ちほうこうきょうだんたいきんゆうきこうほう
地方公共団体金融機構法
平成19年法律第64号
第1章 総則
(目的)
第1条 地方公共団体金融機構は、地方公共団体による資本市場からの資金調達を効率的かつ効果的に補完するため、地方公共団体に対しその地方債につき長期かつ低利の資金を融通するとともに、地方公共団体の資本市場からの資金調達に関して支援を行い、もって地方公共団体の財政の健全な運営及び住民の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(法人格及び住所)
第2条 地方公共団体金融機構(以下「機構」という。)は、法人とする。
2 機構の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(数)
第3条 機構は、一を限り、設立されるものとする。
(資本金)
第4条 機構の資本金は、その設立に際し、地方公共団体が出資する額の合計額とする。
2 機構は、必要があるときは、その資本金を増加することができる。
3 地方公共団体以外の者は、機構に出資することができない。
(定款)
第5条 機構は、定款をもって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 代表者会議の委員の定数及び任期、議決の方法その他の代表者会議に関する事項
六 役員の定数、任期、職務の分担その他の役員に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 経営審議委員会の委員の定数その他の経営審議委員会に関する事項
九 財務及び会計に関する事項
十 定款の変更に関する事項
十一 公告及び公表の方法
十二 第52条第1項に規定する費用の負担に関する事項
2 機構の定款の変更は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第6条 機構は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(名称)
第7条 機構は、その名称中に地方公共団体金融機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に地方公共団体金融機構という文字を用いてはならない。
第2章 設立
(発起人)
第8条 機構を設立するには、都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長及び町村議会の議長の全国的連合組織(地方自治法(昭和22年法律第67号)第263条の3第1項に規定する全国的連合組織で同項の規定による届出をしたものをいう。以下同じ。)がそれぞれ推薦する都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長及び町村議会の議長6人以上が発起人となることを必要とする。
2 発起人は、定款及び事業計画書を作成し、地方公共団体に対して、機構に対する出資を募集しなければならない。
3 前項の事業計画書に記載すべき事項は、総務省令で定める。
(設立の認可等)
第9条 発起人は、前条第2項の規定による募集が終わったときは、定款及び事業計画書を総務大臣に提出し、設立の認可を申請しなければならない。
第10条 総務大臣は、前条の規定による認可の申請があった場合において、その申請が次に掲げる要件を満たしていると認めるときは、設立の認可をするものとする。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
二 第28条第1項各号に掲げる業務が確実に遂行されるものと見込まれること。
2 前項の規定は、第5条第2項の定款の変更の認可について準用する。
(理事長となるべき者の指名等)
第11条 発起人は、機構の理事長となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された機構の理事長となるべき者は、機構の設立の時において機構の理事長となるものとし、その任期は、機構の設立後最初に開催される代表者会議において理事長が任命されるまでの間とする。
(事務の引継ぎ)
第12条 発起人は、第10条第1項の認可があったときは、遅滞なく、その事務を機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、出資の募集に応じた地方公共団体に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記)
第13条 機構の理事長となるべき者は、前条第2項の出資金の払込みがあったときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 機構は、設立の登記をすることによって成立する。
第3章 代表者会議
(代表者会議の設置及び組織)
第14条 機構に、代表者会議を置く。
2 代表者会議は、第1号に掲げる委員及び第2号に掲げる委員各同数をもって組織する。
一 都道府県知事、市長又は町村長のうちから、都道府県知事、市長又は町村長の全国的連合組織がそれぞれ選任する者
二 都道府県知事、市長及び町村長以外の者で地方行財政、経済、金融、法律又は会計に関して高い識見を有するもののうちから、都道府県知事、市長又は町村長の全国的連合組織がそれぞれ又は共同して選任する者
3 委員の定数は、6人以上12人以内において定款で定める。
4 委員の任期は、3年以内において定款で定める期間とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 第2項第1号に掲げる委員は、都道府県知事、市長又は町村長でなくなったときは、その職を失うものとする。
(代表者会議の権限)
第15条 次に掲げる事項は、代表者会議の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 業務方法書の作成又は変更
三 予算、事業計画、資金計画及び収支に関する中期的な計画の作成又は変更
四 決算
五 役員の報酬及び退職金
六 その他代表者会議が特に必要と認めた事項
2 代表者会議は、機構の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、理事長に対し、機構の業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせることができる。
3 代表者会議は、役員又は職員の行為がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又は定款に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、理事長に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを命ずることができる。
(代表者会議の議長)
第16条 代表者会議に議長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 議長は、会務を総理し、代表者会議を代表する。
