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心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行規則

平成17年法務省・厚生労働省令第2号
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)を実施するため、並びに心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令(平成16年政令第310号)第9条第1項及び第11条第7号の規定に基づき、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行規則を次のように定める。

第1章 審判

(生活環境の調査)
第1条 保護観察所の長は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「法」という。)第38条(法第53条、第58条及び第63条において準用する場合を含む。)の規定により裁判所から法第2条第2項に規定する対象者の生活環境の調査及びその結果の報告を求められたときは、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による審判の手続等に関する規則(平成16年最高裁判所規則第13号。以下「規則」という。)第58条第1項(規則第76条、第82条及び第88条において準用する場合を含む。)の規定による裁判所の指示に従い、当該対象者に関する次の各号に掲げる事項について調査を行うものとする。
 住居の状況
 生計の状況
 家族の状況
 近隣の状況
 過去の生活及び治療の状況
 住居周辺の地域における指定通院医療機関の状況
 利用可能な精神障害者の保健又は福祉に関する援助等の内容
 その他生活環境に関する事項
(医療を受けるべき指定医療機関の通知)
第2条 法第43条第3項(法第51条第3項及び第61条第4項において準用する場合を含む。)の通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面でするものとする。
 医療を受けるべき指定医療機関の名称及び所在地
 医療を受けるべき指定医療機関を定めた年月日
 法第42条第1項第1号若しくは第2号、第51条第1項第2号又は第61条第1項第1号の決定を受けた者の氏名及び生年月日
 当該者が受けるべき医療が入院による医療又は入院によらない医療のいずれであるかの別
2 法第43条第4項(法第51条第3項及び第61条第4項において準用する場合を含む。)の通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面でするものとする。
 変更後の指定医療機関の名称及び所在地
 指定医療機関を変更した年月日
 変更後の指定医療機関において医療を受けるべき者の氏名及び生年月日
 当該者が受けるべき医療が入院による医療又は入院によらない医療のいずれであるかの別
 変更前の指定医療機関の名称及び所在地
 変更前の指定医療機関を定めた年月日
(保護観察所の名称等の通知)
第3条 保護観察所の長は、法第43条第3項(法第61条第4項において準用する場合を含む。)の規定により法第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定(以下「入院決定」という。)を受けた者が入院による医療を受けるべき指定入院医療機関について通知を受けたときは、速やかに、当該指定入院医療機関の管理者に対し、当該入院決定を受けた者について法第101条に規定する生活環境の調整(以下「生活環境の調整」という。)を行う保護観察所の名称及び所在地を通知するものとする。
2 入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所に変更があったときは、変更前の保護観察所の長は、速やかに、当該入院決定を受けた者が入院している指定入院医療機関の管理者に対し、変更後の保護観察所の名称及び所在地を通知するものとする。
(退院の許可の申立ての通知等)
第4条 指定入院医療機関の管理者は、入院決定により入院している者(以下「入院対象者」という。)について、法第49条第1項又は第2項の規定による申立てをしようとするときは、あらかじめ、当該入院対象者の生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、その旨を通知するものとする。
2 前項の通知を受けた保護観察所の長は、速やかに、当該通知をした指定入院医療機関の管理者に対し、当該入院対象者について、法第49条第1項又は第2項に規定する場合に該当するか否かについての意見及びその理由を、書面で提出するものとする。
3 指定入院医療機関の管理者は、入院対象者について、法第49条第1項又は第2項の規定による申立てをしたときは、速やかに、当該入院対象者の生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、その旨を通知するものとする。当該申立てに対して法第51条第1項第1号若しくは第3号又は第2項の決定があったときも、同様とする。
第5条 指定入院医療機関の管理者は、入院対象者について、規則第74条の規定により法第50条の申立てがあった旨の通知を受けたときは、速やかに、当該入院対象者の生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、その旨を通知するものとする。当該申立てに対して法第51条第1項第1号若しくは第3号又は第2項の決定があったとき及び当該申立てが取り下げられたときも、同様とする。
(処遇の終了の申立てに関する通知等)
第6条 保護観察所の長は、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定を受けた者(以下「通院対象者」という。)について、法第54条第1項若しくは第2項又は第59条第1項若しくは第2項の規定による申立てをしようとするときは、あらかじめ、当該通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。第3項、次条、第13条及び第14条第1項において同じ。)の管理者に対し、その旨を通知するものとする。ただし、緊急を要するとき及び法第110条第1項又は第2項の規定による通知を受けたときは、この限りでない。
2 前項本文の通知を受けた指定通院医療機関の管理者は、速やかに、当該通知をした保護観察所の長に対し、当該通院対象者について、法第110条第1項第1号若しくは第2号に該当するか否か、又は同条第2項に規定する場合に該当するか否かについての意見及びその理由を、書面で提出するものとする。
3 保護観察所の長は、通院対象者について、法第54条第1項若しくは第2項又は第59条第1項若しくは第2項の規定による申立てをしたときは、速やかに、当該通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者に対し、その旨を通知するものとする。当該申立てに対して法第56条第1項若しくは第2項又は第61条第1項若しくは第2項の決定があったとき及び当該申立てを取り下げたときも、同様とする。
第7条 保護観察所の長は、通院対象者について、規則第80条の規定により法第55条の申立てがあった旨の通知を受けたときは、速やかに、当該通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者に対し、その旨を通知するものとする。当該申立てに対して法第56条第1項又は第2項の決定があったとき及び当該申立てが取り下げられたときも、同様とする。

