はんざいしゅうえきにかかるほぜんてつづきとうにかんするきそく
犯罪収益に係る保全手続等に関する規則
平成11年12月1日号外最高裁判所規則第10号
犯罪収益に係る保全手続等に関する規則を次のように定める。
第1章 総則
(趣旨)
第1条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号。以下「法」という。)による被告人以外の者の財産等の没収に関する手続、没収保全及び追徴保全に関する手続並びに没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続については、法に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
第2章 被告人以外の者の財産等の没収手続
(刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する規則の準用)
第2条 法第18条第1項及び第2項並びに法第37条第3項(法第40条第3項において準用する場合を含む。)の没収に関する手続については、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する規則(昭和38年最高裁判所規則第8号)の規定を準用する。
第3章 保全手続
第1節 没収保全
(没収保全の請求の方式)
第3条 没収保全の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 被告人又は被疑者の氏名
二 罪名、公訴事実又は被疑事実の要旨及び没収の根拠となるべき法令の条項
三 処分を禁止すべき財産並びにこれを有する者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。)の氏名及び住所又は居所
四 債権の没収保全にあっては、債務者の氏名及び住所又は居所
五 法第22条第1項に規定する事由
六 請求者が警察官たる司法警察員であるときは、法第23条第1項の規定による指定を受けた者である旨
2 没収保全の請求をする場合には、法第22条第1項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(附帯保全の請求の方式)
第4条 附帯保全(附帯保全命令による処分の禁止をいう。以下同じ。)の請求は、没収保全の請求と併せてする場合には前条第1項各号に掲げる事項のほか第2号及び第3号に掲げる事項を、没収保全の請求と別にする場合には同条第1項第1号及び第6号に掲げる事項のほか次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 没収保全事件の表示
二 処分を禁止すべき権利並びにこれを有する者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。)の氏名及び住所又は居所
三 法第22条第2項に規定する事由
2 附帯保全の請求をする場合には、法第22条第2項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(急速を要する場合の没収保全命令等の記載事項)
第5条 法第22条第4項の規定により没収保全命令又は附帯保全命令を発する場合には、その旨を裁判書に記載しなければならない。
(没収保全に関する処分をすべき裁判官)
第6条 没収保全に関する処分は、公訴の提起があった日から第1回の公判期日までは、公訴を受けた裁判所(地方裁判所の支部にあっては、その支部。以下この条において同じ。)の裁判官がしなければならない。ただし、公訴に係る事件の審判に関与すべき裁判官は、急速を要する場合及び当該公訴を受けた裁判所に処分をすべき他の裁判官がない場合を除き、することができない。
(没収保全命令が発せられている場合の起訴状の記載要件等)
第7条 没収保全命令が発せられている場合において、当該没収保全命令に係る被疑者に対して公訴を提起するときは、検察官は、起訴状に没収保全命令が発せられている旨を記載しなければならない。
2 前項の規定は、同項に規定する被疑者に係る共犯に対して公訴を提起する場合において検察官が共犯に関し法第22条第1項に規定する理由があると思料するときにおける当該共犯に対する起訴状について準用する。
3 前項に規定する場合においては、検察官は、共犯に関し法第22条第1項に規定する理由があると認められるべき資料を前条の裁判官に提出しなければならない。
(起訴前の没収保全の期間の更新の請求の方式)
第8条 起訴前の没収保全の期間の更新の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 没収保全事件の表示
二 被疑者の氏名
三 法第23条第4項に規定するやむを得ない事由
2 起訴前の没収保全の期間の更新の請求をする場合には、法第23条第4項に規定するやむを得ない事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(代替金の納付及び還付)