3 議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、議長のあらかじめ指定する委員がその職務を行う。
第4章 役員及び職員
(役員)
第17条 機構に、役員として、理事長、副理事長、理事及び監事を置く。
(役員の職務及び権限)
第18条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、定款で定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行う。
3 理事は、定款で定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠けたときはその職務を行う。
4 監事は、機構の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、代表者会議、理事長又は総務大臣に意見を提出することができる。
6 理事長は、代表者会議に出席し、意見を述べることができる。
(役員の任命)
第19条 理事長及び監事は、代表者会議が任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長が代表者会議の同意を得て任命する。
3 代表者会議又は理事長が役員を任命したときは、遅滞なく、その氏名及び住所を総務大臣に届け出なければならない。
(役員の任期)
第20条 役員の任期は、3年以内において定款で定める期間とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第21条 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
二 代表者会議の委員
(役員の解任)
第22条 代表者会議又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号に掲げる者となったときは、その役員を解任しなければならない。
2 代表者会議又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するときは、その役員を解任することができる。
一 この法律若しくはこの法律に基づく命令又は定款に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の言渡しを受けたとき。
三 破産手続開始の決定を受けたとき。
四 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
3 理事長は、前項の規定により副理事長又は理事を解任しようとするときは、代表者会議の同意を得なければならない。
4 代表者会議又は理事長が役員を解任したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
(役員の兼職禁止)
第23条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、代表者会議の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表者の行為についての損害賠償責任)
第24条 機構は、理事長又は副理事長がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
(代表権の制限)
第25条 機構と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、理事長及び副理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が機構を代表する。
(職員の任命)
第26条 機構の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第27条 機構の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第5章 業務
(業務の範囲)
第28条 機構は、第1条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 地方債(地方財政法(昭和23年法律第109号)第5条の3第1項の規定による協議において同意を得、又は同法第5条の4第1項若しくは第3項から第5項まで若しくは地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号)第13条第1項に規定する許可を得た地方債に限る。以下この章において同じ。)のうち公営企業(主として事業の経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てる事業をいう。以下同じ。)に係る地方債以外のものの資金の貸付け又は証券発行の方法による当該地方債の応募
二 公営企業に係る地方債のうちイからヘまでに掲げる事業に係るものの資金の貸付け又は証券発行の方法による当該地方債の応募
イ 水道事業
ロ 交通事業
ハ 病院事業
ニ 下水道事業
ホ 公営住宅事業(地方公共団体が自ら居住するため住宅を必要とする者に対し賃貸し、又は譲渡するための住宅を建設する事業及びこれに附帯する事業をいう。)
ヘ イからホまでに掲げるもののほか、政令で定める事業
三 地方公共団体の一時借入金のうち公営企業に係る一時借入金以外のものの資金の貸付け
四 公営企業に係る一時借入金のうち第2号イからヘまでに掲げる事業に係るものの資金の貸付け
五 地方公共団体の資金調達に関する調査研究
六 地方公共団体の資金調達に係る事務の受託
七 地方公共団体に対する資金調達に関する情報の提供、助言その他の支援
八 前各号に掲げる業務に附帯する業務
2 機構は、前項第1号及び第2号に掲げる業務を行う場合において、当該地方債について地方財政法第5条の3第1項の規定による協議において同意を得、又は同法第5条の4第1項若しくは第3項から第5項まで若しくは地方公共団体の財政の健全化に関する法律第13条第1項に規定する許可を得るまでの間において特別の必要があり、かつ、当該同意又は許可を得ることの見込みが確実であるときに限り、当該同意又は許可に係る地方債の額を限度として、資金の貸付けをすることができる。
(業務の遂行に関する基本的事項)
第29条 機構は、前条第1項第1号から第4号まで及び第2項の規定により行う資金の貸付けの利率並びに同条第1項第1号及び第2号の規定により応募する地方債の利回りについて、地方公共団体の機構以外の者からの資金調達の条件を勘案し、かつ、機構の収入が支出を償うに足るように定めなければならない。
2 機構は、各地方公共団体における財政状況及び資金調達の能力並びに各地方公共団体の資金調達がその財政に与える影響を適切に勘案した資金の融通を行うことにより、第1条に規定する目的を十分に達成するよう努めなければならない。
(業務の重点化等)
