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人事訴訟規則

平成15年11月12日最高裁判所規則第24号

第1章 総則

第1節 通則

(趣旨)
第1条 この規則は、人事訴訟に関する手続について、民事訴訟規則(平成8年最高裁判所規則第5号)の特例等を定めるものとする。

第2節 裁判所

第1款 管轄
(法第4条第2項の地の指定・法第4条)
第2条 人事訴訟法(平成15年法律第109号。以下「法」という。)第4条(人事に関する訴えの管轄)第2項の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする。
(自庁処理の申立ての方式・法第6条)
第3条 法第6条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)の申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
2 前項の申立てをするときは、申立ての理由を明らかにしなければならない。
(自庁処理における取扱い・法第6条)
第4条 法第6条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)の申立てがあったときは、家庭裁判所は、相手方の意見を聴いて決定をするものとする。
2 家庭裁判所は、職権により法第6条の規定による決定をするときは、当事者の意見を聴かなければならない。
(裁量移送における取扱い・法第7条等)
第5条 法第7条(遅滞を避ける等のための移送)又は第8条(関連請求に係る訴訟の移送)第1項の申立てがあったときは、裁判所は、相手方の意見を聴いて決定をするものとする。
2 家庭裁判所は、職権により法第7条の規定による移送の決定をするときは、当事者の意見を聴くことができる。
第2款 参与員
(参与員の指定・法第9条)
第6条 家庭裁判所は、人事訴訟に係る事件について参与員を指定するに当たっては、当該事件について家事事件手続法(平成23年法律第52号)第257条(調停前置主義)第1項の規定により申し立てられた調停に係る事件に家事調停委員として関与していない者を指定するように意を用いなければならない。
(参与員の除斥、忌避及び回避・法第10条)
第7条 民事訴訟規則第10条から第12条まで(除斥又は忌避の申立ての方式等、除斥又は忌避についての裁判官の意見陳述及び裁判官の回避)の規定は、参与員について準用する。
(参与員の発問)
第8条 裁判長は、必要があると認めるときは、参与員が証人、当事者本人又は鑑定人に対し直接に問いを発することを許すことができる。

第3節 当事者

(訴訟代理人の選任の裁判の告知・法第13条)
第9条 法第13条(人事訴訟における訴訟能力等)第2項の規定による訴訟代理人の選任の裁判は、当該訴訟代理人にも告知しなければならない。同条第3項の規定による訴訟代理人の選任の裁判についても、同様とする。
(利害関係人の訴訟参加の決定等の通知・法第15条)
第10条 法第15条(利害関係人の訴訟参加)第1項の決定又は同条第5項の規定によるその取消しの決定は、当該人事訴訟の当事者双方に通知しなければならない。

第4節 訴訟手続

(訴状の記載事項)
第11条 人事に関する訴えを提起するに当たり、当該訴えに係る人事訴訟の目的と同一の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする請求に係る人事訴訟が既に係属しているときは、訴状には、民事訴訟規則第53条(訴状の記載事項)第1項及び第4項に規定する事項のほか、当該人事訴訟が既に係属する裁判所及び当該人事訴訟に係る事件の表示を記載しなければならない。
(関連請求の訴えの訴状の記載事項・法第17条)
第12条 法第17条(関連請求の併合等)第2項の規定により人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えを家庭裁判所に提起するときは、訴状には、民事訴訟規則第53条(訴状の記載事項)第1項及び第4項に規定する事項のほか、当該人事訴訟が当該家庭裁判所に既に係属する旨及び当該人事訴訟に係る事件の表示を記載しなければならない。
(訴状の添付書類)
第13条 人事に関する訴えの訴状には、当該訴えに係る身分関係の当事者の戸籍の謄本のほか、法第15条(利害関係人の訴訟参加)第1項に規定する利害関係人の有無並びにその氏名及び住所又は居所を明らかにするために必要な他の戸籍の謄本その他の書類を添付しなければならない。
(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第19条)
第14条 人事訴訟における訴訟の目的については、民事訴訟規則第95条(進行協議期日)第2項(請求の放棄及び認諾に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(当事者本人の勾引・法第21条)
第15条 法第21条(当事者本人の出頭命令等)第1項の規定により当事者本人の尋問の期日への出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合には、民事訴訟規則第111条(勾引)の規定は、同規則第127条(証人尋問の規定の準用)ただし書の規定にかかわらず、当該当事者の勾引について準用する。

第5節 補則

(利害関係人に対する訴訟係属の通知・法第28条)
第16条 法第28条(利害関係人に対する訴訟係属の通知)の規定による通知は、別表の上欄に掲げる訴えの区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める者で訴訟記録上氏名及び住所又は居所が判明しているものにするものとする。
(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)
第17条 戸籍の届出又は訂正を必要とする事項について人事訴訟の判決が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なく、当該人事訴訟に係る身分関係の当事者の本籍地の戸籍事務を管掌する者に対し、その旨を通知しなければならない。
(民事訴訟規則の適用関係・法第29条)
第18条 人事訴訟に関する手続についての民事訴訟規則の規定の適用については、同規則第104条(証拠調べの再嘱託の通知)中「地方裁判所」とあるのは、「家庭裁判所」とする。