第9条 代替金が没収保全に関する処分をすべき裁判所に納付されたときは、当該裁判所の裁判所書記官は、その旨を検察官に通知しなければならない。
2 没収保全が効力を失ったときは、前項の裁判所は、納付された代替金を還付しなければならない。
(債権の没収保全に係る債務者の供託の事情届の方式等)
第10条 法第30条第4項において準用する民事執行法(昭和54年法律第4号)第156条第3項又は次条第9項の規定による届出(以下この条において「事情届」という。)については、民事執行規則(昭和54年最高裁判所規則第5号)第138条第1項及び第2項の規定を準用する。この場合において、同条第1項中「差押債権者及び債務者」とあるのは、「被告人又は被疑者及び債権者」と読み替えるものとする。
2 事情届があったときは、没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官は、検察官にその旨を通知しなければならない。
3 前項の裁判所書記官は、事情届があった場合において、没収の裁判が確定したとき、没収保全の全部が効力を失ったとき又は代替金が納付されたときは供託書正本を、没収保全の一部が効力を失ったときは供託書正本の保管を証する書面を検察官に送付しなければならない。
(振替社債等の没収保全)
第11条 社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)第2条第1項に規定する社債等であって振替機関(同条第2項に規定する振替機関をいう。第7項において同じ。)が取り扱うもの(以下この条において「振替社債等」という。)の没収保全については、この条に定めるもののほか、債権の没収保全の例による。
2 振替社債等の没収保全は、振替社債等の権利者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。以下この条において「権利者」という。)に対し振替若しくは抹消の申請又は取立てその他の処分を禁止し、並びに振替機関等(社債、株式等の振替に関する法律第2条第5項に規定する振替機関等であって権利者が口座の開設を受けているものをいう。以下この条において同じ。)に対し振替及び抹消を禁止する旨の没収保全命令を発して行う。
3 次の各号に掲げる請求に係る振替社債等(以下この条において「買取請求株式等」という。)について当該各号に定める買取口座に記載又は記録がされている場合において、買取請求株式等の没収保全をするときにおける前項の規定の適用については、同項中「振替若しくは抹消の申請又は取立てその他の処分」とあるのは「取立てその他の処分」と、「並びに振替機関等」とあるのは「買取口座開設振替機関等」と、「権利者が口座の開設を受けているもの」とあるのは「振替社債等の発行者(以下この条において「発行者」という。)が当該買取口座の開設を受けているもの」と、「振替及び抹消を禁止する」とあるのは「振替を禁止し、及び発行者に対し振替の申請その他の処分を禁止する」とする。
一 社債、株式等の振替に関する法律第155条第1項(同法第228条第1項及び第239条第1項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する株式買取請求、投資口買取請求又は優先出資買取請求 同法第155条第1項に規定する買取口座
二 社債、株式等の振替に関する法律第183条第1項(同法第247条の3第1項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)に規定する新株予約権買取請求又は新投資口予約権買取請求 同法第183条第1項に規定する買取口座
三 社債、株式等の振替に関する法律第215条第1項に規定する新株予約権付社債買取請求 同項に規定する買取口座
四 社債、株式等の振替に関する法律第259条第1項に規定する株式買取請求 同項に規定する買取口座
五 社債、株式等の振替に関する法律第260条第1項に規定する新株予約権買取請求同項に規定する買取口座
六 社債、株式等の振替に関する法律第266条第1項に規定する株式買取請求 同項に規定する買取口座
七 社債、株式等の振替に関する法律第267条第1項に規定する新株予約権買取請求 同項に規定する買取口座
八 社債、株式等の振替に関する法律第273条第1項に規定する株式買取請求 同項に規定する買取口座
九 社債、株式等の振替に関する法律第274条第1項に規定する新株予約権買取請求 同項に規定する買取口座
4 振替社債等の没収保全命令の謄本及び更新の裁判(法第23条第4項に規定する更新の裁判をいう。以下この項及び次条第3項において同じ。)の謄本は、権利者及び振替機関等(買取請求株式等の没収保全命令の謄本及び更新の裁判の謄本にあっては、権利者、買取口座開設振替機関等及び発行者)に送達しなければならない。
5 振替社債等の没収保全の効力は、没収保全命令の謄本が振替機関等(買取請求株式等の没収保全の請求にあっては、買取口座開設振替機関等をいう。次項及び第7項において同じ。)に送達された時に生ずる。
