どくりつぎょうせいほうじんじどうしゃじこたいさくきこうほう
独立行政法人自動車事故対策機構法
平成14年法律第183号
第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、独立行政法人自動車事故対策機構の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(名称)
第2条 この法律及び独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第2条第1項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人自動車事故対策機構とする。
(機構の目的)
第3条 独立行政法人自動車事故対策機構(以下「機構」という。)は、自動車の運行の安全の確保に関する事項を処理する者に対する指導、自動車事故による被害者に対しその身体的又は財産的被害の回復に資する支援等を行うことにより、自動車事故の発生の防止に資するとともに、自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号。以下「自賠法」という。)による損害賠償の保障制度と相まって被害者の保護を増進することを目的とする。
(中期目標管理法人)
第3条の2 機構は、通則法第2条第2項に規定する中期目標管理法人とする。
(事務所)
第4条 機構は、主たる事務所を東京都に置く。
(資本金)
第5条 機構の資本金は、附則第2条第6項の規定により政府及び政府以外の者から出資があったものとされた金額とする。
2 機構は、必要があるときは、国土交通大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により機構がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。
(持分の払戻し等の禁止)
第6条 機構は、通則法第46条の2第1項若しくは第2項の規定による国庫への納付又は通則法第46条の3第3項の規定による払戻しをする場合を除くほか、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 機構は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(持分の譲渡等)
第7条 政府以外の出資者は、その持分を譲渡することができる。
2 政府以外の出資者の持分の移転は、譲受け者について第19条第2項各号に掲げる事項を出資者原簿に記載した後でなければ、機構その他の第三者に対抗することができない。
3 出資者の持分については、信託財産に属する財産である旨を出資者原簿に記載しなければ、当該持分が信託財産に属することを機構その他の第三者に対抗することができない。
第2章 役員及び職員
(役員)
第8条 機構に、役員として、その長である理事長及び監事2人を置く。
2 機構に、役員として、理事3人以内を置くことができる。
(理事の職務及び権限等)
第9条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して機構の業務を掌理する。
2 通則法第19条第2項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
3 前項ただし書の場合において、通則法第19条第2項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(理事の任期)
第10条 理事の任期は、当該理事について理事長が定める期間(その末日が通則法第21条第1項の規定による理事長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第11条 機構の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第12条 機構の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第3章 業務等
(業務の範囲)
第13条 機構は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)第2条第8項に規定する第2種貨物利用運送事業を含む。)の用に供する自動車(以下単に「自動車」という。)の運行の安全の確保に関する事項を処理する者に対し、当該事項に関する指導及び講習を行うこと。
二 自動車の運転者に対し、適性診断(自動車の運行の安全を確保するため、自動車の運行の態様に応じ運転者に必要とされる事項について心理学的又は医学的な方法による調査を行い、必要に応じて指導することをいう。)を行うこと。
三 自動車事故による被害者で後遺障害(傷害が治ってもなお身体に存する障害をいう。以下同じ。)が存するため治療及び常時の介護を必要とするものを収容して治療及び養護を行う施設を設置し、及び運営すること。
四 自動車事故により介護を必要とする後遺障害をもたらす傷害を受けた者であって国土交通省令で定める基準に適合するものに対し、介護料を支給すること。
五 次に掲げる被害者であって生活の困窮の程度が国土交通省令で定める基準に適合するものに対し、当該被害者に必要な資金の全部又は一部の貸付けを行うこと。
イ 自動車事故により死亡した者の遺族又は国土交通省令で定める後遺障害をもたらす傷害を受けた者の家族である義務教育終了前の児童
ロ 自動車事故による損害賠償についての債務名義を得た被害者であって当該債務名義に係る債権についてその全部又は一部の弁済を受けることが困難であると認められるもの
六 次に掲げる被害者であって生活の困窮の程度が国土交通省令で定める基準に適合するものに対し、当該被害者が損害賠償額又は損害のてん補として支払われる金額の支払を受けるまでの間、その支払を受けるべき金額の一部に相当する資金の貸付けを行うこと。
イ 自賠法の規定により後遺障害に係る損害賠償額の支払を受けるべき被害者
ロ 自賠法第4章の規定による損害のてん補として支払われる金額の支払を受けるべき被害者
七 自賠法による損害賠償の保障制度について周知宣伝を行うこと。
八 自動車事故の発生の防止及び被害者の保護に関する調査及び研究を行い、その成果を普及すること。
九 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(生活資金の返還の免除)
第14条 機構は、前条第5号及び第6号の規定により貸付けを受けた者が死亡又は心身障害により当該貸付けを受けた資金(以下「生活資金」という。)を返還することができなくなったときは、生活資金の全部又は一部の返還を免除することができる。
(利益及び損失の処理の特例等)
第15条 機構は、通則法第29条第2項第1号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第44条第1項又は第2項の規定による整理を行った後、同条第1項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち国土交通大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第30条第1項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第13条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 機構は、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(長期借入金)
第16条 機構は、第13条第5号及び第6号に掲げる業務に必要な費用に充てるため、国土交通大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
(償還計画)
第17条 機構は、毎事業年度、長期借入金の償還計画を立てて、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
(政府からの資金の貸付け)
第18条 政府は、毎年度、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、第13条第5号及び第6号に掲げる業務に要する資金を無利子で貸し付けることができる。
2 政府は、機構が第14条の規定により生活資金の全部又は一部の返還を免除したときは、機構に対し、その免除した金額に相当する額の前項の貸付金の償還を免除することができる。
第4章 雑則
(出資者原簿)
第19条 機構は、出資者原簿を備えて置かなければならない。
2 出資者原簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日又は出資者の持分の譲受けの年月日
三 出資額又は出資者の持分の譲受け額(以下「出資額」という。)
3 政府以外の出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。
(解散)
第20条 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。
(財務大臣との協議)
第21条 国土交通大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。
一 第5条第2項、第16条又は第17条の認可をしようとするとき。
二 第15条第1項の承認をしようとするとき。
(主務大臣等)
第22条 機構に係る通則法における主務大臣及び主務省令は、それぞれ国土交通大臣及び国土交通省令とする。
第23条 削除
(国家公務員宿舎法の適用除外)