第30条 公営企業に係る機構の業務のうち第28条第1項第2号ヘの政令で定める事業に係るものについては、機構の業務が地方公共団体による資本市場からの資金調達を効率的かつ効果的に補完するものであることにかんがみ、地方公共団体による資本市場からの長期かつ低利の資金の調達状況等を勘案し、機構の業務の重点化を図る観点から、段階的な縮減を図るものとする。
2 機構は、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)第38条第2項の規定による財政融資資金の地方公共団体に対する貸付けの縮減に併せて、その地方債の資金の貸付け及び地方債の応募について段階的に適切な縮減を図るものとする。
3 前項の規定は、内外の金融秩序の混乱、経済事情の変動等により地方公共団体の財源が不足する場合において地方公共団体が当該不足額をうめるために起こす地方債については、適用しない。
(業務方法書)
第31条 機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。
3 機構は、第1項の届出をしたときは、遅滞なく、その業務方法書を公表しなければならない。
(経営審議委員会)
第32条 機構に、経営審議委員会を置く。
2 経営審議委員会は、定款で定める数の委員をもって組織する。
3 委員は、地方行財政、経済、金融、法律又は会計に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、代表者会議が任命する。
4 委員は、代表者会議の委員又は機構の役員と兼ねることができない。
5 理事長は、次に掲げる事項について、経営審議委員会の意見を聴かなければならない。
一 業務方法書の作成又は変更
二 予算及び事業計画の作成又は変更
三 決算
四 地方債の資金の貸付け又は証券発行の方法による地方債の応募の条件その他当該貸付け又は応募の実施に係る基本的な事項
五 一時借入金の資金の貸付けの条件その他当該貸付けの実施に係る基本的な事項
六 その他定款で定める事項
6 理事長は、第15条第1項第2号から第4号までに掲げる事項について、代表者会議の議決を求めるときは、経営審議委員会が前項第1号から第3号までに掲げる事項について同項の規定により述べた意見を報告しなければならない。
7 経営審議委員会は、第5項に定めるもののほか、機構の業務について、理事長の諮問に応じ、又は自ら必要と認める事項について、理事長に対し建議を行うことができる。この場合において、経営審議委員会が当該建議のため必要と認めるときは、理事長に対し報告を求めることができる。
8 理事長は、第5項及び前項の規定により経営審議委員会が述べた意見を尊重しなければならない。
第6章 財務及び会計
(事業年度)
第33条 機構の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。
(予算等)
第34条 機構は、毎事業年度、予算、事業計画、資金計画及び収支に関する中期的な計画(以下この条において「予算等」という。)を作成しなければならない。
2 機構は、予算等を作成し、又は変更したときは、遅滞なく、これを総務大臣に届け出なければならない。
3 機構は、前項の届出をしたときは、遅滞なく、その予算等を公表しなければならない。
(企業会計原則)
第35条 機構の会計は、総務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。
(財務諸表等)
第36条 機構は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後3月以内に総務大臣に提出しなければならない。
2 機構は、前項の規定により財務諸表を提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事及び会計監査人の意見を付さなければならない。
3 機構は、第1項の規定による提出後、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表、前項の事業報告書、決算報告書並びに監事及び会計監査人の意見を記載した書面並びに業務並びに資産及び債務の状況に関する事項として総務省令で定めるものを記載した説明書類を、各事務所に備え置き、総務省令で定める期間、公衆の縦覧に供しなければならない。
4 前項に規定する説明書類は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)をもって作成することができる。
5 第3項に規定する説明書類が電磁的記録をもって作成されているときは、機構の事務所において、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものをいう。)により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置として総務省令で定めるものをとることができる。この場合においては、同項に規定する説明書類を、同項の規定により備え置き、公衆の縦覧に供したものとみなす。
6 機構は、前3項に規定するもののほか、機構の業務並びに資産及び債務の状況に関し参考となるべき事項の開示に努めなければならない。
(会計監査人)
第37条 機構は、財務諸表及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
2 会計監査人は、代表者会議が選任する。
3 会計監査人の任期は、その選任の日以後最初に終了する事業年度の財務諸表についての前条第1項の提出の時までとする。
4 代表者会議は、会計監査人が次の各号のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二 会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。
三 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
5 会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和23年法律第103号)第16条の2第5項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。
6 公認会計士法の規定により、財務諸表について監査をすることができない者は、会計監査人となることができない。
(金利変動準備金)
第38条 機構は、各事業年度において、地方公共団体金融機構債券及び長期借入金の借換え(次項において「債券等の借換え」という。)によって収益が生じたときは、その収益の額のうち、総務省令で定めるところにより計算した金額を金利変動準備金として積み立てなければならない。
2 前項の規定により積み立てた金利変動準備金は、債券等の借換えにより生じた損失の補てんに充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。
3 前2項に規定する収益又は損失の額の算出の方法は、総務省令で定める。
(利益及び損失の処理)
