はんざいによるしゅうえきのいてんぼうしにかんするほうりつ
犯罪による収益の移転防止に関する法律
平成19年法律第22号
第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることに鑑み、特定事業者による顧客等の本人特定事項(第4条第1項第1号に規定する本人特定事項をいう。第3条第1項において同じ。)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において「犯罪による収益」とは、組織的犯罪処罰法第2条第4項に規定する犯罪収益等又は麻薬特例法第2条第5項に規定する薬物犯罪収益等をいう。
2 この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる者をいう。
一 銀行
二 信用金庫
三 信用金庫連合会
四 労働金庫
五 労働金庫連合会
六 信用協同組合
七 信用協同組合連合会
八 農業協同組合
九 農業協同組合連合会
十 漁業協同組合
十一 漁業協同組合連合会
十二 水産加工業協同組合
十三 水産加工業協同組合連合会
十四 農林中央金庫
十五 株式会社商工組合中央金庫
十六 株式会社日本政策投資銀行
十七 保険会社
十八 保険業法(平成7年法律第105号)第2条第7項に規定する外国保険会社等
十九 保険業法第2条第18項に規定する少額短期保険業者
二十 共済水産業協同組合連合会
二十一 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第9項に規定する金融商品取引業者
二十二 金融商品取引法第2条第30項に規定する証券金融会社
二十三 金融商品取引法第63条第5項に規定する特例業務届出者
二十四 信託会社
二十五 信託業法(平成16年法律第154号)第50条の2第1項の登録を受けた者
二十六 不動産特定共同事業法(平成6年法律第77号)第2条第5項に規定する不動産特定共同事業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和18年法律第43号)第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、不動産特定共同事業法第2条第4項に規定する不動産特定共同事業を営むものを含む。)、同条第7項に規定する小規模不動産特定共同事業者、同条第9項に規定する特例事業者又は同条第11項に規定する適格特例投資家限定事業者
二十七 無尽会社
二十八 貸金業法(昭和58年法律第32号)第2条第2項に規定する貸金業者
二十九 貸金業法第2条第1項第5号に規定する者のうち政令で定める者
三十 資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)第2条第3項に規定する資金移動業者
三十一 資金決済に関する法律第2条第8項に規定する仮想通貨交換業者
三十二 商品先物取引法(昭和25年法律第239号)第2条第23項に規定する商品先物取引業者
三十三 社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第2条第2項に規定する振替機関(同法第48条の規定により振替機関とみなされる日本銀行を含む。)
三十四 社債、株式等の振替に関する法律第2条第4項に規定する口座管理機関
三十五 電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第2項に規定する電子債権記録機関
三十六 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構
三十七 本邦において両替業務(業として外国通貨(本邦通貨以外の通貨をいう。)又は旅行小切手の売買を行うことをいう。)を行う者
三十八 顧客に対し、その指定する機械類その他の物品を購入してその賃貸(政令で定めるものに限る。)をする業務を行う者
三十九 それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下「クレジットカード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下「利用者たる顧客」という。)に交付し又は付与し、当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し又は通知して特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、当該販売業者又は役務提供事業者に当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又はあらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者
四十 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第3号に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第2条第2号に規定する宅地建物取引業(別表において単に「宅地建物取引業」という。)を営むもの(第22条第1項第15号において「みなし宅地建物取引業者」という。)を含む。)
四十一 金、白金その他の政令で定める貴金属若しくはダイヤモンドその他の政令で定める宝石又はこれらの製品(以下「貴金属等」という。)の売買を業として行う者
四十二 顧客に対し、自己の居所若しくは事務所の所在地を当該顧客が郵便物(民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物並びに大きさ及び重量が郵便物に類似する貨物を含む。以下同じ。)を受け取る場所として用い、又は自己の電話番号を当該顧客が連絡先の電話番号として用いることを許諾し、当該自己の居所若しくは事務所において当該顧客宛ての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡し、又は当該顧客宛ての当該電話番号に係る電話(ファクシミリ装置による通信を含む。以下同じ。)を受けてその内容を当該顧客に連絡し、若しくは当該顧客宛ての若しくは当該顧客からの当該電話番号に係る電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者
四十三 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)又は弁護士法人(外国法事務弁護士法人を含む。)
四十四 司法書士又は司法書士法人
四十五 行政書士又は行政書士法人
四十六 公認会計士(公認会計士法(昭和23年法律第103号)第16条の2第5項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人
四十七 税理士又は税理士法人
3 この法律において「顧客等」とは、顧客(前項第39号に掲げる特定事業者にあっては、利用者たる顧客)又はこれに準ずる者として政令で定める者をいう。
(国家公安委員会の責務等)
第3条 国家公安委員会は、特定事業者による顧客等の本人特定事項等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置が的確に行われることを確保するため、特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供その他の援助を行うとともに、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする。
2 国家公安委員会は、特定事業者により届け出られた疑わしい取引に関する情報その他の犯罪による収益に関する情報が、刑事事件の捜査及び犯則事件の調査並びに犯罪による収益の移転防止に関する国際的な情報交換その他の協力に有効に活用されるよう、迅速かつ的確にその集約、整理及び分析を行うものとする。
3 国家公安委員会は、毎年、犯罪による収益の移転に係る手口その他の犯罪による収益の移転の状況に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者その他の事業者が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度その他の当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し、これを公表するものとする。
4 国家公安委員会は、第2項の規定による情報の集約、整理及び分析並びに前項の規定による調査及び分析を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関、特定事業者その他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 前項に定めるもののほか、国家公安委員会その他の関係行政機関及び地方公共団体の関係機関は、犯罪による収益の移転防止について相互に協力するものとする。
第2章 特定事業者による措置
(取引時確認等)
第4条 特定事業者(第2条第2項第43号に掲げる特定事業者(第12条において「弁護士等」という。)を除く。以下同じ。)は、顧客等との間で、別表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(次項第2号において「特定取引」といい、同項前段に規定する取引に該当するものを除く。)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次の各号(第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者にあっては、第1号)に掲げる事項の確認を行わなければならない。