第2章 医療

(令第9条第1項の主務省令で定める保護観察所)
第8条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令(以下「令」という。)第9条第1項の主務省令で定める保護観察所は、同項の入院対象者の生活環境の調整を行う保護観察所とする。
(保護観察所の長に対する通報)
第9条 指定入院医療機関の管理者は、入院決定を受けた者について、次の各号のいずれかの事実を知ったときは、速やかに、当該入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、その旨を通報するものとする。
 当該指定入院医療機関から無断で退去したこと(法第100条第1項又は第2項の規定により外出又は外泊している者が同条第1項に規定する医学的管理の下から無断で離れたことを含む。)。
 当該指定入院医療機関から無断で退去した場合(前号に規定する医学的管理の下から無断で離れた場合を含む。)において、その後再び指定入院医療機関に入院することとなったこと(法第99条第1項の規定により連れ戻されたことを含む。)。
 刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定によりその身体を拘束されたこと。
 刑事事件又は少年の保護事件に関する法令の規定による身体の拘束を解かれたこと。
(入院対象者の死亡に関する届出等)
第10条 指定入院医療機関の管理者は、入院対象者が死亡したときは、速やかに、当該指定入院医療機関の所在地を管轄する地方厚生局長に対し、その旨を届け出なければならない。
2 前項の届出を受けた地方厚生局長は、速やかに、当該届出に係る入院対象者に対して法第42条第1項第1号又は第2号の決定をした地方裁判所及び当該入院対象者の生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、その旨を通知しなければならない。
(生活環境の調整計画)
第11条 保護観察所の長は、生活環境の調整を行うに当たっては、入院決定を受けた者から退院後の生活に関する希望を聴いた上で、調整計画を定めるとともに、生活環境の調整の状況に応じ、当該調整計画について必要な見直しを行うものとする。
2 保護観察所の長は、前項の調整計画の策定又は見直しを行うために必要があると認めるときは、指定入院医療機関の管理者に協力を求めることができる。
3 第1項の調整計画には、次の各号に掲げる事項に関する調整の方針を記載するものとする。
 退院後の住居
 退院後の生計の確保
 保護者その他家族との関係
 退院後に必要となる医療の内容
 退院後に必要となる援助の内容
 その他調整すべき事項
(処遇の実施計画の案)
第12条 入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所の長は、当該生活環境の調整の状況に応じ、当該入院決定を受けた者について法第51条第1項第2号の決定があった場合における法第104条第1項に規定する実施計画(以下「処遇の実施計画」という。)の案を作成するものとする。
(指定通院医療機関の候補)
第13条 入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所の長は、処遇の実施計画の案の作成その他生活環境の調整を行うため必要があると認めるときは、当該入院決定を受けた者が入院している指定入院医療機関の所在地を管轄する地方厚生局長に対し、当該入院決定を受けた者について法第51条第1項第2号の決定があった場合に入院によらない医療を行うことが相当と認められる指定通院医療機関を定めるよう求めるものとする。この場合において、保護観察所の長は、当該地方厚生局長に対し、当該入院決定を受けた者の生活環境の調整の状況を通知するものとする。
2 前項の求めを受けた地方厚生局長は、当該入院決定を受けた者について法第51条第1項第2号の決定があった場合に入院によらない医療を行うことを相当と認める指定通院医療機関を定め、当該指定通院医療機関の管理者に対し、その旨を通知するとともに、前項の保護観察所の長に対し、当該指定通院医療機関の名称及び所在地を通知するものとする。
(生活環境の調整のための会議)
第14条 入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所の長は、当該入院決定を受けた者について、処遇の実施計画の案の作成その他生活環境の調整を行うため会議を開催する必要があると認めるときは、前条第2項の規定により定められた指定通院医療機関の管理者並びに当該入院決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)又はこれらの者の指名する職員の出席を求めることができる。
2 入院決定を受けた者の生活環境の調整を行う保護観察所の長は、処遇の実施計画の案の作成その他生活環境の調整を行うため必要があると認めるときは、前項に規定する者のほか、当該入院決定を受けた者に対して援助を行う者その他の適当な者に対し、同項の会議への出席を依頼することができる。