第39条 機構は、毎事業年度の損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 機構は、毎事業年度の損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(地方公共団体金融機構債券の発行)
第40条 機構は、地方公共団体金融機構債券(以下「機構債券」という。)を発行することができる。
2 機構債券(当該機構債券に係る債権が第42条の規定に基づき信託された貸付債権により担保されているものを除く。)の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
3 前項の先取特権の順位は、民法(明治29年法律第89号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
4 機構は、機構債券の発行に関する事務の全部又は一部を本邦又は外国の銀行、信託会社又は金融商品取引業(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第8項に規定する金融商品取引業をいう。次項において同じ。)を行う者に委託することができる。
5 会社法(平成17年法律第86号)第705条第1項及び第2項並びに第709条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行、信託会社又は金融商品取引業を行う者について準用する。
6 前各項に規定するもののほか、機構債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(地方公共団体による保証)
第41条 地方公共団体は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和21年法律第24号)第3条の規定にかかわらず、機構の機構債券に係る債務について保証することができる。
(機構債券の担保のための貸付債権の信託)
第42条 機構は、機構債券に係る債務(前条の規定により地方公共団体が保証するものを除く。)の担保に供するため、その貸付債権の一部を信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関(次条第1号において「信託会社等」という。)に信託することができる。
(資金の調達のための貸付債権の信託等)
第43条 機構は、その業務に必要な資金の財源に充てるため、次に掲げる行為をすることができる。
一 貸付債権の一部を信託会社等に信託し、当該信託の受益権の全部又は一部を譲渡すること。
二 貸付債権の一部を資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第3項に規定する特定目的会社に譲渡すること。
三 前2号に掲げる行為に附帯する行為をすること。
(信託の受託者からの業務の受託)
第44条 機構は、前2条の規定によりその貸付債権を信託し、又は譲渡するときは、当該信託の受託者又は当該貸付債権の譲受人から当該貸付債権に係る元利金の回収その他回収に関する業務の全部を受託しなければならない。
(余裕金の運用)
第45条 機構は、次に掲げる方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他総務省令で定める有価証券の取得
二 銀行その他総務省令で定める金融機関への預金
三 信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託
(地方公共団体健全化基金)
第46条 機構は、地方債の利子(住民生活の基盤の整備のために特に必要な事業として総務省令で定めるもの及び地方財政法第5条ただし書の規定により起こす地方債以外の地方債のうち総務省令で定めるものに係る第28条第1項第1号若しくは第2号又は第2項の規定による資金の貸付けに係る利子をいう。以下この条及び次条において同じ。)の軽減に資するために、同法第32条の2の規定による納付金(以下この条において「納付金」という。)を積み立てるための基金(以下「地方公共団体健全化基金」という。)を設けなければならない。
2 機構は、納付金の納付を受けたときは、これを地方公共団体健全化基金に充てなければならない。
3 地方公共団体健全化基金に係る経理については、総務省令で定めるところにより、一般の経理と区分して整理しなければならない。
4 地方公共団体健全化基金に属する現金は、地方公共団体に対する資金の貸付けに充てるものとする。
5 地方公共団体健全化基金の運用により生ずる収益(以下この条及び次条において「基金運用益」という。)は、総務省令で定めるところにより、地方債の利子の軽減に要する費用に充てなければならない。この場合において、当該基金運用益の額から地方債の利子の軽減に充てた金額を差し引いてなお剰余があるときは、これを地方公共団体健全化基金に組み入れなければならない。
6 地方公共団体健全化基金は、取り崩してはならない。ただし、基金運用益の額が地方債の利子の軽減に充てる金額に不足する場合において、前項の規定により組み入れられた額及びその不足する事業年度に納付された納付金の額の合計額を限度として当該不足額をうめるときは、この限りでない。
(地方公共団体健全化基金の管理に関する事項)
第47条 機構は、毎事業年度、総務省令で定めるところにより、地方公共団体健全化基金に係る収入及び支出の見込み並びに基金運用益による地方債の利子の軽減の方針を記載した書類を作成し、第34条第2項の規定による予算等の届出に併せて総務大臣に提出しなければならない。
2 機構は、毎事業年度、総務省令で定めるところにより、地方公共団体健全化基金に係る収入及び支出の実績並びに基金運用益による地方債の利子の軽減の状況を記載した書類を作成し、第36条第1項の規定による財務諸表の提出に併せて総務大臣に提出しなければならない。
(会計規程)
第48条 機構は、業務の開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを総務大臣に届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。
(総務省令への委任)
第49条 この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。
第7章 雑則
(報告及び検査)
第50条 総務大臣は、機構がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又は定款に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、機構に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の事務所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(違法行為等の是正)
