がいこくとうさんしょりてつづきのしょうにんえんじょにかんするきそく
外国倒産処理手続の承認援助に関する規則
平成12年12月27日最高裁判所規則第17号
外国倒産処理手続の承認援助に関する規則を次のように定める。
第1章 総則
(外国管財人等の責務)
第1条 外国管財人等は、承認援助手続の円滑な進行を図るため、裁判所に対し必要な情報を提供するよう努めるとともに、手続の進行に関する重要な事項を利害関係人に周知させるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 外国管財人等は、承認管財人及び保全管理人(これらの者が外国管財人である場合を除く。)に対して、承認援助手続の目的を達成するために必要な協力及び情報の提供をするよう努めなければならない。
(申立ての方式等)
第2条 承認援助手続における申立ては、特別の定めがある場合を除き、書面でしなければならない。
2 前項の規定は、承認援助手続における届出及び裁判所に対する報告について準用する。
3 裁判所は、書面を裁判所に提出した者又は提出しようとする者が当該書面に記録されている情報の内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この項において同じ。)を有している場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)であって裁判所の定めるものにより裁判所に提供することを求めることができる。
4 裁判所は、外国語で作成された文書が提出された場合において、その訳文が添付されていないときは、必要と認める部分について、訳文の提出を求めることができる。
(外国倒産処理手続を規律する外国法についての資料の提出)
第3条 裁判所は、承認援助手続における裁判をする場合において、必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める外国倒産処理手続を規律する外国法の内容を明らかにする資料を提出させることができる。
一 当該裁判の申立人又は外国管財人等 当該承認援助手続に係る外国倒産処理手続
二 同一の債務者につき外国倒産処理手続の承認の申立てがされている他の外国倒産処理手続(外国倒産処理手続の承認の決定がされているかどうかを問わない。)の外国管財人等 当該他の外国倒産処理手続
(調書)
第4条 承認援助手続における調書(口頭弁論の調書を除く。)は、作成することを要しない。ただし、裁判長が作成を命じたときは、この限りでない。
(即時抗告に係る事件記録の送付・法第7条)
第5条 即時抗告があった場合において、原裁判所が承認援助事件の記録を送付する必要がないと認めたときは、当該裁判所の裁判所書記官は、抗告事件の記録のみを抗告裁判所の裁判所書記官に送付すれば足りる。
2 前項の規定により抗告事件の記録が送付された場合において、抗告裁判所が承認援助事件の記録が必要であると認めたときは、抗告裁判所の裁判所書記官は、速やかに、その送付を原裁判所の裁判所書記官に求めなければならない。
(公告事務の取扱者・法第8条)
第6条 公告に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
(承認管財人による通知事務等の取扱い)
第6条の2 裁判所は、承認援助手続の円滑な進行を図るために必要があるときは、承認管財人の同意を得て、承認管財人に書面の送付その他通知に関する事務を取り扱わせることができる。
(官庁等への通知)
第7条 法人である債務者について外国倒産処理手続の承認の決定があった場合において、その法人の設立又は目的である事業について日本の官庁その他の機関の許可があったものであるときは、裁判所書記官は、外国倒産処理手続の承認の決定があった旨をその官庁その他の機関に通知しなければならない。
2 前項の規定は、外国倒産処理手続の承認の決定を取り消す決定又は外国倒産処理手続の承認の取消しの決定が確定した場合について準用する。
(法人の承認援助手続に関する登記の嘱託の手続・法第9条)
第8条 次の各号に掲げる嘱託は、嘱託書に、それぞれ当該各号に定める書面を添付してしなければならない。
一 外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成12年法律第129号。以下「法」という。)第9条(法人の承認援助手続に関する登記の嘱託等)第1項の規定による嘱託 次に掲げる書面
イ 法第9条第1項に規定する処分の裁判書の謄本
ロ 承認管財人又は保全管理人がそれぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することについて法第39条(数人の承認管財人の職務執行)第1項ただし書(法第55条(承認管財人に関する規定の保全管理人等への準用)第1項において準用する場合を含む。)の許可があったときは、当該許可の決定の裁判書の謄本