第3章 地域社会における処遇

(処遇の実施計画の記載事項)
第15条 令第11条第7号の主務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
 医療のため緊急を要する場合における対応方法
 法による医療が終了した後における医療及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)その他の精神障害者の保健又は福祉に関する法令の規定に基づく援助等の確保に関し必要な事項
(処遇の実施計画の作成等)
第16条 法第104条第1項又は第3項の規定により保護観察所の長から協議を求められた通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該通院対象者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める事項につき、意見を提出するものとする。
 指定通院医療機関の管理者 令第11条第1号(指定通院医療機関の管理者による医療及び援助に関する事項に限る。)、第2号及び第4号(指定通院医療機関の管理者による援助に関する事項に限る。)に掲げる事項その他指定通院医療機関の管理者が実施する処遇に関する事項
 都道府県知事及び市町村長 令第11条第1号及び第4号(いずれも都道府県及び市町村(特別区を含む。)による援助に関する事項に限る。)に掲げる事項その他都道府県知事及び市町村長が実施する処遇に関する事項
(処遇の実施計画の通知)
第17条 保護観察所の長は、処遇の実施計画を定めたときは、通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該通院対象者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、当該処遇の実施計画の内容を通知するものとする。処遇の実施計画について見直しを行ったときも、同様とする。
(保護観察所の長による報告の求め)
第18条 保護観察所の長は、法第106条第1項に規定する精神保健観察を実施するため必要があると認めるときは、通院対象者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者並びに当該通院対象者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、当該通院対象者が必要な医療を受けているか否か及びその生活の状況について報告を求めるものとする。
(居住地の通知)
第19条 通院対象者から法第107条の規定による居住地の届出を受けた保護観察所の長は、速やかに、当該通院対象者に対して法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定をした地方裁判所の所在地を管轄する地方厚生局長並びに当該通院対象者の居住地を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、その旨を通知するものとする。
(転居の届出)
第20条 法第107条第2号の規定による転居の届出をするときは、次の各号に掲げる事項を明らかにして行うものとする。
 通院対象者の氏名、生年月日及び居住地
 転居先
 転居の理由
 転居の予定日
2 前項の届出を受けた保護観察所の長は、速やかに、当該保護観察所の所在地を管轄する地方厚生局長並びに当該届出に係る転居先を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、その旨を通知するものとする。
3 保護観察所の長は、第1項の届出に係る転居先における医療又は援助を確保するため必要があると認めるときは、法第108条第2項の規定により、指定通院医療機関の管理者並びに当該転居先を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、必要な協力を求めるものとする。
(長期の旅行の期間)
第21条 法第107条第2号に規定する長期の旅行は、その期間が旅行の初日から起算して2週間以上のものをいうものとする。
(長期の旅行の届出)
第22条 法第107条第2号の規定による長期の旅行の届出をするときは、次の各号に掲げる事項を明らかにして行うものとする。
 通院対象者の氏名、生年月日及び居住地
 旅行先
 旅行の目的
 旅行の予定期間
 旅行中に受ける医療及び援助の予定
2 保護観察所の長は、前項の届出に係る旅行先における医療又は援助を確保するため必要があると認めるときは、法第108条第2項の規定により、指定通院医療機関の管理者並びに当該旅行先を管轄する都道府県知事及び市町村長に対し、必要な協力を求めるものとする。
(保護観察所の長に対する通知等)
第23条 法第110条第1項の規定による通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面でするものとする。ただし、緊急を要するときは、この限りでない。
 通院対象者の氏名及び生年月日
 法第110条第1項第1号又は第2号に該当する旨及びその理由
第24条 法第110条第2項の規定による通知は、次の各号に掲げる事項を記載した書面でするものとする。
 通院対象者の氏名及び生年月日
 法第110条第2項に規定する場合に該当する旨及びその理由
第25条 法第111条の規定による通報は、次の各号に掲げる事項を記載した書面でするものとする。ただし、緊急を要するときは、この限りでない。
 通院対象者の氏名及び生年月日
 法第43条第2項(法第51条第3項において準用する場合を含む。)の規定に違反する事実又は法第107条各号に掲げる事項を守らない事実があると認める旨及びその事実の内容

第4章 雑則

(社会復帰調整官の証票)
第26条 社会復帰調整官は、法第19条各号に掲げる事務に従事する場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人から請求があったときは、これを呈示しなければならない。

附則

(施行期日)
この省令は、法の施行の日(平成17年7月15日)から施行する。
附則 (平成18年3月31日法務省・厚生労働省令第1号)
この省令は、平成18年4月1日から施行する。
附則 (平成25年2月15日法務省・厚生労働省令第1号)
この省令は、平成25年4月1日から施行する。
附則 (平成26年3月17日法務省・厚生労働省令第1号)
この省令は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律の施行の日(平成26年4月1日)から施行する。

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