第2章 婚姻関係訴訟の特例

第1節 附帯処分等

(附帯処分の申立ての方式等・法第32条)
第19条 法第32条(附帯処分についての裁判等)第1項の申立ては、書面でしなければならない。
2 前項の書面には、申立ての趣旨及び理由を記載し、証拠となるべき文書の写しで重要なものを添付しなければならない。
3 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第78条の2第2項の規定による処分の申立てをする場合における第1項の書面には、同法第78条の4第1項の情報の内容が記載された文書であって、同項の規定により提供されたものを添付しなければならない。
4 第1項の書面は、相手方に送達しなければならない。
(事実の調査・法第33条等)
第20条 婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟において、事実の調査は、審理の経過、証拠調べの結果その他の事情を考慮して必要があると認められるときは、医学、心理学、社会学、経済学その他の専門的知識を活用して行うように努めなければならない。
2 裁判所は、前項の場合において、家庭裁判所調査官に同項の専門的知識を活用した事実の調査をさせるときは、その事実の調査を要する事項を特定するものとする。
(事実の調査における調査の嘱託等・法第33条)
第21条 事実の調査においては、裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当であると認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の雇主その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
2 裁判所がする前項の嘱託の手続は、裁判所書記官がする。
(審問期日の通知・法第33条)
第22条 法第33条(事実の調査)第4項の審問期日は、当事者に通知しなければならない。ただし、その通知をすることにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
(事実の調査の要旨の記録化・法第33条等)
第23条 事実の調査については、裁判所書記官は、その要旨を記録上明らかにしておかなければならない。
(事実の調査の通知・法第33条等)
第24条 裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者に通知しなければならない。
(家庭裁判所調査官の除斥及び回避・法第34条の2)
第24条の2 民事訴訟規則第10条から第12条まで(除斥又は忌避の申立ての方式等、除斥又は忌避についての裁判官の意見陳述及び裁判官の回避)の規定(忌避に関する部分を除く。)は、家庭裁判所調査官について準用する。
(事実調査部分の閲覧等の許可・法第35条)
第25条 法第35条(事実調査部分の閲覧等)第2項又は第3項の規定により事実調査部分の閲覧等を許可する決定においては、当該事実調査部分中閲覧等を許可する部分を特定しなければならない。
(法第35条第4項又は第6項の即時抗告に係る抗告状の記載事項等・法第35条)
第26条 法第35条(事実調査部分の閲覧等)第4項又は第6項の即時抗告をするときは、抗告状には、原裁判の取消し又は変更を求める事由を具体的に記載しなければならない。
2 法第35条第4項又は第6項の即時抗告については、民事訴訟規則第207条(原裁判の取消し事由等を記載した書面)の規定は、適用しない。
(法第35条第4項の即時抗告に係る記録の送付・法第35条)
第27条 法第35条(事実調査部分の閲覧等)第4項の即時抗告があった場合において、原裁判所が人事訴訟に係る事件の記録を送付する必要がないと認めたときは、民事訴訟規則第205条(控訴又は上告の規定の準用)において準用する同規則第174条(控訴提起による事件送付)第2項の規定にかかわらず、原裁判所の裁判所書記官は、抗告事件の記録のみを抗告裁判所の裁判所書記官に送付すれば足りる。
2 前項の規定により抗告事件の記録が送付された場合において、抗告裁判所が同項の人事訴訟に係る事件の記録が必要であると認めたときは、抗告裁判所の裁判所書記官は、速やかに、その送付を原裁判所の裁判所書記官に求めなければならない。
(法第35条第6項の即時抗告に係る記録の送付・法第35条)
第28条 法第35条(事実調査部分の閲覧等)第6項の即時抗告があったときは、前条(法第35条第4項の即時抗告に係る記録の送付)の規定にかかわらず、原裁判所の裁判所書記官は、抗告事件の記録のみを抗告裁判所の裁判所書記官に送付するものとする。
2 前項の場合には、同項の記録に、抗告事件についての原裁判所の意見を記載した書面及び抗告事件の審理に参考となる資料を添付しなければならない。
(協議上の離婚による婚姻の終了の場合の提出書類等・法第36条)
第29条 婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟の係属中に当該訴えに係る婚姻の当事者が協議上の離婚をした場合において、当該訴えの取下げをしようとする者は、既に附帯処分の申立てがされており、かつ、当該申立ての取下げがされないときは、当該訴えの取下げの書面とともに、当該訴えに係る婚姻の当事者が協議上の離婚をしたことを証する戸籍の謄本その他の書類を受訴裁判所に提出しなければならない。
2 前項の場合には、受訴裁判所は、当事者双方から、同項の附帯処分に係る事項がその協議上の離婚に際して定められているかどうかを聴かなければならない。