6 振替債(社債、株式等の振替に関する法律第278条第1項に規定する振替債をいう。第8項において同じ。)、振替新株予約権付社債(同法第192条第1項に規定する振替新株予約権付社債をいう。以下この条において同じ。)であって社債の償還済みのものでないもの、振替転換特定社債(同法第250条に規定する振替転換特定社債をいう。第8項において同じ。)又は振替新優先出資引受権付特定社債(同法第253条に規定する振替新優先出資引受権付特定社債をいう。同項において同じ。)であって社債の償還済みのものでないものの没収保全命令の謄本の送達を受けた振替機関等は、直ちに、発行者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
一 没収保全事件の表示
二 権利者を特定するに足りる事項
三 没収保全命令を受けた振替社債等の銘柄(社債、株式等の振替に関する法律第68条第3項第2号(同法第113条、第115条、第117条、第118条、第120条、第121条、第122条、第124条及び第127条において準用する場合を含む。)、第91条第3項第2号又は第194条第3項第2号(同法第251条第1項及び第254条第1項において準用する場合を含む。)に規定する銘柄をいう。)及び額又は数
四 没収保全命令の謄本が送達された旨及び送達の年月日
7 没収保全に係る振替社債等が振替機関によって取り扱われなくなったときは、振替機関等は、書面でその旨を没収保全命令を発した裁判所に届け出なければならない。
8 発行者は、没収保全に係る振替債等(振替債、振替転換特定社債であって転換を請求することができなくなったもの又は振替新優先出資引受権付特定社債であって新優先出資の引受権が消滅したものをいう。以下この条において同じ。)の全額又は没収保全に係る振替新株予約権付社債(新株予約権の行使により社債が消滅するものその他の新株の取得により社債を失うものについては、新株予約権が消滅したものに限る。)についての社債の全額に相当する金銭をその履行地の供託所に供託することができる。
9 発行者は、前項の規定による供託をしたときは、当該供託をしたことを没収保全命令を発した裁判所に届け出なければならない。
10 没収保全がされた振替債等又は振替新株予約権付社債について第8項又は次項において準用する法第36条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定による供託があったことを証する文書が提出されたときは、検察事務官は、検察官が抹消の申請を指揮する書面に基づいて、当該供託に係る振替債等又は振替新株予約権付社債について、社債、株式等の振替に関する法律第71条第1項(同法第113条、第115条、第117条、第118条、第120条、第121条、第122条、第124条及び第127条において準用する場合を含む。)、第96条第1項又は第199条第1項(同法第251条第1項及び第254条第1項において準用する場合を含む。)の申請をしなければならない。
11 法第36条の規定は、振替債等又は振替新株予約権付社債について没収保全と強制執行による差押えが競合する場合について準用する。この場合において、同条第1項中「差押命令又は差押処分の送達を受けた」とあるのは「差押えがされた」と、「その債権」とあるのは「当該振替債等の全額又は当該振替新株予約権付社債についての社債」と、同条第3項中「差押命令を発した執行裁判所又は差押処分をした裁判所書記官」とあり、及び同条第4項中「執行裁判所(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「執行裁判所」と、同条第3項中「金銭債権」とあるのは「振替債等の額又は振替新株予約権付社債についての社債」と読み替えるものとする。
12 振替社債等の没収保全の請求をする場合における第3条第1項又は第26条第1項の書面には、振替機関等(買取請求株式等の没収保全の請求にあっては、買取口座開設振替機関等及び発行者)の名称及び住所をも記載しなければならない。
(電子記録債権の没収保全)
第11条の2 電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。以下この条において同じ。)の没収保全については、この条に定めるもののほか、債権の没収保全の例による。
2 電子記録債権の没収保全は、債権者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。以下この条において同じ。)に対し取立てその他の処分又は電子記録(電子記録債権法第2条第1項に規定する電子記録をいう。以下この条において同じ。)の請求を禁止し、債務者に対し債権者への弁済を禁止し、及び当該電子記録債権の電子記録をしている電子債権記録機関(同条第2項に規定する電子債権記録機関をいう。以下この条において同じ。)に対し電子記録を禁止する旨の没収保全命令を発して行う。
3 前項の没収保全命令の謄本及び更新の裁判の謄本は、債権者、債務者及び電子債権記録機関に送達しなければならない。