二 法第9条第3項において準用する同条第1項の規定による嘱託(特定の承認管財人又は保全管理人の氏名又は名称及び住所の変更があった場合の嘱託を除く。) 同項に規定する処分を変更し、若しくは取り消す決定の裁判書の謄本、当該処分が効力を失ったことを証する書面又は同条第2項に規定する事項を変更する決定の裁判書の謄本
三 法第9条第4項の規定による嘱託 同項に規定する中止の命令の裁判書の謄本
四 法第9条第5項の規定による嘱託 同条第4項に規定する中止の命令を取り消す決定の裁判書の謄本又は当該中止の命令が効力を失ったことを証する書面
五 法第9条第6項の規定による嘱託 同項に規定する承認の取消しの決定に係る裁判書の謄本
六 法第9条第7項の規定による嘱託 同項に規定する決定又は命令の裁判書の謄本
(登記のある権利についての登記等の嘱託の手続・法第10条等)
第9条 次の各号に掲げる嘱託は、嘱託書に、それぞれ当該各号に定める書面を添付してしなければならない。この場合においては、当該書面以外の不動産登記法(平成16年法律第123号)第61条(登記原因証明情報の提供)に規定する登記原因を証する情報を記載した書面を添付することを要しない。
一 法第10条(登記のある権利についての登記等の嘱託)第1項の規定による嘱託 同項に規定する処分の裁判書の謄本
二 法第10条第2項において準用する同条第1項の規定による嘱託 同項に規定する処分を取り消す旨の決定の裁判書の謄本又は当該処分が効力を失ったことを証する書面
三 法第10条第4項の規定による嘱託 同項に規定する処分の裁判書の謄本
四 法第10条第5項において準用する同条第4項の規定による嘱託 同項に規定する処分を変更し、若しくは取り消す旨の決定の裁判書の謄本又は当該処分が効力を失ったことを証する書面
五 法第10条第6項の規定による嘱託 同項に規定する承認の取消しの決定に係る裁判書の謄本
六 法第10条第7項の規定による嘱託 同項に規定する決定又は命令の裁判書の謄本
2 前項の規定は、法第12条(登録への準用)の規定による嘱託について準用する。
(事件に関する文書の閲覧等・法第13条)
第10条 法第13条(事件に関する文書の閲覧等)の規定は、この規則又は第12条(民事訴訟規則の準用)において準用する民事訴訟規則(平成8年最高裁判所規則第5号)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件について準用する。
2 法第13条第1項に規定する文書等又は前項に規定する文書その他の物件の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求は、当該請求に係る文書その他の物件を特定するに足りる事項を明らかにしてしなければならない。
(支障部分の閲覧等の制限の申立ての方式等・法第14条)
第11条 法第14条(支障部分の閲覧等の制限)第1項の申立ては、支障部分を特定してしなければならない。
2 前項の申立ては、当該申立てに係る文書等の提出の際にしなければならない。
3 第1項の申立てをするときは、当該申立てに係る文書等から支障部分を除いたものをも作成し、裁判所に提出しなければならない。
4 法第14条第1項の規定による決定においては、支障部分を特定しなければならない。
5 前項の決定があったときは、第1項の申立てをした者は、遅滞なく、当該申立てに係る文書等から当該決定により特定された支障部分を除いたものを作成し、裁判所に提出しなければならない。ただし、当該申立てにより特定された支障部分と当該決定により特定された支障部分とが同一である場合は、この限りでない。
(民事訴訟規則の準用・法第15条)
第12条 承認援助手続に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟規則の規定を準用する。
第2章 外国倒産処理手続の承認
(外国倒産処理手続の承認の申立書の記載事項・法第17条)
第13条 外国倒産処理手続の承認の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 外国管財人等の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
二 外国管財人等が送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)
三 債務者の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
四 申立ての趣旨
五 当該外国倒産処理手続が申し立てられている国に債務者の住所、居所、営業所又は事務所があることの基礎となるべき具体的な事実
2 前項第4号の記載は、当該外国倒産処理手続が申し立てられている国及び裁判所その他の機関の名称並びに事件の表示、当該外国倒産処理手続についての法第17条(外国倒産処理手続の承認の申立て)第2項に規定する手続開始の判断(以下この章において「手続開始の判断」という。)の年月日(手続開始の判断がされていない場合には、申立ての年月日)その他の当該外国倒産処理手続を特定するに足りる事項を明らかにしてしなければならない。