第51条 総務大臣は、機構又はその役員若しくは職員若しくは代表者会議の委員の行為がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又は定款に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、機構に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができる。
2 機構は、前項の規定による総務大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を総務大臣に報告しなければならない。
(解散)
第52条 機構が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、定款で定めるところにより、当該債務を完済するために要する費用の全額を地方公共団体(機構から第28条第1項第1号又は第2号に掲げる業務による資金の融通のいずれをも受けたことがない地方公共団体を除く。)が負担するものとする。
2 この法律に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。
第8章 罰則
第53条 第50条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、30万円以下の罰金に処する。
第54条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、20万円以下の過料に処する。
一 第5条第2項の規定に違反して定款の変更の認可を受けなかったとき。
二 第6条第1項の規定に違反して登記をすることを怠ったとき。
三 第19条第3項、第22条第4項、第31条第1項、第34条第2項又は第48条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
四 第28条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
五 第31条第3項又は第34条第3項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
六 第36条第1項若しくは第2項又は第47条第1項若しくは第2項の規定に違反して、これらの規定に規定する書類の提出をせず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてこれらの書類を提出したとき。
七 第36条第3項の規定に違反して、財務諸表の公告をせず、又は同項に規定する書類を備え置かず、若しくは縦覧に供しなかったとき。
八 第45条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
九 第51条第2項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第55条 第7条第2項の規定に違反した者は、10万円以下の過料に処する。
附則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第46条及び第47条並びに附則第6条、第7条第4項、第5項及び第7項、同条第8項(同条第7項に関する部分に限る。)、第8条、第9条第6項、第7項、第11項及び第12項、第11条、第13条第5項、第16条、第26条から第29条まで、第31条から第34条まで、第36条から第41条まで並びに第47条の規定は、平成20年10月1日から施行する。
(調整規定)
第2条 証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、証券取引法等の一部を改正する法律の施行の日の前日までにおける第40条第4項及び第5項の規定の適用については、同条第4項中「金融商品取引業(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第8項に規定する金融商品取引業をいう。次項において同じ。)を行う者」とあり、及び同条第5項中「金融商品取引業を行う者」とあるのは、「証券業者」とする。
(設立の期限)
第3条 第13条第1項の規定による設立の登記は、平成20年10月1日までにしなければならない。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第4条 この法律の施行の際現に地方公営企業等金融機構という名称を使用している者については、第7条第2項の規定は、この法律の施行後6月間は、適用しない。
(事業年度に関する経過措置)
第5条 機構の最初の事業年度は、第33条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その成立の日の属する年度の末日に終わるものとする。
(公営企業健全化基金の取崩しの特例)
第6条 機構は、平成20年10月1日を含む事業年度に限り、第46条第6項ただし書の規定により公営企業健全化基金を取り崩してもなお同項ただし書の不足額をうめることができないときは、同項の規定にかかわらず、当該うめることができない額を限度として公営企業健全化基金を取り崩すことができる。
(業務の特例)
第7条 機構は、第28条に規定する業務のほか、当分の間、株式会社日本政策金融公庫からの委託を受けて、地方公共団体の行う造林及び牧野の改良、造成又は復旧に必要な資金の貸付けに係る業務を行うことができる。
2 機構が前項に規定する業務を行う場合には、当該業務を第28条に規定する業務とみなして、第54条第4号の規定を適用する。
3 平成28年度における第5章の規定の適用については、第28条第1項第1号及び第2項中「第5項まで」とあるのは、「第5項まで、第33条の5の7第2項若しくは第33条の8第1項」とする。
4 平成29年度から平成37年度までにおける第5章の規定の適用については、第28条第1項第1号及び第2項中「第5項まで」とあるのは、「第5項まで若しくは第33条の8第1項」とする。
(地方公共団体健全化基金を廃止する場合の取扱い)
第8条 機構の地方公共団体健全化基金を廃止する場合の取扱いについては、附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法(昭和32年法律第83号)第28条の2第2項に規定する納付金又は第46条第1項に規定する納付金を納付した地方公共団体の意見を尊重して、別に法律をもって処理されるべきものとする。
(公営企業金融公庫の解散等)
第9条 公営企業金融公庫(以下「公庫」という。)は、平成20年10月1日に解散するものとし、その一切の権利及び義務は、次項の規定により国が承継する資産を除き、解散時において機構が承継する。
2 公庫の解散の際現に公庫が有する権利のうち、機構が将来にわたり業務を円滑に遂行する上で必要がないと認められる資産は、解散時において国が承継する。
3 前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4 公庫は、機構が将来にわたり業務を円滑に遂行するために必要な財政基盤を確保するため、この法律の施行の日を含む事業年度以後の事業年度については、損益計算上利益金を生じたときは、公営企業金融公庫法第29条第1項の規定にかかわらず、これを積立金として整理しなければならない。