第24条 国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号)の規定は、機構の役員及び職員には適用しない。
第5章 罰則
第25条 第11条の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
第26条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、20万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により国土交通大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 第13条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
附則
(施行期日)
第1条 この法律は、平成15年10月1日から施行する。ただし、第22条、次条及び附則第12条の規定は、同年7月1日から施行する。
(自動車事故対策センターの解散等)
第2条 自動車事故対策センター(以下「センター」という。)は、機構の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、次項の規定により国が承継する資産を除き、その時において機構が承継する。
2 機構の成立の際現にセンターが有する権利のうち、機構がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は、機構の成立の時において国が承継する。
3 前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4 センターの解散の日の前日を含む事業年度は、その日に終わるものとする。
5 センターの解散の日の前日を含む事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
6 第1項の規定により機構がセンターの権利及び義務を承継したときは、その承継の際、機構が承継する資産の価額から負債の金額を差し引いた額は、政令で定めるところにより、政府及び政府以外の者から機構に対しセンターの解散の日の前日におけるセンターに対するそれぞれの出資額に応じて出資されたものとする。この場合において、政府以外の者から出資されたものとする金額は、センターの解散の日の前日におけるセンターに対する政府以外の者の出資額を超えないものとする。
7 前項の資産の価額は、機構の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
8 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
9 センターの解散については、自動車事故対策センター法(昭和48年法律第65号。以下「旧法」という。)第47条第1項の規定による残余財産の分配は、行わない。
10 第1項の規定によりセンターが解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(政府が有する債権の免除)
第3条 政府は、旧法第31条第1項第3号及び第4号の業務に必要な費用に充てるため政府から旧法第40条の規定によりセンターに貸し付けた資金であって政令で定めるものに係るセンターに対する債権を免除するものとする。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第4条 センターが旧法第40条の規定により政府から貸付けを受けて行った旧法第31条第1項第3号及び第4号の規定による貸付けについては、第18条第2項の規定は、適用しない。
第5条 附則第2条第1項の規定により機構が承継する債務に係るセンターの長期借入金は、第17条の規定の適用については、同条の長期借入金とみなす。
(持分の払戻し)
第6条 附則第2条第6項の規定により機構に出資したものとされた政府以外の者は、機構に対し、機構の成立の日から1月以内に限り、当該出資に係る持分の払戻しを請求することができる。
2 機構は、前項の規定による請求があったときは、第6条第1項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該政府以外の者が有する機構の成立の日における機構の純資産額に対する持分に相当する金額(その金額が当該持分に係る出資額を超えるときは、当該出資額に相当する金額)により持分の払戻しをしなければならない。この場合において、機構は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
(自動車事故対策センター法の廃止)
第7条 自動車事故対策センター法は、廃止する。
(自動車事故対策センター法の廃止に伴う経過措置)
第8条 旧法(第19条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、通則法又はこの法律中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第9条 センターの役員又は職員であった者に係るその職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない義務については、この法律の施行後も、なお従前の例による。
(罰則の適用に関する経過措置)
第10条 この法律の施行前にした行為並びに附則第2条第5項及び前条の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(理事長の任期の特例)
第11条 通則法第14条第2項の規定により機構の成立の時に理事長に任命されたものとされる理事長の任期については、第10条第1項中「任命の日」とあるのは、「機構の成立の日」とする。
(政令への委任)
第12条 附則第2条から前条までに定めるもののほか、機構の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成16年6月18日法律第126号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、協定の効力発生の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一・二 略
三 附則第42条の規定 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(平成16年法律第130号)の公布の日又は公布日のいずれか遅い日
附則 (平成16年6月18日法律第127号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、協定の効力発生の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 附則第3条の規定 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(平成16年法律第130号)の公布の日又は公布日のいずれか遅い日
附則 (平成16年6月23日法律第130号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、平成16年10月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 第2条、第7条、第10条、第13条及び第18条並びに附則第9条から第15条まで、第28条から第36条まで、第38条から第76条の2まで、第79条及び第81条の規定 平成17年4月1日
附則 (平成16年6月23日法律第135号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 附則第17条の規定 この法律の公布の日又は国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(平成16年法律第130号)の公布の日のいずれか遅い日
附則 (平成18年12月15日法律第109号) 抄
この法律は、新信託法の施行の日から施行する。
附則 (平成22年5月28日法律第37号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
第34条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第35条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附則 (平成26年6月13日法律第67号) 抄
(施行期日)
第1条 この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成26年法律第66号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第14条第2項、第18条及び第30条の規定 公布の日
(処分等の効力)
第28条 この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これに基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第29条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令等への委任)
第30条 附則第3条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。
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