一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)
二 取引を行う目的
三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容
四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項
2 特定事業者は、顧客等との間で、特定業務のうち次の各号のいずれかに該当する取引を行うに際しては、主務省令で定めるところにより、当該顧客等について、前項各号に掲げる事項並びに当該取引がその価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産及び収入の状況(第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第1号に掲げる事項)の確認を行わなければならない。この場合において、第1号イ又はロに掲げる取引に際して行う同項第1号に掲げる事項の確認は、第1号イ又はロに規定する関連取引時確認を行った際に採った当該事項の確認の方法とは異なる方法により行うものとし、資産及び収入の状況の確認は、第8条第1項の規定による届出を行うべき場合に該当するかどうかの判断に必要な限度において行うものとする。
一 次のいずれかに該当する取引として政令で定めるもの
イ 取引の相手方が、その取引に関連する他の取引の際に行われた前項若しくはこの項(これらの規定を第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第4項の規定による確認(ロにおいて「関連取引時確認」という。)に係る顧客等又は代表者等(第6項に規定する代表者等をいう。ロにおいて同じ。)になりすましている疑いがある場合における当該取引
ロ 関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等(その代表者等が当該事項を偽っていた疑いがある顧客等を含む。)との取引
二 特定取引のうち、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域として政令で定めるもの(以下この号において「特定国等」という。)に居住し又は所在する顧客等との間におけるものその他特定国等に居住し又は所在する者に対する財産の移転を伴うもの
三 前2号に掲げるもののほか、犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引として政令で定めるもの
3 第1項の規定は、当該特定事業者が他の取引の際に既に同項又は前項(これらの規定を第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による確認(当該確認について第6条の規定による確認記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)を行っている顧客等との取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるものについては、適用しない。
4 特定事業者は、顧客等について第1項又は第2項の規定による確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で第1項又は第2項前段に規定する取引(以下「特定取引等」という。)を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は、当該顧客等の当該確認に加え、当該特定取引等の任に当たっている自然人についても、主務省令で定めるところにより、その者の本人特定事項の確認を行わなければならない。
5 特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が顧客等と異なる場合であって、当該顧客等が国、地方公共団体、人格のない社団又は財団その他政令で定めるもの(以下この項において「国等」という。)であるときには、第1項又は第2項の規定の適用については、次の表の第1欄に掲げる顧客等の区分に応じ、同表の第2欄に掲げる規定中同表の第3欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第4欄に掲げる字句とする。
国等(人格のない社団又は財団を除く。) | 第1項 | 次の各号(第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者にあっては、第1号) | 第1号 |
第1項第1号 | 本人特定事項 | 当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項 | |
第2項 | 前項各号に掲げる事項並びに当該取引がその価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産及び収入の状況(第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第1号に掲げる事項) | 前項第1号に掲げる事項 | |
人格のない社団又は財団 | 第1項 | 次の各号 | 第1号から第3号まで |
第1項第1号 | 本人特定事項 | 当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項 | |
第1項第3号 | 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容 | 事業の内容 | |
第2項 | 前項各号に掲げる事項並びに当該取引がその価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産及び収入の状況 | 前項第1号から第3号までに掲げる事項 |
6 顧客等及び代表者等(前2項に規定する現に特定取引等の任に当たっている自然人をいう。以下同じ。)は、特定事業者が第1項若しくは第2項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第4項の規定による確認(以下「取引時確認」という。)を行う場合において、当該特定事業者に対して、当該取引時確認に係る事項を偽ってはならない。
(特定事業者の免責)
第5条 特定事業者は、顧客等又は代表者等が特定取引等を行う際に取引時確認に応じないときは、当該顧客等又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定取引等に係る義務の履行を拒むことができる。
(確認記録の作成義務等)
第6条 特定事業者は、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。
2 特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、7年間保存しなければならない。
(取引記録等の作成義務等)
第7条 特定事業者(次項に規定する特定事業者を除く。)は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。
2 第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者は、特定受任行為の代理等(別表第2条第2項第44号に掲げる者の項の中欄に規定する特定受任行為の代理等をいう。以下この条において同じ。)を行った場合には、その価額が少額である財産の処分の代理その他の政令で定める特定受任行為の代理等を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該特定受任行為の代理等を行った期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。
3 特定事業者は、前2項に規定する記録(以下「取引記録等」という。)を、当該取引又は特定受任行為の代理等の行われた日から7年間保存しなければならない。
(疑わしい取引の届出等)
第8条 特定事業者(第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者を除く。)は、特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、又は顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第10条の罪若しくは麻薬特例法第6条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。
2 前項の規定による判断は、同項の取引に係る取引時確認の結果、当該取引の態様その他の事情及び第3条第3項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ、主務省令で定める項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法その他の主務省令で定める方法により行わなければならない。
3 特定事業者(その役員及び使用人を含む。)は、第1項の規定による届出(以下「疑わしい取引の届出」という。)を行おうとすること又は行ったことを当該疑わしい取引の届出に係る顧客等又はその者の関係者に漏らしてはならない。
4 行政庁(都道府県知事又は都道府県公安委員会に限る。)は、疑わしい取引の届出を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出に係る事項を主務大臣に通知するものとする。