4 電子記録債権の没収保全の効力は、没収保全命令の謄本が電子債権記録機関に送達された時に生ずる。ただし、債務者に対する没収保全の効力は、没収保全命令の謄本が債務者に送達された時に生ずる。
5 債権者は、前項の規定により没収保全の効力が生じた場合であっても、次に掲げる電子記録の請求をすることができる。
一 支払等記録(電子記録債権法第24条第1号に規定する支払等であって没収保全との関係において当該支払等に係る債務を消滅させる効力を有するものに係るものに限る。)
二 根質権の担保すべき元本の確定の電子記録
三 没収保全に係る電子記録債権のうち没収保全がされていない部分の分割(電子記録債権法第43条第1項に規定する分割をいう。)をする分割記録
四 前3号に掲げるもののほか、没収保全に係る電子記録債権のうち没収保全がされていない部分についての電子記録
6 電子債権記録機関は、第4項の規定により没収保全の効力が生じた場合であっても、次に掲げる電子記録をすることができる。
一 質権の順位の変更の電子記録
二 転質の電子記録
三 前項第1号から第3号までに掲げる電子記録
四 前3号に掲げるもののほか、没収保全に係る電子記録債権のうち没収保全がされていない部分についての電子記録
7 電子債権記録機関は、没収保全命令に抵触する電子記録がされているときは、当該電子記録の訂正をしなければならない。ただし、電子記録上の利害関係を有する第三者がある場合にあっては、当該第三者の承諾があるときに限る。
8 電子記録債権法第10条第3項から第5項までの規定は、前項の規定による電子記録の訂正について準用する。
9 電子債権記録機関は、第7項の規定により電子記録の訂正をするときは、当該訂正の年月日をも記録しなければならない。
10 没収保全に係る電子記録債権について法第30条第4項において準用する民事執行法第156条第1項又は法第36条第1項(同条第4項において準用する場合を含む。)の規定による供託があったことを証する文書が提出されたときは、検察事務官は、検察官が支払等記録の嘱託を指揮する書面に基づいて、当該供託をしたことによる支払等記録を嘱託しなければならない。
11 電子記録債権の没収保全の請求をする場合における第3条第1項又は第26条第1項の書面には、電子債権記録機関の名称及び住所をも記載しなければならない。
12 第2項の没収保全命令が発せられている場合において、電子記録債権法第77条第1項の規定により没収保全に係る電子記録債権が記録されている債権記録(同法第2条第4項に規定する債権記録をいう。次項において同じ。)がその効力を失ったときは、既にされた没収保全に関する処分その他の行為は、当該電子記録債権の内容をその権利の内容とする指名債権に対する債権の没収保全に関する処分その他の行為として効力を有する。
13 債務者に没収保全命令の謄本が送達されている場合において、電子債権記録機関に没収保全命令の謄本が送達されていないときは、前項に規定する債権の没収保全の効力は、電子記録債権法第77条第1項の規定により没収保全に係る電子記録債権が記録されている債権記録がその効力を失った時に生ずる。
(没収保全命令の取消しの請求の方式)
第12条 没収保全命令の取消しの請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 没収保全事件の表示
二 被告人又は被疑者の氏名
三 法第32条第1項に規定する事由
2 没収保全命令の取消しの請求をする場合には、法第32条第1項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(没収保全財産に対し強制執行による差押え等がされた場合の通知)
第13条 没収保全がされている財産に対し強制競売の開始決定又は強制執行による差押えがされたときは、執行裁判所の裁判所書記官(法第35条第1項に規定する動産(以下単に「動産」という。)にあっては執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)は、検察官にその旨を通知しなければならない。ただし、次条第3項の規定による通知があったときは、この限りでない。
2 前項本文に規定する場合において、強制執行の申立てが取り下げられたとき、又は強制執行の手続を取り消す決定(差押処分がされた金銭債権にあっては、当該差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分を含む。第15条第2項及び第16条第3項において同じ。)が効力を生じたときも、前項本文と同様とする。
3 第1項本文に規定する場合において、没収の裁判が確定したとき、没収保全が効力を失ったとき、又は代替金が納付されたときは、検察官は、執行裁判所(動産にあっては執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)にその旨を通知しなければならない。
(没収保全がされている金銭債権に対し強制執行による差押えがされた場合の供託の事情届の方式等)