5 公庫の平成20年4月1日に始まる事業年度は、同年9月30日に終わるものとする。
6 公庫の平成20年4月1日に始まる事業年度に係る決算並びに損益計算書、貸借対照表及び財産目録の作成等については、附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第28条の規定による公庫の予算及び決算に関する法律(昭和26年法律第99号)第18条第1項(監事の意見に係る部分に限る。)及び第19条第1項(監事の意見に係る部分に限る。)に係る部分を除き、機構が従前の例により行うものとする。この場合において、附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第28条の規定による公庫の予算及び決算に関する法律の規定の適用については、同法第17条中「毎事業年度の決算を翌年度の5月31日」とあるのは「平成20年4月1日に始まる事業年度の決算を平成20年11月30日」と、同法第20条中「翌年度の11月30日」とあるのは「平成21年11月30日」とする。
7 前項の場合において、公庫の平成20年4月1日に始まる事業年度における損益計算上の利益金の処分については、第4項の規定に基づいて行うものとする。
8 第1項の規定により機構が公庫の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、公庫が積み立てた債券借換損失引当金の金額及び第4項の積立金の金額を合計した金額(次項において「債券借換損失引当金等の金額」という。)に相当する金額のうち政令で定める金額は、第38条第1項の金利変動準備金として整理するものとする。
9 第1項の規定により機構が公庫の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、公庫が積み立てた債券借換損失引当金等の金額に相当する金額から前項の政令で定める金額を控除した金額は、附則第13条第5項の公庫債権金利変動準備金として整理するものとする。
10 機構は、平成21年度から平成29年度までの間、第38条第1項の金利変動準備金に積み立てるため、政令で定めるところにより、前項の規定により公庫債権金利変動準備金として整理された金額に相当する金額を限度として公庫債権金利変動準備金を取り崩し、その取り崩した額に相当する金額を附則第13条第3項に規定する管理勘定から同条第4項に規定する一般勘定に繰り入れるものとする。
11 第1項の規定により機構が公庫の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第28条の2第1項の公営企業健全化基金の金額に相当する金額(次項において「承継時基金額」という。)は、機構の公営企業健全化基金に充てるべきものとして地方財政法第32条の2の規定により地方公共団体から機構に対し納付されたものとする。
12 機構は、地方公共団体健全化基金に属する現金については、附則第13条第4項の規定にかかわらず、総務省令で定める条件により、承継時基金額の範囲内で、同項に規定する一般勘定から同条第3項に規定する管理勘定へ融通することができる。
13 第1項の規定により機構が公庫の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、公庫が積み立てた利差補てん引当金の金額に相当する金額は、附則第13条第8項の積立金として整理するものとする。
14 第1項の規定により公庫が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(承継される財産の価額)
第10条 機構が公庫から承継する資産及び負債(次項において「承継財産」という。)の価額は、評価委員が評価した価額とする。
2 評価委員は、前項の規定による評価をしようとするときは、平成20年10月1日現在における承継財産の時価を基準とするものとする。ただし、承継財産の種類、用途その他の事項を勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができる。
3 前2項に規定するもののほか、評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第11条 附則第9条第1項の規定により機構が承継する公営企業債券に係る債務について附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第26条第1項又は第3項の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該公営企業債券に係る債務について従前の条件により存続するものとする。
2 附則第9条第1項の規定により機構が承継する公営企業債券に係る債務について国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和28年法律第51号。附則第16条第1項及び第2項において「外資受入法」という。)第2条第2項又は第3項の規定により政府がした保証契約は、その承継後においても、当該公営企業債券に係る債務について従前の条件により存続するものとし、当該保証契約に係る公営企業債券の利子及び償還差益に係る租税その他の公課については、なお従前の例による。
(非課税)
第12条 附則第9条第1項の規定により機構が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税又は自動車取得税を課することができない。
(権利及び義務の承継に伴う業務の特例等)
第13条 機構は、第28条及び附則第7条に規定する業務のほか、附則第9条第1項の規定により機構が承継する公庫が貸し付けた資金に係る債権の回収が終了するまでの間、当該債権の管理及び回収の業務並びにこれに附帯する業務(以下「公庫債権管理業務」という。)を行うものとする。
2 機構が公庫債権管理業務を行う場合には、公庫債権管理業務を第28条に規定する業務とみなして、第54条第4号の規定を適用する。
3 機構は、公庫債権管理業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「管理勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
4 機構は、第28条及び附則第7条に規定する業務並びに公庫債権管理業務を円滑に行うため特に必要があると認めるときは、総務大臣及び財務大臣の認可を受けて、公庫債権管理業務以外の業務に係る勘定(以下「一般勘定」という。)と管理勘定との間において資金を融通することができる。
5 機構は、各事業年度において、附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第23条第1項及び第2項の規定により公庫が発行した公営企業債券(当該公営企業債券の借換えのために発行した機構債券及び借換えのためにした長期借入金を含む。)の借換え(次項において「公営企業債券の借換え」という。)によって収益が生じたときは、その収益の額を総務省令・財務省令で定める額に達するまで公庫債権金利変動準備金として積み立てなければならない。