5 行政庁(都道府県知事及び都道府県公安委員会を除く。)又は前項の主務大臣(国家公安委員会を除く。)は、疑わしい取引の届出又は同項の通知を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出又は通知に係る事項を国家公安委員会に通知するものとする。
(外国所在為替取引業者との契約締結の際の確認)
第9条 特定事業者(第2条第2項第1号から第15号まで及び第30号に掲げる特定事業者に限る。次条において同じ。)は、外国所在為替取引業者(外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)に所在して業として為替取引を行う者をいう。以下同じ。)との間で、為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、主務省令で定める方法により、当該外国所在為替取引業者について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。
一 当該外国所在為替取引業者が、第4条、前3条及び次条の規定による措置に相当する措置(以下この号において「取引時確認等相当措置」という。)を的確に行うために必要な営業所その他の施設並びに取引時確認等相当措置の実施を統括管理する者を当該外国所在為替取引業者の所在する国又は当該所在する国以外の外国に置き、かつ、取引時確認等相当措置の実施に関し、第15条から第18条までに規定する行政庁の職務に相当する職務を行う当該所在する国又は当該外国の機関の適切な監督を受けている状態(次号において単に「監督を受けている状態」という。)にあることその他の取引時確認等相当措置を的確に行うために必要な基準として主務省令で定める基準に適合する体制を整備していること。
二 当該外国所在為替取引業者が、業として為替取引を行う者であって監督を受けている状態にないものとの間で為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結していないこと。
(外国為替取引に係る通知義務)
第10条 特定事業者は、顧客と本邦から外国(政令で定める国又は地域を除く。以下この条において同じ。)へ向けた支払に係る為替取引(小切手の振出しその他の政令で定める方法によるものを除く。)を行う場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者(当該政令で定める国又は地域に所在するものを除く。以下この条において同じ。)に委託するときは、当該顧客に係る本人特定事項その他の事項で主務省令で定めるものを通知して行わなければならない。
2 特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて本邦から外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項を通知して行わなければならない。
3 特定事業者は、外国所在為替取引業者からこの条の規定に相当する外国の法令の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。
4 特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。
(取引時確認等を的確に行うための措置)
第11条 特定事業者は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下この条において「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うため、当該取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保っための措置を講ずるものとするほか、次に掲げる措置を講ずるように努めなければならない。
一 使用人に対する教育訓練の実施
二 取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成
三 取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査その他の業務を統括管理する者の選任
四 その他第3条第3項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して講ずべきものとして主務省令で定める措置
(弁護士等による本人特定事項の確認等に相当する措置)
第12条 弁護士等による顧客等又は代表者等の本人特定事項の確認、確認記録の作成及び保存、取引記録等の作成及び保存並びにこれらを的確に行うための措置に相当する措置については、第2条第2項第44号から第47号までに掲げる特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるところによる。
2 第5条の規定は、前項の規定により定められた日本弁護士連合会の会則の規定により弁護士等が行う本人特定事項の確認に相当する措置について準用する。
3 政府及び日本弁護士連合会は、犯罪による収益の移転防止に関し、相互に協力するものとする。
第3章 疑わしい取引に関する情報の提供等
(捜査機関等への情報提供等)
第13条 国家公安委員会は、疑わしい取引の届出に係る事項、第8条、この条及び次条に規定する国家公安委員会の職務に相当する職務を行う外国の機関から提供された情報並びにこれらを整理し又は分析した結果(以下「疑わしい取引に関する情報」という。)が検察官、検察事務官若しくは司法警察職員又は国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関職員、徴税吏員、公正取引委員会の職員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第101条第1項の指定を受けた者に限る。)若しくは証券取引等監視委員会の職員(以下この条において「検察官等」という。)による組織的犯罪処罰法第2条第2項第1号イ若しくはロ若しくは同項第2号ニに掲げる罪、組織的犯罪処罰法第10条第3項若しくは第11条の罪、麻薬特例法第2条第2項各号に掲げる罪又は麻薬特例法第6条第3項若しくは第7条の罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査に資すると認めるときは、これを検察官等に提供するものとする。
2 検察官等は、前項に規定する罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査のため必要があると認めるときは、国家公安委員会に対し、疑わしい取引に関する情報の記録の閲覧若しくは謄写又はその写しの送付を求めることができる。
(外国の機関への情報提供)
第14条 国家公安委員会は、前条第1項に規定する外国の機関に対し、その職務(第8条、前条及びこの条に規定する国家公安委員会の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める疑わしい取引に関する情報を提供することができる。
2 前項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供については、当該疑わしい取引に関する情報が前条第1項に規定する外国の機関の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の規定による同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る。)又は審判(以下この条において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。
3 国家公安委員会は、外国からの要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第1項の規定により提供した疑わしい取引に関する情報を当該要請に係る刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる。
一 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。
二 国際約束(第1項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供に関する国際約束をいう。第5項において同じ。)に別段の定めがある場合を除き、当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。
三 日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。
4 国家公安委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第1号及び第2号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第3号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。
5 第1項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供が、疑わしい取引に関する情報を使用することができる外国の刑事事件の捜査等(政治犯罪についての捜査等以外の捜査等に限る。)の範囲を定めた国際約束に基づいて行われたときは、その範囲内における当該疑わしい取引に関する情報の使用については、第3項の同意があるものとみなす。
第4章 監督
(報告)