第14条 法第36条第2項の規定による届出(以下この条において「競合時の事情届」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 没収保全事件及び強制執行事件の表示
二 被告人又は被疑者の氏名
三 強制執行による差押命令又は差押処分に係る債権者及び債務者の氏名
四 供託した金額及び供託の事由
2 前項の書面には、供託書正本を添付しなければならない。
3 競合時の事情届があったときは、没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官は、検察官及び執行裁判所(差押処分がされた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官。以下この条において同じ。)にその旨を通知しなければならない。
4 没収保全が金銭債権の一部に係る場合においては、当該没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官は、前項の規定により執行裁判所に通知するときに、併せて供託書正本の保管を証する書面を送付しなければならない。
5 第10条第3項の規定は、競合時の事情届があった場合に準用する。
6 前項において準用する第10条第3項の規定により供託書正本又は供託書正本の保管を証する書面を送付された検察官は、没収保全が効力を失ったとき又は代替金が納付されたときは当該供託書正本又は当該供託書正本の保管を証する書面を、没収保全がされている金銭債権の額に相当する部分の1部について没収の裁判が確定したときは供託書正本の保管を証する書面を執行裁判所に送付しなければならない。
(強制執行による差押えがされている金銭債権につき没収保全がされた場合の供託の事情届の方式等)
第15条 前条第1項から第4項までの規定は、法第36条第4項において準用する同条第2項の規定による届出について準用する。この場合において、前条第3項及び第4項中「没収保全に関する処分をすべき裁判所の裁判所書記官」とあるのは「執行裁判所の裁判所書記官(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)」と、同条第3項中「執行裁判所(差押処分がされた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官。以下この条において同じ。)」とあり、及び同条第4項中「執行裁判所」とあるのは「没収保全命令を発した裁判所」と、同項中「没収保全が」とあるのは「強制執行による差押えが」と読み替えるものとする。
2 法第36条第4項において準用する同条第1項の規定により供託されている場合において、執行裁判所の裁判所書記官(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)は、強制執行の申立てが取り下げられたとき又は強制執行の手続を取り消す決定が効力を生じたときは没収保全命令を発した裁判所に、次条第2項の規定による没収の裁判が確定した旨の通知があったときは検察官に供託書正本(供託に係る金銭債権の一部について没収の裁判が確定した旨の通知があったときは、供託書正本の保管を証する書面)を送付しなければならない。
(強制執行による差押え等がされている財産につき没収保全がされた場合の通知)
第16条 強制競売の開始決定又は強制執行による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられたときは、検察官は、執行裁判所(動産にあっては執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)にその旨を通知しなければならない。ただし、前条第1項において準用する第14条第3項の規定による通知があったときは、この限りでない。
2 前項本文に規定する場合において、没収の裁判が確定したとき、没収保全が効力を失ったとき、又は代替金が納付されたときも、同項本文と同様とする。
3 第1項本文に規定する場合において、強制執行の申立てが取り下げられたとき、強制執行の手続を取り消す決定が効力を生じたとき、又は強制執行の手続により財産が売却されたときは、執行裁判所の裁判所書記官(動産にあっては執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)は、検察官にその旨を通知しなければならない。民事執行法第143条に規定する債権(同法第167条第1項の規定により債権執行の例によるものとされる同項に規定するその他の財産権を含む。)について、同法第155条第3項(同法第167条の14において準用する場合を含む。)の規定による届出があったとき、同法第166条第2項において準用する同法第84条の規定による配当若しくは弁済金の交付若しくは同法第167条の11第3項の規定による弁済金の交付が実施されたとき、又は同法第159条第1項の転付命令若しくは同法第161条第1項の譲渡命令が確定したときも、同様とする。
(強制執行の停止及びその決定の取消しの請求の方式)