第2節 和解並びに請求の放棄及び認諾

(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第37条)
第30条 離婚の訴えに係る訴訟における請求の放棄及び認諾については、第14条(進行協議期日における請求の放棄及び認諾)の規定にかかわらず、民事訴訟規則第95条(進行協議期日)第2項の規定を適用する。ただし、請求の認諾については、法第37条(和解並びに請求の放棄及び認諾)第1項ただし書に規定する場合に限る。
(戸籍事務管掌者に対する和解及び請求の認諾の通知・法第37条)
第31条 第17条(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)の規定は、離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。)又は請求の認諾が調書に記載された場合について準用する。

第3節 履行の確保

(履行の確保の手続・法第39条)
第32条 家庭裁判所は、法第39条(履行命令)第1項(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命ずる場合には、同時に、義務者に対しその違反に対する法律上の制裁を告知しなければならない。

第3章 実親子関係訴訟の特例

(訴訟手続の受継の申立書の添付書類・法第41条等)
第33条 法第41条(嫡出否認の訴えの当事者等)第2項又は第42条(認知の訴えの当事者等)第3項の規定による訴訟手続の受継の申立てをするときは、申立書には、訴訟手続を受け継ぐ者が法第41条第2項又は第42条第3項の規定により訴訟手続を受け継ぐことができる者であることを明らかにするために必要な戸籍の謄本その他の書類を添付しなければならない。

第4章 養子縁組関係訴訟の特例

(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第44条)
第34条 第30条(進行協議期日における請求の放棄及び認諾)本文の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における請求の放棄及び認諾について準用する。
(戸籍事務管掌者に対する和解及び請求の認諾の通知・法第44条)
第35条 第17条(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における和解(これにより離縁がされるものに限る。)又は請求の認諾が調書に記載された場合について準用する。

附則

(施行期日)
第1条 この規則は、法の施行の日から施行する。(施行の日=平成16年4月1日)
(経過措置)
第2条 この規則の規定は、法の附則に特別の定めがある場合を除き、この規則の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、この規則の施行前に民事訴訟規則により生じた効力を妨げない。
附則(平成17年2月7日最高裁判所規則第4号)
この規則は、民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成17年4月1日)
附則(平成18年12月6日最高裁判所規則第13号)
この規則は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成24年7月17日最高裁判所規則第9号) 抄
(施行期日)
第1条 この規則は、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成25年1月1日)
(人事訴訟規則の一部改正に伴う経過措置)
第4条 整備法の施行前に旧家事審判法第18条第1項の規定により申し立てられた調停に係る事件については、家事事件手続法(平成23年法律第52号)第257条第1項の規定により申し立てられた調停に係る事件とみなして、第16条の規定による改正後の人事訴訟規則第6条の規定を準用する。
附則(平成27年6月29日最高裁判所規則第6号) 抄
(施行期日)
第1条 この規則は、平成28年1月1日から施行する。
附則(平成27年8月3日最高裁判所規則第8号)
この規則は、平成27年10月1日から施行する。
別表(第16条関係)
上欄 下欄
1 婚姻の無効の訴え 夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合における婚姻の無効により嫡出でない子となる者又はその代襲者。ただし、当該夫又は妻に嫡出子又はその代襲者がある場合に限る。
2 協議上の離婚の無効の訴え 夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人。ただし、その相続人が、再婚をした当該夫又は妻の配偶者とともに相続した者であるときは、この限りでない。
3 協議上の離婚の取消しの訴え 夫又は妻が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人。ただし、その相続人が、再婚をした当該夫又は妻の配偶者とともに相続した者であるときは、この限りでない。
4 婚姻関係の存在の確認の訴え 2の項に定める者
5 婚姻関係の不存在の確認の訴え 夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合における婚姻関係の不存在により嫡出でない子となる者又はその代襲者。ただし、当該夫又は妻に嫡出子又はその代襲者がある場合に限る。
6 認知の訴え 父が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(父の妻で子又はその代襲者とともに相続したものを除く。)
7 認知の無効の訴え 子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で認知をした者の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
8 認知の取消しの訴え 7の項に定める者
9 父を定めることを目的とする訴え 配偶者又は前配偶者が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該配偶者又は前配偶者の妻で子又はその代襲者とともに相続したものを除く。)
10 実親子関係の存在の確認の訴え 子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(子の直系卑属及び子の配偶者で直系卑属又は直系尊属とともに相続したものを除く。)又は父若しくは母が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該父又は母の配偶者で直系卑属とともに相続したものを除く。)
11 実親子関係の不存在の確認の訴え 子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で父又は母の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
12 養子縁組の無効の訴え 養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で養親の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
13 養子縁組の取消しの訴え 養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で養親の相続人となるべきもの
14 協議上の離縁の無効の訴え 養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(養子の直系卑属及び養子の配偶者で直系卑属又は直系尊属とともに相続したものを除く。)又は養親が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該養親の配偶者で直系卑属とともに相続したものを除く。)
15 協議上の離縁の取消しの訴え 14の項に定める者
16 養親子関係の存在の確認の訴え 14の項に定める者
17 養親子関係の不存在の確認の訴え 12の項に定める者

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