第15条 行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。
(立入検査)
第16条 行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
4 第1項の規定は、特定事業者である日本銀行については、適用しない。
(指導等)
第17条 行政庁は、この法律に定める特定事業者による措置の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定事業者に対し、必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
(是正命令)
第18条 行政庁は、特定事業者がその業務に関して第4条第1項若しくは第2項(これらの規定を同条第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)若しくは第4項、第6条、第7条、第8条第1項から第3項まで、第9条又は第10条の規定に違反していると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(国家公安委員会の意見の陳述)
第19条 国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し、当該特定事業者に対し前条の規定による命令を行うべき旨又は他の法令の規定により当該違反を理由として業務の停止その他の処分を行うことができる場合にあっては、当該特定事業者に対し当該処分を行うべき旨の意見を述べることができる。
2 国家公安委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告若しくは資料の提出を求め、又は相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる。
3 前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、同項の調査を行うため特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる。この場合においては、第16条第2項から第4項までの規定を準用する。
4 国家公安委員会は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、行政庁(行政庁が都道府県知事である場合にあっては、主務大臣を経由して当該都道府県知事)にその旨を通知しなければならない。
5 前項の通知を受けた行政庁は、政令で定めるところにより、国家公安委員会に対し、第16条第1項の規定による権限の行使と第3項の規定による都道府県警察の権限の行使との調整を図るため必要な協議を求めることができる。この場合において、国家公安委員会は、その求めに応じなければならない。
第5章 雑則
(主務省令への委任)
第20条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、主務省令で定める。
(経過措置)
第21条 この法律の規定に基づき政令又は主務省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は主務省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(行政庁等)
第22条 この法律における行政庁は、次の各号に掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項に関して、それぞれ当該各号に定める者とする。
一 第2条第2項第1号から第3号まで、第6号、第7号、第17号から第19号まで、第21号から第25号まで、第27号から第31号まで及び第46号に掲げる特定事業者 内閣総理大臣
二 第2条第2項第4号及び第5号に掲げる特定事業者 内閣総理大臣及び厚生労働大臣
三 第2条第2項第8号及び第9号に掲げる特定事業者 農業協同組合法(昭和22年法律第132号)第98条第1項に規定する行政庁
四 第2条第2項第10号から第13号まで及び第20号に掲げる特定事業者 水産業協同組合法(昭和23年法律第242号)第127条第1項に規定する行政庁
五 第2条第2項第14号に掲げる特定事業者 農林水産大臣及び内閣総理大臣
六 第2条第2項第15号に掲げる特定事業者 株式会社商工組合中央金庫法(平成19年法律第74号)第56条第2項に規定する主務大臣
七 第2条第2項第16号に掲げる特定事業者 株式会社日本政策投資銀行法(平成19年法律第85号)第29条第1項に規定する主務大臣
八 第2条第2項第26号に掲げる特定事業者 不動産特定共同事業法第73条第1項に規定する主務大臣
九 第2条第2項第32号に掲げる特定事業者 商品先物取引法第354条第1項に規定する主務大臣
十 第2条第2項第33号から第35号までに掲げる特定事業者(次号に掲げる者を除く。) 内閣総理大臣及び法務大臣
十一 第2条第2項第33号及び第34号に掲げる特定事業者のうち国債を取り扱う者 内閣総理大臣、法務大臣及び財務大臣
十二 第2条第2項第36号に掲げる特定事業者及び同項第42号に掲げる特定事業者のうち顧客宛ての電話を受けてその内容を当該顧客に連絡し、又は顧客宛ての若しくは顧客からの電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者 総務大臣
十三 第2条第2項第37号及び第47号に掲げる特定事業者 財務大臣
十四 第2条第2項第38号、第39号及び第41号に掲げる特定事業者並びに同項第42号に掲げる特定事業者のうち顧客宛ての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡す役務を提供する業務を行う者 経済産業大臣
十五 第2条第2項第40号に掲げる特定事業者 宅地建物取引業法第3条第1項の免許をした国土交通大臣又は都道府県知事(みなし宅地建物取引業者である特定事業者にあっては、国土交通大臣)
十六 第2条第2項第44号に掲げる特定事業者 法務大臣
十七 第2条第2項第45号に掲げる特定事業者 都道府県知事
2 前項の規定にかかわらず、第9条に規定する特定事業者(第2条第2項第15号に掲げる特定事業者を除く。)に係る第9条及び第10条に定める事項に関する行政庁は、前項に定める行政庁及び財務大臣とする。
3 第1項の規定にかかわらず、特定事業者のうち金融商品取引法第33条の2に規定する登録を受けた者が登録金融機関業務(同法第33条の3第1項第6号イに規定する登録金融機関業務をいう。第6項第2号において同じ。)を行う場合には、当該登録金融機関業務に係る事項に関する行政庁は、内閣総理大臣とする。
4 第1項の規定にかかわらず、第2条第2項第41号に掲げる特定事業者のうち古物営業法(昭和24年法律第108号)第3条第1項の許可を受けた者が同法第2条第1項の古物である貴金属等の売買の業務を行う場合及び同号に掲げる特定事業者のうち質屋営業法(昭和25年法律第158号)第2条第1項の許可を受けた者が同法第19条第1項の流質物である貴金属等の売却の業務を行う場合には、これらの業務に係る事項に関する行政庁は、都道府県公安委員会とする。この場合において、道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。
5 内閣総理大臣は、この法律による権限(金融庁の所掌に係るものに限り、政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
6 金融庁長官は、前項の規定により委任された権限(第8条、第17条及び第18条に関するものを除く。次項において「金融庁長官権限」という。)のうち、次に掲げる行為に係るものを証券取引等監視委員会に委任する。ただし、報告又は資料の提出を命ずる権限は、金融庁長官が自ら行うことを妨げない。
一 第2条第2項第21号及び第23号に掲げる特定事業者による行為
二 登録金融機関業務に係る行為
7 金融庁長官は、政令で定めるところにより、金融庁長官権限のうち、第2条第2項第22号、第33号及び第34号に掲げる特定事業者による行為(前項各号に掲げる行為を除く。)に係るものを証券取引等監視委員会に委任することができる。
8 前2項の場合において、証券取引等監視委員会が行う報告又は資料の提出の命令についての審査請求は、証券取引等監視委員会に対してのみ行うことができる。
9 この法律に規定する行政庁の権限に属する事務(この法律の規定により都道府県知事又は都道府県公安委員会の権限に属することとされている事務を除く。)の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
10 前各項に規定するもののほか、第8条及び第15条から第19条までの規定による行政庁の権限の行使に関して必要な事項は、政令で定める。
(主務大臣等)
第23条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 次のイからホまでに掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項(次号から第4号までに掲げる事項を除く。)に関して、それぞれ当該イからホまでに定める大臣
イ ロからホまでに掲げる特定事業者以外の特定事業者 前条第1項に定める行政庁である大臣
ロ 第2条第2項第8号及び第9号に掲げる特定事業者 農業協同組合法第98条第2項に規定する主務大臣
ハ 第2条第2項第10号から第13号まで及び第20号に掲げる特定事業者 水産業協同組合法第127条第2項に規定する主務大臣
ニ 第2条第2項第40号に掲げる特定事業者 国土交通大臣