第17条 強制執行の停止の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 第14条第1項第1号から第3号までに掲げる事項
二 法第38条第1項に規定する理由
2 強制執行の停止の請求をする場合には、法第38条第1項に規定する理由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
3 第12条の規定は、強制執行の停止の決定の取消しの請求について準用する。この場合において、同条中「第32条第1項」とあるのは「第38条第3項」と、同条第1項中「没収保全事件」とあるのは「強制執行停止事件」と読み替えるものとする。
(没収保全と担保権の実行による差押えとが競合する場合の通知)
第18条 第13条第1項本文及び第3項並びに第16条第3項の規定は没収保全がされている財産に対し担保権の実行による差押えがされた場合について、同条(第1項ただし書を除く。)の規定は担保権の実行による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合について準用する。この場合において、第13条第1項本文及び第3項中「執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあり、並びに第16条第1項本文及び第3項中「執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあるのは「、執行官」と、同項中「弁済金の交付若しくは同法第167条の11第3項の規定による弁済金の交付」とあるのは「弁済金の交付」と、当該担保権について附帯保全がされているときは、第13条第3項及び第16条第2項中「没収保全」とあるのは「没収保全若しくは附帯保全」と読み替えるものとする。
(没収保全と仮差押えの執行又は滞納処分による差押えとが競合する場合の通知等)
第19条 第13条の規定は没収保全がされている財産に対し仮差押えの執行がされた場合について、同条第3項の規定は没収保全がされている財産に対し滞納処分による差押えがされた場合について準用する。この場合において、同条第1項及び第3項中「執行官、差押処分がされた金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあるのは「、執行官」と、同条第2項中「決定(差押処分がされた金銭債権にあっては、当該差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分を含む。第15条第2項及び第16条第3項において同じ。)」とあるのは「決定」と読み替えるものとする。
2 第14条の規定は没収保全がされている金銭債権に対し滞納処分による差押え又は仮差押えの執行がされた場合における当該金銭債権の債務者の供託について、第15条の規定は仮差押えの執行がされている金銭債権につき没収保全がされた場合における当該金銭債権の債務者の供託について準用する。この場合において、第14条第1項第3号中「強制執行による差押命令又は差押処分」とあるのは「滞納処分による差押えをした徴収職員等(徴収職員、徴税吏員その他滞納処分を執行する権限を有する者をいう。以下同じ。)の属する庁その他の事務所の名称及び所在並びに滞納者の氏名又は仮差押えの執行」と、同条第3項中「執行裁判所(差押処分がされた場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官。以下この条において同じ。)」とあり、並びに同条第4項及び第6項中「執行裁判所」とあるのは「徴収職員等又は保全執行裁判所」と、第15条中「執行裁判所の裁判所書記官(差押処分がされている場合にあっては、当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは「保全執行裁判所の裁判所書記官」と、同条第1項中「強制執行による差押え」とあるのは「仮差押えの執行」と読み替えるものとする。
3 第16条の規定は仮差押えの執行がされている財産について没収保全命令が発せられた場合について、同条第1項及び第2項の規定は滞納処分による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合について準用する。この場合において、同条第1項中「執行裁判所(動産にあっては執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官)」とあるのは、仮差押えの執行がされている財産について没収保全命令が発せられた場合にあっては「保全執行裁判所(動産にあっては、執行官)」と、滞納処分による差押えがされている財産について没収保全命令が発せられた場合にあっては「徴収職員等」と、同条第3項中「執行官、差押処分がされている金銭債権にあっては当該差押処分をした裁判所書記官」とあるのは「、執行官」と読み替えるものとする。