第14条 外国倒産処理手続の承認の申立書には、前条(外国倒産処理手続の承認の申立書の記載事項)第1項に掲げる事項を記載するほか、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 当該外国倒産処理手続の事案の概要、進行状況(手続開始の判断の有無を含む。)及び今後の進行の見込み
二 法第3章(外国倒産処理手続に対する援助の処分)の規定による援助の処分であって、当該外国倒産処理手続について必要となると見込まれるものの内容
三 当該外国倒産処理手続における債権の順位を規律する外国法の概要
四 外国管財人等の権限について次に掲げる事由があるときは、当該事由の内容
イ 存続期限
ロ することができる行為の限定
ハ 行使についての条件
五 債務者の日本国内にある財産に関してされている他の手続(第10号及び第11号に規定するものを除く。)又は処分で外国管財人等に知れているもの
六 債務者が法人であるときは、設立の準拠法
七 債務者が日本国内において事業を行っているときは、日本における主たる営業所又は事務所の名称及び所在地
八 債務者の日本国内における使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその名称並びに代表者の氏名、住所、郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。以下この号において同じ。)、債務者の日本国内における使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは債務者の日本国内における使用人その他の従業者の過半数を代表する者の氏名、住所、郵便番号及び電話番号
九 債務者が法人である場合において、その法人の設立又は目的である事業について日本の官庁その他の機関の許可があったものであるときは、その官庁その他の機関の名称及び所在地
十 債務者についての国内倒産処理手続で外国管財人等に知れているものがあるときは、当該国内倒産処理手続が係属する裁判所の名称、事件の表示及び進行状況(国内倒産処理手続の開始の決定の有無を含む。)並びに法第57条(国内倒産処理手続の開始決定がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げる要件に該当する具体的な事実
十一 債務者についての他の承認援助手続で外国管財人等に知れているものがあるときは、当該承認援助手続が係属する裁判所の名称、事件の表示及び進行状況(外国倒産処理手続の承認の決定の有無を含む。)並びに法第62条(他の外国倒産処理手続の承認がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げるいずれの事由にも該当しないことの基礎となるべき具体的な事実
十二 外国管財人等又は代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
2 前項第3号の記載は、債権の順位の差異の原因となる債権者の属性、債権の発生原因その他の事由を明らかにしてしなければならない。
(外国倒産処理手続の承認の申立書の添付書面・法第17条)
第15条 外国倒産処理手続の承認の申立書には、次に掲げる書面を添付するものとする。
一 当該外国倒産処理手続の承認の申立てをした者が外国管財人等であることを証する書面
二 債務者の住所を証する書面
三 当該外国倒産処理手続が係属していることを証する書面
四 当該外国倒産処理手続において、債務者の日本国内にある財産にその効力が及ぶものとされていることを明らかにする書面
五 債務者が法人である場合において、日本国内において登記がされているときは、その登記事項証明書
六 債務者についての国内倒産処理手続で外国管財人等に知れているものがあるときは、法第57条(国内倒産処理手続の開始決定がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げる要件に該当する具体的な事実を証する書面
七 債務者についての他の承認援助手続で外国管財人等に知れているものがあるときは、法第62条(他の外国倒産処理手続の承認がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げるいずれの事由にも該当しないことの基礎となるべき具体的な事実を証する書面
(裁判所書記官の事実調査・法第17条等)
第16条 裁判所は、相当と認めるときは、次に掲げる事項についての事実の調査を裁判所書記官に命じて行わせることができる。
一 法第17条(外国倒産処理手続の承認の申立て)第1項に規定する要件
二 法第21条(外国倒産処理手続の承認の条件)各号に掲げる事由
三 法第57条(国内倒産処理手続の開始決定がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げる要件
四 法第62条(他の外国倒産処理手続の承認がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げる事由
