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国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則

平成19年7月19日最高裁判所規則第8号
国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則を次のように定める。

第1章 総則

(趣旨)
第1条 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成19年法律第37号。以下「法」という。)による証拠の提供に関する令状の発付、証人尋問及び不服申立てに関する手続、引渡犯罪人の引渡し及び仮拘禁に関する裁判所の審査及び令状の発付に関する手続並びに執行協力に関する手続については、法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
(訳文の添付)
第2条 外国語で記載された書面には、その訳文を添付しなければならない。

第2章 証拠の提供に関する令状の発付、証人尋問及び不服申立てに関する手続

(刑事訴訟規則の準用)
第3条 証拠の提供に関する令状の発付、証人尋問及び不服申立てに関する手続については、その性質に反しない限り、刑事訴訟規則(昭和23年最高裁判所規則第32号)第1編第2章及び第5章から第13章まで、第2編第1章、第3編第1章、第3章及び第4章、第7編並びに第8編の規定を準用する。

第3章 引渡犯罪人の引渡し及び仮拘禁に関する裁判所の審査及び令状の発付に関する手続

(拘禁許可状の請求の方式・法第21条)
第4条 拘禁許可状の請求は、書面でしなければならない。
2 前項の書面には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 引渡犯罪人の氏名、年齢、性別、国籍、職業及び住居
 引渡犯罪名及び引渡犯罪に係る行為
 引渡犯罪に係る行為に適用すべき国際刑事裁判所に関するローマ規程(以下「規程」という。)の罰条及び引渡犯罪が規程第70条1に規定する犯罪である場合には日本国の相当する罰条
 引渡しの請求の年月日
 引渡犯罪人に対して行われた国際刑事裁判所の捜査又は裁判に係る手続
 必要とする有効期間
 拘禁許可状を数通必要とするときは、その旨及び事由
3 引渡犯罪人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他本人を特定するに足りる事項でこれを指定しなければならない。
4 引渡犯罪人の年齢、性別、国籍、職業又は住居が明らかでないときは、その旨を記載すれば足りる。
(法第24条第1項の申立ての方式等)
第5条 法第24条第1項の申立ては、その理由を明示してしなければならない。
2 前項の申立ては、審問期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
3 前項の書面による申立てについては、刑事訴訟規則第297条の規定を準用する。
4 第1項の申立てがあったときは、東京高等裁判所は、直ちにその旨を東京高等検察庁の検察官に通知しなければならない。
(審査手続の停止の決定の手続等・法第24条)
第6条 東京高等裁判所は、法第24条第1項の決定をするには、東京高等検察庁の検察官の意見を聴かなければならない。
2 前項の決定の告知は、審問期日においては宣告により、その他の場合には裁判書の謄本を送達して、これをしなければならない。
3 前項の規定による裁判書の謄本の送達は、東京高等検察庁の検察官、引渡犯罪人及び補佐する弁護士に対してしなければならない。
(審査手続の停止の決定の取消し等・法第24条)
第7条 東京高等検察庁の検察官は、法第24条第1項の決定により審査の手続が停止されている場合において、国際刑事裁判所において引渡犯罪につき規程第17条1の規定による事件を受理するかどうかの決定があったときは、速やかに、東京高等裁判所に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
2 東京高等裁判所は、前項の規定により事件を受理する旨の決定があった旨の通知を受けたときは、決定をもって、法第24条第1項の決定を取り消さなければならない。
3 東京高等裁判所は、前項の決定をしたときは、速やかに、東京高等検察庁の検察官、引渡犯罪人及び補佐する弁護士に裁判書の謄本を送達しなければならない。
(逃亡犯罪人引渡法による審査等の手続に関する規則の準用)
第8条 この章に特別の定めがあるもののほか、引渡犯罪人の引渡し及び仮拘禁に関する裁判所の審査及び令状の発付に関する手続については、逃亡犯罪人引渡法による審査等の手続に関する規則(昭和28年最高裁判所規則第11号)第2条第2項、第3条及び第6条から第28条までの規定を準用する。この場合において、同規則第3条中「法及びこの規則」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成19年法律第37号)第2章第3節並びにこの規則及び国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則(平成19年最高裁判所規則第8号)第3章」と、同規則第8条第1項中「法第5条第3項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第21条第2項において読み替えて準用する逃亡犯罪人引渡法第5条第3項」と、同項第4号中「法第5条第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第21条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第5条第2項」と、同条第2項及び同規則第10条第2項中「第5条第3項及び第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則第4条第3項及び第4項」と、同条第1項及び同規則第11条第1項中「法第8条第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第22条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第8条第2項」と、同規則第10条第1項中「第5条第2項第1号から第7号まで」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則第4条第2項第1号から第5号まで」と、同規則第12条第1項第4号中「法第27条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第35条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第27条第1項」と、同規則第18条中「法第9条第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第9条第4項」と、同規則第19条第1項第1号中「法第9条第3項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第2項において読み替えて準用する逃亡犯罪人引渡法第9条第3項」と、同規則第22条第3項中「請求国の官憲」とあるのは「国際刑事裁判所の指定する者」と、同規則第25条第1項及び第27条中「法第10条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第1項」と、同規則第26条第1項中「法第10条第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第2項において準用する逃亡犯罪人引渡法第10条第2項」と、「同条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第23条第1項」と、同規則第28条中「第5条から第9条まで」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則第4条及び同規則第8条において準用する第6条から第9条まで」と読み替えるものとする。