4 第17条の規定は、仮差押えの執行がされている財産につき没収保全命令を発した場合又は発しようとする場合における強制執行の停止の請求及び強制執行の停止の決定の取消しの請求について準用する。
(附帯保全手続への準用)
第20条 附帯保全に関する手続については、この規則に特別の定めがあるもののほか、没収保全に関する規定を準用する。
第2節 追徴保全
(追徴保全の請求の方式)
第21条 追徴保全の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 被告人又は被疑者の氏名及び住所又は居所
二 罪名、公訴事実又は被疑事実の要旨及び追徴の根拠となるべき法令の条項
三 追徴保全額
四 処分を禁止すべき財産
五 法第42条第1項に規定する事由
2 追徴保全の請求をする場合には、法第42条第1項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(追徴保全命令等への準用)
第22条 第5条から第9条まで(第7条第2項及び第3項を除く。)及び第12条の規定は、追徴保全命令又は追徴保全について準用する。この場合において、第9条中「代替金」とあるのは「追徴保全解放金」と、第12条中「第32条第1項」とあるのは「第47条」と読み替えるものとする。
第3節 雑則
(刑事訴訟規則の準用)
第23条 没収保全及び追徴保全に関する手続については、法及びこの規則に定めるもののほか、刑事訴訟規則(昭和23年最高裁判所規則第32号)の規定を準用する。
第4章 没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続
(共助要請に係る審査の請求の方式)
第24条 没収の確定裁判の執行に係る共助の要請の審査の請求は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 共助の要請をした外国の名称
二 日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がなされている旨
三 共助の要請に係る財産並びにこれを有する者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。)の氏名及び住所又は居所
四 共助の要請に係る確定裁判を受けた者の氏名及び当該確定裁判の確定年月日
五 共助犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに没収の根拠とされた法令の条項並びに日本国において相当する罰条及び法令の条項
2 追徴の確定裁判の執行に係る共助の要請の審査の請求は、前項第1号、第2号及び第4号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 共助の要請に係る追徴の確定裁判における追徴額
二 法第60条第1項に規定する共助の要請にあっては、その旨及び当該要請に係る財産の価額
三 共助犯罪の罪名、事実の要旨及び適用された罰条並びに追徴の根拠とされた法令の条項並びに日本国において相当する罰条及び法令の条項
(執行共助の決定の取消しの請求の方式)
第25条 法第65条第1項の規定による取消しの請求(次項において「決定取消請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 取消しを求める決定の表示
二 取消しを求める事由
2 決定取消請求をする場合には、法第65条第1項に規定する事由があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(共助要請に係る没収保全等の請求の方式)
第26条 法第66条第1項前段の規定による請求(以下この条において「共助没収保全請求」という。)は、第24条第1項第1号から第3号まで及び第5号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 共助犯罪に係る被告人若しくは被疑者又は確定裁判を受けた者の氏名
二 債権の没収のための保全にあっては、債務者の氏名及び住所又は居所
三 法第22条第1項に規定する事由。ただし、法第59条第2項の規定による要請にあっては、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号。以下「麻薬特例法」という。)第19条第1項に規定する事由
2 法第67条第1項の規定による請求(以下この条において「共助追徴保全請求」という。)は、第24条第1項第1号及び第2号並びに同条第2項第3号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 共助犯罪に係る被告人若しくは被疑者又は確定裁判を受けた者の氏名
二 共助の要請に係る追徴保全額
三 法第60条第2項に規定する共助の要請にあっては、その旨及び当該要請に係る財産の価額
四 処分を禁止すべき財産
五 法第42条第1項に規定する事由。ただし、法第59条第2項の規定による要請にあっては、麻薬特例法第20条第1項に規定する事由