ホ 第2条第2項第45号に掲げる特定事業者 総務大臣
二 前条第2項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 前号イからハまでに定める大臣及び財務大臣
三 前条第3項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 内閣総理大臣
四 前条第4項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 国家公安委員会
2 この法律における主務省令は、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣が共同で発する命令とする。
(事務の区分)
第24条 この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち次に掲げる者に係るものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務とする。
一 農業協同組合法第10条第1項第3号の事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会
二 水産業協同組合法第11条第1項第4号の事業を行う漁業協同組合
三 水産業協同組合法第87条第1項第4号の事業を行う漁業協同組合連合会
四 水産業協同組合法第93条第1項第2号の事業を行う水産加工業協同組合
五 水産業協同組合法第97条第1項第2号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
第6章 罰則
第25条 第18条の規定による命令に違反した者は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第15条若しくは第19条第2項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
二 第16条第1項若しくは第19条第3項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第27条 顧客等又は代表者等の本人特定事項を隠蔽する目的で、第4条第6項の規定に違反する行為(当該顧客等又は代表者等の本人特定事項に係るものに限る。)をした者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第28条 他人になりすまして特定事業者(第2条第2項第1号から第15号まで及び第36号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第2条第2項第1号から第37号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3 業として前2項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 第1項又は第2項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第1項と同様とする。
第29条 他人になりすまして第2条第2項第30号に掲げる特定事業者(以下この項において「資金移動業者」という。)との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるもの(以下「為替取引カード等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3 業として前2項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 第1項又は第2項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第1項と同様とする。
第30条 他人になりすまして第2条第2項第31号に掲げる特定事業者(以下この項において「仮想通貨交換業者」という。)との間における仮想通貨交換契約(資金決済に関する法律第2条第7項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、仮想通貨交換業者において仮想通貨交換契約に係る役務の提供を受ける者を他の者と区別して識別することができるように付される符号その他の当該役務の提供を受けるために必要な情報(以下この条において「仮想通貨交換用情報」という。)の提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、仮想通貨交換用情報の提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に仮想通貨交換用情報を提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、仮想通貨交換用情報を提供した者も、同様とする。
3 業として前2項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4 第1項又は第2項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第1項と同様とする。
第31条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第25条 3億円以下の罰金刑
二 第26条 2億円以下の罰金刑
三 第27条 同条の罰金刑
(金融商品取引法の準用)
第32条 金融商品取引法第9章の規定は、第22条第6項各号に掲げる行為に係る第27条及び前条第3号に規定する罪の事件について準用する。
附則
(施行期日)
第1条 この法律は、平成19年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第2条第2項(第22号及び第24号を除く。)、第4条から第10条まで及び第13条から第28条までの規定並びに次条、附則第5条から第7条まで、附則第9条から第12条まで及び附則第14条から第18条までの規定、附則第19条中証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第66号)第189条及び第190条の改正規定並びに同法第196条の改正規定(株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号)附則第127条の改正規定を削る部分に限る。)、附則第20条の規定、附則第23条中金融庁設置法(平成10年法律第130号)第8条の改正規定及び同法第20条第1項の改正規定並びに附則第27条の規定 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
二 第2条第2項第22号の規定 前号に定める日(以下「一部施行日」という。)又は証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号)の施行の日のいずれか遅い日
三 第2条第2項第24号の規定 一部施行日又は信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)の施行の日のいずれか遅い日
四 附則第8条の規定 一部施行日又は証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日のいずれか遅い日
(金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律の廃止)
第2条 金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(平成14年法律第32号)は、廃止する。
(経過措置)
第4条 一部施行日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第11条第1項 | 疑わしい取引の届出 | 組織的犯罪処罰法第54条第1項の規定による届出 |
第9条、 | 同条並びに | |
第12条第1項 | 第9条、 | 組織的犯罪処罰法第54条並びに |
第5条 株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第2条第2項の規定の適用については、同項第30号中「社債、株式等の振替に関する法律」とあるのは「株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年法律第30号)第2条第2項に規定する保管振替機関及び社債等の振替に関する法律」と、同項第31号中「社債、株式等の振替に関する法律」とあるのは「株券等の保管及び振替に関する法律第2条第3項に規定する参加者及び社債等の振替に関する法律」とする。
第6条 郵政民営化法(平成17年法律第97号)の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第2条第2項第32号及び第10条第1項の規定の適用については、同号中「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」とあるのは「日本郵政公社」と、同項中「第15号まで」とあるのは「第15号まで及び第32号」とする。