第4章 執行協力に関する手続

(執行協力の請求に係る審査の請求の方式・法第40条)
第9条 罰金刑(法第2条第10号に規定する罰金刑をいう。以下同じ。)の確定裁判の執行に係る執行協力の請求の審査の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 執行協力の請求に係る確定裁判を受けた者の氏名及び当該確定裁判の確定年月日
 執行協力の請求に係る罰金刑の確定裁判における罰金額及びこれに相当する日本円の金額
 請求犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに罰金刑の根拠とされた法令の条項並びに請求犯罪が規程第70条1に規定する犯罪である場合には日本国の相当する罰条
2 没収刑(法第2条第10号に規定する没収刑をいう。以下同じ。)の確定裁判の執行に係る執行協力の請求の審査の請求は、前項第1号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 執行協力の請求に係る財産並びにこれを有する者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。)の氏名及び住所又は居所
 請求犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに没収刑の根拠とされた法令の条項並びに日本国の相当する罰条(請求犯罪が規程第70条1に規定する犯罪である場合に限る。)及び法令の条項
 請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるべきときは、その旨
 前号の場合において、当該執行協力の請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であり、かつ、その者又はその一般承継人に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるべきときは、その旨
 執行協力の請求に係る財産を有し又はその財産の上に地上権、抵当権その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該確定裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認めるべきときは、その旨
 没収刑の確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額
3 被害回復命令(法第2条第10号に規定する被害回復命令をいう。以下同じ。)の確定裁判の執行に係る執行協力の請求の審査の請求は、第1項第1号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 請求犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに被害回復命令の根拠とされた法令の条項並びに日本国の相当する法令の条項
 法第40条第2項後段に規定する意見
 法第40条第2項後段の規定により当該確定裁判が没収の確定裁判に相当する旨の意見を付したときは、次に掲げる事項
 執行協力の請求に係る財産並びにこれを有する者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。)の氏名及び住所又は居所
 請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において日本国の法令によれば当該執行協力の請求に係る財産が没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるべきときは、その旨
 ロの場合において、当該執行協力の請求に係る財産が、重大犯罪(法第2条第3号に規定する重大犯罪をいう。以下同じ。)に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であって、被害回復命令によりその者又はその一般承継人に返還すべきものであり、かつ、それらの者に帰属することを理由として没収の裁判をすることができる財産に当たるものでないと認めるべきときは、その旨
 前項第5号に掲げる事項
 被害回復命令の確定裁判の執行に代えて当該確定裁判を受けた者から追徴すべき日本円の金額
 法第40条第2項後段の規定により当該確定裁判が追徴の確定裁判に相当する旨の意見を付したときは、執行協力の請求に係る被害回復命令の確定裁判において示された金額及びこれに相当する日本円の金額
4 前3項の審査の請求をする場合には、法第41条第1項第2号に定める決定をすることができる要件があると認められるべき資料(同条第3項から第6項まで及び次条に規定する当該決定をする場合において同時に示さなければならないとされている事項を認めるべき資料を含む。)を提出しなければならない。
(日本円の金額の表示)
第10条 裁判所は、罰金刑の確定裁判の執行に係る執行協力の請求につき、法第41条第1項第2号に定める決定をするときは、当該確定裁判における罰金額に相当する日本円の金額を同時に示さなければならない。
2 裁判所は、被害回復命令の確定裁判の執行に係る執行協力の請求につき、法第41条第1項第2号に定める決定をする場合において、当該確定裁判が日本国の法令によれば追徴の確定裁判に相当する旨を示すときは、当該被害回復命令の確定裁判において示された金額に相当する日本円の金額を同時に示さなければならない。
(執行協力の実施に関する決定の取消しの請求の方式等・法第42条)
第11条 法第42条第5項において準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)第65条第1項の規定による取消しの請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 取消しを求める決定の表示
 取消しを求める事由
2 前項の請求をする場合には、法第42条第5項において準用する組織的犯罪処罰法第65条第1項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
3 裁判所は、検察官の請求による場合を除き、法第42条第5項において準用する組織的犯罪処罰法第65条第1項の決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。
(執行協力の請求に係る没収保全等の請求の方式・法第43条等)
第12条 法第43条第1項前段の規定による請求は、第9条第2項第1号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 請求犯罪に係る没収刑又は被害回復命令の裁判を受けるべき者の氏名
 債権の没収のための保全にあっては、債務者の氏名及び住所又は居所