6 公庫債権金利変動準備金は、附則第9条第10項の規定により管理勘定から一般勘定に繰り入れる場合又は公営企業債券の借換えにより生じた損失の補てんに充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。
7 前2項に規定する収益又は損失の額の算出の方法は、総務省令・財務省令で定める。
8 機構は、管理勘定において、毎事業年度の損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
9 機構は、管理勘定において、毎事業年度の損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は繰越欠損金として整理しなければならない。
10 機構は、公庫債権管理業務を終えたときは、遅滞なく、管理勘定を廃止するものとし、その廃止の際管理勘定についてその債務を弁済してなお残余財産があるときは、その財産は、国に帰属するものとする。
(公庫債権金利変動準備金等の帰属)
第14条 総務大臣及び財務大臣は、前条第6項の規定にかかわらず、機構の経営状況を踏まえ、機構の業務が円滑に遂行されていると認められる場合において、公庫債権金利変動準備金及び同条第8項の積立金の合計額が公庫債権管理業務を将来にわたり円滑に運営するために必要な額を上回ると認められるときは、当該上回ると認められる金額として総務省令・財務省令で定める金額を、政令で定めるところにより、国に帰属させるものとする。
(公庫債権管理計画)
第15条 機構は、毎事業年度、公庫債権管理業務を実施するための計画(以下この条において「公庫債権管理計画」という。)を作成し、総務大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 公庫債権管理計画には、公庫債権管理業務に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 長期借入金及び機構債券の発行に係る基本方針
二 長期借入金及び機構債券の償還計画
三 収支計画
四 短期借入金の限度額
五 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
六 その他総務省令・財務省令で定める事項
3 総務大臣及び財務大臣は、第1項の認可をした公庫債権管理計画が前項第1号から第5号までに掲げる事項の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その公庫債権管理計画の変更を命ずることができる。
4 機構は、第2項第1号の基本方針に従って長期借入金をし、又は機構債券を発行したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を総務大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
(政府保証)
第16条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第3条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、前条第2項第1号の基本方針に従って機構が発行する機構債券(附則第26条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法第23条第1項若しくは第2項の規定により公庫が発行した公営企業債券又は機構が発行した機構債券で、その債務につき政府が保証したものの借換えのために発行する機構債券に限る。)に係る債務(外資受入法第2条第2項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。
2 前項の予算をもって定める金額のうち、外国を発行地とする本邦通貨をもって表示する機構債券に係る債務についての金額は、外資受入法第2条第2項に規定する予算をもって定める金額と区別して定めることが困難であるときは、当該金額と合算して定めることができる。
3 政府は、第1項の規定によるほか、機構が機構債券を失った者に対し交付するために政令で定めるところにより発行する機構債券に係る債務について、保証契約をすることができる。
(短期借入金)
第17条 機構は、附則第15条第2項第4号の短期借入金の限度額の範囲内で、公庫債権管理業務に必要な短期借入金をすることができる。ただし、やむを得ない事由があるものとして総務大臣及び財務大臣の認可を受けた場合は、当該限度額を超えて公庫債権管理業務に必要な短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、総務大臣及び財務大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、1年以内に償還しなければならない。
(重要な財産の処分等の制限)
第18条 機構は、管理勘定に属する重要な財産で総務省令・財務省令に定めるものを譲渡し、又は担保に供しようとするときは、総務大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。ただし、附則第15条第2項第5号の計画に従って当該重要な財産を譲渡し、又は担保に供するときは、この限りでない。
(財務大臣への届出等)
第19条 機構が公庫債権管理業務を行う場合については、第31条第1項、第34条第2項、第36条第1項及び第48条中「総務大臣」とあるのは、「総務大臣及び財務大臣」と読み替えてこれらの規定を適用する。
(公庫債権管理業務に係る報告及び検査等)
第20条 総務大臣及び財務大臣は、管理勘定の財務の健全性及び公庫債権管理業務の適正な運営を確保するため必要な限度において、機構に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の事務所に立ち入り、その業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 第50条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
3 総務大臣及び財務大臣は、管理勘定の財務の健全性及び公庫債権管理業務の適正な運営を確保するため必要な限度において、機構に対し、公庫債権管理業務の運営の改善に必要な措置を講ずることを求めることができる。
4 機構は、前項の規定による総務大臣及び財務大臣の求めがあったときは、速やかに公庫債権管理業務の運営の改善その他の必要と認める措置を講ずるとともに、当該措置の内容を総務大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
(公庫債権管理業務に係る財務大臣との協議)
第21条 総務大臣は、次の各号に掲げる場合において、当該各号に定めるものについては、財務大臣に協議しなければならない。