2 前項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に、日本郵政公社の業務(同法、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(平成17年法律第101号)又は郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)の規定により郵政民営化法第94条に規定する郵便貯金銀行(以下この条において単に「郵便貯金銀行」という。)の業務とされるもの(郵政民営化法の施行の日において行われたとしたならば郵便貯金銀行の業務とされるものを含む。以下この条において「郵便貯金銀行移行業務」という。)に限る。)に関し、この法律の規定により、日本郵政公社に対して行い、又は日本郵政公社が行った処分、手続その他の行為は、この法律の規定により郵便貯金銀行に対して行い、又は郵便貯金銀行が行った処分、手続その他の行為とみなす。
3 第1項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に、日本郵政公社の業務(郵便貯金銀行移行業務を除く。)に関し、この法律の規定により、日本郵政公社に対して行い、又は日本郵政公社が行った処分、手続その他の行為は、この法律の規定により独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に対して行い、又は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が行った処分、手続その他の行為とみなす。
4 第1項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に日本郵政公社が行った特定業務に関する同日以後の第9条の規定の適用については、郵便貯金銀行移行業務は郵便貯金銀行が、郵便貯金銀行移行業務以外の日本郵政公社の業務は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構がそれぞれ行ったものとみなす。
第7条 証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第2条第2項第20号 | 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第9項に規定する金融商品取引業者 | 証券会社、外国証券業者に関する法律(昭和46年法律第5号)第2条第2号に規定する外国証券会社(第20条第6項第1号において単に「外国証券会社」という。)、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第18項に規定する投資信託委託業者(第20条第6項第1号において単に「投資信託委託業者」という。)、信託業法(平成16年法律第154号)第2条第11項に規定する信託受益権販売業者、抵当証券業の規制等に関する法律(昭和62年法律第114号)第2条第2項に規定する抵当証券業者、商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成3年法律第66号)第2条第5項に規定する商品投資販売業者(第20条第1項第1号において単に「商品投資販売業者」という。)及び金融先物取引法(昭和63年法律第77号)第2条第12項に規定する金融先物取引業者(第20条第6項第1号において単に「金融先物取引業者」という。) |
第2条第2項第21号 | 金融商品取引法第2条第30項 | 証券取引法(昭和23年法律第25号)第2条第32項 |
第20条第1項第1号 | から第24号まで | 、第21号、第23号、第24号 |
内閣総理大臣 | 内閣総理大臣(同項第20号に掲げる特定事業者(商品投資販売業者に限る。)にあっては、商品投資に係る事業の規制に関する法律第49条第1項に規定する主務大臣) | |
第20条第3項 | 金融商品取引法第33条の2 | 証券取引法第65条の2第1項 |
登録金融機関業務(同法第33条の5第1項第3号に規定する登録金融機関業務をいう。第6項第2号において同じ。) | 同法第65条第2項各号に掲げる有価証券又は取引に係る同項各号に定める行為(同条第1項ただし書に該当するものを除く。) | |
当該登録金融機関業務 | 当該行為 | |
第20条第6項第1号 | 第2条第2項第20号及び第22号に掲げる特定事業者 | 第2条第2項第20号に掲げる特定事業者(証券会社、外国証券会社、投資信託委託業者及び金融先物取引業者に限る。) |
第20条第6項第2号 | 登録金融機関業務に係る | 第3項に規定する |
第28条(見出しを含む。) | 金融商品取引法 | 証券取引法 |
第8条 証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日から起算して6年を経過する日までの間における第2条第2項第20号及び第20条第6項第1号の規定の適用については、第2条第2項第20号中「金融商品取引業者」とあるのは「金融商品取引業者(第20条第6項第1号において単に「金融商品取引業者」という。)及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第66号)第57条第1項に規定する旧抵当証券業者」と、第20条第6項第1号中「第2条第2項第20号及び第22号」とあるのは「第2条第2項第20号に掲げる特定事業者(金融商品取引業者に限る。)及び同項第22号」とする。
第9条 信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第20条第1項第1号の規定の適用については、同号中「第24号」とあるのは、「第23号」とする。
第10条 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第115号)の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第2条第2項第27号及び第28号の規定の適用については、これらの規定中「貸金業法」とあるのは、「貸金業の規制等に関する法律」とする。
(処分、手続等に関する経過措置)
第24条 この法律の規定による廃止又は改正前のそれぞれの法律の規定によってした処分、手続その他の行為であって、この法律又はこの法律の規定による改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、この法律又はこの法律の規定による改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
(罰則に関する経過措置)
第25条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第26条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第27条 犯罪による収益の移転防止のための制度については、この法律の施行状況、犯罪による収益の移転防止に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
附則 (平成19年6月1日法律第74号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成20年10月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第3条から第22条まで、第25条から第30条まで、第101条及び第102条の規定 公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日
(処分等に関する経過措置)
第100条 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
(罰則の適用に関する経過措置)
第101条 この法律(附則第1条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第102条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成19年6月13日法律第85号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一及び二 略
三 附則第26条から第60条まで及び第62条から第65条までの規定 平成20年10月1日
附則 (平成19年6月27日法律第102号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成21年6月24日法律第59号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第34条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第35条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則 (平成21年7月10日法律第74号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (平成23年4月28日法律第31号)
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第11条第1項の改正規定(「第9条」を「第8条」に改める部分を除く。)、附則第3条の前の見出しを削る改正規定、同条の改正規定及び附則第4条の前に見出しを付する改正規定並びに附則第3条の規定 公布の日
二 第27条第1項の改正規定(「第2条第2項第28号の2」を「第2条第2項第30号」に改める部分を除く。)、同条第3項の改正規定、第26条第1項の改正規定(「(以下」の下に「この条において」を加え、「50万円」を「1年以下の懲役若しくは100万円」に、「処する」を「処し、又はこれを併科する」に改める部分に限る。)、同条第3項の改正規定及び第25条の改正規定(「50万円」を「1年以下の懲役若しくは100万円」に、「処する」を「処し、又はこれを併科する」に改める部分に限る。) 公布の日から起算して1月を経過した日