3 共助没収保全請求又は共助追徴保全請求が、共助の要請をした外国の裁判所若しくは裁判官のした没収若しくは追徴のための保全の裁判に基づく要請である場合又は没収若しくは追徴の裁判の確定後の要請である場合には、第1項第3号又は前項第5号に掲げる事項に代えて、その旨を記載すれば足りる。
4 共助没収保全請求又は共助追徴保全請求をする場合には、没収保全命令又は追徴保全命令を発することができる要件があると認められるべき資料を提出しなければならない。
(刑事訴訟規則等の準用)
第27条 この章に特別の定めがあるもののほか、裁判所若しくは裁判官のする審査、処分若しくは令状の発付、検察官若しくは検察事務官のする処分又は裁判所の審査への利害関係人の参加に関する手続については、前2章並びに刑事訴訟規則(第1編第2章及び第5章から第13章まで、第2編第1章、第3編第1章、第3章及び第4章、第7編並びに第8編に限る。)、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する規則並びに逃亡犯罪人引渡法による審査等の手続に関する規則(昭和28年最高裁判所規則第11号)第4条、第19条、第21条及び第22条の規定を、それぞれその性質に反しない限り、準用する。
附則
(施行期日)
第1条 この規則は、法の施行の日から施行する。(施行の日=平成12年2月1日)
附則(平成14年3月27日最高裁判所規則第5号)
この規則は、短期社債等の振替に関する法律(平成13年法律第75号)の施行の日(平成14年4月1日)から施行する。
附則(平成14年12月11日最高裁判所規則第15号)
この規則は、平成15年1月6日から施行する。
附則(平成17年1月11日最高裁判所規則第1号)
この規則は、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第152号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成17年4月1日)
附則(平成18年2月8日最高裁判所規則第2号)
この規則は、会社法(平成17年法律第86号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成18年5月1日)
附則(平成20年10月2日最高裁判所規則第14号)
(施行期日)
1 この規則は、少年法の一部を改正する法律(平成20年法律第71号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成20年12月15日)
(経過措置)
2 この規則の施行の日前に少年法の一部を改正する法律による改正前の少年法(昭和23年法律第168号)第37条第1項の規定により公訴の提起があった成人の刑事事件については、この規則による改正後の刑事訴訟規則及び犯罪収益に係る保全手続等に関する規則の規定にかかわらず、なお従前の例による。沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和46年法律第129号)第26条第4項の規定により家庭裁判所が権限を有する成人の刑事事件についても、同様とする。
附則(平成20年10月15日最高裁判所規則第16号)
(施行期日)
1 この規則は、電子記録債権法(平成19年法律第102号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成20年12月1日)
附則(平成20年11月19日最高裁判所規則第21号)
(施行期日)
第1条 この規則は、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第88号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成21年1月5日)
(経過措置)
第2条 この規則の施行前に発せられた没収保全命令に係る改正前の犯罪収益に係る保全手続等に関する規則(以下「旧規則」という。)第11条第1項に規定する預託された株券に係る株式について、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律附則第7条第1項前段に規定する場合に該当する場合には、この規則の施行前にした旧規則の規定による没収保全に関する処分その他の行為は、改正後の犯罪収益に係る保全手続等に関する規則(以下「新規則」という。)の規定によってした没収保全に関する処分その他の行為として効力を有するものとする。
2 旧規則第11条の2第1項に規定する振替社債等に関し、この規則の施行前にした旧規則の規定による没収保全に関する処分その他の行為は、新規則の相当規定によってした没収保全に関する処分その他の行為とみなす。
附則(平成27年4月8日最高裁判所規則第4号)
この規則は、会社法の一部を改正する法律(平成26年法律第90号)の施行の日から施行する。(施行の日=平成27年5月1日)
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