(費用の予納・法第20条)
第17条 法第20条(費用の予納)第1項の金額は、当該外国倒産処理手続の事案の概要、当該外国倒産処理手続について必要となると見込まれる法第3章(外国倒産処理手続に対する援助の処分)の規定による援助の処分の内容、法第49条(承認管財人の報酬等)第1項本文(法第55条(承認管財人に関する規定の保全管理人等への準用)第1項において準用する場合を含む。)に規定する報酬の支払の要否その他の事情を考慮して定める。
2 外国倒産処理手続の承認の決定があるまでの間において、予納した費用が不足するときは、裁判所は、外国管財人等に、更に予納させることができる。
(外国管財人等の変更があった場合の報告等)
第18条 外国倒産処理手続の承認の申立てがされた後に、外国管財人等の変更があった場合には、外国管財人等は、速やかに、その旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、新たに外国管財人等となった者があるときは、その者が外国管財人等であることを証する書面を裁判所に提出しなければならない。
(他の倒産処理手続があることを知った場合の報告)
第19条 外国管財人等は、外国倒産処理手続の承認の申立てがされた後に、同一の債務者につき国内倒産処理手続又は他の承認援助手続が係属することを知ったときは、速やかに、その旨を裁判所に報告しなければならない。この場合においては、外国管財人等は、当該国内倒産処理手続又は当該他の承認援助手続が係属する裁判所の名称、事件の表示及び進行状況をも報告するものとする。
(報告書の提出の促し等)
第20条 裁判所は、外国管財人等に報告書の提出を促すこと又は承認援助手続の進行に関する問い合わせをすることその他の承認援助手続の円滑な進行を図るために必要な外国管財人等との連絡を裁判所書記官に命じて行わせることができる。
(手続開始の判断を証する書面の提出・法第22条)
第21条 外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、当該外国倒産処理手続につき手続開始の判断がされたときは、外国管財人等は、当該手続開始の判断がされたことを証する書面を裁判所に提出しなければならない。
(外国倒産処理手続の承認の決定の裁判書等・法第22条)
第22条 外国倒産処理手続の承認の申立てについての裁判は、裁判書を作成してしなければならない。
2 外国倒産処理手続の承認の決定の裁判書には、決定の年月日時を記載しなければならない。
(外国倒産処理手続の承認の決定等の通知先・法第23条等)
第23条 法第23条(外国倒産処理手続の承認の公告等)第3項第1号の最高裁判所規則で定める官庁又は公署は、次に掲げるものとする。
一 東京国税局長
二 次に掲げる地の地方税法(昭和25年法律第226号)第2条(地方団体の課税権)(同法第1条(用語)第2項において準用する場合を含む。)に規定する地方団体の長(その者が同法第3条の2(地方団体の長の権限の委任)の規定により、権限の一部を同条に規定する支庁若しくは地方事務所、市の区の事務所又は税務に関する事務所の長に委任したときは、その支庁若しくは地方事務所、市の区の事務所又は税務に関する事務所の長)
イ 債務者が日本国内において事業を行っている場合には、日本における主たる営業所又は事務所の所在地
ロ イに規定する場合以外の場合において、債務者が日本国内に住所を有するときは、その住所の所在地
ハ 債務者の財産に属する権利で登記又は登録がされたものに関し法第25条(他の手続の中止命令等)第2項の規定による強制執行の中止の命令、法第26条(処分の禁止、弁済の禁止その他の処分)第2項の規定による処分又は法第27条(担保権の実行手続等の中止命令)第2項の規定による担保権の実行の手続の中止の命令が発せられた場合には、当該権利の登記又は登録の地
第3章 外国倒産処理手続に対する援助の処分
(他の手続の中止命令等の申立書の記載事項等・法第25条等)
第24条 法第25条(他の手続の中止命令等)第1項若しくは第2項の中止の命令、同条第5項の取消しの命令、法第26条(処分の禁止、弁済の禁止その他の処分)第1項若しくは第2項の処分又は法第27条(担保権の実行手続等の中止命令)第1項若しくは第2項の中止の命令の申立てをするときは、次に掲げる事項を申立書に記載しなければならない。
一 当事者の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
二 申立人が送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)
三 申立ての趣旨及び理由
2 前項の申立書には、同項各号に掲げる事項を記載するほか、同項に規定する中止の命令、取消しの命令又は処分の効力に相当する効力が同項の申立てに係る外国倒産処理手続において生じているときはその内容、生じていないときはその旨を記載するものとする。