(経過措置)
第2条 この法律による改正後の犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「新法」という。)第2条第2項に規定する特定事業者(同項第41号に掲げる特定事業者のうち顧客宛ての又は顧客からの電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者(第4項第4号において「新規特定事業者」という。)及び同条第2項第42号から第46号までに掲げる特定事業者を除く。以下単に「特定事業者」という。)が、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前の取引の際にこの法律による改正前の犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下「旧法」という。)第4条第1項の規定による本人確認(当該本人確認について旧法第6条の規定による本人確認記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)を行っている新法第2条第3項に規定する顧客等(新法第4条第5項に規定する国等(第4項第3号において単に「国等」という。)を除く。)との間で行う施行日以後の取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるもの(第4項第1号において「第1項施行日以後取引」という。)についての新法第4条第1項の規定の適用については、同項中「次の各号(第2条第2項第43号から第46号までに掲げる特定事業者にあっては、第1号)」とあるのは、「第2号から第4号まで」とする。
2 特定事業者が、施行日前の取引の際に旧法第4条第1項の規定による本人確認(当該本人確認について旧法第6条の規定による本人確認記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)を行っている新法第2条第3項に規定する顧客等(人格のない社団又は財団に限る。)との間で行う施行日以後の取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるもの(第4項第2号において「第2項施行日以後取引」という。)についての新法第4条第1項の規定の適用については、同条第5項(同条第1項に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、同条第1項中「次の各号(第2条第2項第43号から第46号までに掲げる特定事業者にあっては、第1号)」とあるのは「第2号及び第3号」と、同項第3号中「当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容」とあるのは「事業の内容」とする。
3 前2項の場合においては、新法第4条第3項中「同項又は前項(これらの規定を第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律(平成23年法律第31号。以下「改正法」という。)附則第2条第1項若しくは第2項の規定により読み替えて適用する第1項の規定又は前項(第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、同条第6項中「第1項若しくは第2項(これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は」とあるのは「改正法附則第2条第1項若しくは第2項の規定により読み替えて適用する第1項の規定又は第2項(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)若しくは」と、新法第6条第2項中「確認記録」とあるのは「確認記録(改正法附則第2条第1項及び第2項に規定する保存に係る本人確認記録を含む。次条第1項において同じ。)」と、新法第17条中「第4条第1項若しくは第2項(これらの規定を同条第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とあるのは「改正法附則第2条第1項若しくは第2項の規定により読み替えて適用する第4条第1項の規定又は同条第2項(同条第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、「又は」とあるのは「若しくは」とする。
4 次に掲げる取引については、新法第4条第1項の規定は、適用しない。
一 第1項施行日以後取引が第1項に規定する施行日前の取引に関連するものとして政令で定めるものである場合における当該第1項施行日以後取引
二 第2項施行日以後取引が第2項に規定する施行日前の取引に関連するものとして政令で定めるものである場合における当該第2項施行日以後取引
三 特定事業者が、施行日前の取引の際に旧法第4条第1項の規定による本人確認(当該本人確認について旧法第6条の規定による本人確認記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)及び新法第4条第1項(同項第1号に係る部分を除き、同条第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による確認に相当する確認(当該確認について新法第6条第1項に規定する確認記録に相当する記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)を行っている新法第2条第3項に規定する顧客等(国等(人格のない社団又は財団を除く。)を除く。)との間で行う施行日以後の取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるもの
四 新規特定事業者が、施行日前の取引の際に新法第4条第1項(同条第5項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)及び第4項(同条第1項に係る部分に限る。)の規定による確認に相当する確認(当該確認について新法第6条第1項に規定する確認記録に相当する記録の作成及び保存をしている場合におけるものに限る。)を行っている新法第2条第3項に規定する顧客等との間で行う施行日以後の取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるもの
(政令への委任)
第3条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成25年6月21日法律第56号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成26年4月25日法律第29号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成26年6月13日法律第69号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。
(経過措置の原則)
第5条 行政庁の処分その他の行為又は不作為についての不服申立てであってこの法律の施行前にされた行政庁の処分その他の行為又はこの法律の施行前にされた申請に係る行政庁の不作為に係るものについては、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。
(訴訟に関する経過措置)
第6条 この法律による改正前の法律の規定により不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ訴えを提起できないこととされる事項であって、当該不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したもの(当該不服申立てが他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為を経た後でなければ提起できないとされる場合にあっては、当該他の不服申立てを提起しないでこの法律の施行前にこれを提起すべき期間を経過したものを含む。)の訴えの提起については、なお従前の例による。
2 この法律の規定による改正前の法律の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合を含む。)により異議申立てが提起された処分その他の行為であって、この法律の規定による改正後の法律の規定により審査請求に対する裁決を経た後でなければ取消しの訴えを提起することができないこととされるものの取消しの訴えの提起については、なお従前の例による。
3 不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の行為の取消しの訴えであって、この法律の施行前に提起されたものについては、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第9条 この法律の施行前にした行為並びに附則第5条及び前2条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第10条 附則第5条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則 (平成26年11月27日法律第117号)