 請求犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに没収保全の根拠とされた法令の条項並びに日本国の相当する罰条(請求犯罪が規程第70条1に規定する犯罪である場合に限る。)及び法令の条項
 没収刑のための保全に係る執行協力において、当該執行協力の請求に係る財産が、請求犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であるときは、当該請求犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該財産がその者又はその一般承継人に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないこと。
 被害回復命令のための保全であって日本国の法令によれば没収の保全に相当するものに係る執行協力において、当該執行協力の請求に係る財産が、重大犯罪に係る行為によりその被害を受けた者から得た財産であって、被害回復命令によりその者又はその一般承継人に返還すべきものであるときは、当該重大犯罪につき日本国において刑罰を科すとした場合において、日本国の法令によれば当該財産がそれらの者に帰属することを理由として没収保全をすることができる財産に当たるものでないこと。
2 法第45条第1項の規定による請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 請求犯罪に係る被害回復命令の裁判を受けるべき者の氏名
 執行協力の請求に係る追徴保全額
 処分を禁止すべき財産
 請求犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに追徴保全の根拠とされた法令の条項並びに日本国の相当する法令の条項
3 前2項の請求をする場合には、没収保全命令又は追徴保全命令を発することができる要件があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(犯罪収益に係る保全手続等に関する規則等の準用)
第13条 この章に特別の定めがあるもののほか、執行協力に関する手続については、その性質に反しない限り、犯罪収益に係る保全手続等に関する規則(平成11年最高裁判所規則第10号)第3章(第3条、第6条、第7条第2項及び第3項、第12条、第21条並びに第23条を除く。)、刑事訴訟規則(第1編第2章及び第5章から第13章まで、第2編第1章、第3編第1章、第3章及び第4章、第7編並びに第8編に限る。)、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する規則(昭和38年最高裁判所規則第8号)並びに逃亡犯罪人引渡法による審査等の手続に関する規則第19条、第21条及び第22条の規定を準用する。この場合において、犯罪収益に係る保全手続等に関する規則第4条第1項中「前条第1項各号」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則(平成19年最高裁判所規則第8号)第9条第2項第1号及び第12条第1項各号」と、「同条第1項第1号及び第6号」とあるのは「同項第1号」と、同項第3号及び同条第2項中「法第22条第2項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成19年法律第37号)第44条第2項」と、同規則第5条中「法」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第44条第3項において読み替えて準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」と、同規則第7条第1項及び第8条第1項第2号中「被疑者」とあり、並びに同規則第10条第1項及び第14条第1項第2号中「被告人又は被疑者」とあるのは「請求犯罪に係る国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第2条第10号に規定する没収刑又は被害回復命令の裁判を受けるべき者」と、同規則第8条中「起訴前」とあるのは「国際刑事裁判所に関するローマ規程第61条1に規定する審理が行われる前」と、同条及び同規則第11条第3項中「法第23条第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第44条第5項において読み替えて準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第68条第2項」と、同規則第10条第1項及び第11条の2第10項中「法第30条第4項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第47条において準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第30条第4項」と、同規則第11条第9項及び第11の2第10項中「法第36条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第47条において準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第36条第1項」と、同規則第11条第10項、第13条第1項、第14条第1項、第15条並びに第17条第1項第2号及び第2項中「法」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第47条において準用する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」と、同規則第11条第11項及び第11条の2第11項中「第3条第1項又は第26条第1項」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則第12条第1項」と、同規則第22条中「第5条から第9条まで(第7条第2項及び第3項を除く。)及び第12条」とあるのは「国際刑事裁判所に対する協力の手続に関する規則第13条において準用する第5条、第7条第1項、第8条及び第9条」と、「「追徴保全解放金」と、第12条中「第32条第1項」とあるのは「第47条」とあるのは「、「追徴保全解放金」と読み替えるものとする。

附則

この規則は、法の施行の日(平成19年10月1日)から施行する。
附則(平成20年10月15日最高裁判所規則第16号)抄
(施行期日)
1 この規則は、電子記録債権法(平成19年法律第102号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成20年12月1日)
附則(平成20年11月5日最高裁判所規則第21号)抄
(施行期日)
第1条 この規則は、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成21年1月5日)

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