3 債務者の財産に属する権利で登記又は登録がされたものに関し第1項に規定する中止の命令、取消しの命令又は処分の申立てをするときは、申立書には、当該権利についての登記事項証明書又は登録原簿に記載されている事項を証明した書面を添付するものとする。
(強制執行等禁止命令の申立書の記載事項等・法第28条)
第25条 強制執行等禁止命令の申立てをするときは、次に掲げる事項を申立書に記載しなければならない。
一 申立人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
二 申立人が送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)
三 債務者の表示
四 申立ての趣旨及び理由
2 前項第4号の申立ての趣旨の記載は、一定の範囲に属する債権に基づく強制執行等又は一定の範囲に属する債務者の財産に対する強制執行等を禁止の命令の対象から除外して当該命令を求める場合にあっては、その範囲を明らかにしてしなければならない。
3 第1項の申立書には、同項各号に掲げる事項を記載するほか、強制執行等禁止命令の効力に相当する効力が同項の申立てに係る外国倒産処理手続において生じているときはその内容、生じていないときはその旨を記載するものとする。
4 裁判所は、強制執行等禁止命令の申立人又は外国管財人等に対し、債権者の氏名又は名称、住所及びその有する債権の発生原因を記載した債権の一覧表その他の強制執行等禁止命令を発するために必要な事項を記載した書面を提出させることができる。
5 第1項及び第3項の規定は、法第28条(強制執行等禁止命令)第4項の取消しの命令の申立てについて準用する。
(強制執行等禁止命令の周知措置の報告・法第29条)
第26条 外国管財人等は、法第29条(強制執行等禁止命令に関する公告及び送達等)第3項の規定による措置を講じたときは、その措置の内容を裁判所に報告しなければならない。
(強制執行等禁止命令の解除の申立書の記載事項・法第30条)
第27条 強制執行等禁止命令の解除の申立書には、第25条(強制執行等禁止命令の申立書の記載事項等)第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
(法第31条第1項の決定の方式等・法第31条)
第28条 次に掲げる決定は、書面をもってしなければならない。
一 法第31条(債務者の財産の処分等に対する許可)第1項本文の裁判所の許可を得なければならないものとする旨の決定
二 法第31条第1項本文の裁判所の許可を得なければならない行為を指定する決定
三 法第31条第1項本文に規定する許可をする決定
2 裁判所は、前項各号に掲げる決定をする場合において、必要があると認めるときは、外国管財人等に対し、債務者の日本国内にある財産の目録その他の資料を提出させることができる。
(管理命令の申立書の記載事項等・法第32条)
第29条 管理命令の申立書には、第24条(他の手続の中止命令等の申立書の記載事項等)第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2 前項の申立書には、同項に規定する事項を記載するほか、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 債務者の資産、負債その他の財産の状況
二 債務者が事業を行っているときは、その事業の内容及び状況、日本国内にある営業所又は事務所の名称及び所在地並びに日本国内における使用人その他の従業者の状況
三 外国管財人以外の者を承認管財人に選任することを希望するときは、その旨及びその理由
3 第1項の申立書には、次に掲げる書面を添付するものとする。ただし、既に当該書面が提出されているときは、この限りでない。
一 債務者の日本国内にある財産の目録
二 債務者の日本国内にある財産に属する権利で登記又は登録がされたものについての登記事項証明書又は登録原簿に記載されている事項を証明した書面
4 前項第1号の財産の目録には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 当該財産の所持者(債務者を除く。)の氏名又は名称、住所及び郵便番号
二 当該財産が債権であるときは、当該債権に係る債務を負担する者の氏名又は名称、住所及び郵便番号
(承認管財人の選任等・法第32条)
第30条 承認管財人は、外国管財人その他の者であって、その職務を行うに適したもののうちから選任しなければならない。
2 法人が承認管財人に選任された場合には、当該法人は、役員又は職員のうち承認管財人の職務を行うべき者を指名し、その旨を裁判所に届け出るとともに、外国管財人等(当該法人を除く。)に通知しなければならない。
3 裁判所書記官は、承認管財人に対し、その選任を証する書面を交付しなければならない。
4 裁判所書記官は、承認管財人があらかじめその職務のために使用する印鑑を裁判所に提出した場合において、当該承認管財人が債務者に属する不動産についての権利に関する登記を申請するために登記所に提出する印鑑の証明を請求したときは、当該承認管財人に係る前項に規定する書面に、当該請求に係る印鑑が裁判所に提出された印鑑と相違ないことを証明する旨をも記載して、これを交付するものとする。