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第3条の改正規定及び附則第3条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第2条 この法律による改正後の第8条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に行われる取引について適用し、施行日前に行われた取引については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第3条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(調整規定)
第4条 施行日が行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)の施行の日前である場合には、同法第18条のうち犯罪による収益の移転防止に関する法律第21条第8項の改正規定中「第21条第8項」とあるのは、「第22条第8項」とする。
附則 (平成27年6月3日法律第32号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第12条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (平成28年6月3日法律第62号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第18条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第19条 附則第2条から第8条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第20条 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この条において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附則 (平成29年5月24日法律第37号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第8条、第24条及び第26条の規定は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第25条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第26条 附則第2条から第4条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則 (平成29年6月2日法律第46号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第16条の規定は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第15条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第16条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
附則 (平成29年6月21日法律第67号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。
附則 (平成30年6月8日法律第41号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第3条の改正規定(「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に改める部分を除く。)、第6条第2項の改正規定、第9条第1項の改正規定、第10条の改正規定、第13条第1項の改正規定、第14条第2項の改正規定及び同条第3項の改正規定、第19条に1号を加える改正規定、第25条の改正規定、第26条の改正規定並びに第32条の次に1条を加える改正規定並びに附則第2条第3項の改正規定並びに附則第3条、第12条(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律(平成24年法律第30号)附則第19条第1項第1号の改正規定中「第4条の規定による改正後の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成17年法律第101号。」に改める部分を除く。)及び第13条の規定 公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日
二 題名の改正規定、第1条及び第2条の改正規定、第3条の改正規定(「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に改める部分に限る。)、第9条第2項の改正規定並びに第14条第4項の改正規定並びに附則第4条から第8条まで、第9条(日本郵便株式会社法(平成17年法律第100号)附則第2条第1項の改正規定に限る。)、第11条及び第12条(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律附則第19条第1項第1号の改正規定中「第4条の規定による改正後の独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(」を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成17年法律第101号。」に改める部分に限る。)の規定 平成31年4月1日
(政令への委任)
第13条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
別表(第4条関係)
第2条第2項第1号から第37号までに掲げる者 | 金融に関する業務その他の政令で定める業務 | 預貯金契約(預金又は貯金の受入れを内容とする契約をいう。)の締結、為替取引その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第38号に掲げる者 | 同号に規定する業務 | 同号に規定する物品の賃貸借契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第39号に掲げる者 | 同号に規定する業務 | クレジットカード等の交付又は付与を内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第40号に掲げる者 | 宅地建物取引業のうち、宅地(宅地建物取引業法第2条第1号に規定する宅地をいう。以下この表において同じ。)若しくは建物(建物の一部を含む。以下この表において同じ。)の売買又はその代理若しくは媒介に係るもの | 宅地又は建物の売買契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第41号に掲げる者 | 貴金属等の売買の業務 | 貴金属等の売買契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第42号に掲げる者 | 同号に規定する業務 | 同号に規定する役務の提供を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第44号に掲げる者 |
司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条若しくは第29条に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、顧客のためにする次に掲げる行為又は手続(政令で定めるものを除く。)についての代理又は代行(以下この表において「特定受任行為の代理等」という。)に係るもの 一 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
二 会社の設立又は合併に関する行為又は手続その他の政令で定める会社の組織、運営又は管理に関する行為又は手続(会社以外の法人、組合又は信託であって政令で定めるものに係るこれらに相当するものとして政令で定める行為又は手続を含む。)
三 現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分(前2号に該当するものを除く。)
|
特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第45号に掲げる者 | 行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の2、第1条の3若しくは第13条の6に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの | 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第46号に掲げる者 | 公認会計士法第2条第2項若しくは第34条の5第1号に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの | 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
第2条第2項第47号に掲げる者 | 税理士法(昭和26年法律第237号)第2条若しくは第48条の5に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの | 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引 |
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