は係留施設の建設及び改良にあっては、10分の4・5)
港湾法第2条第2項に規定する地方港湾における水域施設等の建設及び改良 10分の4・5
4 道路 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路の新設及び改築 10分の5・5
5 水道 水道法(昭和32年法律第177号)第3条第2項に規定する水道事業又は同条第4項に規定する水道用水供給事業の用に供する同条第8項に規定する水道施設の新設及び増設 10分の3
6 下水道 下水道法(昭和33年法律第79号)第2条第3号に掲げる公共下水道又は同条第4号に掲げる流域下水道の設置及び改築 10分の5・5
7 義務教育施設 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(昭和33年法律第81号)第2条第1項に規定する義務教育諸学校のうち公立の小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の同条第2項に規定する建物の新築、増築及び改築並びに学校給食法(昭和29年法律第160号)第3条第2項に規定する義務教育諸学校のうち公立の小学校、中学校、義務教育学校又は中等教育学校の前期課程の同条第1項に規定する学校給食の開設に必要な施設の整備 10分の5・5

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