(法第31条第1項の決定に関する規定の準用・法第35条等)
第31条 第28条(法第31条第1項の決定の方式等)の規定は、法第35条(承認管財人の財産の処分等に対する許可)第1項(法第55条(承認管財人に関する規定の保全管理人等への準用)第1項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の裁判所の許可を得なければならない行為を指定する決定及び法第35条第1項に規定する許可をする決定について準用する。
(承認管財人と外国管財人等との相互の連絡等)
第32条 承認管財人(外国管財人である者を除く。)及び外国管財人等は、承認援助手続の進行並びに債務者の日本国内における業務の遂行並びに財産の管理及び処分について、承認援助手続の目的を達成するため、相互に密接な連絡をとるよう努めるものとする。
2 前項の承認管財人は、外国管財人等に対し、債務者の日本国内における業務の遂行並びに財産の管理及び処分について必要な協力及び情報の提供を求めることができる。
(承認管財人に対する監督等・法第38条)
第33条 裁判所は、承認管財人による金銭その他の財産の保管方法及び金銭の収支について必要な定めをすることができる。
2 裁判所は、報告書の提出を促すことその他の承認管財人に対する監督に関する事務を裁判所書記官に命じて行わせることができる。
3 承認管財人は、正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て辞任することができる。
(承認管財人による鑑定人の選任・法第41条)
第34条 承認管財人は、必要があるときは、裁判所の許可を得て鑑定人を選任することができる。
(承認管財人の報酬の額・法第49条)
第35条 裁判所が定める承認管財人(外国管財人である者を除く。)の報酬の額は、その職務と責任にふさわしいものでなければならない。
(承認管財人に関する規定等の準用・法第55条等)
第36条 第29条(管理命令の申立書の記載事項等)(第3項第2号及び第4項を除く。)の規定は保全管理命令の申立書について、第30条(承認管財人の選任等)及び第32条から前条まで(承認管財人と外国管財人等との相互の連絡等、承認管財人に対する監督等、承認管財人による鑑定人の選任及び承認管財人の報酬の額)の規定は保全管理人について、前条の規定は承認管財人代理及び保全管理人代理について準用する。
第4章 外国倒産処理手続の承認の取消し
(承認の取消しの申立書の記載事項・法第56条)
第37条 外国倒産処理手続の承認の取消しの申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申立人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所
二 申立人が送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)
三 外国倒産処理手続の承認の取消しを求める旨
四 外国倒産処理手続の承認の取消しの原因
2 外国倒産処理手続の承認の取消しの原因においては、法第56条第1項各号又は第2項各号に該当する事実を具体的に記載しなければならない。
(承認の取消しの決定の裁判書等・法第56条)
第38条 外国倒産処理手続の承認の取消しの決定は、裁判書を作成してしなければならない。
2 法第56条第1項第3号の規定による外国倒産処理手続の承認の取消しの決定においては、当該決定が同号の規定によるものであることを明らかにしなければならない。
3 裁判所は、相当と認めるときは、法第56条第1項各号又は第2項各号に規定する事由についての事実の調査を裁判所書記官に命じて行わせることができる。
第5章 他の倒産処理手続がある場合の取扱い
第1節 国内倒産処理手続がある場合の取扱い
(国内倒産処理手続の中止命令の申立書の記載事項等・法第58条)
第39条 法第58条(外国倒産処理手続の承認決定前の国内倒産処理手続の中止命令)第1項(同条第2項において準用する場合を含む。第41条(国内倒産処理手続が係属する裁判所との連絡調整)第6項において同じ。)の中止の命令の申立書には、第24条(他の手続の中止命令等の申立書の記載事項等)第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2 前項の申立書には、同項に規定する事項を記載するほか、法第57条(国内倒産処理手続の開始決定がされた場合の承認の条件等)第1項各号に掲げる要件に該当する具体的な事実を記載し、かつ、当該事実を証する書面を添付するものとする。
(承認援助手続の中止決定の申立書の記載事項等・法第60条)