一 第5条第2項の認可をしようとするとき 当該認可に係る定款のうち同条第1項第7号及び第9号に掲げる事項で公庫債権管理業務に係る部分
二 第10条第1項の認可をしようとするとき 当該認可に係る定款及び事業計画書のうち公庫債権管理業務に係る部分
三 第8条第3項、第31条第2項、第35条、第36条第1項及び第3項、第45条第1号及び第2号並びに第49条の規定により総務省令を定めようとするとき 当該総務省令のうち公庫債権管理業務に係る部分
(残余財産の帰属)
第22条 機構が解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があり、かつ、金利変動準備金の残高があるときは、当該残高に相当する金額(当該金額が処分上限額を超える場合にあっては、処分上限額)は、地方公共団体による資本市場からの資金調達を効率的かつ効果的に補完するためにその地方債につき長期かつ低利の資金の融通を行う仕組みが構築される場合において金利の変動による損失に備えるために、これに必要と認められる金額に限り処分するものとし、なおその金額に残余があるときは、当該金額を国に帰属させるものとする。
2 前項の「処分上限額」とは、解散時における残余財産の金額又は附則第9条第8項の政令で定める金額及び同条第10項の規定により管理勘定から一般勘定に繰り入れられた金額の合計額のいずれか少ない金額をいう。
(罰則)
第23条 附則第20条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、30万円以下の罰金に処する。
第24条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、20万円以下の過料に処する。
一 附則第13条第4項、第15条第1項、第17条第1項若しくは第2項又は第18条の規定により総務大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。
二 附則第15条第3項の規定による命令に違反したとき。
三 附則第15条第4項又は第20条第4項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(検討)
第25条 政府は、平成29年度末を目途として、この法律の施行状況、地方公共団体による資本市場からの資金調達の状況等を勘案し、地方公共団体による資本市場からの資金調達を補完することを旨として業務の重点化を図ることの重要性に留意しつつ、機構の自主的かつ一体的な経営を確立する観点から、機構の業務の在り方全般について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
2 前項の規定による検討を行うに当たっては、総務大臣は、都道府県知事、都道府県議会の議長、市長、市議会の議長、町村長及び町村議会の議長の全国的連合組織の意見を聴かなければならない。
(公営企業金融公庫法の廃止)
第26条 公営企業金融公庫法は、廃止する。
(公営企業金融公庫法の廃止に伴う経過措置)
第27条 前条の規定による廃止前の公営企業金融公庫法(以下この条及び次条において「旧公庫法」という。)第23条第1項又は第2項の規定により公庫が発行した公営企業債券(当該公営企業債券に係る債権が旧公庫法第26条の2の規定に基づき信託された貸付債権により担保されているものを除く。)は、第40条第2項及び第3項の規定の適用については、同条第1項の規定による機構債券とみなす。
2 公庫の職員として在職した者については、旧公庫法第39条の規定は、なおその効力を有する。この場合において、同条第6項中「公庫は」とあるのは、「地方公共団体金融機構は」とする。
3 旧公庫法第28条の2第1項に規定する地方債の利子(旧公庫法附則第10項の規定又は旧公庫法附則第11項において準用する旧公庫法第19条第2項の規定による資金の貸付けに係る利子を含む。次項において同じ。)は、第46条第1項に規定する地方債の利子とみなして、同条及び第47条の規定を適用する。
4 機構は、毎事業年度、前項の規定により第46条第1項に規定する地方債の利子とみなされた旧公庫法第28条の2第1項に規定する地方債の利子の軽減に要する費用のうち総務省令で定めるところにより算定した額を一般勘定から管理勘定に繰り入れるものとする。
(処分、手続等に関する経過措置)
第28条 旧公庫法(第11条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律の相当の規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第29条 附則第26条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第30条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成21年3月31日法律第10号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成21年4月1日から施行する。ただし、第5条並びに附則第5条第3項から第6項まで及び第7条から第15条までの規定は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(地方公営企業等金融機構法の一部改正に伴う経過措置)
第5条 地方公営企業等金融機構は、第5条の規定の施行の日までに、必要な定款の変更をし、総務大臣の認可を受けるものとする。
2 前項の認可があったときは、同項に規定する定款の変更は、第5条の規定の施行の日にその効力を生ずる。
3 第5条の規定の施行の際現にその名称中に地方公共団体金融機構という文字を用いている者については、同条の規定による改正後の地方公共団体金融機構法(次項において「新機構法」という。)第7条第2項の規定は、第5条の規定の施行後6月間は、適用しない。
4 第5条の規定による改正前の地方公営企業等金融機構法第40条第1項の規定により地方公営企業等金融機構が発行した地方公営企業等金融機構債券は、新機構法の規定の適用については、新機構法第40条第1項の規定による地方公共団体金融機構債券とみなす。
5 第5条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
6 前各項に規定するもののほか、第5条の規定の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成26年3月31日法律第5号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成26年4月1日から施行する。
附則 (平成28年3月31日法律第14号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成28年4月1日から施行する。
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