第40条 法第60条(外国倒産処理手続の承認決定と開始決定前の国内倒産処理手続との調整)第2項に規定する承認援助手続を中止する旨の決定の申立書には、第24条(他の手続の中止命令等の申立書の記載事項等)第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2 前項の申立書には、同項に規定する事項を記載するほか、法第59条(外国倒産処理手続の承認決定と国内倒産処理手続の開始決定とが競合した場合の調整)第1項第2号に掲げる事由に該当する具体的な事実を記載し、かつ、当該事実を証する書面を添付するものとする。
(国内倒産処理手続が係属する裁判所との連絡調整)
第41条 承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、同一の債務者につき国内倒産処理手続が係属することを知ったときは、当該承認援助手続が係属する旨を当該国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
2 国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、同一の債務者につき承認援助手続が係属することを知ったときは、当該国内倒産処理手続が係属する旨を当該承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
3 承認援助手続が係属する裁判所は、国内倒産処理手続の中止を命じようとする場合には、あらかじめ、当該国内倒産処理手続が係属する裁判所の意見を聴かなければならない。
4 国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、同一の債務者につき承認援助手続が係属することを知った場合において、当該国内倒産処理手続について次に掲げる事由が既に生じていたとき又は生じたときは、その旨を当該承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
一 国内倒産処理手続の開始の決定
二 破産手続終結の決定
三 再生計画認可の決定、更生計画認可の決定又は特別清算終結の決定の確定
四 前2号に規定する事由以外の事由による国内倒産処理手続の終了
5 承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、同一の債務者につき国内倒産処理手続が係属することを知った場合において、当該承認援助手続について次に掲げる事由が生じたときは、その旨を当該国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
一 法第56条第1項第3号の規定による外国倒産処理手続の承認の取消しの決定の確定
二 前号に規定する事由以外の事由による承認援助手続の終了
6 法人である債務者について法第57条(国内倒産処理手続の開始決定がされた場合の承認の条件等)第2項本文、法第58条(外国倒産処理手続の承認決定前の国内倒産処理手続の中止命令)第1項、法第59条(外国倒産処理手続の承認決定と国内倒産処理手続の開始決定とが競合した場合の調整)第1項第1号又は法第60条(外国倒産処理手続の承認決定と開始決定前の国内倒産処理手続との調整)第1項の規定による中止の命令により国内倒産処理手続が中止した場合において、当該債務者について法第9条(法人の承認援助手続に関する登記の嘱託等)第4項各号に掲げる登記があるときは、当該国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、その旨を当該中止の命令を発した裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
7 法第59条第1項第2号又は法第60条第2項の規定により承認援助手続が中止した場合において、当該承認援助手続において法第9条第1項の規定によりされた登記があるときは、当該承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、その旨を法第59条第1項又は法第60条第2項に規定する国内倒産処理手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
第2節 他の外国倒産処理手続の承認援助手続がある場合の取扱い
(他の承認援助手続の中止命令の申立書の記載事項・法第63条)
第42条 法第63条(外国倒産処理手続の承認決定前の他の承認援助手続の中止命令)第1項の中止の命令の申立書には、第24条(他の手続の中止命令等の申立書の記載事項等)第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。
(他の承認援助手続が係属する裁判所との連絡調整)
第43条 承認援助手続が係属する裁判所は、既に承認の決定がされた同一の債務者についての他の外国倒産処理手続の承認援助手続がある場合において、外国倒産処理手続の承認の決定をし、又は当該他の外国倒産処理手続の承認援助手続の中止を命じようとするときは、あらかじめ、当該他の外国倒産処理手続の承認援助手続が係属する裁判所の意見を聴かなければならない。
2 前項に規定する場合において、一の承認援助手続について次に掲げる事由が生じたときは、当該承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、その旨を他の承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
一 外国倒産処理手続の承認の決定
二 法第56条第1項第3号の規定による外国倒産処理手続の承認の取消しの決定の確定
三 前号に規定する事由以外の事由による承認援助手続の終了
3 次の各号に掲げる規定により外国従手続の承認援助手続が中止した場合において、当該承認援助手続において法第9条(法人の承認援助手続に関する登記の嘱託等)第1項の規定によりされた登記があるときは、当該承認援助手続が係属する裁判所の裁判所書記官は、その旨を当該各号に定める裁判所の裁判所書記官に通知しなければならない。
一 法第62条(他の外国倒産処理手続の承認がされた場合の承認の条件等)第2項本文 同項本文の規定による中止の原因となった外国倒産処理手続の承認の決定をした裁判所
二 法第63条(外国倒産処理手続の承認決定前の他の承認援助手続の中止命令)第1項 同項の規定による中止の命令を発した裁判所
附則
この規則は、法の施行の日から施行する。
附則(平成15年2月19日最高裁判所規則第4号)
この規則は、会社更生法(平成14年法律第154号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成15年4月1日)
附則(平成15年3月19日最高裁判所規則第7号)
この規則は、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成14年法律第100号)及び日本郵政公社法施行法(平成14年法律第98号)の施行の日(平成15年4月1日)から施行する。
附則(平成15年11月12日最高裁判所規則第22号)抄
(施行期日)
第1条 この規則は、担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律(平成15年法律第134号)の施行の日(平成16年4月1日)から施行する。
附則(平成16年10月6日最高裁判所規則第15号)抄
(施行期日)
第1条 この規則は、破産法(平成16年法律第75号。附則第7条において「新破産法」という。)及び破産法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第76号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成17年1月1日)
(外国倒産処理手続の承認援助に関する規則の一部改正に伴う経過措置)
第4条 この規則の施行前にされた外国倒産処理手続の承認の申立てに係る承認援助事件については、第3条の規定による改正後の外国倒産処理手続の承認援助に関する規則(以下この条において「新承認援助規則」という。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 前項の承認援助事件の債務者につき、この規則の施行後にされた破産手続開始の申立て又はこの規則の施行後に職権でされた破産手続開始の決定に係る破産手続について破産手続終結の決定があった場合には、当該承認援助事件が係属する裁判所の裁判所書記官に対する当該決定の通知については、同項の規定にかかわらず、新承認援助規則第41条第4項第2号の規定を適用する。
3 この規則の施行後にされた外国倒産処理手続の承認の申立てに係る承認援助事件の債務者につき、この規則の施行前にされた破産の申立て又はこの規則の施行前に職権でされた破産の宣告に係る破産手続について破産終結の決定又は強制和議認可の決定があった場合には、当該承認援助事件が係属する裁判所の裁判所書記官に対するこれらの決定の通知については、新承認援助規則第41条第4項第2号及び第3号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
附則(平成17年2月9日最高裁判所規則第6号)
この規則は、不動産登記法(平成16年法律第123号)の施行の日(平成17年3月7日)から施行する。
附則(平成18年2月8日最高裁判所規則第2号)抄
(施行期日)
1 この規則は、会社法(平成17年法律第86号)の施行の日(次項において「施行日」という。)から施行する。
(施行の日=平成18年5月1日)
(外国倒産処理手続の承認援助に関する規則の一部改正に伴う経過措置)
3 この規則の施行の際現に係属している会社その他の法人の整理に関する事件に係る整理手続及び整理実行の命令については、第7条の規定による改正後の外国倒産処理手続の承認援助に関する規則第41条第4項第3号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
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